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【源平合戦】平魔共存

#シルバーレイン #源平合戦 #決戦

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 華やかなるはまぼろしの都。
 その絢爛豪華たるや、諸行無常をも疑わせ。
 されど同時に奇々怪々、迷宮もかくやと先の見えぬ道を進めば居並ぶ民は皆、魔の者。
 奴等を統べるは異形の将。既に幽世の存在なれど、人の肉体を棄てようと、人魔共存を掲げては、その旗の下に集う同志に堂々告げる。
「平家を再興し、歴史をやり直す……今こそ、能力者封じの大魔術――世界結界の破壊を! そして、人魔共存を成し遂げようではないか」
 嗄れ声に、死してなお衰えぬ威風を乗せて。
 歓声が上がる。異を唱える者は、ここにない。


「……当時の再現も、ここまで来ましたかァ」
 いつになく、虹目・カイ(○月・f36455)は神妙な面持ちだ。
 とは言え、ある程度の人数が集ったのを見ると、すぐにニコリと平素のように微笑む。
「ご足労いただきありがとうございます。思うところのある方もいらっしゃいましょうが、時間も惜しいですし。さくっと説明させていただきますね」
 彼女自身、何か思うところがあったようだが。余計な感情は排することにしたようだ。直後、すぐに説明に取り掛かる。
「『不滅の災い』の復活、及び『魔都』の発生は既に聞き及んでおられるかと存じます。当時は某|異形のクソガキ《トビアス》によって引き起こされた事態でしたが……」
 今、一瞬めちゃくちゃ荒々しい言葉遣いになりましたね。感情排しきれてる?
 そんな視線を一部の猟兵達から感じ取ったのか、コホン、とひとつ咳払いしてカイは続ける。
「今回は当然ながら、奴の干渉があるわけではございません。しかし、オブリビオンとして蘇った敵の首魁……平清盛は当時と同様、ゴーストの……いえ。怨霊オブリビオンの都を創り上げたのです。『人魔共存』を実現する為に」
 ――人魔共存。
 彼女の後輩も、その理念には強く賛同しているようだった。それを思えば、思想自体が悪いものでもないと感じてしまいがちだが。
「平氏にあらずんば……という言葉は有名でございましょう? 尤も、清盛が放った言葉ではないようですが……口にはせずとも奴の言う『人魔共存』の根底には、その思想が多分に含まれています。即ち、奴の言う『人』とは。平家に属する者のみに他なりません。そして、『人』として君臨する対象は、言葉通りの『人にあらざる者』です」
 即ちその支配は、『魔』の者にも及ぶ。
 清盛の掲げる『共存』とは、平家による人魔全てに対する『君臨』である。人としての頂点に立ち、魔の者すら意のままに使役する。まさに、平家上位を前提とする思想なのだ。
「ま……それに何より。かつてはゴースト、今となってはオブリビオンですからね」
 仮にその思想が正しいものであったとしても、現代を生きる人々を、そしてこの世界を害する存在である以上、その野望は阻まねばならない。
「奇しくも、魔都の再現が行われているのは当時と同じく神戸の地……以前有志の方々に、お菓子教室に出現したオブリビオン討伐に向かっていただいたことがあったのですが。その縁で予知に引っかかったみたいですね」
 あれ神戸の近くでやってたんだ。
「魔都は平安時代の建築様式で迷宮を作ったような状況です。その本丸とでも言うのでしょうかね、最奥の宮殿に清盛はいるわけですが。行く手を阻むのは複雑に入り組んだ道のみではございません。何やら平安貴族、或いは武将のような出で立ちの『シャーデンフロイデ』らが侵入者を撃退すべく待ち構えています」
 奴らは己の信じる正義を振りかざし、それに反する者を悪と断じて吊し上げ行為を行う、現代の闇から生まれた哀しきモンスターのような存在であるが。今回は平家の掲げる人魔共存に深く共感したようである。『共存』という耳障りのよい言葉に加えて、戦争の敗者であることに対する判官贔屓というヤツだろうか。その代表格(と言うかそもそも言葉の由来)とされるのは源義経なのだが。
 ともあれ、敵の集団と迷宮を突破すれば、いよいよ清盛とご対面となるわけだが。
「そこにいるのは『シラバキ』です。しかし、その中身は清盛に違いありません。と言うのも、清盛に肉体はなく、その精神? のみを他のゴーストに取り憑かせて復活しているようなのですね」
 ならば通常のボス格オブリビオン程度の強さしかないのかと問えば、そんなことはないとカイは言う。
「仮にも当時の戦争で総指揮を取っていた男の復活でございますから。憑依先のオブリビオンも大幅に強化されている上、清盛固有のユーベルコードも使用してきますから。油断は禁物です」
 なんでも怨嗟により行動封じと強化解除をもたらしつつ、ダメージもしっかり与えてくるという能力のようだ。その対処も考えなければならない。
「理性はあるようで、当時と同様に結構話せるジイさんではあるのですがね……特に何かこの世界のオブリビオンについて重要な情報を握ってるようなこともありませんので、特に対話の必要もないでしょう」
 一応、何か言えば返してくる可能性はあるようだ。但し説得できる相手でもないので、あくまでバーサーカーではないとだけ考えておけばよいだろう。
「それから。清盛を倒してそれで終わり、ではございません。当時は生命讃歌の効果時間もあり、戦争中の討伐は叶いませんでしたし……だからこそ後に不滅ちゃん達との縁も繋がったのですが。今回はそういった制限や、後にマイナスに響くような事態はございませんので。他地域の魔都化を防ぐ為にも、オブリビオン化した不滅の災いの討伐も。抜かりなくよろしくお願いいたします」
 ――それでは、準備はよろしいですかと。
 カイはその手に、|虹《グリモア》を輝かせた。

「あの時と違って……私は今回、何もできないから。頼んだよ」


絵琥れあ
 お久しぶりです、或いは初めまして、絵琥れあです。
 久々のリハビリがてらシナリオが決戦で大丈夫なんでしょうか。
 いやだってふとTOP見たら告知来てたんだもん。

 流れと詳細は以下の通りになります。

 第1章:集団戦『『シャーデンフロイデ』正義を振り翳す人々』
 第2章:ボス戦『シラバキ』
 第3章:ボス戦『不滅の災い』

 第1章では、迷宮内で皆様の侵攻を阻もうとするオブリビオン集団の討伐をお願いいたします。
 この集団さえ突破すれば最奥に辿り着いたとして判定いたしますので、迷宮攻略にプレイングを割く必要はございません。
 安心して戦いに専念していただければ幸いです。

 第2章では、平清盛が憑依した『シラバキ』との決戦になります!
 オープニングの通り、通常個体よりも強化されている上、平清盛固有のユーベルコード(ダメージ+行動封じ+強化解除)も使用してきます。
 対策を考えつつ、しっかり討ち取りましょう。

 第3章では、魔都発生の元凶である『不滅の災い』の討伐を行っていただきます。
 当時と違い(討伐に手間取らなければ)逃げる様子はありませんので、全力で倒しにかかっていただければと。
 強力な火炎による攻撃と、場合によっては自己回復も行いますので、対応をよろしくお願いいたします。

