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ロスト戦記7~|死者の楽園《カオティック・ブルー》

#クロムキャバリア #殲術再生弾 #ロスト共和国 #ロスト戦記

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 大統領選挙が終わり、イーステル動乱と呼ばれた戦いも集結して、エリクの周囲を張り込んでいた取材陣がようやく姿を消した秋のある日。長期入院していたエリクは、なぜかキャバリアのコクピットにいた。
 どうしてこうなったのか。変なところの肝が据わったエリクは、直近の出来事を思い返してみた。
 退院が決まって家に帰る支度をしていたら、母であるルナリアが訪ねてきてくれて。親権は父に移ったとはいえ、エリクにとっては大事な母親であることに変わりはない。
 少し雑談をしていたら、突然窓が割れてキャバリアが飛び込んできて。あっという間に攫われてしまったのだ。
 狭いコクピットで身じろぎしたエリクは、自分を誘拐したグランマの横顔をチラリと見た。鷹のように鋭い目つきの老女で、伝説的な英雄らしいけれどエリクが生まれる前の話だ。
 テロ活動をして公開処刑されるはずで、そこから逃げ出して。その後セレネと一緒にいるところを見た気がする。その程度しか認識はない。
「僕を誘拐してどうするつもり?」
「アンタが入院している間に、世界は変わっちまったのさ。ーー見な」
 ぶっきらぼうに言ったグランマは、モニタに地上の様子を映し出した。地上の風景には、赤い異形がうごめいていた。人間のような四肢を持ってはいるが、どう見ても人間ではない。異形のキャバリアが足元で逃げ惑う人間を踏み潰せば、むくりと起き上がり異形の化け物の一体と化す。
「あれは何? 何なの!?」
「この国の起き上がりが、一斉にああなっちまったのさ。首謀者はアンタの母親だ」
「嘘だ! 母様がそんな……」
「信じたくないならそれもいいさ。母親のところに帰りたいなら後で送ってやる。だがそうするなら……」
『グランマ。ジャミングの効果が切れました。追手です!』
 グランマの声を遮って、どこからか女性が焦った声を出す。直後に放たれる銃弾を回避したグランマは、追撃を仕掛ける赤いキャバリアにシニカルな笑みを投げた。
「セレネや父親は二度と戻らないと思いな」
「セレネ……?」
 言われて改めて見たカメラに映し出されたナニカは、セレネのような気がしてならない。その言葉を鵜呑みにはできないが、確認はしなければ。
 意を決したエリクは、唇を噛むと黙って外の様子を見守った。


「仕事だよアンタ達」
 冷静な声で猟兵達に語り掛けたパラスは、グリモアの直上にロスト共和国の首都・エリュシオンの様子を映し出した。
「ロスト共和国にいる起き上がりが、一斉に生体キャバリアに変化しちまった。アンタ達は急ぎ、こいつらに対処しておくれ」
 変化した起き上がりは、通常のキャバリアと同等のサイズまで巨大化している。起き上がりではない一般人を見つけては殺し、起き上がらせているようだ。一般人は屋内へ避難しているため被害は最小限で済んでいるが、今後どうなるかは分からない。できる限り倒しておくのがいいだろう。
 この事態の鍵を握るエリクは、グランマと逃走中で行方が知れない。生体キャバリア達はエリクを探して捕えようとしているため、放置すれば遠からず生体キャバリアに捕獲されるだろう。
「長く続いたロスト共和国の戦乱も、おそらく大詰めだ。あの国がどうなるかは、アンタ達の行動にかかっている。頼んだよ」
 猟兵達を見渡したパラスは、グリモアを発動させると戦場へと導いた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 大きな出来事がない限り、ロスト戦記もあと2話となりました。最後までお付き合いいただけると幸いです。

 状況はオープニングの通りです。
 現時点で変化した起き上がり達を元に戻すことはできません。
 指定があれば、今までに登場した人物が変化した機体と遭遇することもできます。ただし、どの程度理性が残っているのかは未知数です。
 ルナリアと遭遇することはできません。

 プレイング受付期間はタグにてご連絡いたします。
 再送が発生する場合がありますので、ご協力いただけると幸いです。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『エヴォルグ量産機Renatus』

POW   :    虚式魔法EVOL『re:Cycle』
敵のユーベルコードを【捕食し魔法陣】に呪文として記録し、戦闘終了まで詠唱で使用可能。敵を倒せば戦闘後も永続。
SPD   :    虚式魔法EVOL『re:Birth』
【全方位に現実をも侵蝕する魔力式侵蝕細胞】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ   :    虚式魔法EVOL『re:Boot』
【無数の侵蝕魔弾を放つ魔法陣】に【命中時に自身を強化する捕食還元と強化修復】のルーンを宿して攻撃する。対象が何らかの強化を得ていた場合、それも解除する。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動

やれやれ、随分と手荒く楽しいコトになってるじゃねぇか。起き上がりが手当たり次第に起き上がりを造ってる、ってか?まるで|生物災害《バイオハザード》みてぇだな。馬脚を露したな。
ま、報酬分の仕事はしてやるぜ。

愛機ストーラウスに搭乗し、敵を迎撃。UCで攻撃回数を重視して敵に射撃を加えつつ、動きを牽制し足止めを図りながら、一般人が避難するまでの時間を稼ぐ。俺の趣味としては、キッチリ止めを刺したいトコなんだが…ま、敵の数が多いし、この際贅沢言ってられねぇよな。お楽しみは後に取っといてやるぜ。

美味い話にゃ裏がある、ってのは世の理だ。みんな起き上がりになって幸せになりました、ってなる訳ねぇ。


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員で連携
内戦化が失敗し遂に形振り構わずですか…
このまま戦火と兵器生産場を拡げるつもりでしょうが、
やらせませんよ

持参キャバリアで出動

まずは局の仲間と連携し一般人防衛を優先。
今までの経験から災害・戦争時の避難場所になる公共・大型施設等を予想しそこを主点に、避難民を狙う敵を優先迎撃。即時に頭部を狙撃し詠唱を極力妨害するよう戦います(スナイパー)

ある程度制圧したら、自身や味方の倒した敵を指定UCで狼兵部隊に再構築。避難者誘導及び避難拠点の防衛に全力で当たらせ、自身は狙撃での詠唱妨害による味方の戦闘支援に集中し制圧を図ります

戦闘が終息次第グランマ機の目撃が無いか避難民に情報収集

アドリブ歓迎


木鳩・基
【SIRD】

一体何が……!?
最悪の状況だけど、今はこの場をどうにかしないと!

建物を壊させないように目立つ場所を走って囮になる
敵が寄ってきたら路地に潜伏させた|人型構築物《ガリヴァー》で【だまし討ち】
不意打ちならひとたまりもないでしょ!
何体か倒したら私が路地に引っ込むよ

敵が使うのは捕食攻撃だっけ
だったらわざと周りを囲ませてもいいかも
|人型構築物《ガリヴァー》が捕食されそうになった瞬間にピースを分解
これで吸収される心配はないはず
その隙は再構築して叩くなり味方に攻撃してもらうなり柔軟に

街を回るときは【情報収集】も欠かさずに
もし街の人と遭遇できたら何が起きたか聞き込もう
何とかなるって【鼓舞】も一緒に


藤崎・美雪
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
常にマンティコアくん(ラウンズくん3世魔改造版)搭乗

あー…これはルナリアがヤケを起こしたか?
聊か短絡的な考えな気はするが
これまでの所業が白日の下に晒され失脚した以上
全くあり得ないわけでもないだろう

生体キャバリアの狙いはエリクのようだが
確かエリクは起き上がり同士から生まれた唯一の子だったな?
それにも関わらず…エリクは『生体キャバリアになっていない』
…この辺りに、生体キャバリアを元に戻すカギはありそうだが
問題は、それを突き止める時間があるかどうか、だな…

元に戻せる可能性は既に示唆されている
ならば、私はあえて非殺を通させてもらう
…というか、下手にマンティコアくんの武装は使いたくない(汗
なぎ払えーなんてやったら色々台無しだ

というわけでもふもふさん
ちょっと空飛んで生体キャバリアたちにじゃれつき妨害してくれ
指定UCで限界目いっぱいまでもふもふさんを放ち
生体キャバリアたちにじゃれつかせて少しでも進軍を遅らせよう

…あの中に大統領はいるだろうか
大統領! 一体何が起こったのだ!?


森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
最初から真の姿解放状態(ただしマスケラはなし)

可能なら、戦闘前にグランマと通信機越しにコンタクトを試みる
グランマ、エリクがいるならひとつ確認したい
グランマに連れ出される前、母親は訪ねて来たか?
…と聞いてOPの情報を引っ張り出しておきたい
この情報を俺らが知っているか否かで、対応が変わるからな

元に戻す術が解らねえ以上、今は手を汚すしかねえ
心を鬼にし「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCでスパーダ召喚
スパーダには「破魔、浄化」の「属性攻撃(聖)」の魔力を纏わせた紅剣を限度いっぱいまで召喚させる
虚式魔法EVOL『re:Boot』の侵蝕魔弾をスパーダの紅剣の「範囲攻撃、制圧射撃」で全て破壊、無力化しつつ
紅剣や俺の二槍伸長「ランスチャージ、串刺し」で生体キャバリアの四肢や胴を撃ち抜き行動不能に追い込むぜ

セレネっぽい生体キャバリアを見かけたら声かけ
セレネ、聞こえるか!
俺らの声が解るなら、返事をしてくれ!

もしセレネに理性があり話が通じそうなら
『いつ』変化したか聞き出したい


寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
猟兵間通信網設置
SIRD共同
・当初より〖フロンティヌス〗は〖盾〗や〖ホーミングレーザー〗を用いて防御的に自動運用し、味方キャバリア及び退避中の民間人の近接的な防護に徹する
└美月は機内外にて、猟兵と残存部隊等との避難や散発的な抵抗等の調整を統括
・敵軍主力による総攻撃の公算は大と見積もられる為、敵軍主力の動きをつぶさに観察しつつこちらの戦力を投入するか検討
・総攻撃においては、味方主力での対処が難しい物量の敵を認識した場合に指定UCを発動。主力部隊に対し一撃を加え時間を稼ぐ
・UCがコピーされた場合は〖統帥杖〗の権能にて数個キャバリア軍団を召喚。以て敵軍の反攻を撃砕する




