ひとのふこうはみつのあじ
●へいおんはとつじょやぶられる
「今年も良い米がたくさん収穫できたなあ!」
「ありがてえこった、お天道さまに感謝しなけりゃいけねえな」
「おいしいごはん、いっぱいたべられるね!」
サムライエンパイアのとある農村では大半のものが稲作で生計を立てており、ちょうど二週間ほど前に収穫をあらかた終えて、寝かした稲をいよいよ美味しく食したり大きな街に売りに出したりと準備が進められている最中であった。
天候にも恵まれ、蝗害にも遭わず、まこと順調に事は運んだ。だから村の人々は誰一人として、これから自分たちが何よりも恐ろしい惨劇に晒されようとなど、想像することもできなかった。
『……人々に死を。幸福なる者は尚許せぬ』
農村から少し離れた小高い山の木々の間から村の様子を見下ろしながら、一人の青年が呟きを漏らす。酷く、物騒な内容であった。
『蟲どもよ、大地を腐らせる汝(なれ)らがあの村を蹂躙したならば、さぞや心地良い事であろうな。行くが良い、行くが良い』
青年の背後から、不気味な芋虫のような物の怪がぞるぞると湧き出ては、山のふもとの農村に向かい次々とのたうちながら駆けていく。それらが通った後は何もかもが腐り果て、いくつもの線を描いているようだった。
『奪ってくれる。奪われる苦痛に嘆く様を我に見せるが良い』
●さてこんかいのごほうびは?
「定刻にて、予知の説明を始めよう。皆のお力添えに感謝する、今回はサムライエンパイアでの事件なのだが……」
虹色の星型のグリモアを片手に、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)が眉間に軽く皺を寄せる。
「平和を絵に描いたような農村があるのだが、其処がオブリビオンに狙われる。首領は元人間のオブリビオンで、其奴が行使する蟲を多数けしかけている所だ。皆には蟲が村に到達する前に現地に赴いて頂き、波状攻撃を仕掛けてくる蟲をまずは撃退して貰いたい」
す、とグリモアベース備え付けの会議机の上に紙の地図をべらっと広げるニコ。古めかしい地図だ、黒い○がついているのが今回防衛する村だと指で軽く叩く。次いで赤い×がついている山間部らしき場所を叩くと、ニコは続けた。
「蟲には使役主が居る。元人間のオブリビオンにして、今や人という人に憎悪を向ける存在だ。何がどうしてそんな事になったのかは知らぬが、諸悪の根源とあらば捨て置けぬ。其奴は此の森で様子を見ているが、恐らく蟲どもがしくじったと知れば自ら下りてきて村へと向かってくるだろう。そんな輩に、引導を渡して欲しい」
顔を上げ、強い目線で集った猟兵たちを見回して告げるニコ。禍根は断たねばならぬ、そして、其れを為せるのは俺達を以て他には無いと。
「……そうそう、此の狙われた村だが。稲作が盛んでな、今年収穫した稲がちょうど食べ頃との事だ。無事に村を守り切った暁には、きっとご自慢の米を振る舞ってくれるのではないかな。其れを励みに頑張って頂くにも良いかと思う、其れでは、武運を祈る」
グリモアを輝かせ転移の準備を始めつつ、ようやく表情を柔らかくしたニコが言った。
大地の恵みと尊い人命を懸けた戦いが、今始まる。
かやぬま
こんにちは、かやぬまです。サムライエンパイアで依頼を書かせて頂くのは初めてでして、これで遂にひとまず全ワールド制覇の夢が叶いました。私事ですが嬉しいです。皆様にもお楽しみ頂けますよう、より一層励みたい所存です。
・第一章:集団戦
・第二章:ボス戦
・第三章:日常編
の構成でお届けします。
第一章でニコが転移させられる場所は蟲たちが迫る村と蟲との中間地点ですので、村人の避難などは特に意識せず眼前の蟲の群れを蹴散らすことに注力して下さい。
第二章でも敵の首領は向こうからやってきますので、森に踏み込む必要はありません。説得は不能ですが、声をかけてみる位は良いのではないでしょうか。
第三章では、いわゆる大食い大会が催される予定です。このパートのみ、プレイングでお声掛けを頂いた時のみグリモア猟兵のニコがお邪魔できます。何なりとお申し付け下さい。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております! 私も頑張ります!
第1章 集団戦
『腐怪の蟲』
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POW : 腐敗の瘴気
【腐敗の瘴気 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 粘着糸
【尻尾から発射する粘着糸 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 腐敗の溶解液
【口から発射する腐敗の溶解液 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を腐らせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:烏鷺山
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ぺんぺんぐさもはえない
『腐怪の蟲』という物の怪がいる。彼らは普段縄張りに入った対象を捕食する存在であるが、今は謎の術士に使役される存在と成り下がり、命じられるがままに自分たちが通った跡をことごとく腐らせながら、農村目がけて突き進んでいた。
彼らが万が一にも農村にたどり着いてしまったら。その惨状は想像に難くない。
蟲たちが立てる異様な地響きにも似た音に気付いた村の人々が次々とその醜悪な姿を目撃しては、村の中にとって返し避難の準備を始める。
そこへ次々と転送されてくる猟兵たち。さあ、迎撃の時間だ。
相馬・雷光
ホントに日本みたいな世界ね……
あーいう村、時代劇で見たことあるわ
うっげ、でっかい芋虫ぃ……
いっぱいいるしぃ
近づくのヤだし、出来る限り射程ギリギリんトコで戦おっと
属性攻撃と全力魔法でヴァジュラブラスターの雷撃のパワーを強化させて、
【クイックドロウ】を2回攻撃で撃ちまくるわ!
雷撃弾乱れ撃ち! こっち来んじゃないわよ!
破壊工作で地面に撃って、腐った地形をぶっ飛ばして地の利を与えない!
図体がデカいなら、尻尾から糸を出す予備動作は見切りできるかしら?
ダッシュで戦場を駆け巡って狙いを定めさせない!
簡単に負ける気はないけど、後衛がひとりじゃちょっと厳しそうかな?
他の人と上手く共闘できるといいんだけど……
日隠・オク
蟲がたくさん……私もお役に立てるようがんばります
アドリブも歓迎
普段から素早い動きを得意とします
普段はナイフで斬り込むところなのですが、敵につかまるのもおもしろくないです。
慣れない召喚で戦ってみます。
ナイフを持ち換え天に掲げ
ユーベルコードはサモニング・ガイストを発動
霊を召喚し戦わせます
つらぬき、燃やしてください!
敵の攻撃にも注意しつつ、召喚した霊に戦わせます
●やっぱりきょりをおきたいよね
平和を絵に描いたような農村に突如襲いかかる毒虫の群れ。だが、そうはさせじと間に割って入るように二人の猟兵が転送されてきた。村の人々が見たら「突然現れた」としかいいようがなかったに違いない。
「ホントに日本みたいな世界ね……あーいう村、時代劇で見たことあるわ」
周囲の風景をざっと見渡すと、UDCアース出身の相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は思わずこぼす。茅葺き屋根に積まれた俵、水車に馬と要素は十分に揃っている。雷光の感想ももっともであった。そして目線を地響きが聞こえる方へ向けると。
「うっげ、でっかい芋虫ぃ……いっぱいいるしぃ」
嫌悪感を隠そうともせず雷光はうええと顔をしかめる。間違ってもお近づきにはなりたくないと思っていたところへ、少女のものとおぼしき声がかけられた。
「そうですね、蟲がたくさん……私もお役に立てるようがんばります」
「ひゃっ!? な、何だあなたも猟兵かぁ。じゃあいっしょにがんばろっか!」
雷光に声をかけた主の名は日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)、常より素早い動きを得意とする猟兵である。
「出来る限り射程ギリギリんトコで戦おうって思ってるんだけど、どうする?」
「はい、普段はナイフで斬り込むところなのですが、敵につかまるのもおもしろくないです。慣れない召喚で戦ってみます」
「慣れてないの!? いやいいけど!!」
雷光とオクは至極真面目に打ち合わせをしていた。ホントだってば。そうして「敵に接近を許す前に倒す」方向に舵を切った二人は、ひとつ頷きあうと行動を開始した。
――ド、ドド、ドドドドドドドッ。
蟲たちが迫りくる音が徐々に近づいてくる。それに真っ向から立ちはだかる雷光。その手には二丁拳銃「ヴァジュラブラスター」の「鋼」と「黒」がそれぞれ握られていた。雷光は二丁の銃口を蟲に向けると、強く念じて雷撃の力を増幅させたかと思うや、驚くべき速さで雷撃弾を連射――いや、もはや乱射と言っていいだろう、撃って撃って撃ちまくった。哀れ、穴だらけになっていく蟲たちである。
「そらそらそら、こっち来んじゃないわよ!」
それは雷光の心からの叫びとも言って良かっただろう。あんな気持ちの悪い蟲になど少しの接近も許したくない。共に戦うこととなったオクもほぼほぼ同じ気持ちなのだろう。
そういえばオクの首尾はどうかと、ブラスターを乱射しながら横目でオクを見る雷光。そんなオクは愛用のナイフを持ち換え天に掲げ【サモニング・ガイスト】を発動、古代の戦士の霊を召喚したところだった。
(そっかー、なるほどね。じゃあ……)
雷光はそれまで蟲にだけ向けていた二丁拳銃の銃口を、一瞬だけ蟲と自分たちとの間の地面に向けて、撃った。
ドゴォン! と景気の良い音を立てて土塊が弾け、即席の塹壕が出来上がる。
ズガァン! と派手な音を立てたもう一方では、腐った地面が根こそぎ剥がされていた。
「ありがとうございます、塹壕とか、使わせていただきますね」
オクが雷光に声をかけると、ウインクひとつだけが返ってきた。意を決したオクは古代の戦士の霊に命じた――というか、お願いをした。
「つらぬき、燃やしてください!」
果たして古代の戦士の霊は敵が異形の極みであろうとも臆せず戦うものなのだろうか、それとも実は内心雷光と同じように近付くのヤダーなどと思っていたりするのだろうか。その答えは明らかにされることなく、戦士の霊は塹壕を上手に活かしながら巧みに槍を突き出したり穂先で薙ぎ払ったり、空いた手からは炎を噴出させて蟲たちを焼き払う。後方では召喚者たるオクがナイフ片手に無言で応援をしていた――その時。
「反撃が……来ます!」
「オッケー!」
蟲が尻尾をぐりんと正面に向けると、粘着糸を雷光目がけ放とうとする。しかしいかんせんその巨体から動作は俊敏とは言いがたく、雷光からすれば予備動作がバレバレであった。
『…………ッ!!』
声と言うにはあまりにもおぞましい「音」がして、粘着糸が放たれる。が、着弾した場所には既に雷光の姿はなく。猛ダッシュで蟲たちと距離を取りつつ狙いを定めさせないようランダムな動きも取り入れつつ、雷光は次々と飛んでくる粘着糸を避け続けた。
「霊さん、炎です! 溶解液が来ます」
ちゃっかり即席の塹壕の陰に隠れたオクが警告を発すると、古代の戦士の霊は掌をかざして炎を噴出させ、飛んできた腐敗の溶解液を一瞬にして蒸発させた。いなしきれなかった分の溶解液は大地を無残な腐敗した姿に変えてしまったが、即座に雷光の雷撃弾が飛んできて穢れを吹っ飛ばす。無言でガッツポーズをするオク。
そうしてある程度の数を蹴散らした二人は再度集合し、言葉を交わす。
「正直、簡単に負ける気はしなかったけど……後衛がひとりじゃちょっと厳しいかなって思ってたの。あなたと一緒に戦えて良かったわ」
「……あ、ありがとう、ございます」
そう言ってもらえると嬉しいです、とオクは顔を赤らめつつ返す。それを見た雷光も笑顔を見せると、より多くの蟲たちを仕留めるべく二丁拳銃を手に飛び出していく。
「……霊さん、もうちょっと頑張ってもらえますか?」
オクが傍らに控えていた古代の戦士の霊に声をかけると、霊は静かに頷いてみせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
満月・双葉
気持ち悪いブルドーザーですねコレ。
駆除で良いですね、遠慮なく。
地形の利用を行い死角に潜み、目立たぬ動きと忍び足、暗殺の容量で騙し討ちをします
視覚、暗視とともに聞き耳、第六感、野生の勘を用い敵の位置を把握、攻撃を見切り、または武器受け、盾受け、オーラ防御で凌ぎます
虹色の残像を見せる早業で、他の攻撃と織り交ぜ翻弄して行きましょう
桜姫でなぎ払い、吹き飛ばす2回攻撃
スナイパーを利用し銃で撃ち抜き、至近距離にはいられれば零距離射撃で対応します
大根で鎧砕きし更に傷口を抉ったり
馬の置物を投擲して気絶攻撃を放ったり
虹瞳で生命力を削り取る
そうした方が有利と判断すれば空中戦に打って出ます
連携重視、アドリブ歓迎
月山・カムイ
米の飯
それは日本人の食卓に欠かせないもの
まさかとは思いますが、折角実った稲穂を腐らせる、等と言うことはあってはなりませんからね
害虫駆除を、させていただくとしましょう
群れなして押し寄せる蟲どもを無響剣舞・絶影にて細切れにしてやりましょう
瘴気を放つというのなら、その攻撃を見切り、カウンターとして破魔の太刀でそのすべてを斬り裂き、浄化しましょう
粘着糸の攻撃ですか……残念当たったと思いました? 残像です
とにかく、縦横無尽に駆け巡り蟲のすべてを斬り裂いていく
瘴気で土地を腐らせる存在なぞに村を襲わせはしません
あぁ、なんでしたら腐って溶けて、土地の栄養になってもらえますか?