 第1章開始前に、断章を執筆予定です。
 戦闘パートの地形などの追加情報も、断章での描写という形で公開させていただきます。
 断章公開された時点で受付開始を予定しております、が。
 採用出来るかどうかはタイミングと内容次第でまちまちになります。ご了承ください。
 (一応オーバーロードという手段もありますが、あまりオススメはできません)

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『『シャーデンフロイデ』正義を振り翳す人々』

POW   :    俺達は絶対正しい!どんな犠牲を払っても必ず正す!
【自分は絶対正しく、自身が信じて疑わない】【正義の為なら、無関係な人を巻き込んで】【犠牲が出るのは、仕方がないという狂気思考】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    これは正義を成す為の聖戦!いざ正義の名の元に!
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【と同時に、自分達は正義そのものという狂気】を与える。
WIZ   :    あなたは絶対間違っている!必ず阻止してみせます!
「【自身が感じた相容れない相手の価値観を正す】」という誓いを立てる事で、真の姿に変身する。誓いが正義であるほど、真の姿は更に強化される。

イラスト:光華 三毛

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 『魔都』福原京の再現へと、猟兵達は足を踏み入れる。
 成程そこは、華やかなる平安の世の宮殿迷宮。古の都の造りが広がるそこはしかし、歪められた歴史の再現だ。
 一刻も早くこの魔都の踏破と、平清盛……そして、不滅の災いの討伐を。その一心で探索を続ける猟兵達の前に、幾つもの人影が現れた。
「そこまでだッ!」
「あなた達ね……人魔共存の志を、そしてその崇高な使命を掲げる清盛様を阻もうという不届き物は!!」
「かつて源平合戦で敗れ、一族郎党根絶やしにされた平家の人間が、それでも志半ばでは死ねないと、現代に蘇ったのを……その、尊い志を、哀れな境遇を踏みにじろうと言うのか!! この悪魔共め!!」
「そうよッ! 可哀想じゃない!! それに人も、そうでない人も手を取り合ってこの世界を生きていく……誰もが幸せになれる道じゃない!! それをどうして止めようとするの!? 理解ができないわ!!」
 ………………ええと。
 色々とツッコみ処満載ではあるのだが、こういった手合にはどれだけ正論をぶつけようとも……いや、正論どころか何を言っても聞く耳を持たないであろうというのもまた、この世の哀しすぎる真理。
 それに見た目は平安装束を纏っただけの一般人に見えないこともないが、しっかり怨霊オブリビオンのようなので。
 早々に撃破、突破し――清盛の待つ最奥部への道を開くのだ!
神塚・深雪
ええと……いえ、はい
(言っている事の表層は真っ当そうだけれど、実際は色々間違っている事に“頭痛が痛い”顔)

明らかに目の彩はおかしいですしそもそもオブリビオンですしツッコミどころしか無いんですよねぇ……
それに、色々なものが間違ってなければ或いは……なんて思わなくもないですけど
彼等はオブリビオンですし、こればっかりはもうどうしようもない状態ですものね
だから――
(等と思いつつ溜息をついて)

「早々に|御退場《御理解》いただくとしましょうか」
(UCを発動)
暗闇ではないですが、道を拓くには問題ないでしょう
ついでに頭も冷えてくれたら良いんですけど

共感も大事なんですけど、それだけじゃ共存ってできないんですよね



「ええと……いえ、はい」
 神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)は、平安仕様シャーデンフロイデらの主張を聞くや『頭痛が痛い』という顔をした。痛みを重ねるほどの痛み。
 確かに、奴らの言い分の表層は真っ当なようにも思える。が、実際は色々と破綻している事実に気がつかない深雪ではない。
 ……それを逐一指摘しているとキリがない、というもうひとつの事実にも、ではあるが。
 その間にも、なおもやんややんやと主張、と言うより猟兵達への罵倒を続けるシャーデンフロイデらの顔を、深雪はちらりと見て。
(「明らかに目の彩はおかしいですし、そもそもオブリビオンですしツッコミどころしか無いんですよねぇ……それに、」)
 奴らは単に己の信じる正義を免罪符に、悪を裁くという名目で他者を弱らせ、優越感を得たいが為にこんなことをやっているわけであるが。そうでなくとも歩み寄れない理由がある。
(「色々なものが間違ってなければ或いは……なんて思わなくもないですけど。彼等はオブリビオンですし、こればっかりはもうどうしようもない状態ですものね」)
 奴らが真に人魔共存に共感し、その在るべき姿を正しく理解し、それでいて、考えの違う者にも排斥以外の手段を取れる寛容と判断力があれば、話はまた違ったのかも知れない。
 ただしそこには常に『オブリビオンでなければ』が枕詞のように存在するのだ。
「だから――」
 深雪は溜息と共に、頭の中をよぎった様々な考えを吐き出した。
 そして、クリアになった思考で結論を、告げる。
「早々に|御退場《御理解》いただくとしましょうか」
 同時、天へと深雪はその右手を掲げる。
 暗闇ではないが、閉ざされた空間である迷宮にも光の雨は降り注ぎ。
 瞬く間に視界を埋め尽くすほどの白銀で満たされ、シャーデンフロイデらも罵声と共に呑み込まれ、見えなくなっていく。
(「道を拓くには問題ないでしょう。ついでに頭も冷えてくれたら良いんですけど」)
 やがて光が霧散するように消え失せた時、シャーデンフロイデらも押し流されたかのように消滅していた。邪心そのものといった連中は、その浄化の光に触れて消えてしまったのだろう。
「共感も大事なんですけど、それだけじゃ共存ってできないんですよね」
 理想を、ただの綺麗事で終わらせない為に、学園は多くの困難を乗り越えてきた。
 だからこその、今がある。深雪は揺らぐことなく、歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
今度は『魔都』福原京の歴史再現ですか。アヤカシエンパイアに似ているような、どこか違うような。
全く誰が仕組んでいるのでしょう。

『人魔共存』は今や銀誓館学園も掲げるところ、といったところで無駄でしょうね。この状況で最も有効なのは、突撃力を活かした敵陣突破です。

ナイトメアを召喚して「騎乗」し、ナイトメアライド。「騎乗突撃」で「蹂躙」し、「武器に(破魔の)魔法を纏う」アリスランスの「ランスチャージ」。
敵が態勢を整える前に、全力で突破しますよ、ナイトメア。敵中突破は望むところ。