 真の姿を解放した森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は、戦場に降り立つと油断なく周囲を警戒した。この国にいる起き上がりと呼ばれる不死者達が、一斉に生体キャバリアになったのだ。どこに敵がいるのか知れたものではない。
 安全を確認した陽太は、通信端末を手に取ると寺内・美月(霊軍統べし|黒衣《学生服》の帥・f02790)が設置した猟兵間通信網をグランマ直通回線と繋いだ。
「こちら森宮・陽太。グランマ、無事か?」
『陽太かい。おかげさまでくたばり損なってるよ』
『陽太さん? 来てくれたの?』
 通信に割って入るエリクの声は元気そうで、陽太は思わず安堵の息を吐いた。グランマの声は落ち着いているし、背後で戦闘音が聞こえる訳でもない。キャバリアを乗り捨ててどこかに隠れたのか。相手が生体キャバリアならば、アリな判断だろう。
「エリクも無事か。なら今のうちに聞きたいことがある」
『何? 何でも聞いて』
「エリク。グランマに連れ出される前、母親は訪ねて来たか?」
『うん。退院の準備をしていたら、会いに来てくれて』
『私も詳しい話を聞きたいな』
 会話に参加した藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)の声に、エリクは母が訪ねてきた時のことを話した。
 ルナリアはエリクを迎えに来たと言っていたが、エリクは裁判所の命令で一緒には暮らせないと指摘した。そうしたら。
『……母様は裁判所なんて関係ないって。神を手に入れたから、って言ってた』
「神?」
『この国で唯一の水プラントにして伝説の巨神「エリュシオン」本体だって。魂が無いのならば好都合、コントロールはこちらが奪い取れるということだから、って。そう言った直後、窓ガラスが割れて、グランマが飛び込んできて……』
「そうか」
 イーステル動乱の時、確かにルナリアは聖湖エリュシオンに向かっていた。エリュシオンの発掘がどうとか通信記録が残っていたが、この四カ月で発掘を終えたのだろう。あの動乱で使われた新型キャバリア・トライスシリーズは最後、起き上がりを生体キャバリアに変化させていた。その技術が応用されたのであれば、起き上がりが一斉に変化したのも納得がいく。
 考え込む陽太に、エリクは不安そうな声を上げた。
『ねえ、陽太さん。セレネや父様は元に戻るよね?』
「それは……」
 縋るようなエリクに、陽太は思わず口ごもった。元に戻す術があるのか、無いのか。それすら解らない今の状況で、気軽に期待を持たせるのは酷だ。長く感じる沈黙を、美雪の声が破った。


 天を仰いだ美雪は、改めて整理した思考を口に出した。
「あー……。これはルナリアがヤケを起こしたかと思ったが、違うみたいだな」
 一人腕を組んでうんうん頷く。最初は、これまでの所業が白日の下に晒され失脚したルナリアが自棄を起こして人類起き上がり計画を発動させたのかと思った。聊か短絡的な考えな気はするが、全くあり得ないわけでもない。
 まあ、ルナリアが自棄を起こしたかは不明だが、前回の戦いで勝利できなかったのは遠因の一つだろう。
 ルナリアが自らエリクを迎えに行ったのなら、生体キャバリアもエリクを狙っているだろう。これまでも執拗に身柄を狙われ続けた少年に、何の価値があるのか。起き上がりが一斉に生体キャバリアになった以上、大統領子息だからという線は考えにくい。ならば。
「確かエリクは起き上がり同士から生まれた唯一の子だったな? それにも関わらず……エリクは『生体キャバリアになっていない』」
『そうだな』
「……この辺りに、生体キャバリアを元に戻すカギはありそうだが……」
 そう口にした直後、美雪は脳裏に電撃のようなものが走るのを自覚した。パズルのピースがぴたりとあっていく感覚。証拠はないがそう遠くもないだろう。
「大丈夫だエリク。元に戻せる可能性は既に示唆されている。だから諦めるな」
『元に戻せる可能性……それは?』
『まだ仮説の域を出ないが、ルナリアは一斉に起き上がりを変化させた。トライスシリーズに搭乗した起き上がりは、元の人間に戻ったのだろう? ルナリアがエリュシオンを掌握したことで起きたのなら、エリュシオン本体を取り戻せれば、元に戻せる可能性はある。そういうことじゃないのか?』
『そうなの? 本当にみんな……』
『お喋りはここまでだ』
 グランマの鋭い声が割り込んだ直後、響く銃声。不穏な気配が流れた後、グランマの声が通信機から流れた。
「あ、おい大丈夫か!?」
『アタシたちは移動する。アンタ達は民間人の保護に当たっとくれ』
「グランマ!」
 一方的に切れる通信に逆探知を掛けてみたが、エラーが出て引っかかりはしない。あちらで何かあったのだろうが、居場所が遠すぎて手の出しようはない。
 美雪の思考を断ち切るように、警告音が鳴り響く。こちらに気付いた生体キャバリア達が、一斉に向かってきているのだ。敵想定射程圏内まで、残り50。のんびり考えている暇はなさそうだ。
 苦々しく眉を顰めた美雪は、一つ頭を振ると思考を切り替える。今は仮説の真偽を追うよりも、現実の対処をしなければ。
「もふもふさんもふもふさん、ちょっくら空を飛んでくれないかな?」
「ンベメ!」
「いやだから、ムササビさんは普通、そんな声では鳴かない……いや、いい」
 思わずいつものツッコミを入れた美雪は、現れた154体のもふもふさんに指示を出した。
 元に戻す目がある。ならば、美雪はあえて非殺を通させてもらう。
「……というか、下手にマンティコアくんの武装は使いたくない。なぎ払えーなんてやったら色々台無しだからな」
 以前見せた最終兵器張りの薙ぎ払いビームを思い出した美雪は、ひとつ体を震わせると改めてムササビさんに指示を出した。


 陽太や美雪たちの会話を聞いていた美月は、得られた情報を元に作戦を練り上げていた。
 こうしている間にも、生体キャバリアは民間人たちを虐殺しようと動いている。今のところ組織だった動きはなく、散発的に襲撃しているだけのようだ。だが、得られた情報によると生体キャバリアは群体としての運用も可能と考えた方がいいだろう。敵が動く前に、こちらも作戦を立てなければ。
 都市部の地図を睨む美月に、ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)
がどこか楽しそうな声を上げた。
「やれやれ、随分と手荒く楽しいコトになってるじゃねぇか」
「内戦化が失敗し遂に形振り構わずですか……」
「美味い話にゃ裏がある、ってのは世の理だ。みんな起き上がりになって幸せになりました、ってなる訳ねぇ」
「その通りです」
 ミハイルに同意するように、灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)も苦々し気に頷く。地図を見ながら考え込む灯璃に、美月は意見を求めた。
「情報を総合すると、敵軍主力による総攻撃の公算は大と見積もられる。敵軍主力はどこに動くか。灯璃さんの意見を聞きたい」
「そうですね……」
 意見を求められた灯璃は、少し考えると市街地中央部にある士官学校を指さした。以前グランマの公開処刑時、この街に関する情報は多く収集されSIRDのデータベースで共有されている。その中に、この学校の情報もあった。
 ここは美月がつけた目星と同じ。ならば、ここが敵の狙いで間違いはないだろう。
「ここは災害時の避難場所に指定されています。地下を走る下水道や避難通路なども、ほぼここを通過することが分かっています。防護も手厚く、物資もあります。避難先にはもってこいでしょう。敵もここに人を集めて、一網打尽にするはずです。そちらの方が効率がいいので。ですが……」
「いつ動くのか。どう動くのか。そのボールが敵の手にあるのは良くない状況です」
 眉を顰めて策を練る美月に、木鳩・基(完成途上・f01075)が焦りの声を上げた。
「早く何とかしなきゃダメだよね。グランマ達も心配だし、建物への被害も最小限にしなきゃ」
「そうですね」
「ねえ。私に考えがあるの。聞いてくれる?」
 真剣な目の基が、作戦を立案する。そのあまりに危険で、だからこそ効率の良い作戦に小さなため息が出た。
「とても効率が良い作戦ですが、基さん。危険は、承知ですか?」
「もちろん。じゃなきゃ、こんな作戦立案したりしないよ」
「あなたはキャバリアが無いでしょう。生身では危険です」
「生身だからこそだよ! 生身なら敵は油断する。私も力になりたいの!」
「いいじゃねえか。本人がやりたいって言うなら、やらせてやれよ」
「ミハイルさん!」
 旗色が悪い基に、ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)が助け舟を出す。美月の視線を受けたミハイルは、ひょいと小さく肩を竦めた。
「どこにいても危険なことに変わりはねえ。俺達が援護すればいい話じゃねえか」
 集まる視線に、美月は士官学校周辺の詳細図を広げた。
「分かりました。では、作戦はこうです」
 美月の作戦を確認した猟兵達は、一斉に持ち場へと散っていくのだった。


 大通りに躍り出た基は、敢えて気を引くように一度転ぶと、急いで立ち上がり走り出した。
 一体何が起こったのか分からない。けれども急いで学校へ逃げなければ。そんな空気を纏いながら走る基の姿に、生体キャバリア達が嗜虐的に顎部の割れ目を開いた。ギザギザの歯が並んだ口中から意味不明な声が響き、獲物を捕食するハンターの如き俊敏さで基の背中へと迫った。
 凶悪な爪が無防備な背中を引き裂く寸前、生体キャバリアの頭部が弾け飛んだ。思わず振り仰げば、狙撃を終えた灯璃が静かに移動するのが見えた。
 建物の上から正確無比な射撃で頭を吹き飛ばされた生体キャバリアはその場に倒れ込むが、しばし後にむくりと起き上がる。起き上がりの性質は健在らしい。その間に路地へ向かった基に止めの一撃をくらわせようと、生体キャバリアが爪を伸ばす。その時。
「そおい! 生体キャバリアの一本釣りだよ!」
 路地裏から現れた身長3メートル強のピースにより組み上げた人型構築物が、手にした磁石プレートワイヤーを振り回す。生き物のように伸びた磁石プレートワイヤーは生体キャバリアに深く絡みつくとその動きを封じる。
 次々動きを封じた基の姿に、他のキャバリア達が一斉に動いた。
「うわお! 撤退撤退!」
 焦りの声を上げながら路地裏へと逃げる基を、生体キャバリア達が追いかける。指定ポイントへ急いだ基は、飛び出してきた少女の姿に焦りの声を上げた。
「良かった! 人がいた! ねえあなた……」
「ちょ、今はちょっと忙しいかな?」
「へ?」
 一瞬きょとんとした少女は、追いかけてくる生体キャバリアの姿に基と一緒に走り出す。守るべきものが増え、自然と逃走の足は鈍ってくる。
 回り込まれ、周囲を囲まれた基は少女を守るように人体構造物と背中合わせに構えると冷や汗を拭った。
「こーれーはー絶体絶命ってやつ?」
 軽口を叩く基に向けて、生体キャバリアが一斉にユーベルコードを放つ。不穏な魔方陣に乗せて放たれた虚式魔法EVOL『re:Cycle』が生体キャバリアを捕食する寸前、基はユーベルコードを解除した。
 この魔方陣自体に攻撃力はない。捕食しそびれたユーベルコードに驚きの仕草をする生体キャバリアに、一斉砲火が浴びせられた。
「機甲騎兵隊、戦闘開始!」
 美月の号令と同時に、空が陰る。153体の黒い真鋭騎兵用高性能サイキックキャバリアが生体キャバリアを包囲と同時に一斉攻撃を仕掛けた。
 ユーベルコード使用直後の硬直を狙ったため、美月への反撃はキャンセルされる。跡形もなく潰された生体キャバリアは、元は人間だと思えば心も曇る。だが、起き上がりでもある以上いずれ復活するだろう。
 ひとまずの安全を確保した基は、保護した少女と共に敷地に入ると彼女に尋ねた。
「ねえ、何が起きたの?」
「わかんない。今日の午前中、急に起き上がりの人たちがあんな風になっちゃって。呼びかけても反応してくれなくて」
「そっか。大丈夫。何とかなるって。だから元気出して、ね?」
「……うん! そうだね!」
 基の鼓舞に元気を取り戻した少女を地下避難施設へ送った基は、そのまま避難所運営に携わるのだった。