それなら、未来に有用ですので
ルシル・フューラー
まあ、春も近いしね?
暖かくなると虫も出てくるものだけどね?
この蟲はいただけないね
エレメンタル・ファンタジア
属性攻撃、範囲攻撃、全力魔法を乗せて
属性は【氷】、自然現象は【噴出】
地中の水を凍らせ地中から噴出させる、謂わば氷の間欠泉
山の近くなら今の時期、地中には雪解けの水分が多く含まれているだろうさ
凍らせた蟲はそのまま放置
他の蟲の障害物になって貰おう
もう一度、冬眠するといい
術の制御は、後方、村の方に被害を及ぼさない事にのみ注力しよう
前方には暴走してもいいんじゃないかな、な心持ち
他の猟兵?
ちょっとくらい術が暴走しても多分きっと大丈夫だと信じてる(キリッ)
巻き込んだら、ごめんね?(てへぺろする51歳)
明智・珠稀
美味しいおこめは力の源ですよね、ふふ!
生きる源を、農民の皆様の笑顔を曇らせる訳にはまいりません。
さぁ、行きますよ、たまちゃん人形たち…!
(UC【行け!たまちゃん人形!】を発動させ)
■戦闘
「さぁ、波状攻撃に波状攻撃で迎え撃ちますよ…!」
それぞれに刀を持ったたまちゃん人形と共に
己も刀を構えて戦場へ舞い出て
【先制攻撃】【2回攻撃】にて手数を増やし
「く、ふふ、ふはははは!」
とレガリアスシューズでの【踏みつけ】で追撃しつつ
人形と共に害虫退治に勤しむ
敵UCには『オーラシールド』で【盾受け】
「悪戯さんですね、ふふ!」と距離を取り
【カウンター】で小型拳銃で銃撃を撃ち倒していく
※アドリブ、絡み&ネタ大歓迎です♡
●われらりょうへいようしゃせぬ
「『米の飯』――それは日本人の食卓に欠かせないもの。まさかとは思いますが、折角実った稲穂を腐らせる、等と言うことはあってはなりませんからね」
「美味しいおこめは力の源ですよね、ふふ! 生きる源を、農民の皆様の笑顔を曇らせる訳にはまいりません」
戦場と化した村と山との間の平地に、新たな猟兵たちが降り立った。頼もしきその猛者たちの名は――月山・カムイ(絶影・f01363)と明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)。二人の思いは概ね一致しており、世界を超えた米の力の偉大さを改めて教えてくれるようである。
カムイと珠稀は奇しくも得物も近しいものにして、かたや破魔の小太刀「絶影」を、こなた妖刀【閃天紫花】を構えて油断なく迫りくる蟲の群れを見据える。
「まあ、春も近いしね? 暖かくなると虫も出てくるものだけどね?」
カムイと珠稀、二人から若干後方に位置取ったのはルシル・フューラー(ノーザンエルフ・f03676)である。
「……でも、この蟲はいただけないね」
全体的に青と白で統一された、清冷かつ端正な顔立ちのエルフであるルシルは、その表情を若干曇らせながらやはり前方の蟲たちを見やる。その様はまるで、そう。
「気持ち悪いブルドーザーですねコレ」
そう、率直に言うとそういうことだった。満月・双葉(星のカケラ・f01681)の言は正しく、蟲たちはこのまま捨て置けば村の一切合切を跡形もなく圧し潰していくことだろう。
それだけではおさまらず、跡に残るのは無残にも腐り果てた不毛の大地と来た。
「駆除で良いですね、遠慮なく」
「そうだね、そうしよう」
双葉とルシルは目線を蟲から外すことなく、しかし共に良い笑顔で言い放った。
「さぁ、行きますよ、たまちゃん人形たち……!」
珠稀がそう言うと同時に妖刀を手にした側の手を高々と天に掲げ、ユーベルコード【行け!たまちゃん人形!】を発動させた。珠稀の前にゆうに百を超える「戦闘用明智珠稀からくり人形」が次々と召喚されていく様は圧巻である、小型な上に一撃で消滅してしまう存在ではあるが、今回の珠稀の戦法ではこれが大いに役立ってくれるのだ。
「さぁ、波状攻撃に波状攻撃で迎え撃ちますよ……!」
まるで采配を振るうように掲げた剣を蟲たち目がけて振り下ろした珠稀の号令と共に、それぞれそのちっちゃいおててに刀を握ったたまちゃん人形たちが、果敢にも迫る蟲の群れに正面からぶつかっていく!
「なるほど、手数を増やすという点では私と同じ戦法かも知れませんね」
自らも妖刀を構えて戦場へと躍り出ていく珠稀を見送りつつ、カムイもいよいよ蟲たちと対峙しようとしていた。たまちゃん人形たちの数の暴力でもさすがにフォローしきれない蟲が出てきてしまう。そこを請け負うこととした。
「――害虫駆除を、させていただくとしましょう」
カムイの歩みは一歩一歩が力強く、蟲どもが立てる地響きにも怯むことがない。すらりと構えた「絶影」が日中の陽の光を浴びて煌めく。
「音も無く――その身に刻め」
何が起きたのか。その場の誰もが正確に把握することができずにいる中、カムイだけが髪をなびかせながらおびただしい数の蟲の死骸を前に立っていた。前髪に一房混じった赤の鮮やかさが、やけに印象的だと誰かが思った。
【無響剣舞・絶影(アウトレイジ・ソードダンス)】、秒間数千万にも及ぶ斬撃で広範囲の敵を一斉に攻撃する驚異のユーベルコードで、文字通り蟲の群れの一角を細切れにしてみせたのだ。
『…………ッ!!』
果たしてそれは声なのか、判別に苦しむ音を発しながら残った蟲たちがカムイ目がけて一斉に腐敗の瘴気を放つ。蟲なりに仲間意識という概念があるのか、それとも単なる敵対の意思表示か。
「全体的に動作が緩慢ですね、見切るのも容易いというものです」
そう、先の戦いで粘着糸を放った時もそうだったが、この蟲は巨体故か何をするにしても動作が遅い。そこを戦上手の猟兵たちに鋭く見切られるのは仕方がないことであった。
カムイが一度目を閉じ、見開く。同時に、破魔の太刀を横薙ぎに思い切り振り抜く。
冴え冴えとした一閃が、破魔の名の通り瘴気を「斬り裂いた」。後に残ったのは、浄化された空気のみ。
「……さて、次はどこから斬り裂きましょうか」
まだまだやってくる蟲の群れを一瞥して、カムイは次の標的を求めて駆け出した。
一方、珠稀はたまちゃん人形と共に蟲たちの侵攻を少しでも食い止めるような立ち回りで奮戦を続けていた。一体、また一体と散っていくたまちゃん人形に心の中で合掌しながら、珠稀も常に蟲の先を行く鋭い斬撃を繰り出しては一体、また一体と着実に蟲たちを屠っていく。
「く、ふふ、ふはははは!」
そんな中、珠稀のテンションが爆上げ状態になったのか、それともこれも作戦のうちか、突如妖刀での攻撃からすらりと伸びた御御足の先に装着されたレガリアスシューズでの踏みつけ攻撃にシフトチェンジしたのだ! どうしたのたまちゃん(本体)! アッたまちゃん人形の方までちっちゃい足で一所懸命に踏み踏みする方向に! 害虫退治ならばもはや刀を振るうまでもないということか!?
これで敵が人型で、なおかつ特殊な性癖の持ち主であればあるいは珠稀の踏みつけ攻撃にむしろ興奮していたかも知れないが、所詮は蟲である。幸か不幸かそんなことはなかったぜ状態で、反撃できる個体がのっそりと腐敗の溶解液を口から発射する!