怨霊どもに用はありません。さっさと置き去りにして、横道からも湧いて出るなら、アリスランスを振るって追い払いましょう。



 ぐるり、見渡す光景は儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)にとっても既視感のあるものだ。
 とは言え、オブリビオンとして変質しているせいか、全てが彼女の記憶しているそのまま、というわけでもないのだが。
(「今度は『魔都』福原京の歴史再現ですか。アヤカシエンパイアに似ているような、どこか違うような」)
 馴染み深い|故郷の地《せかい》にも、まだまだ己の預かり知らぬところで闇が蠢いている。その事実は気味が悪かった。尤も、それは彼女にとって『恐れている』ことと同義ではないのだが。
(「全く……誰が仕組んでいるのでしょう」)
 むしろ、いずれ突き止めなければと強く思う。だからこそ、思案せずにはいられない。
 と、それを阻むように現れたのが平安仕様シャーデンフロイデらだ。奴らは口々に、理想論と猟兵達への罵倒を繰り返す。
 芽亜もまた、溜息を吐いた。
「『人魔共存』は今や銀誓館学園も掲げるところ、といったところで無駄でしょうね」
 対話を試みたところで、時間だけが無為に過ぎていくのは目に見えている。
 ならば。
「この状況で最も有効なのは、突撃力を活かした敵陣突破です」
 彼女の出した結論に、呼応するようにして。
 現れたのは影と呼ぶには余りに眩い純白。
 悪夢と呼ぶには余りに無垢な清白。
 されどそれは悪夢を自在に操り駆けるもの――ナイトメア!
 ひらり、馬上に飛び乗り騎乗完了。芽亜は白馬の首を撫でて微笑んだ。
「敵が態勢を整える前に、全力で突破しますよ、ナイトメア」
 しかし告げる号令は凛と。
 振るわれるは鴇色の角、否。
 夢幻にして無限の|槍《アリスランス》。まとわりつく悪意を蹂躙し、薙ぎ払い、接近すらも許しはしない。
「敵中突破は望むところ――怨霊どもに、この《悪夢》の蹄は絡め取れない」
 所詮は雑兵、烏合の衆に用はないと言わんばかりに芽亜は颯爽と駆け抜けて。
 負け惜しみのように投げかけられた罵声ごと、置き去りにして。
 狙うはただ、平清盛。その大将首、ただひとつ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
よもや再び福原京が現れるとは思っていませんでした……。
あの時は銀誓館が源氏という立ち位置でしたね。
そして、目の前のオブリビオンですが……、
まあ平安の世にもこのような人々が存在したのでしょうね。
先を急ぎますから、付き合っている時間はありませんが。

演説するのであれば、その隙に攻めましょう。問答は無用。
【功夫】の打撃による接近戦を仕掛け、
更に手近な敵を【グラップル】の技術で捕まえて
敵が密集している箇所にブン投げて攪乱しましょう。
敵の戦闘力が増加したならば【転玄脚・嵐】を放って
薙ぎ払い、そのまま追撃を仕掛けて片付けていきます。

人魔共存はあなた方が語る事ではありませんよ。



(「よもや、再び福原京が現れるとは思っていませんでした……」)
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)の視界に映るそれは、迷宮化こそしているが、確かに既視感を覚えるもの。
「あの時は銀誓館が源氏という立ち位置でしたね。そして、目の前のオブリビオンですが……、」
 改めて、罵声の主らを見やる。
 こちらを一方的に悪と断じ、聞く耳持たぬといった様子でまくしたてる、その姿は。どれほど華やかな平安装束で取り繕ったところで、その醜い本性を隠せはしない。
「まあ、平安の世にもこのような人々が存在したのでしょうね。先を急ぎますから、付き合っている時間はありませんが」
 演説を続ければ続けるほど、奴らの目の色は狂気じみていくようだ。
 大義はこちらにあると疑わぬその狂気を、力に変えているのか。だが、その敏捷性を己の武器とする慧にとってはむしろ好都合。
 詠唱ないしそれに準ずるものなど、攻め入る為の隙でしかない!
「清盛様の崇高な志を、理解もできない愚か者などに阻ませは――なにィッ!?」
 音もなく、その一人の懐に潜り込む。
 咄嗟のことに対応できずにいる様子のその手首を、パシリと掴んで。
「――ふッ」
「うおおおおおおッ!?」
 密集しているその地点を狙って、投げ飛ばす!
 その一撃だけで、敵の戦列は呆気なく崩壊した。
「こ……攻撃してきたぞ! 議論で勝てないと見て暴力に訴えたか! 野蛮人め!!」
「これだから学のない者は! 成敗してくれる!!」
 残る敵が何やら口々に喚き立てている。
 学があるとかないとかの話ではないし、話したところで絶対に負けを認めないので無駄だし、そもそもそちらも最終的には攻撃するつもりでいただろうが――それこそ、指摘したところで無駄なので。
 言葉で語ることなど、最早ないと言わんばかりに。
「この一撃で、薙ぎ払います」
 転玄脚・嵐――闘気の嵐すら生み出す、その回し蹴りは。
 狂気ごとまとめて吹き飛ばし、宮殿迷宮へと吹き荒れる!
「お、おのれええええええ」
 そのまま、シャーデンフロイデらは思い思いに捨て台詞を残し、しかし抵抗の術なく消し飛んだ。
「人魔共存は、あなた方が語る事ではありませんよ」
 その重みも知らぬ者の虚言など、慧には一切響かない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳥羽・白夜
源平合戦か…たしか俺が銀誓館卒業した年だったか、もう14年くらい前じゃん…!いつまで平家の亡霊に付き合わねーといけねーんだよ。

あのさー、人魔共存ならもうとっくに実現してる、ってかしてたはずなんだけど。新世代ゴーストとかいるし…
って、お前らに言っても通じねーか。平家の言う人魔共存とは違うしな。
どうせ何言っても無駄だろうしお喋りはもうやめるよ。

|起動《イグニッション》!し黒影剣発動。
UC効果で生命力を奪いつつ、大鎌の【斬撃波】で【範囲攻撃】【鎧砕き】し、【貫通攻撃】による【鎧無視攻撃】。

…そもそも共存って相手の意思尊重することじゃねーの?正義押し付けてる時点で根本的に矛盾してる気がすんだけど。



 鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)がげんなりとした表情をしているのは、目の前でこちらに罵声を浴びせてくる連中のこともそうだが、それよりも。
(「源平合戦か……たしか俺が銀誓館卒業した年だったか」)
 それを現在の年から計算して考えてみると。
(「もう14年くらい前じゃん……! いつまで平家の亡霊に付き合わねーといけねーんだよ……」)
 そりゃあうんざりもするものである。
 何が悲しくて、こんな形で過去を振り返らなければならないのか。それを考えると目の前の敵も、その言い分より存在そのものに頭が痛くなってくる。
 まあ、その辺りはゴーストもオブリビオンも然程違いはないかと、白夜は改めて敵へと向き直り。
「あのさー、人魔共存ならもうとっくに実現してる、ってかしてたはずなんだけど。新世代ゴーストとかいるし……」
「それは銀誓館学園が流したデマだろうが! 陰謀論者の手先めッ!!」
「……エエー……」
 そう来るか。なんだその強引な解釈。そして発想の飛躍。
 いよいよ現代社会が生み出した怪物の側面が強くなってきた。
「ま、お前らに言っても通じねーか。そもそも、平家の言う人魔共存とは違うしな。どうせ何言っても無駄だろうし、お喋りはもうやめるよ」
 後半に関しては、呆れてものも言えない、とも言う。
 だが、敵は論破したとでも思っているのか心なしかドヤ顔をしている。実に鬱陶しいが、慢心しているようなら好都合。
「――|起動《イグニッション》!」
 宣言と共に、白夜の手に収まる紅い月の大鎌。
 しかしそれは同時に、深い夜にも似た黒へと染まりゆく。
 血色の三日月を内包した黒き刃が、漆黒の波濤を巻き起こす。どれほど華やかに着飾ろうと、どれほど正義を盾にしようと、世界の敵を決して逃しはしない。
 最早、シャーデンフロイデらの口から上がるのは罵声ではなく、断末魔だ。
「……そもそも共存って、相手の意思尊重することじゃねーの?正義押し付けてる時点で根本的に矛盾してる気がすんだけど」
 と、言い終えてから、あっこれ言っても意味がないな、と気がつく白夜。奴らの性質ゆえではない。
 ――彼の目の前に、敵は一人も残っていないからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
とうとう『再現』もここまで来たか
終わりも見えてはきたが、その分危険度もとんでもないのが来やがった
歴史のやり直しなんて言葉はもういらねえ
俺たちが未来に進むためにも、魔都はぶっ潰してやるぜ!