 基の囮に釣られた生体キャバリア達が、一斉に攻撃を仕掛ける。どこから沸いて出たのか。空を埋め尽くすような数の生体キャバリア達が、集まった人間たちを蹂躙するべく打って出たのだ。
 その姿を愛機ストーラウスのコクピット内から見たミハイルは、軽く口笛を吹いた。一見すると絶望的な状況。だがこんな戦いは幾度も乗り越えた。もはや茶飯事だ。
「やれやれ、随分と手荒く楽しいコトになってるじゃねぇか」
 迫る生体キャバリア達に向け、先制射撃開始。攻撃回数を重視した30mm機関砲が、無数の弾丸を生体キャバリア達に叩き込んだ。
 直接倒すだけではない。牽制を加えつつ敵を足止めする間に、残った民間人が建物の中へと避難する。
 ミハイルの攻撃を受けた生体キャバリア達は、身体の一部または全部を吹き飛ばされながらも進撃をやめない。再生した生体キャバリアは、ミハイルの攻撃の前に魔方陣を展開するとユーベルコードを吸収した。
 直後に放たれる、無数の銃弾。ミハイルの手数をそのままコピーした生体キャバリア達の攻撃は、弾幕を抜け民間人へと迫った。
「起き上がりが手当たり次第に起き上がりを造ってる、ってか? まるで|生物災害《バイオハザード》みてぇだな!」
 軽口を叩きながらも援護に向かおうとした時、霊軍総旗機『戦術支援サイキックキャバリア《フロンティヌス》』が割って入った。直後展開される盾に、無数の銃弾が叩き込まれる。まるで豪雨のような銃弾を受けきったフロンティヌスに、美月は指示を出した。
「民間人が安全区域に退避するまで、そのまま待機!」
「さすがだぜ! そんじゃ、お返しだ!」
 防御姿勢を整える美月に軽く敬礼したミハイルは、攻撃に集中する生体キャバリアに横撃を仕掛ける。
「俺の趣味としては、キッチリ止めを刺したいトコなんだが……」
 倒しても起き上がる生体キャバリアに、止めは刺せるのか。倒し続けるのを覚悟した時、もふもふが動いた。
「ンベメ!」
「お? お前らか」
 ミハイルが弱らせた生体キャバリアにとりついたもふもふさん達は、じゃれつきながら捕縛し動きを封じる。身動きが取れない生体キャバリアを見下ろしたミハイルは、第一陣をもふもふさんに任せると第二陣に銃口を向けた。
「相性ってやつだな。ま、敵の数が多いし、この際贅沢言ってられねぇよな。お楽しみは後に取っといてやるぜ。ーーそこのちっこいの!」
「ンベメ!」
「捕縛は任せたぜ!」
「ンベメ!!」
 びしぃっ! と敬礼を返すもふもふさんの前に躍り出たミハイルは、迫る生体キャバリア達に向け無数の銃弾を放つ。
「ま、報酬分の仕事はしてやるぜ」
 好戦的な笑みを浮かべたミハイルは、的確に敵を封じ込めていくのだった。


 目に見える範囲の敵を迎撃し終えた灯璃は、訪れた一瞬の静けさに詠唱を開始した。敵を封じ、こちらの戦力を増強させるには今しかない。
「|Achtung!《傾注!》|…Widme ein Gebrull!weiter Vorwaerts!《咆哮を捧げ!続いて進め!》」
 起き上がりの要素を持つ生体キャバリア達は、倒されてから起き上がるまでタイムラグがある。その隙を狙った灯璃のユーベルコードに包まれた生体キャバリア達は、次々に姿を変えると現代完全武装の人狼兵部隊となり灯璃の前に整列した。
 これで24時間は民間人を襲う心配はなくなった。その代わり、ユーベルコードの効果が切れる前に事態に何かしらの決着をつけなければならない。
 整然と並んだ部隊の前に立った灯璃は、人狼兵部隊に指示を出した。
「第一部隊、第二部隊は士官学校の防衛。第三、第四部隊は避難者の誘導および護衛に当たってください。予想される第三波を、ここで必ず食い止めるように!」
 灯璃の指示に一斉に敬礼で返した部隊は、散会するとそれぞれの任務につく。一旦の平穏を取り戻した灯璃は、キャバリアを降りると避難施設へと足を運んだ。
 民間人の保護は目途がついた。そうなると気がかりなのはグランマ達の消息だ。最後の通信ではキャバリアからは降りたようだが、向かった方角だけでも知れるなら行先の目途は立てることができる。
「すみません。バレット兵団関係者の方はいますか?」
「俺は最近まで所属していたぜ」
 手を上げる負傷兵に歩み寄った灯璃は、敬礼すると青年に問いかけた。
「私は灯璃・ファルシュピーゲルといいます。この戦禍でグランマの行方を見失いました。最後にどこに行ったのか、ご存じではありませんか?」
「ああ。グランマ機は聖湖エリュシオンの方へ飛んで行ったぜ」
「聖湖エリュシオンへ……」
 青年の返答に、嫌な予感がする。あの湖の地下深くには、巨神の本体が眠るという。そちら方面に飛んだグランマは、ひょっとしたらもう湖の向こう側にいるのではないか。
 嫌な予感に応えるように、美雪から緊急通信が入った。
『生体キャバリアの一群が、聖湖エリュシオンの方角に向けて進軍中だ! 同時に六時の方角から生体キャバリア第三波が接近中!』
「Ja! 私は聖湖エリュシオンへ向かいます!」
『俺も行く! 乗せてくれ!』
「了解しました」
 陽太の通信に頷いた灯璃は、即座に愛機に乗り込むと陽太と合流し飛翔を開始した。先行するキャバリアを射程に捕えた時、陽太の詠唱の声が響いた。
「紅き剣を司りし悪魔の剣士よ、我が声に応え顕現せよ。そして己が紅き剣を無数の雨として解き放て!」
 詠唱と同時に現れた悪魔から、紅き短剣が放たれる。不意打ちで倒された生体キャバリアは、美雪のもふもふさんが動きを止めていく。
 こちらに気付いた一団が迎撃態勢を整えるより早く、狙撃で詠唱をキャンセルさせる。こちらを振り返った生体キャバリアは、ひび割れた声を上げた。
『ア……タ達、来てくれ、た……』
「セレネ、セレネなのか! 聞こえるか! 俺らの声が解るなら、返事をしてくれ!」
『怒鳴らなくて……聞こえる……よ』
 いつもの憎まれ口に、陽太が少し安堵したように胸を撫でおろす。
「セレネ。話を聞きたい。お前達は『いつ』変化したんだ?」
「大統領もいるな! 何が起こったのか、聞かせてくれ!」
 陽太と美雪の問いかけに、セレネと思われる生体キャバリアが口を開いた。
『……ルナリアからグランマに交渉……。エリュシオンを渡せって。断ったら、イーステル動乱の……トライスシリーズ生存者が突然……変化して。魔方陣……。そこから、変化が連鎖……』
 そこまで言ったセレネは、ふいに苦しみ出すと魔方陣を放った。現れた魔方陣から放たれた無数の侵蝕魔弾を回避した隙を突き、セレネと思われる生体キャバリアは聖湖エリュシオンの方角へと飛び去っていく。その背中を見送った灯璃は、強く拳を握り締めた。
「このまま戦火と兵器生産場を拡げるつもりでしょうが、やらせませんよ」
 決意を新たにした灯璃は、聖湖エリュシオンの方角を睨んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『水上機雷地帯を突破せよ』

POW   :    機雷を破壊しながら正面から突入

SPD   :    機雷を回避しながら素早く通り抜ける

WIZ   :    機雷の薄いルートや、機雷を黙らせる策を考える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 エリクは一人、指示された扉を目指して森の中を進んでいた。
 追手を撒いて、グランマと共に聖湖エリュシオンの中央島へと来たのは少し前のこと。キャバリアを降りて、休憩を兼ねて捨てられた小屋に隠れていたが、敵に見つかってしまったのだ。
 グランマはどうしているだろう。敵を引き付けて、エリクとは反対方向へと逃げたのだ。その後どうなったのかは分からない。不安に苛まれたエリクは、グランマから託された青い石を握り締めた。
 この石は、エリュシオンの魂が宿っているのだという。一緒にキャバリアに乗っている時に託された石は、わずかに輝くばかりで何も言わない。聖湖を渡った時から、本体を取り戻そうとエリクには干渉できない戦いをしているのだ。
 エリュシオンの契約者はグランマ。だが、グランマが死んだら契約は解除されるのだという。
 契約が解除されたら、エリュシオンが虹色に輝く。そうしたら、エリクが契約を引き継ぐ宣言をしろ。グランマはそう言っていた。
 思えば今まで、エリクの身柄はいつも誰かが守ってくれていた。だが、今は独り。自分の身は自分で守らなければ。
「しっかりしなきゃ。エリュシオンを本体の所に届けられるのは、僕しかいないんだから」
 唇を噛んだエリクは、初めての孤独と必死に戦っていた。

※ ※ ※
 第二章は冒険です。
 聖湖エリュシオンに無数に設置された機雷原を踏破し、中央島へ向かってください。
 行動は以下の三つの中から選んで、記号をプレイング冒頭にお書きください。
 三か所のうち、一か所のみに行くことができます。二か所以上書いてあったり、記入がない場合はプレイングで判断いたします。
 広範囲に影響するユーベルコードは、同じ選択肢の戦場のみに効果があるものとします。
 大統領はエリクの、セレネはグランマの許へと向かいます。また、しばらくすると生体キャバリア達が中央島へと集まってきます。

A 機雷原を抜け、エリクを救援に行く
 森の中をさまようエリクを救援に行きます。
 失敗した場合、エリクとエリュシオンは敵に捕らえられます。
 エリクがエリュシオンを継承するかはBの状況次第です。

B 機雷原を抜け、グランマを救援に行く
 森のどこかにいるグランマを救援に行きます。
 失敗した場合、グランマは死亡し起き上がります。
 復讐心は以前よりも緩んでいるため、強大なオブリビオンにはなりません。

C 機雷原を抜け、敵増援を食い止める
 中央島へ集まってくる生体キャバリアを食い止めます。
 中央島にいる民間人の保護やAやBへの援護はこちらになります。
 また、第三章のボスを弱体化させるというプレイングボーナスにもなります。

 プレイングは10/25(金)8時半~26(土)10時頃まで受付します。その後はロスタイムです。
 この章からの参加も歓迎です。
 スケジュールの都合で、再送をお願いする場合があります。