「悪戯さんですね、ふふ!」
一心不乱に敵を踏んでいるかと思われた珠稀が、目線だけを溶解液が飛んできた方へ向けると、オーラシールドをかざして危険な溶解液を受け止めた。そしてお返しにとばかりに攻撃してきた蟲の方へぐるりと身体を向けると、小型拳銃【闇霞】の銃撃を蟲の眉間と思しき部位にお見舞いし、その息の根を止めてみせる。
たまちゃん人形の残機も減ってきて、徐々に戦線が後退し始めたその時だった。
「――巻き込んだら、ごめんね?」
てへぺろしながら【エレメンタル・ファンタジア】による「氷の噴出」――いやこれはもはや「氷の間欠泉」と呼んで良いだろう――を己の全力をもって放つルシルさん、御年51歳。そう、見目麗しきエルフなので傍目には全く分からないが、齢51という驚愕の事実を内に秘めているのだ。まあでもエルフって長命種と言われますしね、人間年齢に換算するとまだまだお若いと思えば、てへぺろしたって許されるお年頃ですよね。ていうか許してあげてくださいお願いします。
(術の制御は、後方、村の方に。被害を及ぼさない事にのみ注力しよう)
そういうことなのだ。エレメンタル・ファンタジアは術者の間でも制御が難しい術式として有名であり、たとえ熟練の術者であっても行使中は一時たりとも気が抜けない。そしてルシルは村への被害を防止することを最優先した。つまり。
(猟兵なら、ちょっとくらい術が暴走しても多分きっと大丈夫だと信じてる)
今キリッとかいう擬音聞こえませんでしたか。いやおっしゃる通り猟兵なら多分きっと大丈夫でしょうけれど! なるべくなら暴走させない方向でひとつよろしくお願いします!
幸い氷の間欠泉は狙い違わず蟲の群れの真っ只中で炸裂し、次々と巻き込んだ蟲を氷漬けにしていく。戦場を駆けるカムイと珠稀の至近距離で吹き上がることもあるにはあったが、そこは二人とも上手いこと避けてくれた。
凍らせた蟲には追撃することなくそのまま捨て置くことで、他の蟲の障害物とする。これが功を奏して、蟲の侵攻速度は全体的に遅くなることとなった。
「……もう一度、冬眠するといい」
村に一度の被害ももたらすことなく術式の行使を一段落させたルシルが呟く。二度と覚めることはないだろうけれど、と思いながら。
「これは良い氷像がたくさんできましたね、有難く利用させていただきます」
あちらこちらに出来た蟲の氷像を利用していまだ健在な蟲たちの死角に潜み、遂に行動を開始したのは双葉だった。極力目立たないようにしながら、足音を殺し近づいて、そして対象を殺す。害虫駆除に躊躇は不要、そういうことだ。
「――まずは一体」
虹色の残像は双葉の翼の色だろうか、呪剣「桜姫」で瞬時に薙ぎ払われ、吹き飛ばされた個体は先程ルシルが氷漬けにした別の個体に激突してそのまま動かなくなった。
振り抜いた腕の遠心力に任せて身体をひねりつつ、懐から取り出した兄譲りの銃で自分を狙い溶解液を吐こうとしていた個体を撃ち抜き、二体目。
しかし凍った蟲を利用したのはこちらだけではなかったようで、いつの間にか至近距離に迫る生意気な個体には零距離での射撃で鉛玉をお見舞いする。対応こそできたが接近を許したという事実が若干腹立たしく、双葉の攻撃は手段を選ばなくなっていった。
――そう、大根である。この大根すごいんです、分厚い皮を持った蟲の体表を容赦無く引き裂いた上に傷口までえぐってくる凶悪な大根なんです。大根って基本すりおろされる側じゃないですか、これはエグいですよ。
あと今回もしっかり持ってきた馬の置物。これもすごい。持って殴るんじゃなくて投擲してぶつけるんだもん。コレ絶対気絶じゃ済まないよね。
蟲は蟲なりに何かヤベーやつ来ちゃった的な気配を察知したのか、遂に動きが止まる個体が出てくる。そこをむしろ逃がすか殺すぞの視線で文字通り生命を削り取る双葉。
「美しい物には毒がある、よ」
好き勝手し放題で文字通り屍の山を築いた双葉の最後の一撃は、【美華呪(ノロワレタハナ)】。生命力を吸収する虹色の薔薇の形をした美しい炎が合計29個浮かび上がり、それぞれが意思を持っているがごとく残存する蟲たちに襲いかかった。
炎は氷像の蟲を器用に避けながら、確実に敵の数を減らしていく。双葉も氷像を解凍してしまうのは得策ではないと見たからだった。
確実に大量の蟲たちの数を大幅に減らした手応えを感じながら、片っ端から蟲を絶影で斬り伏せていたカムイがようやく蟲たちから距離を置き、村へはまだ遠いことに内心安堵しつつ蟲に向けて言いやった。言葉が通じるかはともかくである。
「瘴気で土地を腐らせる存在なぞに村を襲わせはしません。……あぁ、なんでしたら腐って溶けて、土地の栄養になってもらえますか?」
それなら、未来に有用ですので。
瘴気を撒き散らすばかりの蟲にも、万に一つは人の役に立てる未来もありましょう。
そしてカムイは、再び吹き荒れる嵐の如く敵陣の中に飛び込み、絶影を振るうのであった。
大成功
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鹿忍・由紀
長閑な景色に似合わないひどい匂いだね。
長居したくないし、さっさと終わらせようか。
あの虫が発する糸は捕縛効果があるのか。
じゃあ、当たらなければ良いだけだね。
UC『絶影』で加速、からの斬撃を。
魔力で敏捷力を強化して速さで翻弄しよう。
虫なんかに捕まりたくないからね。
尻尾を狙って潰せば粘着糸も思い通り出せなくなるかな。
念には念を、「見切り」「野生の勘」も使って回避する。
溶解液を踏まないように足場には気をつけて。
誰に指示されて動いてるのか知らないけどこの先は立入禁止だよ。
食べ物を粗末にしてはいけないからね。
アドリブ、絡みはご自由に。
四軒屋・綴
《アドリブ絡み歓迎》
三百坪にて一反、獲れる一石とはすなわち人が一年生きる糧。
それを知らぬ訳でもあるまいにッ!
まずはユーベルコード発動ッ!空中から高らかに叫びつつ防御力重視の蒸気機関車系ヒーローに変身ッ!そしてそのまま踏みつけるッ!ちょうど良いところに居たからなッ!
さて、今回も力尽くで行かせて貰うッ!虫ならば気門か、或いは足か、【グラップリング】と【怪力】の併用で何かしらの取っ掛かりに貫手を叩きこんだり掴んだりしたらチキンレース開始ッ!【オーラ防御】とユーベルコードの防御力ッ!そして【生命力吸収】による回復と敵への攻撃ッ!そして【属性攻撃】での高熱ッ!どちらが先に参るだろうなァッ!?
比良坂・美鶴
【WIZ】
人の趣味にあまり口は出したくないけど
……醜いわね
使い魔の趣味も
人の幸せを妬むところも、ね
先の猟兵達の戦いを観察
蟲どもの攻撃動作をよく目に焼き付けたら
時間差で飛び出すわ
村に近づきつつある蟲たちを
衝撃波で吹き飛ばして距離を離してから
『リザレクト・オブリビオン』
相手の数が多いなら、こっちも数で対抗しないと…ね?
手数にモノを言わせて
攻撃される前に一匹ずつ確実に口を潰すわ
攻撃動作をしているモノから優先的に
駄目よ
汚いモノを吐く口は塞がないと
人の幸福を羨んでる暇があったら
自分で勝ち取りなさいな
そういう所が既に敗者なのよ
(それでもどうしても攻撃を受けるなら
即座に死霊を消し、カウンター)
五百雀・斗真
WIZ
蟲は…かなりの数がいるみたいだね
まだ僕はあまり戦闘に慣れてないし
最初はペイントブキのスプレーで牽制しながら
蟲の間合いに入らないように戦ってみるね
うわ、色んな厄介な攻撃をしてくるなぁ…
攻撃を喰らいそうになったら、防具の『薄墨色の守護』で防ぐけれど
その度にUDCの大田さんが瘴気や溶解液にさらされるのは嫌だな…
特に溶解液が、こう…じゅわ~~~ってなりそう
僕も何かできないか考えないとね
……よし、上手くいくかわからないけれど
溶解液で腐った地形に【グラフィティスプラッシュ】を使って
腐った地形をこっちが有利な地形になるよう上書きできないかやってみよう
これで少しでも仲間が戦い易くなりますように…!
●とどまることなきもののおわり
蟲たちがいつまで経っても村に到達しないことを訝しんでか、村人たちが恐る恐る外の様子を見にやってきていた。彼らはみな一様に蟲たちの醜悪な姿に――そして、放たれる悪臭に思わず顔をしかめるのであった。
しかし同時に、蟲が村へと届かない理由をまた知ることとなる。猟兵たちだ。村を背にして懸命に戦う彼らの存在を認識した村人たちは、知らず知らずのうちに猟兵たちへと声援を送っていた。
「……長閑な景色に似合わないひどい匂いだね」
気だるげな表情をしていてもそれとはっきり分かる端正な顔立ちをひそめて、鹿忍・由紀(余計者・f05760)は正直な感想を口にする。
「長居したくないし、さっさと終わらせようか」
そう言うと、隣に謎の力でふよふよ浮遊するヘルメットの形をしたヒーローマスクをちらりと見る。うわこれ絶対被るとキャラが崩壊するヤツだ。
そんなヘルメットこと四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)が口? を開く。
「『三百坪にて一反、獲れる一石とはすなわち人が一年生きる糧』。それを知らぬ訳でもあるまいにッ!」
あれこのヒーローマスク意外と真っ当なこと言ってる。由紀が心の中で少し感心した。でもどこから声を出しているのかなど、疑問は尽きない。考えたら負けかなと由紀が思い始めた頃、五百雀・斗真(人間のUDCエージェント・f15207)と比良坂・美鶴(葬列・f01746)が駆けつけてきた。斗真が真っ先に残存する蟲の数を確認すると、これまでの猟兵たちの奮戦でだいぶ数は減ったものの、それでもまだ逃せば村ひとつ簡単に潰せる程の数が残っていた。
「蟲は……かなりの数がいるみたいだね」
「先の猟兵達の戦いを観察させてもらっていたけれど、攻撃動作は随分と緩慢なようね。お陰で対策は問題なく取れそうよ」
斗真に続いて、抜かりなく戦闘準備を整えていた美鶴が穏やかに微笑みながらも油断ない様子を見せる。
「それなら話は早いね」
「応ッ!」
――ここで、止める。
四人の猟兵は、それぞれ決意を胸に行動に移った。
「来たれマイボディッ! 【蒸騎構築(ジョークアップ)】ッ!!」
何はともあれ身体が必要な綴が発動させたのは、具現化プログラムで構築した合体用ボディと蒸気機関車を思わせる武装、ついでに尽きぬ勇気と心意気で蒸気機関車系ヒーローに変身するユーベルコード。
謎の力で空中に浮遊していた綴はボディとの合体も空中でこなし、着地ついでに蟲の一体を思いっきり踏みつけた。あれっもしかして蟲踏むプレイとか私の知らない所で流行ってたりします?
「ちょうど良いところに居たからなッ!」
そっかー、それじゃあしょうがないなー!