【戦闘】
俺、これでも学園関係者としては話が通じる方だって自負してるが……
こらあかんわ

とは言え、思い込みの強さは、こういう状況だと強力な武器なのも事実だわな
集団でこの狂気に駆り立てられた日には、どこまで際限なくやらかすか、考えたくもねえ

UCを発動して「範囲攻撃」で「捕縛」
動きを封じたら、最低限の相手を「気絶攻撃」で無力化
こいつらに時間かけるつもりはねえ

清盛公、この場に来た部下の引きの悪さにだけは同情するぜ



 福原京、その再現。
 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)にとっても、この事態は初めて遭遇するものではなかった。
(「とうとう『再現』もここまで来たか。終わりも見えてはきたが……」)
 銀誓館学園は、戦いを重ねて成長し、めきめきと強くなっていった。すると、それと渡り合った敵も当然、同等かそれ以上の強さで相対してきたことになる。
(「その分、危険度もとんでもないのが来やがった。だが、歴史のやり直しなんて言葉はもういらねえ」)
 歩んできた過去を、そこから繋がった現在を、否定はさせない――そして。
「俺たちが未来に進むためにも、魔都はぶっ潰してやるぜ!」
 ――と。
 決意と共に福原京迷宮に足を踏み入れた魎夜を待ち受けていたのはシャーデンフロイデの大群。
 その性質は事前に説明は受けていたし、資料にも目は通した。が、実際相対してみると、これは。
「おのれッ! よくも仲間を! お前ら能力者は血も涙もないのかッ!」
「むしろお前らの血は何色だッ! コバルトブルーか!!」
 疲れる。主に精神的に。
 そう言えばここまで全員が銀誓館学園OBOGでしたね。事件の性質上、何も不思議ではないけれど。
(「俺、これでも学園関係者としては話が通じる方だって自負してるが……こらあかんわ」)
 今までにも様々なゴーストや来訪者、猟兵となってからはオブリビオンと対話もしてきたし、学園の重要な採決に、能力者生徒として関わったりもしてきた。
 ……が、話し合う以前の問題の相手もいる、という事実を改めて突きつけられた気分である。やり場のない疲労感。
(「とは言え、思い込みの強さは、こういう状況だと強力な武器なのも事実だわな。集団でこの狂気に駆り立てられた日には、どこまで際限なくやらかすか……考えたくもねえ」)
 良くも悪くも、強すぎる思いが力を生むことも往々にしてあると、魎夜は知っている。
「悪いがお前らに時間かけるつもりはねえ――大人しくしててもらうぜ!」
「なッ」
 広がるは繊細にして強靭なる土蜘蛛の糸。
 張り巡らされたそれは網となり、シャーデンフロイデらを纏めて絡めとってゆく。
「お、おのれええええええ」
 実の伴わない言葉に魎夜を止める力はない。
 邪魔な個体のみを剣の柄で殴って気絶させ、突き進む。
(「清盛公、この場に来た部下の引きの悪さにだけは同情するぜ」)
 だが、手を引くという選択肢はない。
 決着の時は、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『シラバキ』

POW   :    拡大性シラバキさま
【感染性呪詛の塊 】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【呪詛】を放ち続ける。
SPD   :    純粋呪詛存在
自身の身体部位ひとつを【純粋なる呪詛 】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    霊的汚染地帯
【撃ち出した「呪詛の塊」 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を呪い、霊的に汚染して】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:小林蕪

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「来たか……鎌倉の能力者よ」
 『能力者』にとっては、覚えのある台詞。
 魔都福原京、その最奥部で能力者――今となっては猟兵でもあるが――達を待ち受けていたのは、一見すると黒き呪詛の布を纏った仮面のゴースト、シラバキであるようだが。
 その重厚な声音、強烈な威圧感は、並大抵のゴーストないしオブリビオンに出せるようなものでは到底ない。
 間違いない。姿こそ違えど、奴は確かに『平清盛』なのだ。
「ふむ……何時の時代であれ、若者と話をするのは楽しいものだが。お前達にそのつもりはないようだな」
 言葉を抱えてきた者も、もしかしたらいるかも知れないが。
 過程はどうあれ結果は平行線であろうということを、清盛も悟っているのだろう。
「我等平家一門、この力を以て、この福原京復活を以て! この時代に覇を唱えねばならぬ。そして能力者封じの大結界――世界結界の破壊を以て、人魔共存を成し遂げるのだ!」
 さあ、と。
 誘うように、広がる手の代わりに、纏う黒布がはためいた。
「最後は武の力こそが勝者を決めることとなろう! 来るがいい、鎌倉の能力者よ!」
 その、気魄が、覇気が、風圧の如く相対する者を薙ぎ払おうとする。
 だが決して、ここで折れるわけにはいかない!
「我こそは平家一門が棟梁、平清盛なり!!」
 その大将首を、討ち取るのだ!
神塚・深雪
シラバキに憑依と思われる状態である時点で十全な状態ではないと思いますし
その状態で武を以て覇を唱えるというのは色々と破綻というか矛盾というかを抱えている……ような、気が
(先のシャーデンフロイデ達も含め、見えざる狂気まで再現してるのかしら? 等と思いつつ)

骸の海の滲出オブリビオンとはいえ当時の戦争のボスですから大敵であることにはかわりませんしね
そうである以上、貴方も速やかにお帰り頂くのみです
(UCを起動し攻撃に転じ)
全て当たらなくても、この場に居るのは私だけではないですしね!