 それでは、良き選択を。
寺内・美月
C
アドリブ・連携歓迎
猟兵間通信網設置
SIRD共同
・当初島までの機雷原開豁を行う。爆導索飛翔体部を島に指向・投射する事により爆導索本線を展張、これを爆破して機雷原を開豁し突破口を形成する
└運用部隊は〖統帥杖〗を用いて工兵連隊を召集し、突破口形成の任にあてる。この際、爆導索の運用に問題があれば現場判断による予防措置も許可
└開豁する正面幅は約10mに設定。2m間隔5列の飛翔体部を30秒ごとに3回投射、いわゆる水面に浮かぶ浮遊機雷を破壊する。水中機雷に関してはダミーボートの先行でこれを対処
・先回より運用中の機甲騎兵隊の内、1個大隊36+α機を美月直卒の着上陸部隊として抽出する。残りは湖を越えずに警戒・逆襲部隊の駆逐や上陸部隊の支援、民間人の収容等を行わせる
・AとBに向かう猟兵の支援の為、着上陸後に美月と大隊は最大火力にて防護陣地を強行突破し第一線を突き崩す。その後は分散離合を繰り返しつつ、各自各隊の判断で敵部隊をかき乱す
・強固な陣地や強力な部隊には指定UCを使用し突貫、これを突破ないし破壊する


ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動
【A】
確か、|坊主《エリク》と初めて会ったのも、似た様な状況だったか?
機雷原の啓開は寺内に任せるが、それでも漏れる機雷は、UCで掃射しつつ森へ向かう。
森に到着後、エリクの捜索を行う。恐らく、この森のどこかに隠れている筈だが…何、昔取った杵柄ってヤツでな。|特殊部隊《スペツナズ》に所属していたお陰で、|戦闘捜索救難《コンバットサーチアンドレスキュー》は十八番だぜ。
エリクを発見したら、敵を掃射し足止めを図りその隙にエリクを救出、そのまま味方との合流を試みる。

よぅ|坊主《エリク》、久しぶりだな。まぁお互い積もる話もあるだろうが、ここは一先ず脱出してから、詳しい話を聞くとしようか。


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員で連携

自機機体で継戦

先ずは私は中央島の確保へ、
局同僚の爆破・射撃処理に合わせ一気に低高度で全速飛行し進出、
指定UCで係維索カッターとロボットハンド装備の機雷掃討用水中ドローンを
多数作成召喚し随時投入しつつ島へとり付きます

上陸次第、機体を狙撃態勢へに移行させつつ、
敵味方の動きを救出班と連絡とりあいつつ監視(情報収集・見切り)しながら指定UCで更に無人自走迫撃砲車(UGV)を複数台作成召喚し展開し防御線を構築

島へ湖上を強行突破してくる敵には水中ドローンで残っている機雷を曳航し自爆特攻させて動き鈍化させて突撃を封じ。救出班の不意を突こうとする敵部隊を発見、もしくはミハイルさん達から支援要請があった場合はただちに、集中狙撃及び迫撃砲UGVによる火力支援(スナイパー・牽制射撃)を実施して救出班が敵に包囲されないよう敵部隊に圧力をかけるよう戦います

安心させる為にも、お久しぶりですと笑顔で挨拶し、
こんな中でも頑張るエリク君をお父さんも頼もしく
思ってるはずですよと伝えます。

アドリブ歓迎


木鳩・基
【SIRD】
【B】

ちょっとくらいは覚悟してたのに
……やっぱり慣れないな、知ってる人が「そう」なるのは
元に戻せるかはまだわからないけど
とりあえず、行こう

機雷原はUCで突破
土や岩を分解して足場を生成
機雷が爆発しても私は無事だし、湖も最短経路で渡れる
このくらいなら一人でもどうにかできる!

セレネと対面したら傷つけないよう食い止める
地形の再構築に巻き込んで、がっちり固めて時間を稼ぐ
この力はこういう使い方もできる!
あとはできるだけ苦しめないように
話ができるならもっと情報を引き出すよ

継承の件、もしグランマの死が絡んでるなら……
全員が了承してても、私は迷うかな
まだ私には重いことだから
でも最後は飲み込むつもり


藤崎・美雪

【闇黒】
アドリブ連携大歓迎

ルナリアは既にエリュシオン本体の居所にいるだろう
これは…一刻の猶予もないな

機雷原の突破だが、基本的には機雷が無さそうな場所を移動して突破したい
ただし、万が一機雷が接近したり浮遊してきたら、マンティコアくんの荷電粒子砲で薙ぎ払って誘爆させ無力化しておこう
もちろん、発射時には他者に当てぬよう細心の注意は払う
…つくづく自分でも雑な対処法だと思うが、私の手札ではこれしか思いつかぬ

エリクと合流したら、マンティコアくんに搭乗させエリュシオン本体の下へ
もし、エリュシオンが虹色に輝き始めたら、エリクに契約を引き継がせよう
私自身も石には注視しているが
平行して陽太さんと連絡を取り、グランマの状況は逐一知らせてもらう
…最悪『タイミングを合わせる』事も考えよう

指定UCは、大統領がエリクを捕縛しようとしたら躊躇なく発動
現在、生体キャバリアのコントロールはルナリアが握っている
大統領の意を無視してエリクを捕縛しルナリアの下へ連れていく可能性は否定できぬ
それだけはすまないが阻止させてもらう


森宮・陽太

【闇黒】
アドリブ連携大歓迎
真の姿解放継続(マスケラなし)

セレネの意志はまだ残っているが、時間の猶予はねえ
一刻も早くグランマと合流するぜ

事前に地図で中央島の地形を確認し
グランマの移動経路を推測し追跡

指定UC発動しハルファスに変身
上空へ飛翔し一気に機雷原を突破
万が一機雷が自律行動し接近してきたら
大量の炎弾を降らせ誘爆を狙う

グランマと合流したら美雪と連絡取りつつ生体キャバリア(セレネ除く)の排除
炎弾をばら撒きつつ二槍伸長「ランスチャージ、串刺し」で四肢を破壊し足止め

落ち着いたらグランマと話す
美雪の推測通りなら
エリクがエリュシオンの契約を継承し、コントロールを奪取すれば
起き上がりたちは全員戻せるはず
もし、起き上がりではなく「人間に」戻せるなら
エリクに契約を継承させるのが最善手になるだろうな

もともとグランマの命は長くない
だが、この盤面をひっくり返すために命を賭すなら
グランマのエゴであっても俺は協力する
…俺が責任を持って、グランマに手を下そう

他猟兵とエリクの合流確認後
二槍でグランマの胸を貫く




 青く美しい湖水を湛える聖湖エリュシオンを臨んだ寺内・美月(霊軍統べし|黒衣《学生服》の帥・f02790)は、風光明媚な景色に浮かぶ場違いな機雷群を睨むとその分布を分析した。
 漁業も盛んだという湖だが、今は船影のひとつもない。代わりにあるのは武骨な機雷。無数に撒かれたそれらは、侵入者を拒むように物々しい雰囲気を醸し出していた。これを破壊しなければ、いくら猟兵達とはいえ湖を渡ることは不可能だろう。
「機雷原の配置を確認。これより掃討作戦会議を開始する」
「……これはまた、掃討のしがいがある配置ですね。機雷を破壊して最短ルートを取るか、迂回して安全策を取るか」
 美月と共に機雷配置図を見つめた灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)の指摘に深く頷く。
 今回の作戦は、機雷を掃討して終わりではない。目的はあくまでも、中央島にいる保護対象との合流及び現状の把握だ。最後に通信が途絶えた地点から考えれば、中央突破案も迂回案も双方に利点と欠点がある。
 ならば、双方の利点を最大限に生かす第三案を選ぶまで。それにはまだピースが足りない。美月が顔を上げた時、二人の猟兵が地図を手に現れた。
「美月。グランマの現在位置の見当がついたぜ」
 あらかじめ用意していたのだろう。中央島の地図を机に広げた森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)が示すグランマの移動経路に、ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)が補足を加える。
「ここにキャバリア格納庫があるからな。グランマはキャバリアに乗ってる可能性が高いな」
「分かりました。なら……」
 二人の報告に、作戦は決まった。
 召喚した工兵連隊により爆導索飛翔体部を島に指向・投射。爆導索本線を展張、これを爆破して機雷原を開豁し突破口を形成する。
 開豁する正面幅は約10mに設定。2m間隔5列の飛翔体部を30秒ごとに3回投射、いわゆる水面に浮かぶ浮遊機雷を破壊する。
「中央に張られた機雷群及び敵歩哨は、俺が受け持つ」
「つまり。……美月が派手に中央突破して敵を引き付けるから、その隙に島に渡ってグランマとエリクを保護ってことだな」
「その通り」
 陽太の総括に、美月は深く頷く。細かい打ち合わせを終えた美月は、猟兵達が配置につくのを確認すると詠唱を開始した。
「南木の護符による第一次封印を解除。これより、作戦を開始する!」
 闘戦覚醒を行い第一次覚醒状態となった美月は、全身に神気と殺気が具現化した白と黒の極光を纏わせ飛翔する。
 美月の後に続くように、張り巡らせた爆導索がオレンジの花火となり機雷を破壊する。中央にいる敵部隊及び機体と向かい合った美月は、激闘の予感に武者震いを覚える。
 戦闘の火蓋が、切って落とされるのだった。


 美月に合わせ飛翔した灯璃は、中央島の確保をすべく低高度で全速飛翔した。
 同時に係維索カッターとロボットハンド装備の機雷掃討用水中ドローンを作成し、機雷の破壊に向かわせる。ここは漁業も盛んな湖。機雷が残っていては、民間人の生活に大きな影響が出てしまう。ここでできる限り破壊しておくのが得策だ。
 吶喊を仕掛ける美月を中央に、左右に分かれた猟兵の部隊。エリク救助班に加入した灯璃は、湖上にはびこる機雷を破壊しながら中央島へと向かった。
「おそらくだが、ルナリアは既にエリュシオン本体の居所にいるだろう。これは……一刻の猶予もないな」
 灯璃と共にエリク救助班に加わった藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)の声に、通信の向こうから木鳩・基(完成途上・f01075)が不安そうな声を上げた。
『元に戻せるかは、まだわからないんだよね』
「はい。ですが、何もせず手をこまねいている訳にはいきません」
『……そうだね。とりあえず、行こう』
「確か、|坊主《エリク》と初めて会ったのも、似た様な状況だったか?」
「そうでしたね。あの時は列車の追跡でしたが……っ」
 言いかけた灯璃は、ふいに鈍くなる動きに後方センサーを探った。同時に鳴る警音。猟兵達が機雷除去した湖上を、生体キャバリア達も渡ろうとしているのだ。
『おーい! おーい! キミ達! 中央島へ渡る許可証は持っているのかね?』
「……っ!」
 明確な意思とも呼べる男の声に、灯璃の背筋に怖気が走る。さっきの戦闘より、明確に人間の意思を感じる。出来の悪いホラー映画のような光景に、灯璃は水中ドローンに指示を出した。
「これで、どうですか!」
 先手必勝。水中ドローンに指示を出した灯璃は、書き換わった世界の下面に次々機雷をぶつけていった。足元を物理的に破壊された生体キャバリアは、バランスを崩し動きを止める。展開されていた制圧効果が解除された時、美雪の声が響いた。
「なぎはらえー!」
 美雪の声が響いた直後、世界が薙ぎ払われた。
 美雪のキャバリア・マンティコアくんの口から放たれた荷電粒子砲が、文字通り世界を薙ぎ払う。バチバチと散る火花が消えた時、生体キャバリアの第一陣は姿を消していた。
「やるじゃねえか」
「お見事です」
「……つくづく自分でも雑な対処法だと思うが、私の手札ではこれしか思いつかぬからな。それにしても、気味が悪いな」
 眉を顰める美雪に深く頷く。市街地では、セレネには意思がありそうだったが他の生体キャバリアは言葉もなく、無言のまま操られているように見えた。だが、さっきの奴はどうだ。
「とにかく、進みましょう」
「だな。話が分かる奴に会ったらその時聞けばいい」
 そのまま地上へ上陸した灯璃は、場の安全を確保すると念のため無人自走迫撃砲車(UGV)を複数台作成召喚する。
 美月と陽太との通信を終えた灯璃は、周囲を警戒しながら地図を広げた。制圧したとはいえここは敵地。速やかに作戦行動に移らなければ。
「ミハイルさん」
「了解」
 腕を回して地図を手にしたミハイルは、にいっと笑うと真剣な目で捜索を始めた。