(人の趣味にあまり口は出したくないけど……醜いわね)
使い魔の趣味も、人の幸せを妬むところも、ね。
美鶴の思いは眼前の蟲はもちろん、その先へも向けられていた。今回の事件の首謀者、蟲の使役主であるオブリビオン。嫌でも直に対面することとはなるのだろうが、その姿を見る前から嫌悪するに値する存在であることは、確かだった。
「う、うわああっ! こっちに来る!」
「……悪い子ね」
猟兵たちに声を掛けていた村人たちが、再び侵攻を開始した蟲の動きに気付き声を上げる。そうはさせじと動いたのは、誰よりも蟲たちの動きを把握していた美鶴だった。最も突出した箇所に居た個体にす、と掌を向けた刹那、すさまじい衝撃波が放たれ蟲の群れが後方へと吹き飛ばされる。
そうしてある程度距離を稼いでから美鶴が発動させたのは【リザレクト・オブリビオン】だった。喚び出されるのは頼もしき死霊騎士と死霊蛇竜。
「相手の数が多いなら、こっちも数で対抗しないと……ね?」
そう言った美鶴が口の端を僅かに上げたのは気のせいだろうか、美鶴の召喚に呼応するように蟲たちが腐敗の溶解液を吐き出そうとのっそり動き出すのを、美鶴が見逃す筈もなく。
的確に、攻撃動作を始めたモノから、一体ずつ。確実に、騎士と蛇竜を使役しながら、口を潰す。
「駄目よ、汚いモノを吐く口は塞がないと」
それは、事前に敵をよく観察していたからこそ成し得た完璧な封殺。蟲たちは次々と文字通り沈黙していく。懸念していた反撃も、この調子ならば心配はないだろう。
(人の幸福を羨んでる暇があったら、自分で勝ち取りなさいな。そういう所が既に敗者なのよ)
まだ見ぬ蟲の使役主が居るであろう方向――山の中腹あたりを見やり、美鶴は独りごちた。この調子で行けば「ソレ」との対面も、近い。
一方、斗真は由紀に自身の行動指針を伝えていた。
「まだ僕はあまり戦闘に慣れてないし、最初はペイントブキのスプレーで牽制しながら、蟲の間合いに入らないように戦ってみるね」
「了解したよ、お互い気をつけようね」
ひらりと手を振って斗真に答えると、由紀は蟲へと対峙する。先程美鶴から大体の敵の攻撃については聞かされていたので、どう動くべきかも自ずと決まってきていた。
(あの蟲が発する糸は捕縛効果があるのか。……じゃあ、当たらなければ良いだけだね)
そう決めた時には、既に【絶影(ディスアピアランス)】は発動していた。何が起こったかも理解させぬ程の速度で放たれた破魔のダガーは、腐敗をもたらす蟲相手には効果てきめんというものだろう。一体がたちまちのたうち回った末に絶命する。
さらに魔力で敏捷性を補強することで、由紀の速度は増していく。愚鈍なる蟲を相手に、これは大きなアドバンテージとなった。
(蟲なんかに捕まりたくないからね)
そう思いながらある個体の背後に回り込むと、尻尾ががら空きではないか。
(この尻尾を狙って潰せば、粘着糸も思い通り出せなくなるかな)
先に美鶴が溶解液を出させないように口を潰したように、糸を出す尻尾を潰しては?
『…………!!』
果たしてそれは正解だった。尻尾を潰した個体は反撃もままならず斃れていく。ならばこの調子で、と思った矢先にそれは起きた。
「おわっ!?」
これが野生の勘というものだろうか、本当に嫌な予感がして思わず立っていた場所から飛び退った由紀が見たものは、先程まで自分がいた地面が腐り果てていた有様だった。
「ご、ごめんねー!」
斗真が詫びる声がした。大事ないと先程のように軽く手を振って返す由紀。どうやら斗真と蟲とが遠距離の撃ち合いをしている際の流れ弾が飛んできたらしい。
そんな斗真も戦闘は不慣れと言いながらも健闘していた。溶解液が飛んできても「薄墨色の守護」の名を冠した防具――その正体は服の裾から這い出たUDC、その名も「大田さん」が触手を盾代わりにして宿主である斗真を守ってくれるというまこと健気なものである――が防いでくれるが、やはり「大田さん」への負担を考えると、その、率直に言って、そう何度も喰らいたくはない攻撃である。
(僕も何かできないか考えないと……)
そう思い周囲を見渡した斗真の視界にふと飛び込んできたのは、先程できた腐った地形。
(……よし、上手くいくかわからないけれど)
斗真はペイントブキの狙いを定めて【グラフィティスプラッシュ】を発動させ、腐った地形を「上書き」する勢いで塗料を発射した。
するとどうだろう、とても足を踏み入れるどころではなかった箇所が、むしろそこに立つと強くなれちゃうんじゃないかしら的なイイ感じに塗り替えられたではないか!
「やった……! これで少しでも仲間が戦い易くなりますように……!」
五百雀・斗真、21歳。UDCに何故「大田さん」という名前を付けたのかだけがちょっぴり気になるが、実に仲間思いの好青年であった。
一方足場に気をつけながら戦闘を続けていた由紀も、斗真が地形を塗り替えて足場の心配を取り払ってくれたことに気付き、より勢いづいて蟲の排除に勤しんでいた。
「誰に指示されて動いてるのか知らないけど、この先は立入禁止だよ」
食べ物を粗末にしてはいけないからね。そう言ってまた一本、破魔のダガーを鋭く投擲した。
気がつけばあれだけたくさんいた蟲の群れも、最後の一匹となっていた。それに相対するは綴である。
「さて、今回も力尽くで行かせて貰うッ!」
――蟲ならば気門か、あるいは足か。思案しつつも最終的には何らかの取っ掛かりが必要ということで、蟲の胴体の継ぎ目のような箇所目がけて貫手を叩き込む!
『……! ……ッ!』
奇っ怪な音を発する蟲を相手に、綴のチキンレースがここに幕を開けた。【蒸騎構築】で強化した防御力と、ボディ全体を包むように展開された蒸気のオーラ。
蟲が最期のあがきとばかりに腐敗の瘴気を至近距離から放ってくるが、ダメージを受ける先から貫手を突き刺したままの箇所からむしろ蟲の生命力を吸い上げて回復するという力技で対抗する綴。
あらかた自分たちが担当する敵を倒し終えた三人が固唾を呑んで見守るばかりのその格闘に、遂に終止符が打たれる時が訪れようとしていた。
説明しよう! 蒸気機関車系ヒーローのシケンヤは「熱」の属性を持っており、それを「属性攻撃」の技能でもって補うことにより、身体から「高熱」を放ち攻撃に転用することができるのだ!
「さあ、どちらが先に参るだろうなァッ!?」
――答えはなかった。ただ、突如どさりと倒れてそのまま動かなくなった蟲の姿こそが、答えなのだろう。
これが最後の個体。猟兵たちは見事、大量の蟲の襲撃を阻止してみせたのだ。綴は達成感と純粋な疲労からか一瞬自分も倒れ込みそうになるが、それをこらえる。
何故なら。
本番は、ここからだからである。
大成功
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第2章 ボス戦
『『刻命』の阿頼耶識』
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POW : 私は今、『禁忌の果て』に至る
対象の攻撃を軽減する【半人半獣の戦闘形態】に変身しつつ、【蒼炎を纏った矢】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 『刻命』よ、力の一端を開放しなさい
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【仮初の命を与えた絶対服従の傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ : では…切り札といきましょう
自身が戦闘で瀕死になると【自身と全く同じ姿をした2体の分身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:八光やこ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「セリオン・アーヴニル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●にくしみのれんさ
見事に蟲の群れの襲撃を阻止した猟兵たちの前に、予知通り「ソレ」は現れた。
『……大したものよ、蟲どもも数を集めれば或いはと思いきや、其れさえも尽く倒し尽くすとは』
猟兵たちに対して賛辞とも取れそうな言葉を発してはいるが、業腹であろうことは想像に難くない。
彼の名は『『刻命』の阿頼耶識』、とある理不尽な理由から親兄妹のことごとくを殺され、全ての人類に憎悪を抱くものである。
だが、誰もがすぐに理解できるように、いかなる理由があろうとも、他者を害して良い理由にはならない。今やオブリビオンと化した彼には、残念ながら通らない理屈であろうが。
村の危機はいまだ去らず、ここが正念場である。
猟兵たちの奮起が待ち望まれる――!
四軒屋・綴
《アドリブ絡み歓迎》
……命のその奥、八の識、そこに何を刻んだのかは知らない、興味もない、俺達は『理不尽』を砕くだけだ。
味方を【かばう】にも懐に潜り込むにもまずは前に出ねばなるまい、武装の【一斉発射】、着弾時の【吹き飛ばし】効果のある【衝撃波】で対象の行動を制限しながら【ダッシュ】で突撃、味方が先んじていれば【援護射撃】も絡めつつ距離を詰める。
徒手空拳の間合いまで踏み込んだら装備を解除し【グラップリング】、先の虫と同様に左腕で掴むと同時にユーベルコード発動、敵が対応する前に右肩に一撃、後は至近距離での攻防を行い自身の体力が限界になった次点で後退し射撃戦へ、後は仲間に譲るとしよう。
満月・双葉
理不尽を理不尽で返すのが何故いけないのか解りますか?
それは、貴方が受けた理不尽を、もう誰も理不尽だとは思ってくれなくなるからです。
戦場を把握し、地形の利用で敵の死角を利用し、暗殺の要領で騙し討ちをします。
それが無理であっても、虹色の残像を見せる早業で翻弄し、常にダッシュで動き回ります。
空中戦の方が有利となれば、空からの攻撃を行います。
援護射撃に徹し、他の猟兵が有利に動けるよう取り計らいます
この様な敵に対して手段を選んでいる場合ではありませんね。
第六感、野生の勘、視力、暗視、聞き耳等フル動員で攻撃を見切ります
見切り出来ない物は、盾受け、武器受け、オーラ防御で防ぎます
ダメージは激痛耐性で耐えます
相馬・雷光
まぁ、そんなに憎むくらいだし、あんたにもそれなりの理由やら来歴やらあるんでしょうね?
でもさ、それ、あの村の人たちに関係あるの?
ぶっちゃけただの八つ当たりでしょ?
ま、聞く耳持たないでしょーけど
さーて、言いたいことは言ったし――さっさと死ね!
軽減しようが分身しようが関係ないわ!
軽減し切れないくらい強力な、分身ごとまとめて消し飛ばす威力にすればいいだけでしょ!
【属性攻撃】【全力魔法】で【帝釈天降魔砲】を最大出力でぶっ放す!
憂さ晴らしに関係ない人を巻き込むあんたは、復讐者ですらない駄々をこねてるクソガキよ!
跡形も残さず消し飛べ!
明智・珠稀
あぁ、イケメン…!
と、うっとりしたい所ですが。
どんな理由があろうと、貴方を退治せねばなりません
せめて良き来世となる祈りを込め戦いましょう…!