総てが未来へと進んでいるんです
あの日に留まって再現する機構のようになってしまった貴方には判らないのかもしれませんけれど



 成程、確かに相手は間違いなく平清盛その人なのだろう、と神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)は確信する。
 だが、確信した上で、疑問も残る。
(「シラバキに憑依と思われる状態である時点で十全な状態ではないと思いますし、その状態で武を以て覇を唱えるというのは色々と破綻というか矛盾というかを抱えている……ような、気が」)
 依代であるシラバキも相応に強化されているとは聞いているが、借り物の器に収まっている以上『平清盛』としての力を存分に発揮しきれるのか、と思わずにはいられない。
(「なぜ、こんな不完全とも言える状態でオブリビオン化したのかも謎ですが……先のシャーデンフロイデ達も含め、見えざる狂気まで再現してるのかしら?」)
 結構話せるジイさんと評されてはいたものの、これではな、と思わずにはいられない深雪である。尤も、当時の源平合戦で相対し、学園の能力者達と対話した際も、結局交戦するという結果は変わらなかったので、仕方のないことかとも思う。
 さて、とは言え油断できる相手でもない。全盛期と同等の力が出せるとは思えないが、それでも間違いなくその力の一端を有している相手だ。侮れば返り討ちだろう。
「骸の海の滲出オブリビオンとはいえ、大敵であることにはかわりませんしね」
 何せ平家の総大将。戦争においてゴーストの軍勢を率いるボスだ。
「そうである以上、貴方も速やかにお帰り頂くのみです」
「いいだろう、現代の能力者の実力……見せてみるが良い!!」
 ビリリと空気が震え、肌が痺れる。
 だが、怖気づく深雪ではない!
「光よ共に、浄化の|白銀《ぎん》をここに――!」
 銀翼、舞うが如く。
 剣を閃かせるにも似て、軽やかに踏み込む。
 一閃。もう一閃。呪詛の黒布による迎撃をもひらり、往なして更に一閃。銀の直線、虚空に描く三本。
(「あと一撃!」)
 それと同時。
「『怨』!」
「!!」
 黒布の動きが、変わる。
 深雪を捕縛するように、その周囲をぐるぐる、巡る。
(「全て当たらなくても……」)
 あと一閃。それが入れば勝敗は決していた。
 だが、深雪は己の力だけで勝つにこだわらない。
「この場に居るのは私だけではないですしね!」
 後を託す仲間達がいる。
 彼らを信じて、深雪は拘束が完全なものとなる前に、その魔の手ならぬ魔の布の包囲を斬り払い、逃れた。
「貴方は、私達を鎌倉の能力者と言いましたね」
 それは事実で、深雪の誇りでもある。
 だが同時、深雪は猟兵としての力も手に入れ、今なお前に進み続けている。
「総てが未来へと進んでいるんです。尤も……」
 それを思えば、清盛は寧ろ哀れですらあると深雪には思えた。
「あの日に留まって再現する機構のようになってしまった貴方には、判らないのかもしれませんけれど」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳥羽・白夜
俺はあの戦争の時途中で重傷くらってリタイアしてたから清盛とは会ってねえけど…あの見た目でも中身清盛って分かるのすげーな…

本来なら世界結界崩壊してたはずだし、人魔共存も実現してんだけどな。今の世の中、清盛のおっさん的にはどう見える?
…まあ分かり合えるとは思ってねえけど。

可能であればUC『ダークハンド・改』の捕縛で【身体部位封じ】。
強化したとこで結局解除されんなら下手な小細工はなしで、都度回復する作戦でいくか…
指定UC発動、【浄化】をのせたトマトジュースの雨で行動不能とダメージ対策。怨嗟なんか雨(トマトジュース)で洗い流してやるよ。
熟れ過ぎたトマトの攻撃と共に大鎌の【斬撃波】で【一刀両断】を狙う。



 ビリビリと痺れるような覇気は、鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)も感じ取っていた。
(「俺はあの戦争の時途中で重傷くらってリタイアしてたから、清盛とは会ってねえけど……」)
 気を強く持って、その威圧感を跳ね除ける。
 そして、改めて平清盛――と、目される『シラバキ』の姿を見た。
(「あの見た目でも中身清盛って分かるのすげーな……」)
 こんな形で『人(ゴーストないしオブリビオンだが)は見かけによらない』を身にしみて実感することになるとは、夢にも思わなかった白夜である。
 それはさておき、白夜は清盛から目を逸らさない程度に虚空を仰いだ。宮殿の天井で遮られてはいるが、その先には空があり、目には見えずともオブリビオン化によって修復された世界結界が、今なお世界を覆い尽くしているはずである。
「本来なら世界結界崩壊してたはずだし、人魔共存も実現してんだけどな」
「ほう、魔封じの結界は滅びる運命にあったと」
「ま、結果的には直ってるんだが……それでも、できる範囲で人魔共存は現実のものになってる。今の世の中、清盛のおっさん的にはどう見える?」
 それでも、魔都の再現と平家の再興により、再び世界に混沌を引き起こすつもりなのかと。それはかつて清盛の言った『万民の幸福』に繋がるものなのかと。
 改めて、まっすぐに清盛を見据え、白夜は問う。
(「……まあ、分かり合えるとは思ってねえけど。なんせ、このおっさんの思想の根底にあるのは……」)
 白夜の考えた通り、清盛は一度頷きこそしたが。
「確かに、お前達は理想を実現することになるのかも知れん。だが、手緩い。人と、人ならざる者は異なるもの。些末なすれ違い程度で綻びが生まれかねん。だからこそ、それらを統べる統治者が必要なのだ。平家一門にはその力があった。今も……復興さえ叶えばな」
「……結局は平家の復興と支配の正当化だな。ま、確かにこっちの言い分も、あんたからすりゃあ綺麗事かも知れねーけど……」
 だとしても、その綺麗事が現実になる未来が見えてきたところだった。
 平家の支配を受け入れてしまえば、その未来さえ潰えてしまう。何よりオブリビオンと化した清盛に、譲れるものなど何もない!
「到底受け入れられぬという顔だな。いいだろう、ならばその綺麗事を語るだけの力、見せてみよ!!」
 互いに最初からわかっていた。相容れないのだと。
 だが、結果だけでなく、過程にも意味はあるのだ。白夜はそう思いたかった。
(「ともあれ。強化したとこで結局解除されんなら、下手な小細工はなしで、都度回復する作戦でいくか……」)
 作戦とはこうだ。
 自身への強化は悪手となりかねない。だが、相手への弱体化なら、その限りではないはずだ。
 だから相手を不利な状況に追い込んだ上で、全力の攻撃を叩き込む。
「そこ動くなよ!」
「ぬぅん! 『怨』!」
 白夜の影と、清盛の黒布が互いを拘束したのはほぼ同時。
 だが直後、白夜は真打ちを発動させる!
「怨嗟なんか雨で洗い流してやるよ」
「これは……血の雨? いや……!」
「トマトジュースだけどな!」
 それでも乗せた浄化の力は本物。
 呪詛によって絡みついていた黒布を振り解くと、紅き渾身の一閃が、|シラバキ《清盛》の身体を横に裂く!