 周囲の警戒を灯璃にゆだねたミハイルは、エリクの捜索に取り掛かった。
 湖畔にいる時はグランマの居所を捜索した。場所は離れているし、詳しい情報は皆無と言って良かった。だが、手がかりはある。
 陽太が持っていた地図と、最後に通信したポイント。更に重要なのは、グランマがミハイルと同じ匂いを持つ元軍人だということ。
 今までも何度か作戦行動を見たことがある。ならば、考えそうなことも分かる。基や陽太達に送った居場所は、それほど間違えてはいないはずだ。
 問題はエリクだ。民間人は時に、とんでもない行動に出ることがある。敵に追われているのならば特にだ。
「恐らく、この森のどこかに隠れている筈だが……」
「どこにいるか分かるか?」
「何、昔取った杵柄ってヤツでな。|特殊部隊《スペツナズ》に所属していたお陰で、|戦闘捜索救難《コンバットサーチアンドレスキュー》は十八番だぜ」
 美雪の問いに請け合ったミハイルは、周囲の様子を詳しく探る。ほどなくして見つけたのは、捨てられた小屋だった。
 何かの監視小屋だったのか。隠されるように建てられた小屋は人の気配も、生体キャバリアの気配もない。破壊された小屋を捜索したミハイルは、裏口に続く小さな足跡を追った。
 一度足掛かりを見つければこちらのものだ。エリクは自分の痕跡を消すような真似はしない。折れた枝や残された足跡といった手がかりを頼りに追跡したミハイルは、ふいに乱れる足跡に眉を顰めた。
 一直線に向かっていた足跡が乱れ、別の方向へと向かう。何かトラブルがあった。そう直感したミハイルは、感じる戦闘の気配に足を速めた。
 生体キャバリアの、嫌らしい気配が近い。姿勢を低くし下草や木の根を踏み越え駆けたミハイルは、生体キャバリアと会話するエリクを発見した。
『エリク。怯えなくてもいい。さあ、私と一緒に来なさい』
「嫌だ! お前は誰? 誰なの?」
『父親を見間違えるなんてひどいな』
「父さんはそんなに背が高くないし、目も耳もあるよ!」
『この姿かい? 新しい体に生まれ直した気分だよ。お前もいずれ分かる日が来る』
「分かりたくなんかない!」
『聞き分けのない子だ。手荒な真似はしたくなかったんだが……」
 エリクに近づく大統領のような生体キャバリアに、ミハイルは一気に飛び出すと銃口を向けた。
「薙ぎ払ってやるぜ、覚悟しな!」
 UKM-2000Pから無数の銃弾が放たれ、今まさにエリクを捕えようとしていた生体キャバリアの背中に蜂の巣を穿つ。倒れた生体キャバリアに構わず伸ばす残敵を、一発の弾丸が貫いた。生体キャバリアを蜂の巣にしたミハイルは、おびえるエリクに手を差し出した。
「よぅ|坊主《エリク》、久しぶりだな」
「ミハイルさん!」
『誰だ、誰だ? 息子を連れて行くなんて許さん!』
 明らかにホッとした笑みを浮かべるエリクの腕を掴んで引き上げる。ミハイルにも構わず伸ばされる手に、灯璃が放った迫撃砲UGVの集中砲火が突き刺さる。
「まぁお互い積もる話もあるだろうが、ここは一先ず脱出してから、詳しい話を聞くとしようか」
「うん!」
「てなわけで、美雪」
「ああ。エリク、こっちへ!」
「美雪さん!」
『マテ! エリクは渡さないぞ!』
 マンティコアくんのコクピットを開けて手を伸ばす美雪の手を掴もうとした時、大統領のような生体キャバリアが飛びかかってきた。


 エリクに飛び掛かろうとする生体キャバリアに、灯璃の弾丸が突き刺さる。動きを止めた一瞬の隙をついた美雪は、急いでエリクの身体をマンティコアくんのコクピットに引きずり込むとロックを掛けた。
「ふう。大丈夫かエリク」
「美雪さん! ありがとう!」
『長居は無用だ。さっさとずらかろうぜ』
「ああ」
 UKM-2000Pを担ぎあげたミハイルが、灯璃の機体上部に乗り込む。灯璃機を固定砲台の足場としたミハイルは、エリクを奪回しようと迫る生体キャバリアに銃弾を放った。
『おらおら! お前たちはしばらくネンネしときな!』
『マテ! 待ちなさい!』
 ミハイルの砲撃で足を止めた隙に、森の奥深くへと身を隠す。周囲から敵影が消えたことを確認した美雪は、一旦キャバリアから降りると大きく息を吐いた。
 キャバリアから降りた途端、へたり込みそうになるエリクを慌てて支える。反対側から支えた灯璃は、笑顔でエリクに語り掛けた。
「お久しぶりです」
「灯璃さん。久しぶり! 本当に、怖かった……!」
 思わず涙を流すエリクの背中を、美雪は力づけるように叩く。あの生体キャバリアが父親を名乗って一緒に来るよう迫られたのだ。無理もない。
 何とか涙を収めたエリクに、灯璃は元気づけるように微笑んだ。
「ここまで、よく頑張りましたね。ーーお父さんを元に戻すためにも、力を貸してくれますか?」
「……うん!」
 微笑むエリク達の会話を聞きながら、美雪はそっとその場を離れるとマンティコアくんの陰に隠れた。この隙に、情報を交換しなければ。
 陽太の通信機への呼出音が鳴ってしばし。応答した陽太の声は幸い落ち着いていた。
「陽太さんか。今、エリクを救助した。そちらはどうだ?」
『美雪か。俺達はまだ合流できてねえ。近くまで来てるはずだから、手短にな』
「分かった」
『なあ。……エリュシオンは無事か?』
 陽太の問いに、美雪はそっとエリクを見た。首から下げた青い石は、何の変化もなくそこにある。
「今のところ、変化はないな」
『そうか。グランマを発見したら、逐一連絡を入れる。……美雪。もし手遅れになるのなら、俺が責任を持って、グランマに手を下す』
「陽太さん! ……それは、暗殺者に戻るということか?」
『必要ならな』
 陽太の決意に、美雪は息を呑む。本気を感じ取った美雪は、深く頷いた。
「分かった。……最悪『タイミングを合わせ』ようじゃないか」
『ああ。頼んだ』
 陽太との通信を終えた美雪は、小さく深い息を吐く。
 もし、エリュシオンが虹色に輝き始めたら、エリクに契約を引き継がせよう。それが何を意味することだとしても。
「そんなことにはならなければいいがな」
 そう言ってエリク達の許へと戻ろうとした時、ふいにエリュシオンが光輝いた。


 時は少し遡る。
 中央島を目指した陽太は、詠唱を開始すると悪魔ハルファスへと変身した。そのまま上昇し、機雷原を突破しようとする。
 湖の様子を見下ろせば、生身の基が分解した土や岩で足場を作りながら湖を駆け抜けていた。途中機雷に触れ爆発するが、岩の壁に阻まれて基自身は無傷だ。このままいけば、いずれ湖を渡り切れるだろう。だが。
 キャバリアに乗らない基の足は、どうしても遅くなってしまっている。このままでは置いて行かれてしまうし、市街地の方から危険な気配も迫っている。高度を落とした陽太は、基と並走すると声を掛けた。
「基!」
「陽太さん! 何?」
「行くぞ」
「行くぞ、って……きゃあっ!」
 思わず悲鳴を上げる基を背負った陽太は、再び飛翔すると上空へと戻った。真の姿を解放し、ハルファスに変身した陽太には基の体重と装備品くらい軽いものだ。
「陽太さん! このくらいなら一人でもどうにかできるから!」
「セレネの意志はまだ残っているが、時間の猶予はねえ。一刻も早くグランマと合流するぜ」
「……っ! 分かった。お願いします!」
 抗議の声を上げた基だが、陽太の声に頷くと大人しくしがみつく。上空には機雷はなく、生体キャバリアは空を飛べない。ユーベルコードを捕食しようにも、上空にいて攻撃を仕掛けない陽太達には手も足も出ないようだ。
 戦闘の気配に地上を見下ろせば、灯璃達を狙った生体キャバリアが攻撃を仕掛けているのが見える。中央を行く美月は、無事に湖を踏破し陣地を敷いている。
 猟兵達の戦いを見下ろした陽太は、エリク救助班上陸の連絡を受けると基の声に耳を傾けた。
「陽太さん。継承の件、もしグランマの死が絡んでるなら……」
「……」
「全員が了承してても、私は迷うかな。まだ私には重いことだから」
「そうか。なら、その時は俺がグランマを殺す」
「陽太さん!」
 淡々とした声に、基が驚きの声を上げる。息を呑む気配に、陽太は静かに告げた。
「もともとグランマの命は長くない。だが、この盤面をひっくり返すために命を賭すなら、グランマのエゴであっても俺は協力する」
「……」
「そうなったら、基は離れていろ」
「……ううん。私も背負うよ。陽太さんのこと、止めないで見てる」
 陽太の勧めに、基はきっぱりと言う。意外に思った陽太は、基を振り返った。その目に迷いはない。
「いいのか? ムリしなくても……」
「私だって猟兵だよ。重くても苦くても、でも最後は飲み込むつもり」
「そうか」
 握り締めた基の手が、小さく震えている。怖くても辛くても向き合うと決めた基の強さに、陽太は感嘆の息を吐いた。
「基は強いな」
「強くなんかないよ」
 きっぱりと言う基に何も言葉を返さず、陽太は先を目指す。
 無事に湖を渡り切った陽太は、ミハイル達に渡されたグランマがいるであろう地点まで急いだ。