(妖刀構え)
■戦闘
真の姿を解放。白い羽根あり
またUC【血統覚醒】を使用し
「勝負です…!」
【ダッシュ】で間合いを詰め、【殺気】を込めて【先制攻撃】を
「悪魔と天使、どちらに見えますか?ふふ」
と軽口を叩きつつも【残像】が見える程に激しく動き
敵を翻弄、また仲間が攻撃しやすいように誘導したい
敵UCにはオーラシールドで【盾受け】また刀で【武器受け】
仲間への攻撃は【かばう】
「私達には仲間がいます。護りたいものがあります。だから、負けません…!」
※アドリブ、絡み大歓迎です
比良坂・美鶴
奪われる苦しみを
痛みを知っていながら
それでもなお、奪う側になるのね
アナタの境遇に同情しないわけじゃない
でも容赦は出来ないわ
彼本体とは十分に距離を置き
行く手を阻む形で
『リザレクト・オブリビオン』
相手の攻撃動作をよく観察しながら
死霊の頭数と二回攻撃を駆使し
手早く追い込むわ
彼を瀕死にしたら
戦闘中の観察を元に分身を叩くわよ
動作から攻撃を予測し回避させつつ
避け切れないものは
瀕死の彼や分身を引っ掴んで肉盾にして防ぎ
即カウンターをお見舞いするわ
馬鹿ね
頭数が増えたってことは肉盾が増えたってことよ
考えなしに増やすもんじゃないわ
ルシル・フューラー
へぇ?
君も弓を使うのか
私も弓は少し嗜んでいてね
ここは1つ弓で張り合わせて貰うとするよ
とか何とか言いくるめて
他の猟兵に合わせ援護射撃しつつ2本の矢を纏めて射ったり敵の矢を落としにかかってみたりして弓術勝負と思わせる
全ては本命の布石
好機は待つのではなく作るもの
本命はだまし討ちのUC【三重冬奏】
蟲の残骸なんて傀儡向きの素材も周囲にあるからね
封じさせて貰うよ
親兄妹を悉く失った、か
私はそれを特別不幸だとは思えないけれど
どんな事にどれ程の憎しみを覚えるかなんて、それぞれだ
幸福な人々だろうが
その幸福を生む世界だろうが
君を狩る私達だろうが
憎みたければ憎むが良いさ
その憎悪ごと、凍えて眠れ
(アドリブ幾らでもどぞ)
日隠・オク
これが首領の敵
あなたの憎しみはどこから来たんですか?
ただの興味本位です
アドリブ歓迎
ではシーブズ・ギャンビットで斬り込みます。
パーカーを抜いて速度をあげます。
技能は2回攻撃やダッシュ使い
敵を倒す
目的のために淡々とナイフを使って攻撃をしかけていきます
悪いオブリビオンは倒します
駆け出し敵を攻撃
戦闘後のごはんも楽しみにはしてますが今は目の前の敵のことだけ考えていてそのことは頭にはないです
鹿忍・由紀
待ちくたびれたよ。
虫の相手するのもなかなか骨が折れたからね。
人間に裏切られたのは残念だったねとしか言えないけど、同情する気もないからここで倒されて。
『影雨』で敵の矢を相殺しながら隙を狙って直接ダガーによる斬撃も。
撃ち合いになるけど数だけなら作れるからね。
完全相殺は無理だろうけど、踏み入る先が作れれば上々。
オブリビオンの脅威に対してなら絶対悪として憎めるけど、人間に対しての怨みは大変だったろうなぁ。
こうしてオブリビオンになってしまったからには絶対悪として倒されなくちゃいけないし、なかなか踏んだり蹴ったりだね。
アドリブ、絡みはご自由に。
五百雀・斗真
WIZ
ニコさんが話してくれた通り、蟲の使役主が現れた
圧が…圧がすごい…なんて思ってる場合じゃないよね
気を引き締めていこう
まずは【グラフィティスプラッシュ】を使用し
自分の戦闘力を高める陣地を作っていく
それと同時に敵が陣地に踏み込みにくくなるか動向を見るけれど
そんなのも気にする事もなく接近してきたら
『薄墨色の守護』で攻撃を防いで貰いながら
少しでも攻撃が当たるように『かりそめスプレー』で範囲攻撃を行う
>分身
分身した直後、スプレーの塗料がどういう状態で付着しているか確認
3人とも付着している=範囲攻撃をし、辛そうに攻撃を防ぐ敵がいたら集中攻撃
一人だけ付着している=仲間に塗料がついた方が本体だと伝える
●ゆるされざるもの
遂に相対した猟兵たちとオブリビオンの親玉。圧倒的な人数差にも全く怯むことなく悠然と構える『阿頼耶識』を名乗るオブリビオンに対し、最初に問うたのは日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)だった。
(これが首領の敵)
そう思いながら口火を切る。最初に今回の依頼の内容を聞いた時、オクは戦闘が終わった後に振る舞われると予見された食事のことにまず思いを馳せたものだったが、今は自分でも驚くほど眼前の脅威に集中していた。
「あなたの憎しみはどこから来たんですか? ……ただの興味本位です」
『娘、不思議か。我が何故無辜の民を襲うのか。……ただの逆恨みよ』
存外あっさりと自らの行いがいかに不当なものであるかを認めた阿頼耶識は、しかし同時に手にしていた弓と矢でおもむろに手近な蟲の死骸を射抜いたと思うと、仮初の命を与えた絶対服従の傀儡に変えて、オク目がけてけしかけた。
「……! 死んでまで操られるなんて」
さすがのオクもこれには息を呑む、さすがに同情こそしないがこれでは、あまりにも。
ならば自分たちはもはや、戦うしかない。意を決したオクはバッと上着のパーカーを脱ぎ捨てると、のたうちながら襲いかかってくる蟲の接近も許さぬ勢いでナイフを投擲する。狙い違わず命中したナイフは今度こそ蟲の息の根を止めるが、オクの動きはそれだけにとどまらない。
「悪いオブリビオンは倒します、貴方は特に悪いオブリビオンです」
『単純明快で良かろう、娘。来るが良い、我は人間が憎い、汝ら猟兵も憎い!』
阿頼耶識がもう一体傀儡を生み出そうと矢をつがえたの一瞬の隙を見逃さず、ダッシュで一気に距離を詰めると、矢が放たれるまさにその時を狙いすまして阿頼耶識の額へとナイフを放つ!
『……っ』
どうやらただの術者という訳ではないらしい、オクのナイフの速度も速かったが、お阿頼耶識の反応速度もまた速かった。すんでのところで弓を持つ手を動かして鳥打の部分でナイフを弾くが、その動作に一手取られて新たな傀儡を生み出すことは結果的に叶わなかった。再び間合いを置いて睨み合うオクと阿頼耶識。
『……やるな、娘。褒美に一つ、昔話をしてやろう』
油断なく矢をつがえたまま、阿頼耶識が仰々しく口を開く。オクも次の一手をすぐ打てるようにナイフを構えながらも、しかし阿頼耶識から隙が見い出せずにただ耳をそばだてる他になく。
『ある所に、幸せに暮らす家族が居た。慎ましく日々を過ごす彼らはある日、一家の娘が領主の男に見初められたとして突如嫁がされる事を要求された。幾ら領主の申し出としても余りに横暴にして、家族総出で断った。面子を潰されたと怒り心頭の領主は、一家は勿論、少しでも関わったものも諸共に村八分とするとした。それだけならばまだ良かった』
淡々と述べる阿頼耶識の表情は、恐ろしいほどに冷静で変化がない。これが、凄惨な過去の独白をする男の有様であろうかと疑うまでに。
だが彼は最早オブリビオン、そういうものなのかも知れない。
『一家は困窮にあえぐ日々を送ることとなった。そんな中、森に食料を採りに行き村を離れていた息子二人が家に戻ると、どうしたことか両親と妹が居ない。部屋には荒らされた跡があり、村の一角では騒ぎも聞こえる。二人が慌てて向かってみると、そこには無残にも刀で斬り殺された両親と娘の姿があった』
滔々と語るこの隙に、誰かが攻撃をすることもできたろう。だが、この場に集った猟兵たちは誰一人としてそれを行わなかった。ただそれぞれが、身構えたまま静観している。
『領主は、娘を諦めきれなかったのだ。強引に連れ去ろうとして両親に追いすがられ、娘にも抵抗されて、いっそ手に入らぬならばと佩いていた刀で斬り捨てた。それを見た息子たちの兄の方は、その場で領主に襲いかかりあっさり返り討ちにあった。弟の方は、ただただ絶望していた。領主は横暴、領民たちは見て見ぬふり、むしろ自分たちを厄介者扱い。絶望は次第に憎しみへと変わり、力というカタチとなり、今に至る』
最初に鏖殺したのは、当然故郷の領主とその領民たちだったのだろう。
そうして、いくつもの殺戮を繰り返してきたのだろう。今回の目論見のように。
「――人間に裏切られたのは残念だったねとしか言えないけど、同情する気もないからここで倒されて」
『我も、理解など最初から求めてはおらぬよ』
蟲の相手をするのもなかなかに骨が折れる作業だった、首領がこうして姿を現すのを待ちくたびれた鹿忍・由紀(余計者・f05760)がダガーを指の間に挟みながら淡々と言い放つ。対する阿頼耶識もつがえていた矢をいよいよ由紀に向けて引き絞る。
鏃が蒼炎に包まれると同時、阿頼耶識の身体そのものにも変化が見られた。半人半獣――キマイラとでも言うべきか、尾が生え脚が鹿のような形状に変化していく。
(撃ち合いになるけど、数だけなら作れるからね)
「――貫け」
その一言で良かった。由紀が構えたダガーの影が、あっという間に次々と複製されておびただしい数の「群れ」を形成したかと思うと、それら全てがいっせいに阿頼耶識へと襲いかかる!
『汝も短刀を使うか、良かろう』
蒼炎を纏った矢が次々と放たれ、由紀の影のダガーと激しくぶつかり合う。中には阿頼耶識に直撃したダガーもあったが、攻撃が軽減されているのか決定打にはならない。
しかしそこは由紀も織り込み済みであり、本来の狙いは他にあった。単純な手数ではこちらの方が上であり、さばききれなくなった所を――。
(オブリビオンの脅威に対してなら絶対悪として憎めるけど、人間に対しての怨みは大変だったろうなあ)
刹那の間、由紀は思いを馳せる。そうしながらも強く一歩を踏み込んで阿頼耶識の懐に潜り込む。
(こうしてオブリビオンになってしまったからには絶対悪として倒されなくちゃいけないし、なかなか踏んだり蹴ったりだね)
同情はしない。それは本当だ。故に由紀は一瞬の隙を突いて阿頼耶識の胸元を思い切り横薙ぎに斬りつけた。
『ぐっ……』
さすがに効いたのか、阿頼耶識が一瞬攻撃の手を緩め身じろぐ。手応えを感じながら由紀が一撃離脱で飛び退る。今回は割と頑張っているのではないかな、と内心で自分を褒めたくなる由紀であった。
そんな由紀と入れ替わるように一歩前に進み出たのはルシル・フューラー(ノーザンエルフ・f03676)だった。その手には良く馴染んだ長弓が握られていた。
「へぇ? 君も弓を使うのか。私も弓は少し嗜んでいてね」
『ほう、其の出で立ちから察するに、森の者か』
「半分当たりというところかな、ここは一つ弓で張り合わせて貰うとするよ」
そう言うと隣に控えていた明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)をちらりと見やる。それに気付いた珠稀も、妖刀を構えて臨戦態勢に入る。
「あぁ、イケメン……! と、うっとりしたい所ですが」
珠稀も阿頼耶識の話の一部始終をしっかりと聞いていた。故に、戦うより他にないこともまたしっかりと理解していた。
「どんな理由があろうと、貴方を退治せねばなりません。せめて良き来世となる祈りを込め戦いましょう……!」
『祈り、か。それほど無意味なものも早々あるまい。笑わせてくれるなよ』
半人半獣の姿を保ったままの阿頼耶識が、蒼炎の鏃をルシルと珠稀に向ける――!