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
鎌倉の能力者ですか……。それは昔の話ですね。
今は欧州人狼騎士団に属している山吹慧と言います。(礼)
お目にかかれて光栄ではありますが、
現在を生きる平家末裔の方々の為にも、
清盛公には再び眠りについて頂きます。

敵の怨嗟と呪詛による攻撃は【浄化】の力を加えた
【オーラ防御】を展開した上で、
【集中力】と【気功法】により敵の気を感じ取る事で回避。
そして、エンジェリックウィングの光の【羽を飛ばす】
【神聖攻撃】を仕掛けて攪乱する事で【認識阻害】を狙い、
隙を突いて【聖天の刃】を放ちます。

清盛公の掲げるそれとは異なりますが、
人魔共存は現在を生きる者達が
成し遂げてみせますよ。



「鎌倉の能力者ですか……それは昔の話ですね」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は、銀誓館学園の能力者|だった《・・・》。それは事実だし、その過去をなかったことにしたいわけでもない。
 ただ、過去を再現し続けるだけのオブリビオンとは違い、時が流れれば居場所が変わることもある。それだけの話だ。
「今は欧州人狼騎士団に属している山吹慧と言います」
 そう告げて、ひとつ礼を。
 敵にも礼節を欠かすことのない慧だが、柔らかな言動の奥底には、決して折れることのない芯がある。
「お目にかかれて光栄ではありますが、現在を生きる平家末裔の方々の為にも、清盛公には再び眠りについて頂きます」
 そう。
 遥か昔、世界結界の是非を巡り行われた、源氏と平家による代理戦争――源平合戦。
 清盛がしているのは、その時代の話だ。戦争は終わったのだ。生き残った平家の末裔は、この現代を確かに生き続けている。
 そこに平家復興などを持ち出されてしまえば、彼らの平穏が脅かされることは火を見るよりも明らかだ。彼らが過去の亡霊に、呼応しなければならない道理などないはずなのだ。
「よかろう、来るがいい。この清盛、易々と斃れはせんぞ!!」
「心得ておりますが――止まる理由にはなり得ません。参ります」
 殺到する黒布の中を泳ぐようにして、慧は清盛へと肉薄を試みる。
 呼吸と共に漲らせたオーラには浄化の力が宿り、迫る呪いを弾き返した。精神力を研ぎ澄ませて、呪詛の源である清盛の核を辿る。
 そして――捉える。
(「見えた」)
 すかさず展開したのは光の羽の矢。
 邪を祓う聖なる光でその力を奪い、そして撹乱する。慧の存在を認識からぶれさせ、生じる隙を見逃さず――踏み込む!
「我が光の刃で、断ち切らせて頂きます」
「ぬうぅ……!」
 手応えあり。
 燦然たる光は慧の手から溢れて迸り、言葉通りの光の刃となった。
 穢れなき白が閃いて、呪詛の主を依代とした清盛を裂いていく。
「清盛公の掲げるそれとは異なりますが――」
 清盛にも、悪意はなかったのだと慧は思う。
 彼は、彼ら一門は本気で、平家が知性ある生命の頂点に立つ存在と信じていたし、その平家が生命を統べるのが最善だと信じていた。
 悪意がなければ何をしてもいいというわけでは決してないし、『平家の志』を継ぐつもりは慧にはないし、猟兵にも、それこそ学園にもないだろう。
 ただ、清盛は清盛なりに、傲慢にも統べるべきと考えていた者達を、それでもきっと思い遣っていた。
 それだけは事実なのだろうと、慧には理解できた気がした。
 だから。
「人魔共存は、現在を生きる者達が成し遂げてみせますよ」
 今、この世界を生きる者の考え得る最善を尽くそう。
 それは慧が、清盛に尽くす最大限の『礼儀』だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
そうだな
俺も今の世界結界は早いところ壊したいと思っているし、人魔共存は目指している
だけど、その在り方はあんたとは違うもんだ
そうなると、結局これで決めるしかねえな
「行くぜ、清盛公!」

【戦闘】
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! イグニッション!」

UCを起動して攻撃を「見切り」
その体は災いしたな
シラバキとの戦い経験はあるし、源氏にも平家にも「嵐の王」はいるんだよ

「リミッター解除」した「斬撃波」で攻撃
純粋なる呪詛の攻撃に「カウンター」を返し、「捨て身の一撃」を当てる

実の所、俺の生まれは元を正せば平家方だ
だから、あんたの目指した理想も持っていく
安らかに眠ってくれ



 深く、息を吸って。
 吐く。と同時。
「そうだな」
 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は呼吸と共に吐露した言葉と共に、清盛と真っ向から相対する。
「俺も今の世界結界は早いところ壊したいと思っているし、人魔共存は目指している」
 その理念に、共感できるところはある。
「ほう。やはり世界結界など、無用と思う者がいたということか。人魔共存の道に賛同する者が」
 感心したように、清盛が頷く。
 対して、魎夜は頭を横に振った。
「だけど、その在り方はあんたとは違うもんだ」
 支配による恭順を以て、統一するのではない。
 共存の名の通り、誰も抑えつけることなく、誰も踏みつけることなく、共に歩んでいく――描きたいのは、そんな未来だ。
 それだけは譲ることができないし、そうなると相入れることもないだろう。となれば。
(「結局これで決めるしかねえな」)
 清盛もそれは望むところだろう。
 決着を。
「行くぜ、清盛公!」
「ふ……では改めて名乗ろうか。我こそは平家一門が棟梁、平清盛なり!!」
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! イグニッション!」
 清盛の気魄が、泰山の如く膨れ上がる。
 魎夜の武装が解放され、その力のリミッターも外れた。
 シラバキの殻を纏った清盛による、黒布――呪詛の戒めが魎夜を絡め取り、締め上げようとする。
 それらを、まるで魎夜は既に見てきたかのように、的確に網の目を潜るように、清盛へと迫っていく。
「ならば……『怨』ッ!」
 その網の目を潰すように、清盛のユーベルコードが魎夜へと差し向けられるが。
「その体は災いしたな。シラバキとの戦い経験はあるし、源氏にも平家にも『嵐の王』はいるんだよ」
「! ……『経験』を降ろしているのかッ!!」
 流石は元・能力者勢力の総大将とでも言うべきか。
 清盛は魎夜のユーベルコードの本質を瞬時に理解したようだ。そう、魎夜自身と、過去より現在に至るまで、それぞれの時代を生き、戦い抜いた|嵐の王《ストームブリンガー》の『経験』の『記憶』が、かつて相対した敵の行動の『予測』を可能としたのだ!
 理解できたところで対処のできるものでもない。少なくとも、清盛にもシラバキにも、対象の記憶を奪ったり、『予測はできても回避不可能』な攻撃を与えるような手段はない。
 迫りくる呪詛ごと、その紅と蒼の双剣で斬り払う。
 そのまま、放たれた斬撃波ごと清盛へと突進し、その捨て身の一撃を――押し込む!
「おおおおおおおおッ!!」
 その咆哮は、魎夜と清盛、どちらのものだったか。
 或いは。
「……見事……!」
 シラバキの――清盛の身体が遂に、両断される。
 魎夜は、その最期を見届ける心積もりで、その場を動きはしなかった。
「実の所、俺の生まれは元を正せば平家方だ」
 姿を変えた清盛の表情は窺い知れない。
 だが、微かに反応した、ような気がした。
「だから、あんたの目指した理想も持っていく」
 同じ形ではないけれど。
 それでも、共存という理想に、『万民の幸福』を願う心に、違いはないはずだ。
「安らかに眠ってくれ」
 魎夜の前に、黒衣は崩れ、灰となる。
 消滅のその瞬間、清盛は微かに笑った――そんな気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『不滅の災い』

POW   :    不滅の息吹
【嘴】から【炎の吐息】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    不滅の暴風
高速で旋回する【炎を帯びた竜巻】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【羽ばたき】を捧げていないと制御不能に陥る。
WIZ   :    不滅の金炎
戦場全体に【羽ばたきで黄金の炎の嵐】を発生させる。レベル分後まで、敵は【荒れ狂う炎】の攻撃を、味方は【癒やしの炎】の回復を受け続ける。