 中央島に辿り着いた基は、派手な戦闘の音に急いで現場に駆け付けた。大きな銃声が響いているから、あそこにグランマがいるのだろう。
 陽太の背中から降りた基は、戦闘を繰り広げる一機と一体の姿に目を見開いた。グランマが乗っているであろう汎用機を護衛するように、一体の生体キャバリアがいる。あれはおそらくセレネだろう。必死に抵抗しているが、多勢に無勢。急いで加勢しなければ。
 意を決した基は、汎用機に襲い掛かる生体キャバリアに向けて詠唱を開始した。
「解は無理やり捻り出す! やりたいようにやらせてもらうぜ!」
 構築した巨腕を振り上げ、思い切り薙ぐ。横撃を食らった生体キャバリア達は、バランスを崩し次々に倒れていった。
 立ち上がろうとした生体キャバリアに、二槍が放たれる。四肢を破壊された生体キャバリアに炎弾の嵐が降り注ぐ。ばらばらになった生体キャバリアに向けてパズルのピースを分解した基は、再構築したピースで生体キャバリアのパーツをがっちり固めて抱え込む。
「この力はこういう使い方もできるんだよ!」
「さすがだな」
「そんなことないよ」
 首を振った基は、改めてセレネに思える生体キャバリアに向き合った。無個性でのっぺりした頭に、赤黒い体。人間型だけど、人間には見えない。
「ちょっとくらいは覚悟してたのに。……やっぱり慣れないな、知ってる人が「そう」なるのは」
『何言ってるのよ。私は私よ』
「セレネさん!」
『なんだか、さっきから頭がクリアになってきたの。やりたいこともやるべきことも、ちゃんと分かってるつもり』
「そうなんだ。良かった……の?」
『気分は悪くないわ』
『その身体への嫌悪感もなくなってるなら、いい兆候とは思えないね』
 表情の見えない声で外部通信をオンにしたグランマが、キャバリアから降りずに声を掛ける。黙り込むセレネの足を元気づけるように軽く叩いた基は、グランマに向き合った。
「グランマ! 大丈夫?」
『アタシは平気さ。助かったよ、アンタ達』
 意外と元気そうな声に、安堵の息を吐く。
「グランマ。ひとつ聞きたい。エリュシオンの継承の件だ」
『何だい?』
「美雪の推測なんだが、エリクがエリュシオンの契約を継承し、コントロールを奪取すれば、起き上がりたちは全員戻せるんじゃないのか?」
『正確に言えば、エリュシオンが本体のコントロールを奪取すれば、だね。戻せるかどうか確約はできないが、可能性はある。エリクは起き上がり同士が子を成せるようになる因子を持っている。これを組み込んで「響振」させれば、ルナリアが目指す全人類の起き上がりが確定する』
「そんな!」
『ルナリアは青十字の申し子だ。青十字やその理念の為なら、どんなことでもする狂信者だ』
「じゃあ、起き上がりではなく「人間に」戻すためには、エリュシオンを本体のところに連れて行けばいいんだな」
『ああ。まずはそこからだよ』
「そうか」
「じゃあ、グランマは死ななくてもいいんだね? 良かったぁ」
 グランマの言葉に、基は心から安堵した。覚悟は決めていたが、陽太がグランマを殺すような場面は無い方がいいに決まっている。
『残念ながら、まだくたばるつもりはないさ。エリュシオンの継承には、契約者の死か双方の同意が必要になるからね。あの時点で条件が満たされてたのはエリクしかいなかったから……』
『グランマ!』
 切羽詰まったエリュシオンの声が響いた直後、森の上空に巨大なキャバリアが現れた

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エヴォルグ終焉機『Eclipse』』

POW   :    黒天殲刀・Sun≒Eclipse
【天閉ざす破滅の闇と温もりを奪う極寒の冷気】を籠めた【日蝕耀刀『Sun』で極低温冷気と光速剣術】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【防御特性とユーベルコードを闇が無力化し核】のみを攻撃する。
SPD   :    冥導誘機・Moon≒Eclipse
自身の【月蝕冥杖『Moon』により動力である光】を代償に、【ワームホールを作成し召喚された同型機体】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【光を魔力に変換し、あらゆる属性の魔術】で戦う。
WIZ   :    光蝕深腕・Nebula≒Eclipse
非戦闘行為に没頭している間、自身の【光蝕み修復する光蝕深腕『Nebula』】が【あらゆる攻撃特性を無効化し、攻撃を逸らし】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。

イラスト:タタラ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 時は少し遡る。
 中央島の地下深くに立ったナツは、発掘されたキャバリアを見上げていた。
 ルナリアがエリクを迎えに行ったほんのわずかな隙を突き、この場は制圧した。持つべきものは、望めば何でも用立ててくれる死の商人の友人だ。
 フユが殺された時の混乱に乗じて自由の身になったナツは、潜伏していた。敢えてナツ達を探そうという者もいなかったのが幸いし、誰にも遮られずにここに来ることができた。
 巨神エリュシオン。その本体。青と白で彩られた機体の、なんと美しいことか。
 その美しい機体は今、ナツの手にある。起き上がりの技術を確立させた、屍鬼帝国が生み出した|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》を埋め込んだ水プラントの核。
 エリュシオン本体に埋め込まれたそれを活性化させ、響振させた。今頃、外の起き上がり達は新しい人類への進化を遂げていることだろう。
「見えますか、フユ。巨神エリュシオンです。この機体があれば、私達の望みは叶うのです」
 恍惚とした笑みを浮かべたナツは、両手を広げ潤んだ声で聖なる言葉を口にする。
「ロスト共和国憲章 第一章。国民は皆、等しく健やかであること。長寿であること。これは全てに優先する、ただひとつの条理。私達起き上がりが完全に体現できるまで、あと一歩まで来ているのです」
 この望みを理解しないルナリアの、なんと愚かなことか。俗物のルナリアはフェザーと手を組んで永遠の闘争を望んでいたようだが、俗世の欲に塗れたあの女に崇高な理念など分かりはしない。
 あの薄汚い女はエリクの因子を欲して街に出ている。そんなもの、ナツが既に手に入れているとも知らずに。
 ルナリアがトライスシリーズを実用化し、響震現象を確立したおかげで、ナツの、屍鬼帝国の永遠の夢がついに実現するのだ。
 誰も死なない。病も遠い。人が人としての特性を何一つ失わず生き続けられる、真なる永遠の平和。
 手を伸ばしたナツは、小さなカプセルを核に触れさせた。これを組み込めば、起き上がりは完成する。
「ここに、屍鬼帝国の復活を宣言します! すべては、真なる永遠の平和の……なんですって!?」
 言いかけたナツの身体を、エリュシオンの核から伸びた無数の腕が拘束する。ナツを取り込んだエリュシオン本体は、禍々しい闇を纏うと地上へと飛翔した。


 中央島の上空に現れた巨大なキャバリアに、猟兵達は息を呑んだ。遠方からでもはっきりと視認することのできる超超巨大キャバリアの背に浮かぶ光輪が、ふいに光った。
 無限遠に向けて光が放たれた直後、空が漆黒の雲で覆われる。にわかに降り出した雨は、禍々しい色をしていた。
 その光景を見守った猟兵達に、通信が入った。
『あれは、私の本体。そのなれの果て。ナツの妄執とエリクの因子を取り込み、|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》が暴走したのです』
 エリクの持つ因子は、今までの起き上がり研究の集大成だ。彼を生み出すために積み重ねられた犠牲者たちの怨念が、暴走を助長しているのだ。
『あれは私の罪の証。放置すれば、世界を滅ぼしてしまうことでしょう。猟兵の皆さん。どうかあの機体を破壊してください。その結果、連鎖し私が消えてしまうかも知れません。それでも構いません。どうか、あれを破壊してください』
 エリュシオンの懇願に、猟兵達は走り出した。

※ ※ ※
 第三章はボス戦です。
 地上に現れた巨神エリュシオン本体は、全てを起き上がりに変えようと|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の含まれた雨を降らせています。
 猟兵達にすぐに何かある訳ではありませんが、WIZのユーベルコード使用時に生体キャバリア達のコントロールを奪い猟兵達に攻撃を仕掛けてきます。
 猟兵達の熱い思いで巨神に植え込まれた犠牲者たちの情念をかき乱したり、生体キャバリアにされた起き上がり達の洗脳を解いて抗う意志を奮い立たせることができればプレイングボーナスになります。

 プレイング受付時期はタグにてご連絡いたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
ミハイル・グレヴィッチ
SIRDとして行動

ふん、汚ぇ雨だ。折角の煙草が湿気っちまうぜ、まったく。暴走してるって話だが、要はあの機体をぶっ壊せばいいんだろ?なら、話は簡単、やるコトぁ何時もと同じ、完膚なきまでに叩き潰してやろうぜ。

他の味方が敵と交戦して注意を逸らしている隙に、周囲の遮蔽物を利用しながら敵に接近、相手の後背に回り込む。その後、チャンスを伺い、敵の弱点等を見極め、UCで攻撃する。

まったく、やってる事は新興宗教か|共産主義《アカ》と変わんねな。不死を求めた挙句、このザマだ。お前ら、そんな自分の意志に関係なく、そんなバケモノじみた姿になった挙句、ただの捨て駒扱いされてていいのか?結局は、利用されているだけだぜ?


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員として密に連携
※絡み・アドリブ歓迎

●持参機で継戦

先ずはこの巨体で動き回られると厄介ですし足止めを。
指定UCで大型貫通爆弾を敵本体、足元周囲に集中投下、
地面を崩し敵自重も利用し下半身を沈下させて擱座を誘います。

足の動きが鈍ったらミハイルさんの回り込みを支援する為、
敵頭部センサー類と光蝕深腕に集中狙撃を行い、敵の意識を誘導。
背面攻撃を支援しつつ、気を逸らすのも狙い、犠牲者や生体キャバリアにされた兵士達に呼びかけます。

国が真にすべき事は、下らない冗談を言い合い、家族や恋人への贈り物で悩んで騒いだり、友達と喧嘩して仲直りして…そんな何気ない日常を自由な心で送っていけるよう守る事です。決して、生きてるだけで他人の命にも何も感じないような存在を作る事じゃありませんよ…皆さんが望んだ、命がけで戦って守ろうと想った毎日はそんな日々のハズですよ。

言いつつ、仲間の攻撃に連携し、武器を持つ腕と杖に精密誘導爆弾投下及び精密狙撃(スナイパー・援護射撃)し召喚・近接戦闘を妨害し仲間の戦闘を支援し戦う


寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
猟兵間通信網設置
SIRD共同
「しかし、『光速』の剣技とはなかなか物理法則に反した技ですね」
・〖フロンティヌス〗に〖盾〗を持たせて猟兵主力の前衛とさせ、極低温の斬撃を受け止めさせる(盾の斬撃耐性は未知数)。自動操縦(?)とさせつつも、有線や無線による遠隔操縦も視野にいれる
・冥導誘機が展開した瞬間にこちらも指定UC発動。〖統帥杖〗により上空に巨大な門(ワームホール)を展開し、SSW戦争で使用した宇宙戦闘装備(帝国軍艦載砲と同等出力のレーザー砲約1540門)の砲兵を門内に展開、島を吹き飛ばす勢いで斉射する。斉射後は門を閉鎖し砲兵を保護する
・先回より着上陸済みのキャバリア大隊をもって猟兵主力の後背を警備。装備済みの槍と盾にて防御態勢を取り、容易に猟兵主力に突っ込まれないようにする。あえて撃破する必要はないので、突っつく程度で積極的には攻撃しない
└冥導誘機の魔術により防御が必要な場合、サイキックキャバリアのシールドとバリア内で守らせる(味方キャバリアなら2機ほど直掩で出す)


木鳩・基
【SIRD】

何あれ……!?
エリュシオンも消えるって……でも、わかった
このまま黙って見てるわけにはいかないからね!

本体との直接交戦は避けて森に潜伏
目的は生体キャバリアの洗脳を解くこと
出会う人たちに協力を呼びかける
今までいろいろ走り回って見聞きしてきたからね
ピースは揃ってる
あとは嵌め込むだけ!