「勝負です……!」
珠稀が惜しげもなくその「真の姿」を解き放つと、その背には美しい純白の羽根がばさりと開く。同時に【血統覚醒】を発動させ、前髪から覗く左目が妖しい真紅に染まる。それはすなわち珠稀が身を賭してヴァンパイアへと変身した証左である。
ダッシュで一気に阿頼耶識との間合いを詰めると、すさまじい殺気と共に妖刀での先制攻撃を仕掛ける。
そんな珠稀の動きに合わせるように、ルシルが長弓「千古樹の弓」から矢を放ち援護をする。それこそ残像が見えるほど素早く動き回りながら次々と斬撃を繰り出す珠稀の動きを良く把握して、ルシルは的確に矢を撃ち込んでいく。時に二本同時射撃という芸当まで見せ、その様は完全に「弓術手」のそれであった。
「悪魔と天使、どちらに見えますか? ふふ」
『奇異なる姿としか言いようがないな』
珠稀の軽口とも取れる言葉に、淡々と返す阿頼耶識。至近距離からの蒼炎の矢を珠稀に――と思わせて、矛先を先程から援護に徹しているルシルに向けて放つ!
「させません……!」
戦闘能力が爆発的に増大している今の珠稀なればこそ可能だったことに違いない。即座にオーラシールドで飛んでいこうとする蒼炎の矢をガンッと弾き、ルシルをとっさにかばったのだ。
「私達には仲間がいます。護りたいものがあります。……だから、負けません……!」
顔を上げて阿頼耶識をキッと見据える珠稀の真紅の瞳は、強い意志に燃えていた。
自身に向けられた矢を逆に落としてやるつもりでいたルシルは内心驚きながらも、阿頼耶識が完全に自分を「援護射撃担当」として見ていることを確信する。
(……ありがとう、おかげで布石は万全のようだ)
好機は待つのではなく、作るもの。矢をつがえたままルシルは、しかし強く念じる。静かに、清冷に、ルシルの周りにキラキラと氷の破片が集まり始める。
「親兄妹を悉く失った、か。私はそれを特別不幸だとは思えないけれど」
――どんな事にどれ程の憎しみを覚えるかなんて、それぞれだ。
『……まさか、汝は』
「風の冬、剣の冬、狼の冬――三冬重なりて、氷で全てを閉ざせ。【氷魔術・三重冬奏(フィンブルトリニティ)】」
そう、弓術手だと思い込ませておいて、ルシルの本命はこの氷の大魔法であったのだ。矢に警戒を向けていた阿頼耶識が、渦巻く氷霧に包まれ凍雨の細刃に刻まれ――。
『おのれ、謀ったな!』
「全命中は、さすがに難しかったかな……!」
最後に放たれた牙の如き氷柱こそ間一髪かわされてしまったが、阿頼耶識の身体は半分近くが凍りついていた。それだけではない、阿頼耶識の持つ厄介な「傀儡作成」の能力を封じるかのように、蟲たちの残骸をもほとんど凍らせてみせたのだ。
「幸福な人々だろうが、その幸福を生む世界だろうが、君を狩る私達だろうが、憎みたければ憎むが良いさ」
端正な顔立ちを崩さぬまま、「ノーザンエルフ」の称号に相応しい佇まいを保ったまま、ルシルは阿頼耶識に告げた。
「――その憎悪ごと、凍えて眠れ」
『……っ!』
阿頼耶識が、初めて明確に怒りをあらわにした瞬間であった。
「……命のその奥、八の識。そこに何を刻んだかは知らない、興味もない。俺達は『理不尽』を砕くだけだ」
ズシャリ。重々しい音を立てて四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)が進み出る。
「理不尽を理不尽で返すのが何故いけないのか解りますか?」
こちらは音もなく、ふわりと舞い降りるように現れた満月・双葉(星のカケラ・f01681)。
『……申してみよ』
「それは、貴方が受けた理不尽を、もう誰も理不尽だとは思ってくれなくなるからです」
双葉は阿頼耶識の目を真っすぐに見据えて言った。もはや詮無きこととはいえ、双葉の言はまさしく正しかった。故に、阿頼耶識は即座に双葉を黙らせようと傀儡を生み出そうとし――たった今ルシルにその術をほとんど封じられてしまったことに気付く。
それでも辛うじて残った一体に目をつけ、手にした弓矢「刻命」で蟲の死骸に仮初めの命を与えると、双葉目がけてけしかけた。
(何はともあれ、まずは前に出ねばなるまい)
そう考えるのと、実際行動したのはほぼ同時だった。綴は装備している合計九つの武装を一斉に発射、双葉の元に向かおうとしていた蟲を集中砲火で撃滅。次いで阿頼耶識目がけ再度発射し、その動きを制限しようとする。
『異世界の者は、まこと珍妙なる武器を使いよる……っ』
弓を前に構えて綴の攻撃を少しでも軽減しようと試みる阿頼耶識は、しかし凄まじい威力の衝撃波で地面に跡を残しながら派手に後退する。
そしてその隙を突いて綴が猛ダッシュで突撃、一気に阿頼耶識との間合いを詰める。
綴の援護で自身に向けられた攻撃を回避することができた双葉は、ルシルが凍らせた蟲たちの死骸の陰に隠れながら、静かに阿頼耶識の元へと迫っていた。
(この様な敵に対して手段を選んでいる場合ではありませんね)
隙あらば暗殺、そのつもりでいた。そんな双葉が様子を伺っていると、まさに綴が阿頼耶識といわゆる徒手空拳の間合いにまで踏み込んだところだった。
「武装、解除ッ!」
そう言うなりガシャンガシャンと地面に様々な装備品を落とすと、綴は先程蟲にぶちかました時と同じように、おもむろに阿頼耶識を左手で掴み固定し――。
「――届け」
『かはっ……!!』
右の貫手が唸り、阿頼耶識の右肩に深々と突き刺さった。綴必殺の【銀弾白杭(ジョーカー)】が発動したのだ。思わず声を出す阿頼耶識。
「その懐の傷に叩き込まなかったことを感謝するんだなッ!」
シケンヤの技能に「傷口を抉る」がなくてホントに良かったね阿頼耶識さん、さっき由紀さんがつけていったダガーの切り傷も結構なもんでしょう。
『おのれ、離れろ……!』
「いいやッ、駄目だねッ!」
そのまま至近距離での攻防に突入した綴の様子を見た双葉は、今回は援護に回ることを決めた。ダメージを受けようものなら激痛耐性で耐える覚悟までしていたが、大丈夫そうだ。
双葉は氷像の陰から翼を広げて一気に舞い上がると、綴と格闘……というか苦戦を強いられている阿頼耶識を「視認する」。そして虹色の瞳が輝き、ユーベルコード【命採(イノチトリ)】が発動した。
『な……何だ、力が抜けて……!?』
「ど、どうした貴様ッ!」
「僕のユーベルコードですよ」
阿頼耶識の背中には、深々と「矢」が刺さっていた。双葉の【命採】により放たれた、生命力を削ぎ落とす矢である。刺された当事者が気付けず、取っ組み合っていた敵が心配してしまうほどの密やかな所業であった。そりゃあ双葉さんも思わず説明しますよね。
「……よしッ! 後は仲間に譲るとしようッ!」
何だかかわいそうになってしまった綴が見るからに弱っていく阿頼耶識からスッと離れると、右手をビシッと決めて間合いを取る。カッコいいポーズだった。
阿頼耶識の側に誤算があったとすれば、ここに集った猟兵たちの強さを見誤ったことに尽きるだろう。数だけの存在だと高をくくったことが仇になったとしか言えない。徐々にその命運を削られつつある阿頼耶識に、いよいよ引導を渡すべく更なる猟兵がやってくる――。
(奪われる苦しみを、痛みを知っていながら、それでもなお、奪う側になるのね)
比良坂・美鶴(葬列・f01746)は、まさにこの場において「おくるもの」として現れたと言っても良いだろう。苦悶の表情をもはや隠さない阿頼耶識に、言う。
「アナタの境遇に同情しないわけじゃない、でも容赦は出来ないわ」
『……ふ、ふふ、まるで、我が「おくられるもの」のようではないか。些か……気が早いぞ』
阿頼耶識は明らかに弱っていたが、それでも不敵に笑うと、今までには見せなかった動作を始める。念のために距離を取って様子を見る美鶴。
一方、そんな美鶴のさらに少し後方には五百雀・斗真(人間のUDCエージェント・f15207)が控えていた。
(圧が…圧がすごい…なんて思ってる場合じゃないよね。気を引き締めていこう)
ちょうど空いた間合いが絶妙に良い感じだと斗真は感じ、直感で【グラフィティスプラッシュ】による陣地作成を行っていく。これが功を奏し自らの戦闘力が上がるだけでなく、相手の行動も阻害できたら一石二鳥だと思ったのだ。
「……えっ!? き、気にしてない……!?」
ところがどうだろう、阿頼耶識は自身と瓜二つの分身をしかも二体も生み出して、ズカズカと折角のカラフルな陣地に踏み込んでくるではないか。
『面白い余興だ、汝も珍妙なる術を使うのだな』
「あわわ……「大田さん」っ!」
放たれた矢を「薄墨色の守護」こと大田さんで防いでもらいつつ、斗真も負けじと「かりそめスプレー」のノズルを広範囲ペイントモードにして阿頼耶識を分身ごと攻撃する。
『む……?』
(三人ともに色がついた……!)