イラスト:トト子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黄金が渦巻いている。
 否、鳳凰にも似た姿をした金色の『|災い《ソレ》』が、今や遮るもののなくなった神戸の上空に悠々と旋回するのを、猟兵達はありありと見て取ることができた。
 何も知らぬ者が、蘇った世界結界の影響を受けることなくその光景を目の当たりにしていたなら、或いは美しいとすら感じたかも知れない。
 それでも、あれは確かに『災い』なのだ。
 吉兆とは相反する、妖獣兵器だ。
 かつての|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》における戦いでは、この不滅の災いなる存在は長期戦の果てに戦線を離脱し、後に銀誓館学園と、不滅の使者の縁を結びつけることにも繋がった、とある事件の鍵を握る存在となるのだが。
 どうやら今回、先に説明されていた通り、|そこまでは再現されていない《・・・・・・・・・・・・・》ようだ。
 ならば躊躇うことはない。この再現を、過去へと還すのだ!
鳥羽・白夜
あの戦争の時は生命賛歌の効果時間の制限もあって逃げられたんだったか…そう思うと生命賛歌なしで戦ってるのが不思議な気も、猟兵は『生命体の埒外』だから?なんか複雑だけど。
しかしいくら不滅ってもオブリビオンになってまで復活しなくてもいいだろ… ってか暑い!夏にはまだ早いってのに。燃やされたらたまんねーな、闇のオーラを纏い【オーラ防御】、【火炎耐性】で身を守る。

羽ばたきできなきゃ制御できねーんだろ、だったら…! UC『ダークハンド』で捕縛、【身体部位封じ】。羽ばたきを封じる。毒で汚染もされるからな、身動きできないだろ。

不滅って名前通りにまたどっかで復活するかもだけど…今は自分の炎に焼かれてろ。




 悠々と空を往く黄金を仰ぐ。
(「あの戦争の時は、生命賛歌の効果時間の制限もあって逃げられたんだったか……」)
 鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は生命賛歌を知っている。有事の際に行使されるそれは、メガリスの破壊と引き換えに、学園に所属する能力者へと、その継戦能力に莫大な恩恵を与えるもの。
 しかしながら有限の力だ。少なからず反動もある。ゆえに、発動時間を超過した状態での継戦は危険とされていた。
 当時は、清盛を討ち取り幕引きとなった。そうせざるを得なかったのだ。
(「そう思うと、生命賛歌なしで戦ってるのが不思議な気も……猟兵は『生命体の埒外』だから?」)
 それもなんか複雑だけど、と白夜は少し苦い顔をした。この力が当時にもあったなら。源平合戦に限らず、過去の戦争も、もっとやりようがあったのではないかと考えずにはいられない。
「しかし、いくら不滅ってもオブリビオンになってまで復活しなくてもいいだろ……ってか暑い!」
 夏にはまだ早い……どころか、ようやく少し春めいてきたというところ。ただでさえ秋がなくなりかけな現代地球日本、春までなくされるわけにはいかない。
「この上、燃やされたらたまんねーな。けど、羽ばたきできなきゃ制御できねーんだろ。だったら……!」
 白夜は冷たき夜を纏う。射干玉の闇が熱を遮断する。
 それを源として、空に伸びる漆黒の腕を生んだ。
 腕は黄金に迫ると大きく広がり、両の翼を握り潰すようにして捕らえる。更に影は細く長く伸び、絡まる網のように戒める。
「毒で汚染もされるからな、身動きできないだろ。そして――」
 自由を失った翼は、自ら生み出す熱に耐えられない。
 ごうと燃え上がった。黄金の炎が黄金の翼を影ごと覆う。
 染まりゆく。空が光に焦げる。暮れ始めた空に焼きついていく。
「不滅って名前通りにまたどっかで復活するかもだけど……今は自分の炎に焼かれてろ」
 過去は未だ滲み出して、|現在《いま》を、そこで生きる生命を、なおも脅かし続けている。
 その一端に過ぎないのだとしても、見過ごすことなど白夜にはできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神塚・深雪
確かに不完全な再現、みたいですね
まだ生きている筈で、かつて起きた事象だけが再現されてるという感じでしょうか
色々と判断材料も集めたいところですけど、そこ時間を取り過ぎたら被害が拡がってしまって本末転倒ですよね

軽率に攻撃を避けると周辺に炎の被害が拡がってしまいそうなのが難点な気がしますね
水とかで打ち消す事も考えましたけど、あれだけの規模を打ち消す水を利用するのは、それはそれで周辺のへ影響が大きいかなって思いますし……

発する炎を利用することで、消す事はできなくても周囲への被害は抑えられる筈だから……
その炎、なんとしても御してみせます!
(UCを起動し、持てる技能を併用して炎の嵐を制御、反撃に利用する)




 神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)もまた、グリモアの力を持っている。
 事前に聞いていた情報もあるし、何よりこうして猟兵として相対してみると、肌で解るような感覚がある。
「なるほど……確かに不完全な再現、みたいですね」
 『震えるミント』もそうだったが、学園に討伐されず健在なゴーストも存在する。不滅の災いもまた然りだ。
(「……と、なると。かつて起きた事象だけが再現されてるという感じでしょうか。清盛のことと言い、色々と判断材料も集めたいところですけど……」)
 過去が『オブリビオン』となる範疇や制約などの秘密に迫ることができれば、オブリビオン発生の抑止力に繋がる方法を模索することもできそうだが。
 それでも深雪は冷静さを欠くことなく、緩く頭を横に振った。
(「そこで時間を取り過ぎたら、被害が拡がってしまって本末転倒ですよね」)
 何よりも優先すべきは敵の討伐。忘れてはいない。
 戦いの中で、今後に繋がる何かを得られるなら僥倖。そうでなくとも、猟兵としての使命を果たすのだ。
(「問題はどう対処するかですが……」)
 深雪もまた、改めて空を舞う黄金をその、美しく澄んだ瞳に映り込ませるようにして、捉える。
 あれは翼であり、また炎だ。その異なる性質を、同時に兼ね備えている。
(「軽率に攻撃を避けると、周辺に炎の被害が拡がってしまいそうなのが難点な気がしますね」)
 定石として、水などで相殺を狙うことも考えはした。だが、それこそ大量の水が必要になる。何せ相手が余りに巨大なのだ。何より用意できたとして、また別の被害が周辺に出るのも避けたいところだった。
「となれば、発する炎を利用することができれば。消す事はできなくても周囲への被害は抑えられる筈……」
 今一度、深雪は思案する。
 方法を。そして答えは見えた。ならば。
「その炎、なんとしても御してみせます!」
 あとは証明するのみだ。勝利を以て!
 黄金が旋回する。それと向き合う。
 その瞳の中に、深雪はいるのか否か。
 だが、そのようなことは些事でしかない。どうであろうと深雪はただ押し留め、打ち勝つだけだ!
「空渡る七色よ、黄金すらも染め上げよ!」
 金の嵐は熱を伴い、猟兵ごと地上を焦がさんとする。
 余りにも強大な力だが、深雪は真っ向から臨んだ。
 その強靭な精神力で、荒れ狂う輝きを収束させ――そして。
 渾身の一撃として、その金炎を押し返し、呑み込んだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
あの時の富士では……不滅の使者の一件では
あなたに命を救われました。
残念ではありますが、あなたが真にこの世界に
災いをもたらすオブリビオンと化したのであれば
ここで討たねばなりません。