みんな聞いて!と呼びかけて
この国で見てきたいろんな人の暮らしについて語る
同時にUCで腕を連射型の銃に変えて私の見た情景を直接撃ち込む
あなたたちは自分の意思で戦ってるわけじゃない
もしこの光景を守りたいって思うなら……助けてくれない?

成功したら生体キャバリアに本体への攻撃を頼む
数があればあの巨体にも負けないはず!


森宮・陽太
【闇黒】
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
生身のまま&真の姿解放継続(マスケラなし)

…ちっ!
ナツの野郎、ここで介入してきやがったか!
お望み通り、ナツを徹底的にぶっ潰してやらぁ!!

巨神に籠っている犠牲者の怨念は半端な量じゃねえ
ナツの妄執ともども解き放つには…やるしかねえか

「高速詠唱、言いくるめ」から指定UC発動
零、アスモデウス!
無数の犠牲者たちを解放するために力を貸してくれ!
俺の魔力を全部アスモデウスに「魔力溜め」し
怨念の「破魔、浄化」を狙い、生体キャバリアごとエリュシオンを「属性攻撃(聖)」の獄炎で「範囲攻撃、制圧射撃」
犠牲者たちの情念ごと、ナツの妄執も浄化してやらあ!

情念を払えたら二槍で核への道をこじ開け突入
もし核にナツの身体が残っているようなら
「ランスチャージ、暗殺」で頭をぶち抜き確実に仕留める

なあ、グランマ
美雪からの提案だが、エリクにエリュシオンの契約を継承させる気はねえか?
生体キャバリアと化した起き上がりを、あの姿のままにしておきたくねぇだろ?
戻すなら…今が最後のチャンスじゃねえか?


藤崎・美雪
【闇黒】
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

…ってコントロールを握っていたのはルナリアじゃなくナツかい!!
確かに生死不明ではあったが…今はあの雨を止めねばな

エリクは私のマンティコアくんに同乗してもらおう
その上で後方から指定UC発動し、ムササビ型もふもふさんを戦場全体に放って捕縛しよう
ただし、もふもふさんの目標は『生体キャバリア』だ
もふもふさんと触れ合うことで、生体キャバリアに人間らしさを取り戻してもらえれば…洗脳に抗えるだろうか?

問題はエリュシオン本体だ
ここで完全に破壊したら…起き上がりを人間に戻せる可能性が永遠に失われかねないが
短時間でナツの妄執だけを振り払う術も思いつかぬ

もし、エリクがエリュシオンの契約者になり、本体のコントロールを奪取すれば…細い線は繋がるか?
陽太さんを通してグランマと連絡を取り合い、破壊直前に一気にエリュシオンに接敵し
タイミングを合わせてグランマとエリク、双方に契約の継承を同意させた上で、エリクにエリュシオンに触れさせよう
何が起こるかは想像もつかぬが…やるしかないな




 中央島上空に飛び上がったエリュシオン本体が、降りしきる雨に濡れながら静かに佇んでいる。
 不気味な沈黙を見上げた藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は、マンティコアくんに同乗させたエリクのーーエリクが持つエリュシオンの話に思わず裏拳ツッコミを入れた。
「……ってコントロールを握っていたのはルナリアじゃなくナツかい!!」
『ナツは屍鬼帝国に並々ならない執念を抱いていました。私も度々身体を借りていましたから、情報を取られたというのも一因でしょう』
「まあ確かに生死不明ではあったが……」
『仕方ないわ。私も正直、ナツはノーマークだったもの』
 通信に割って入るセレネは、今グランマと木鳩・基(完成途上・f01075)と共に別行動をしている。セレネはいつ暴走するかも分からないが、バレット兵団の通信網を使ってやりたいことがあるらしい。
『暴走してるって話だが、要はあの機体をぶっ壊せばいいんだろ? なら、話は簡単。やるコトぁ何時もと同じ、完膚なきまでに叩き潰してやろうぜ』
 単独行動で配置に移動中のミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)が繋ぐ軽い声に、美雪は腕を組んでは考え込んだ。確かにそれしかないのだが、懸念点もいくつかある。
「倒すのは賛成だが、問題はエリュシオン本体だ。ここで完全に破壊したら……起き上がりを人間に戻せる可能性が永遠に失われかねない。だが、短時間でナツの妄執だけを振り払う術も思いつかぬ」
『そのために、陽太さんのユーベルコードをぶつけるのです』
 配置についた寺内・美月(霊軍統べし|黒衣《学生服》の帥・f02790)の指摘に、森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)が答えた。
『任せろ。だが、そのためにはエリュシオン本体に近づかなきゃならねえ』
『そのための障害は、私達が除去します』
 きっぱりと言い切る灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)の声に、基が不安そうな声を上げた。
『障害を除去……って、倒すってことだよね。でもそうしたら、エリュシオンも消えるの?』
『分かりません。ですが、覚悟の上です』
『エリュシオン……。わかった。このまま黙って見てるわけにはいかないからね!』
 エリュシオンの決意に応えるように、基も腹を括ったようだ。起き上がりに関する一連の事件の責任は、エリュシオンにもある。それは疑いようのない事実だ。責任を取り清算をし、その結果消えるのならば本望なのだろう。
「ではまず、あの結界を解き雨を止めねばな」
 降りしきる雨は容赦なく国中に降り注ぐ。冷たい雨が降りしきる間は、エリュシオンは攻撃を仕掛けてこないがこちらの攻撃は何一つ通じない。
 打ち合わせを終えた美雪は、立ち止まると詠唱を開始した。
「もふもふさんもふもふさん、ちょっくら空を飛んでくれないかな?」
『ンベメ!』
 馴染みの声を上げたムササビ型もふもふさんが、一斉に四方へと飛ぶ。万が一意識を奪われた時用にセレネの許にも飛ばして、何かあったら捕縛してもらおう。
 もふもふさんのじゃれつきが生体キャバリア達の動きを止めた時、全方位通信回路が開いた。


 グランマとセレネと共に森に潜伏した基は、バレット兵団の隠し支部に身を隠すと通信の準備をする二人の姿に目を細めた。基に直接エリュシオン本体を倒すだけの武力はない。だが、基にしかできないことはある。
「セレネ、大丈夫? 気分が悪くなったらすぐに言ってね。パズルで拘束してあげるから」
「大丈夫よ。雨に打たれなければいいってことだもの」
 にこやかに笑うセレネののっぺりした頭部に、彼女の笑顔が重なって見える。グランマの機転でここに逃げ込めたからよかったが、今頃他の生体キャバリア達は洗脳の度合いを強めているだろう。
「止まない雨はないってこと、見せてあげなきゃ!」
「その意気だよ」
 グランマ達が準備する通信機器。その側に置かれた地図に、基はここまでの戦いに思いを馳せた。
 今までいろいろ走り回り、見聞きしてきた。たくさんの人達に出会い、協力を呼び掛けた。全部の人たちと分かり合えたかは分からないが、ここまで積み上げてきたものは決して無駄ではない。そう信じてる。
 できるだけたくさんの人達の顔や思い出を思い出す基に、セレネはマイクを差し出した。
「準備できたわよ。基は?」
「私も大丈夫。ピースは揃ってる。あとは嵌め込むだけ!」
 親指を立てた基は、繋がる全方位通信回路を前に掌で額に触れた。
 その直後、掌は銃に組み替えられる。練り上げ、考え上げ、伝えたいと心から願うことを明確に銃に込める。
 ピースに変えた『自分が持つ情報』の弾丸を装填した掌の銃で、通信機器を手にする。全周波数に向けて放つ電波の波長と弾丸の波長をリンクさせ、思いの丈を放てば生体キャバリア達を正気に戻すことができるかも知れない。
「みんな聞いて!」
 基の声に、生体キャバリア達が一斉に動きを止める。基が今まで見てきたいろんな人の暮らし。基が見てきた情景。そこにある確かな景色に、生体キャバリア達が戸惑うように動きを止めているのだ。
「あなたたちは自分の意思で戦ってるわけじゃない。もしこの光景を守りたいって思うなら……助けてくれない?」
『だが、私達が生きるためには「国」という枠組みが不可欠だ。そういう世界なんだ。国が決めたことは……』
「……国が真にすべき事は何ですか」
 基の言葉を引き継いで大統領と思われる声を遮った灯璃は、動揺する生体キャバリア達へ言葉を繋げた。
「下らない冗談を言い合い、家族や恋人への贈り物で悩んで騒いだり、友達と喧嘩して仲直りして……。そんな何気ない日常を自由な心で送っていけるよう守る事です。決して、生きてるだけで他人の命にも何も感じないような存在を作る事じゃありませんよ。……皆さんが望んだ、命がけで戦って守ろうと想った毎日はそんな日々のハズですよ」
『騙されてはいけません! ロスト共和国憲章 第一条……』
「黙れよ、聞き飽きたぜ」
 割って入るナツの声に、ミハイルが鋭く一喝する。
「まったく、やってる事は新興宗教か|共産主義《アカ》と変わんねな。不死を求めた挙句、このザマだ。お前ら自分の意志に関係なく、そんなバケモノじみた姿になった挙句、ただの捨て駒扱いされてていいのか? 結局は、利用されているだけだぜ?」
『……嫌だ! 私達は、私達として生きていきたい!』
『なっ……!』
 次々に洗脳を解かれた生体キャバリア達が、各地で鬨の声を上げる。これ以上の洗脳は無理だと悟ったエリュシオン本体は、結界を解くと大きく動き出した。


 作戦配置に就いた灯璃は、結界を解き破壊行動に移ったエリュシオン本体が放つ極寒の冷気に白い息を吐いた。
 同時に、天が闇に閉ざされる。破滅の闇に閉ざされた世界に燦然と輝くのは、日蝕耀刀『Sun』と呼ばれる白い大剣。
 下がり続ける気温に、愛機の計器がエラーを返す。まるで核を見透かされるかのような漂う冷気に動きが鈍るが、ここで足を止める訳にいかない。エリュシオン本体を足止めしなければ、作戦が頓挫してしまうのだ。
『素晴らしい! これが巨神エリュシオンの力! この力で目ざわりな虫どもを退治してさしあげましょう!』
 勝ち誇ったようなナツの声が、暗闇の中に響き渡る。同時に翻る白い大剣は、実体に見えるが魔法の一種だと計器が告げていた。あの大剣を受ければ、あらゆる防御特性が無効化されてしまうだろう。
 防御態勢を取る灯璃機に刃が届く寸前、凛とした声が響いた。
「フロンティヌス、前へ!」
 美月の号令と同時に、灯璃機の前に霊軍総旗機『戦術支援サイキックキャバリア《フロンティヌス》』が割って入った。
 盾を構えたフロンティヌスは、灯璃を庇い極低温の斬撃を受け止める。
 霊体として在る日蝕耀刀『Sun』は、肉体を傷つけずに対象の防御特性とユーベルコードを闇が無力化し核のみを攻撃する。フロンティヌスはユーベルコードではなく、実体を持った美月の愛機だ。極低温の斬撃が通過し、凍てついた盾を捨て新しい盾に換装すれば問題はない。核のみを攻撃するが、核とは何かは意見の分かれるところだ。
 フロンティヌスの背後から躍り出た灯璃は詠唱を開始した。
「CASorder…course Allgreen,」
 詠唱が始まると同時に、上空に星が輝いた。無限とも思える暗闇の中、規則正しく輝く星が爆音と共に現われ、闇の静寂を切り裂いていく。現れた無人爆撃機の姿にエリュシオン本体が日蝕耀刀『Sun』を振りかざし攻撃を仕掛けてくるが、高速飛翔する機体を切り裂くことができない。配置についた無人爆撃機に、灯璃は詠唱を完成させた。
「――――― Bombs away.」
 無人爆撃機から放たれた各種大型誘導兵器が、エリュシオン本体の足元に叩きつけられる。咄嗟に防御態勢に入ったエリュシオン本体だったが、それが仇になった。
 単純で重い爆撃兵器が、地形を抉る。次々に叩きつけられる爆撃兵器は地下にあった青十字本部の施設の天井を破壊し、エリュシオン本体の身体が膝まで埋まる。
『くっ……! このような屈辱……!』
「せっかくの巨神エリュシオンの力も、操縦者に力量が無ければその程度の力しか発揮できないようですね」
『黙りなさい……!』
 図星を突かれたナツは、それを振り払うように杖を振り上げた。