斗真はスプレーでの攻撃によって阿頼耶識と分身たちにどのような変化が起きるかを観察しようと決めていた。そして、結果は「全員に色がついた」。
(特別辛そうにしている対象は……いない。範囲攻撃がいいかな)
そう判断すると、斗真は様子を見守っていた美鶴に向かって叫ぶ。
「ま、まとめてやっちゃって下さい!!」
そんな斗真の声を聞いて、ふ、と笑顔だけで応えた美鶴はいよいよ動く。
「――【リザレクト・オブリビオン】」
蟲との戦いでも奮戦した死霊騎士と死霊蛇竜とが再度召喚される。幸い先立って斗真が交戦してくれたのをよく観察していた美鶴は、現在の阿頼耶識の攻撃手段が単純な弓矢によるもののみであると見切っていた。
「接近してしまえばこちらのものよ、手早く追い込みましょう」
主にうやうやしく一礼した騎士と蛇竜は即座に行動を開始する。矢をつがえる間も与えず一気に距離を詰めると、死霊たちは元より手負いであった阿頼耶識をあっという間に追い詰めていく。
『まだだ……!』
分身をけしかけながら、自身は弓を引く阿頼耶識。しかしそれが美鶴の狙いであった。
「――!!」
声なき声を上げると、死霊がおもむろに分身をそれぞれ引っつかむ。そして文字通りの肉の盾として放たれた矢をすべて分身に受け止めさせると、阿頼耶識の本体目がけて思い切り二体の分身を叩きつけてやったのだ。
『ぐ……っ!』
「馬鹿ね、頭数が増えたってことは肉盾が増えたってことよ」
考えなしに増やすもんじゃないわ、そう言いながら死霊たちを労うように白磁の手を添える。
「……覚悟は、いいかしら?」
己の分身とも言うべき存在を、完璧に使いこなしてみせた美鶴が、不敵に言った。
『猟兵ども……この我が、此処まで……』
弓を支えに何とか姿勢を保とうとする阿頼耶識。あと一息だ。そこへ満を持して登場したのが、相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)だった。
「まぁ、そんなに憎むくらいだし、あんたにもそれなりの理由やら来歴やらあるんでしょうね? てか、あったみたいだけど?」
『……』
「でもさ、それ、あの村の人たちに関係あるの? ぶっちゃけただの八つ当たりでしょ? ま、聞く耳持たないでしょーけど」
『……』
ぐうの音も出ないのか、それとも口を開く気力もないのか。阿頼耶識は押し黙っている。それさえも雷光は一向に気にせず、憎きオブリビオンに引導を渡すべく宣言した。
「さーて、言いたいことは言ったし――さっさと死ね!」
『……ふ、ふふ、いっそ清々しいな、娘! 良かろう、成し遂げてみるが良い!』
最後の力で再び半身半獣の姿を取った阿頼耶識は、相手の攻撃を軽減する力を持つ。ならば――?
「軽減し切れないくらい強力な、分身ごとまとめて消し飛ばす威力にすればいいだけでしょ!」
脳筋だった――!?
ともあれ、雷光は全身全霊の力を込めた必殺技をもって、阿頼耶識にとどめを刺すことにした。
「憂さ晴らしに関係ない人を巻き込むあんたは、復讐者ですらない駄々をこねてるクソガキよ! 跡形も残さず消し飛べ!!」
『待て娘、其処まで言われる覚えは――』
「――因陀羅耶莎訶! 【帝釈天降魔砲(タイシャクテンゴウマホウ)】っ!!」
詠唱、そして発動。超強力な雷撃弾が放たれ、正面から受けて立った阿頼耶識は、光の中に包まれ――そして、雷光の宣言通り、跡形も残さず、消し飛んだ。
「……最後あいつ何か言ってた気がするけど……まあいいか!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
第3章 日常
『大食い大会!』
|
POW : 大食いは気合。どんなに満腹でも、決して手をとめず最後まで諦めない!
SPD : 大食いは速さ。満腹感で手が止まる前に、次から次へと口に入れる!
WIZ : 大食いは戦略。完璧なペース配分で、無理なく華麗に食べ進める!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●おむすびおいしいです
「いやあ、流石は幕府お墨付きの猟兵さまだぁ! ほんに、ありがてぇこった!」
「見事な戦ぶりでしたなぁ、おらたちついつい見入ってしまっただよ」
「さぁさぁ、猟兵さんに召し上がっていただくおむすびができたよ! どいたどいた!」
農村を狙うオブリビオンの魔の手を見事撃退した猟兵たちを、村人たちは心からの感謝で迎えてくれた。何はともあれお腹が空いているだろうと、村自慢のお米をたくさん炊いて、握り飯にして振る舞ってくれることとなったのだ。
様々な世界を渡り歩く猟兵にとって、おむすびの具についてはそれぞれ一家言あるものも多いだろう。しかしここは素朴な農村、具についてはあまりバリエーションがない。ギリギリ海苔は巻いてあるが、いわゆるUDCアースのコンビニおむすびなどを想像するとちょっとガッカリするかも知れない。
だが、そこはなんやかんやで具材の持ち込みをするなどで解決できる部分だ。参加する猟兵諸君の工夫次第でどうとでもできるので、楽しく大食いを楽しんで欲しい。
●マスターより
戦闘、お疲れさまでした! 日常パートは戦闘に参加しなかった猟兵さんも歓迎です。上手いことあれこれしますので、おむすび大食い大会に参加したい方は遠慮なくご参加下さいませ。
グリモア猟兵のニコにつきましては、プレイング内でお誘いをいただきました場合のみお邪魔します。お声掛けのない時は最後まで皆様の転送に勤しみます。
それでは、良きおむすびタイムを!
ルシル・フューラー
具無しおにぎりも良い
私がそれを証明してみせよう
今の私には阿頼耶識との戦いで覚えた料理技能がある
ルーンソードを抜いて炎のルーンを起動
熱を帯びた剣に、表面に醤油を塗ったおにぎりを載せる
こう使う為に、先の戦いで一度も剣を抜かなかったんだよ?
焼き目がついたら、おにぎりをひっくり返して反面と側面を焼く
さらに醤油を二度塗りし、軽く焼けば
表面は狐色にこんがり、中はアツアツの焼きおにぎりの完成だ
そのまま食べて良し、お茶漬けにしても良し!
おっと、大食いだったね
おにぎりを剣に載るだけ載せて、たくさん焼いていこう
ニコも1つどうだい?
グリモア出しながらでも片手で食べられるだろう?
(醤油→味噌や煎り酒などレシピ改変可)
相馬・雷光
働いた後のご飯はやっぱいいわよね!
人の不幸は蜜の味、なんて言うけど、良いことして感謝されて食べるご飯の方が絶対おいしいわよね!
んー、流石にツナマヨはないかー
でも折角だし、現地の具材で作ったのをいただくわ!
とりあえず梅干しと……あ、おかかはあるかしら?
あとそうね、お醤油やお味噌を付けて焼いたのとかも好きよ!
いくらでも食べられちゃうわ!
良ければ他の子たちが作ったのと交換したりして楽しみたいわね!
あなたのもおいしそうね、私の焼きおにぎりと交換しない?
五百雀・斗真
WIZ
戦闘中にあちこちスプレーをかけてしまったので
かりそめスプレーで描いた塗料を指を鳴らして消してから会場へ向かう
途中でニコさんに出会えたら
「おむすび、ニコさんも食べに行きませんか?」と声をかけてみよう
>大食い大会※食べる量=わりとたくさん食べる
おむすびの具の種類があまりなさそうなんだね
でもここのお米、とても美味しそうだし
いただきますをして、ひたすらもぐもぐ味わって食べると思う
炊きたてのお米をにぎっておむすび作るのって大変だよね
ありがとうございますと感謝しながら大事に食べる
UDCの大田さんも頑張ってくれたし
いっぱい食べて体内に栄養を送って労わないとね
食べ終わったらちゃんとごちそうさまをしよう
●そういくふうのおにぎりたいかい
「さあさお早く、準備ができておりますんで、おにぎりが冷めないうちに」
「そうは言うがなぁ、特にうちの村のおにぎりは冷めてもうまいんだぜ? ハハハ!」
口々に村人たちに促されて、次々と村の中へと誘われていく猟兵たち。自分たちの手で守り切った平穏と食事を馳走として振る舞われるのは、格別な報酬だろう。
そんな中、ふと五百雀・斗真(人間のUDCエージェント・f15207)は先程まで自分たちが死闘を繰り広げていた戦場を振り返る。
「いかがなさいましたんで?」
「いや……僕、戦闘中に地面のあちこちにスプレーをかけてしまったんで……」
やや申し訳なさげに頭をかきながら斗真は、ちゃんと消して行きますねと傍の村人に声をかけるや、指をパチンと鳴らして地面中に撒き散らされた色鮮やかな塗料を瞬時にして消してみせた。
「……はぁ~~~、猟兵さまはまっこと不思議な術を使いなさる……!」
「えっ、いや、それほどでも……」
村人は思い切り目を丸くして感心していたが、そうだそうだと斗真を今度こそ村へと招く。グイグイ。背中を半ば押されるような形で村の敷地内へと向かう斗真は、途中で見覚えのある銀髪の青年の姿を認め、思わず声をかけた。
「ニコさん! おむすび、ニコさんも食べに行きませんか?」
今回も無事に事件を解決してくれた猟兵たちを自分も労おうとやって来ていたグリモア猟兵は、そんな斗真の声に振り返ると、片手を上げて笑むとそれに応じた。
「働いた後のご飯はやっぱいいわよね!」
満面の笑みでずらりと並べられたおむすびを見て目を輝かせる相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は力説する。
「『人の不幸は蜜の味』なんて言うけど、良いことして感謝されて食べるご飯の方が、絶対おいしいわよね!」
ぐうの音も出ない程の正論であった。これから食べるおむすびは至高の一品となるに違いない。こっちが梅干し、こっちがおかか……などと説明を受けながらふんふんと具材を確認する雷光。
「んー、流石にツナマヨはないかー。塩むすびって……ああ、つまり具なしの」
おもむろに、本当に興味本位で塩むすびを手に取った雷光の背後から――。
「具無しおむすびも良い、私がそれを証明してみせよう」
「きゃっ!?」
突然フレームインしてきたルシル・フューラー(ノーザンエルフ・f03676)の姿と声に思わず声を上げてしまう雷光、忍の者が不覚を取るとは、このエルフ、出来る……!
「任せて欲しい、今の私には阿頼耶識との戦いで覚えた料理技能がある」
「待って、あの戦いのどこで料理の技能覚える要素あったの!?」
「ここにルーンソードがあります」
「待って!?」
あくまでマイペースにすらりとルーンソードを抜き放つルシルに雷光が懸命のツッコミを入れるがどこ吹く風、そもそもこれからお食事するのに武器なんて取り出してどうすんの!? 雷光が完全に混乱しきってしまったその時だった。
「――こう使う為に、先の戦いで一度も剣を抜かなかったんだよ?」
「ホントにござるかぁ……?」
もはやツッコむ気力も失せたという体で雷光がルシルの声に顔を上げ、そして驚いた。
ルーンソードには炎のルーンが刻まれており、それが起動し程良い熱を帯びている。ルシルは何とその刀身に、表面に醤油を塗ったおむすびを載せているではないか!