エンジェリックウイングで飛翔して
【空中機動】を駆使しながら距離を詰めていきましょう。
敵の放つ炎は【気功法】で高めた【衝撃波】を
放ち、【吹き飛ばし】て凌ぎます。
その他の攻撃は【ジャストガード】と【受け流し】で対応。
そして、炸裂弾を投擲して激しい光と爆発で攪乱。
敵が怯んだならば【功夫】の打撃の【乱れ撃ち】を仕掛け
更に手向けの【羅山天昇波】を放ちます。



「あの時の富士では……不滅の使者の一件では、あなたに命を救われました」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)の言葉は、果たして天に届いただろうか。
 そこには悠々と空を覆う黄金がある。逍遥の如く天を巡り、地上に影を落としている。
 思い出すのは『伯爵』に次ぐ、原初の吸血鬼の統率者。かつて彼女は不滅の災いを支配下に置こうと暗躍し、慧達学園の能力者と一戦交えたことがある。
 統率者としての実力は伊達ではなく、30人近くもの能力者達は壊滅寸前にまで追い込まれた。それを救ったのが、他でもない不滅の災いだったのだ。
 そんな奇妙な縁がある。だが恐らく、ここに存在する『過去』は。
 大戦直後、それ以降のない存在でしかない。
「残念ではありますが――」
 その事実を、慧は既に理解していた。
 だからこそ、それだけを受け止める。
「あなたが真にこの世界に、災いをもたらすオブリビオンと化したのであれば、ここで討たねばなりません」
 それが元銀誓館学園の、現欧州人狼騎士団所属の能力者としての――そして、猟兵としての、慧の使命だ!
 背負うは聖なる光の翼。羽ばたけば光の羽根を散らして天を翔る。
 臆さず距離を詰めれば、不滅の災いが慧の接近を察知したようだった。
 歌うように嘴は開かれる。そこから漏れるのは、声ではなく黄金の炎だ。天すら焦がしてしまうほどの。
「森羅万象、その全ての気を以て、お相手します」
 慧は侮らない。あの『情熱』に見初められた存在なのだ。全力でかからなければ猟兵と言えどただでは済むまい。
 瞬時に気を練り上げ、衝撃波として放つことで炎をも弾き飛ばす。黄金は花火のように弾けて消えた。
 だが、狙うべきはより巨大にして強大なる輝き。
 そして負けじと放つは、負けず劣らずの激しい光を伴う爆発だ!
「炸裂弾を携行していて正解でしたね。さて……」
 流石の不滅の災いも、自らの放つそれではない強い光に怯んでいるようだ。
 これで終わりではない。叩き込むべきは決定的な一撃を。
「全ての気を味方につけたこの連撃。受けていただきましょう」
 手慣れた功夫の動作から、流れるように繰り出される乱れ打ち。ひとつひとつが的確に不滅の災いの脆い点を打ち据えていく。
 そして最後、天を貫くほどの衝撃波を、さながら大砲の一撃の如く放ち、その巨体すらも弾き飛ばした!

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
人里に姿見せやがったか、『不滅の災い』
あの姿を見ると、良く勝てたもんだと思うぜ
平家の復活、ここで止めさせてもらおうか

【戦闘】
神戸の街は、修学旅行で来たことがあるんでね
瑕一つ付けさせはしねえよ

「天候操作」で雨を降らせて、『不滅の災い』が人目に映りづらくし
風で飛行の方向を制限する

不滅の息吹をUCで吸収
神戸の街を「かばう」

てめえが不滅って言うのなら、蘇れなくなるまで何度でも相手してやる!
「師匠が言ってたぜ、"退路は前にしかない"ってな!」

「リミッター解除」「限界突破」した「捨て身の一撃」で『不滅の災い』を攻撃する

残る大きな戦いも後わずかだが、過労死せずに済むことを祈るばかりだぜ




「人里に姿見せやがったか、『不滅の災い』」
 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)の双眸にもまた、未だ墜ちぬ黄金が映る
 その空を覆う様は、魎夜達の上に落ちる影の余りの広さは、人間の矮小さをまざまざと突きつけてくるようだ。
(「しかしあの姿を見ると、良く勝てたもんだと思うぜ」)
 だが、ここにいるのは猟兵であり、能力者だ。
 かつてその黄金を撃ち墜とすべく、大戦においてその存在に迫った強者達だ!
「平家の復活、ここで止めさせてもらおうか」
 それはかの黄金を散らして真に成ると言える。
 清盛に放った己の言葉を、偽りとしない為にも。
「それに神戸の街は、修学旅行で来たことがあるんでね」
 戦場に赴いた、というだけの話ではない。
 決して浅くはない思い入れが、この地にはあるのだ。
「瑕一つ付けさせはしねえよ」
 ぽつり。
 言葉の終わりと共に、雨は降る。
 嵐の王。風雷を司り、銀の雨を支配する者。
 その権能で天は表情を変えていく。魎夜という王の為だけにのみ、涙を流すのだ。
 だがそれは、彼が万民を救う為の望みだ。彼は次いで風を繰り、戦場の空をも制する。万が一にも無辜の民の元へ、その黄金の炎を、風を、決して届かせはしない。
 街は既に、魎夜に庇い護られた。害意は全て押し流される。
「てめえが不滅って言うのなら、蘇れなくなるまで何度でも相手してやる!」
 既に仲間達が、それぞれに渾身の一撃を浴びせている。
 あと少しの筈だ。ならば迷っている暇はない!
「師匠が言ってたぜ、"退路は前にしかない"ってな!」
 進むも退くも、道は自ら切り開いていくだけだ!
 眼前に迫るは黄金の炎。
 雨の中にあってなお、それは太陽の光のようだと魎夜は思った。そして、それならばやりようはある、とも!
「全力で行くぜ、倒れるのはてめえか俺か……!」
 勝負。
 魎夜の体が、黄金に呑まれ包まれる。かと思えば、魎夜自身が太陽になったかのように、彼に収束して消えていく。
 ……いや、そうではない。内包しているのだ、今もなお。
 そして捨て身とも言える、限界をも超えたその突進が、『太陽の爆弾』へと魎夜を変えて、起爆する!
 爆音。天地を揺るがす轟音が響く。
 ややあって、金の爆炎も収まる頃には黄金は影も形もなく。
 よろめきながらも立ち上がった、魎夜はただ、武装を納めて肩を竦めるばかり。
 そして仲間達と、来た道を戻り始めた。
「やれやれ。残る大きな戦いも後わずかだが、過労死せずに済むことを祈るばかりだぜ」
 全ての戦いを、再び乗り越えた先。
 そこに何があるのか、魎夜にも見通せないし分からない。
 だが、彼らは決して恐れない。進路も退路も前にしかないのだ。
 その時が来るまで――進むだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月03日


挿絵イラスト