 エリュシオン本体が月蝕冥杖『Moon』を振り上げた時、世界から再び光が消え去った。エリュシオン本体から発せられるわずかな光が映し出した空に、魔方陣が描かれる。複雑な陣で構成された魔方陣の中央が割れた時、輝くエリュシオン本体が現れた。
 召喚主と同型機だろう。同じだけの強さを秘めた機体が飛翔を開始しようとした時、美月は総帥杖を掲げた。
「全打撃部隊に発令…『地獄雨』発動」
 詠唱と同時に現れたのは、巨大なワームホールだった。エリュシオン本体のそれよりも大きく複雑な文様が刻まれたそれは、中央に星の大海を映し出した。
 ワームホールから現れたのは、巨大な宇宙船だった。スペースシップワールドでかつて行われた大規模な戦争。その時に使用した宇宙戦闘装備を備えた宇宙船は、重力下に置かれてもその威容は何一つ損なわれなかった。
 帝国軍艦載砲と同等出力のレーザー砲約1540門を備えた宇宙戦艦が、エリュシオン本体に砲門を向ける。本体との間に割って入った同型機が、巨大な宇宙戦艦の姿に臆することなく突き進んだ。
『あの木偶を破壊しなさい!』
「撃て!」
 エリュシオンの指示と、美月の指示が交錯する。
 超高速連続攻撃が可能な美月の宇宙戦艦と、詠唱が必要な同型機と。攻撃速度は美月の方が数段上だった。

 一斉に放たれる攻撃に、世界が白く染まる。この島ごと、否、この国ごと吹き飛ばすような猛烈な攻撃は、防御に回った同型機が蜂の巣になっても止まらない。
 全弾撃ち切るまで止まらない強力な攻撃は、同型機を破壊しつくす。島を破壊するほどの強大な攻撃はエリュシオン本体の足元、地下深くにある水プラントをも破壊し尽くすだろう。
 宇宙戦艦の攻撃が直接そこまで届かなくても、更地になり決壊した堤防から流れ込む土石流は確実に水プラントの息の根を止める。
 水プラントが産出する水は、ロスト川となり自由都市ウェルディンを経由しリ・ヴァル帝国を縦断し海へと至る。その水源が枯渇するのだ。
 これほどの被害が出るのならば、エリュシオン本体を失っても安い投資だ。ナツ自身は起き上がりで、また蘇ることができるのだから。

「……とでも考えているのでしょうが、残念でしたね」
 涼しい声で言った美月は、同型機のみを葬り去った攻撃に口の端を上げた。
 宇宙戦艦が放ったレーザー砲の本質は、光である。重力空間、しかも湖の近くという高湿度空間では真っすぐには飛ばず威力も減衰する。しかも敵ユーベルコードは光を吸収する。計算通り。
 同型機が破壊され自身もダメージを受けたエリュシオン本体に、二つの影が迫った。


 時は少し遡る。
 降りしきる雨の中、ミハイルは息を殺しながら指定の位置へ向かっていた。
 結界に覆われたエリュシオン本体は、微動だにしない。そのまま動かないでいてくれたら百発百中なのだが、外部からの攻撃一切を遮断されるから攻撃しても無駄だ。
 見上げた視界が雨で滲む。嫌な気配が漂う雨に舌打ちしたミハイルは、目に入る雨を拭うと歩みを進めた。この雨が降る間は、生体キャバリア達が敵対行動を取る。連中に後れを取るようなミハイルではないが、多勢に無勢は避けたいところだ。
(「ふん、汚ぇ雨だ。折角の煙草が湿気っちまうぜ、まったく」)
 胸中で毒づいてしばし。全方位放送を傍受したミハイルは、ヒステリックに割り込んでくるナツの声に思わず一喝した。
『騙されてはいけません! ロスト共和国憲章 第一条……』
「黙れよ、聞き飽きたぜ」
 思いのほか出た鋭い声に、通信網が静かになる。次の言葉を待つ気配に、ミハイルは頭を掻いた。説教も演説もガラじゃないが仕方がない。
「まったく、やってる事は新興宗教か|共産主義《アカ》と変わんねな。不死を求めた挙句、このザマだ。お前ら自分の意志に関係なく、そんなバケモノじみた姿になった挙句、ただの捨て駒扱いされてていいのか? 結局は、利用されているだけだぜ?」
 ミハイルの言葉に、生体キャバリア達が一斉に洗脳から解かれたようだ。まあ何にせよ、必要以上に警戒しなくて良くなったのはいいことだ。
 続けて起きる激しい戦闘は仲間に任せ、ミハイルは配置についた。スコープを覗き込み、息を殺す。息だけではない。自分自身も殺し集中し、周囲の遮蔽物と一体化する。
 ここはエリュシオン本体の背後。灯璃が固定した敵はでかい的だ。だが、さすがに一発が限度。二発目はない。
 下から見上げる角度で狙うは、エリュシオン本体の頭部。遮蔽物と装甲の隙間を縫ったピンホールショット。じっと息を潜めていた時、視線が薙いだ。
 ぞわりとする視線。こちらを見ているわけではないが、不穏な分子を探し出す探査の視線だ。あれに捕まったら、居場所なんてすぐにバレてしまう。
 やり過ごせるか。息を更に詰めた時、視線が消えた。
「いけ! もふもふさんじゃれつくのだ!」
「どこを見ているのですか」
 美雪と灯璃の声と同時に、センサーが次々と塞がれ、破壊される。感謝の視線を送ったミハイルは、続けて入る連絡に意識を集中させた。
「……隙だらけだぜ」
 同時に引く引き金。対戦車ロケットランチャーから放たれた砲弾は、遮蔽物を抜け装甲を破り、エリュシオン本体の頭部を破壊した。


 頭部を失いセンサー類が破壊されたエリュシオン本体が、苦痛の叫び声を上げる。ミハイルのいる方を睨んだエリュシオン本体は、再びワームホールを展開すると同型機を召喚した。
『おのれ猟兵! 叩き潰して差し上げましょう!」
「お望み通り、徹底的にぶっ潰してやらぁ、てめぇをな!!!」
 叫んだ陽太は、白色の獄炎を纏ったアスモデウスを召喚するべく魔力を溜めた。間近で見ると更によく分かる。巨神に籠っている犠牲者の怨念は半端な量ではない。世代を超えて積みあがった怨念と、その核となっているナツの妄執。
(「ともども解き放つには……やるしかねえか」)
 迫る膨大な魔力にも臆せずチャージを続けた陽太は、己の内と外の魂に向けて叫んだ。
「零、アスモデウス! 無数の犠牲者たちを解放するために力を貸してくれ!」
 陽太の要請に、力が沸いてくるのが分かる。覚悟を決めた陽太は、更に魔力をチャージする。膨れ上がる魔力に気付いたナツは、召喚した同型機を陽太に向けて差し向けた。
 同じ轍は踏まないとばかりに高速詠唱を終えた同型機は、陽太に向けて真っすぐ斬りかかった。
 あれを受けてはひとたまりもない。回避が一瞬頭をよぎったが、そうすれば詠唱が途切れ、最初からやり直しだ。
 ダメージを覚悟した陽太は、盾を構えたフロンティヌスの姿に目を見開いた。
「続けてください! 防御は俺が!」
『小賢しい! ならば直接……』
「もふもふさん! あと一息じゃれつくのだ!」
 美雪の号令に、もふもふさん達が同型機の足を止める。魔法を放とうとする同型機に、灯璃が叫んだ。
「させません!」
 精密誘導爆弾投下及び精密狙撃が、腕と杖を吹き飛ばす。更に襲い来る同型機に、再び砲弾が放たれた。
「釣りだ。とっとけ」
 ミハイルの砲撃に、同型機が倒れ伏す。崩れる同型機の後ろから魔法を放とうとするエリュシオン本体に、生体キャバリア達が一斉に魔法を放った。
「皆! 恐れちゃだめ! 数があればあの巨体にも負けないはず!」
 基の激励に、次々と魔法を放つ。エリュシオン本体が膝をついた時、ついに召喚が完成した。
「……獄炎操る悪魔アスモデウスよ、その炎で魔と闇を打ち砕き、希望を齎せ!」
『おのれ! おのれ猟兵!』
 浄化の炎に巻かれたエリュシオン本体が、叫び声をあげる。いくつもの人魂に似た炎に巻かれたエリュシオン本体は、ぐらりと上体を揺らすと仰向けに倒れ込んだ。
 炎に焼かれ、巨大な機体が灰となる。永遠に続くかと思われた炎がようやく鎮火した時、残されていたのは体高3メートルほどの通常サイズのキャバリアだった。


 浄化の炎が鎮火するのを待った陽太は、エリュシオン本体の核に残っていたナツの残骸に止めを刺すと猟兵達の許へと戻った。
 沈黙するエリュシオン本体をじっと見守るエリュシオンに、美雪は声を掛けた。
「なあ、エリュシオン。もし、エリクがエリュシオンの契約者になり、本体のコントロールを奪取すれば……細い線は繋がるか?」
『私の力は、契約者に依ります。契約者にその意思があるのであれば』
「なあ、グランマ。美雪からの提案だが、エリクにエリュシオンの契約を継承させる気はねえか?」
「エリクに?」
「ああ」
 頷いた陽太は、基と勝利を分かち合う生体キャバリア達の姿に視線を送った。ナツに乗っ取られたエリュシオン本体は倒した。だが、彼らは未だ変化したままだ。このままではろくな未来は見えない。
「生体キャバリアと化した起き上がりを、あの姿のままにしておきたくねぇだろ? 戻すなら……今が最後のチャンスじゃねえか?」
「アタシは構わないが、後はエリクとエリュシオンの意思次第だ」
『……まずは、本体を地下へと運んでください。話はその後です』
 全員の視線を受けたエリュシオンは、静かに告げると沈黙する。

 起き上がりと巨神エリュシオンを巡る物語は、最終局面を迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年11月05日


挿絵イラスト