「ああっ、それ、私が好きな『アレ』じゃない!」
「ふふ、焼き目がついたらひっくり返して背面と側面を焼く。さらに醤油を二度塗りして軽く焼けば――後はわかるね?」
「ええ! 焼きおむすびの完成ね!」
「そのまま食べて良し、お茶漬けにしても良し!」
まるでテレビのお料理番組である。なんやかやで表面は狐色にこんがり、中はアツアツの焼きおむすびがルシルの剣の上で爆誕したのだった。辺り一面に醤油の香ばしい香りが漂い、次々と人が集まってくる。
「なんじゃこりゃあ、おむすびに醤油塗って焼いたって? 美味しそうじゃねぇか!」
「これ、醤油の代わりに味噌を塗ってもいいんじゃないかしら?」
「わ、ルシルさんに雷光さん、すごいですね……!」
しれっと既にちりめんじゃこの具材のおむすびを頬張っていた斗真も混ざっている。
「おっと、大食いだったね。この刀身に載るだけ載せて、たくさん焼いていこう」
次は味噌味が良いかな、などと言いながらルシルは器用にルーンソードの上におむすびを載せていく。一方で雷光は完成した焼きおむすび(醤油味)を美味しい美味しいと頬張りながら、斗真の食すちりめんじゃこおむすびに目をつける。
「あなたのもおいしそうね、私たちの焼きおむすびと交換しない?」
「えっ、い、いいですけど、じゃあ次に食べようと思っていた手付かずのこっちを」
何と、二つ持っていた。意外と食べるのねと思いつつも快く互いのおむすびを交換した雷光は、乗りかかった船だとルシルの焼きおむすび作りを手伝うことにした。
「たっくさん作りましょうね、いくらでも食べられちゃうんだもの!」
「此方は随分と賑やかなようだが、何かあったのかな?」
其処へ顔を覗かせたのはグリモア猟兵のニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)。転送した猟兵たちが楽しく過ごせているかどうかが気になって、村のあちらこちらを回っていたところに、この喧騒が耳に飛び込んできたようだ。
「やあ、ニコも一つどうだい? おむすびなら、グリモア出しながらでも片手で食べられるだろう?」
「はは、確かにな。でもお陰様であらかた仕事は終わったよ。それよりとても香ばしい匂いがすると思ったら……そういう事だったのか」
ニコは心底感心したようにルシルの手元を見る。村人たちは後で自分たちでもこの「焼きおむすび」を作れるように色々と教えてもらうつもりだそうだ。
一方の斗真は、おむすびをもっしゃもっしゃと味わいながらひたすらに食べていた。元々割とたくさん食べる方でもある斗真がこうも大食い大会の趣旨に忠実に食べるのには、きちんとした理由があった。
『大田さん』である。宿主である斗真がしっかり食べて体内に栄養を送って、戦闘の際に斗真を守ってくれた『大田さん』を労わないと、という気持ちがあったのだ。
(おむすびの具の種類はUDCアースと比べると確かに少ないけれど、そもそものお米がとても美味しいし、シンプルなのもいいよね)
ひとつ食べ終わるとどこからともなく次のおむすびが村人によって差し出される、わんこそばかな? と頭のどこかで思いながらもありがたく頂戴する斗真。喧騒の向こう側には厨房があり、せっせとおむすびを握る女たちの姿があった。
(……炊きたてのお米をにぎっておむすび作るのって大変だよね……)
その姿にありがとうございますと感謝しながら軽く一礼し、再び大事に食べ始める。
「五百雀、楽しめているかな?」
そこへニコがやって来て声をかける。傍目から見たら一人黙々と食べているばかりの斗真を気にかけたのだろうか。
「ふぁい、ふぉいひいでふ(はい、おいしいです)」
「はは、食べている時に申し訳無い。ゆっくり楽しんでいって欲しい。大田さんにもよろしくな」
手を上げるのは癖なのだろうか、そう思いながら去りゆくニコを見ながら斗真は食べ続ける。
(食べ終わったら、ちゃんとごちそうさまをしなきゃね)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
満月・双葉
【WIZ】ペース配分が大事でしょうね。
この米が守れたのは幸いでした…
村人たちとコミュ力を利用し会話を弾ませながら食べていきます。
楽しく食べるのも命に良いと思いますしね。
おにぎりの具は味噌漬け大根です。
無論、あの大根ではないですよ。
ふむ、良い命の光景ですね。
(写真のごときの絵を完成させて)
カメラは諸事情で使えないのですが、これで残しておきます。
思い出は時と共に改編されがちですが、これならそのまま残りますから。
…ぁ、ベルクシュタインさん、今回もお世話になりました。要りますか?いや、大根の味噌漬けの方です。絵はあげません。
アドリブ歓迎
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
愛すべきライスッ!すなわちO・KO・MEッ!DaybyDay宿るEightyeightッ!
という事でこちら村人さんにお願いしておにぎらせてもらったりおむすばせてもらったりすることにするぞッ!さぁ教えてくれ村のご婦人方ッ!
全力で握り込めば……なに?そうじゃない?
適量を手に取り俵型に、或いは山型に形成、表面をしっかりと形作りながらも中心部を固めすぎないように……ふむ、難しいなッ!
……奴にもあったのだろうな、こうして手解きを受けた、暖かな一時が。
明智・珠稀
あぁ、無事に村と素敵なお米を護れたようで安心いたしました…!!
そしてお待ちかねのおむすびタイム…!(うきうき)
大食いに自信はありませんが、美味しく堪能させていただきましょう、ふふ!
■行動
「あぁ、美味しいです…!」
うっとりはぁはぁド変態。
「心を込めて握ってくださったと思うと…より一層美味しく感じられますよね、ふふ!」
感謝と妖しい視線を村人さん達に放ちつつ
人並みにお腹いっぱい食す
★ニコさんとお話希望
「おや、ニコさん…!この度も素敵な依頼をありがとうございました、ふふ!」
いつもの感謝と
「ニコさんはおむすびは何の具がお好きですか?私は梅干しです…!」
絡んでくるド変態
※アドリブ&絡み&ネタ大歓迎です♡
榎・うさみっち
うまいもんが食えると聞いて来てやったぜニコ!!(f00324)
おむすびか、お茶碗によそったご飯に比べて
おむすびになるといくらでも食える気がしないかー?
恐るべしおすむびの魔力!
ちなみに俺は具は焼きタラコが好きだ!
醤油バターも絡んでいるとなお良し!
今度俺のために作ってくれてもいいんだぞニコ!
でもこういうシンプルな味も良いよな
サムライエンパイアの良さが出てるっていうか!
あ、そうだ
いでよ【こんとんのやきゅみっちファイターズ】!
(ずらっと並んで皆でおむすびを頬張る)
ふふふ、こうやって皆で食べる図って
なんだか青春って感じがするよな!
やきゅみっち達よー!おかわりはいっぱいあるぞー!
●にぎってにぎられて
「愛すべきライスッ! すなわちO・KO・MEッ! DaybyDay宿るEightyeightッ!」
おむすび大食い大会の会場となっている村一番の大きさを誇る農家の一軒家の引き戸をスパーンと開けて、謎のヒーローはやって来た。もうわざわざ言わなくてもいいかなって思ったんですけど、一応四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)さんのことです。
「あんれまあ、面白い人が来たねえ! おむすびは食べられるのかい?」
綴の発言内容そのものは(理解が出来なかったので)さておき、ちょうど出来上がったおむすびを大量にお盆に乗せて運んでいた老婆が首を綴の方に向けて尋ねる。
「いやッ! それは諸事情あって難しいので、代わりといっては何だが俺にもお手伝いをさせてはもらえないだろうかッ!」
「あらあら、頼もしいわぁ。だったら、お願いしようかしら」
その声を聞いて厨房から人の良さそうな女性が顔を出して応える。
「よしッ!おにぎらせてもらったりおむすばせてもらったりすることにするぞッ!」
四軒屋・綴、はじめてのおむすび体験である。
(大食いとあっては、ペース配分が大事でしょうね。この米が守れたのは幸いでした……)
満月・双葉(星のカケラ・f01681)は、眼前に広がる平和を絵に描いたような光景に、改めて自分たちが成し遂げたことへの手応えを感じていた。そしてそれは明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)も同様だったようで。
「あぁ、無事に村と素敵なお米を護れたようで安心いたしました……!!」
「こっちこそひと安心さ、お前さんたちの活躍のおかげってモンだ、ありがとうな」
これはせめてものお礼ってことで、と言いながら続々と運ばれてくるおむすび各種の中には、先程追加されたばかりの焼きおむすびもしっかり並んでいる。
「そしてお待ちかねのおむすびタイム……!」
うきうきと持参のお手拭きで両手をしっかりときれいにしながらずらりと並ぶおむすびに挑まんとする珠稀。
「大食いに自信はありませんが、美味しく堪能させていただきましょう、ふふ!」
そして、おもむろに手を伸ばした最初の獲物は――梅のおむすびだった。
「それにしても噂に聞いていた通りの美味しいお米で、実際に食べてみて改めて驚いています。これなら何個でもぺろりと食べられそうです」
「おうおう、嬉しいこと言ってくれるでねえの! うちの村の米はこう見えても……」
双葉は意外にも(コラー)コミュ力が高い。村人に声をかけて会話を膨らませていくのもお手の物だ。こうやって楽しみながら食べるのも、命に良いと双葉は思う。
「命」の話になると双葉には色々なものがのしかかるが、今ひと時はそれを忘れて楽しみたい。そんな願いもあった。
そんな時、入口近くで声がした。
「うまいもんが食えると聞いて来てやったぜニコ!!」
(い、今確かに声がしたよな……!?)
(ああ、オラも聞いたぞ。だが、誰だ……!?)
誰もが声の方を見るも、肝心の声の主が見当たらぬことに場がざわめく。そこへ声に気付いたニコがつかつかと歩み寄ると、一見何もなさそうに見えた空間にそっと手を差し伸べて何かを掌に乗せ、声をかけたではないか。
「うさみよ、良く来てくれた」
「おう! でもみんな何でこっち見てザワザワしてんだ?」
「お前がちっちゃすぎて視認出来ず困惑していただけだ」
「ぴゃっ……」
声の主――榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)はフェアリーである。しかも、種族の中でもとりわけ小さい17.1cmという身長が仇となり、時にこうして「他種族から識別してもらえない問題」が発生する。
それでもめげずに村人の所まで飛んでいくと、うさみっちは元気良く言った。
「おむすびか、お茶碗によそったご飯に比べておむすびになるといくらでも食える気がしないかー!? 恐るべしおむすびの魔力!」
「お、おお、確かにそうだな。しっかし、おめぇさんと同じくらいの大きさかも知れんが、食べられるかい?」
「おう! ちなみに俺は具は焼きタラコが好きだ!」
醤油バターも絡んでいるとなお良し! と、村人の間をぶんぶん飛び回りながら熱弁する。バター……とは……? と小首をかしげる村人たちだが、それ以上にこの妖精の存在の方が不思議だったので深く考えないことにした。
「今度俺のために作ってくれてもいいんだぞニコ!」
「俺の好きな具はツナマヨだ、覚えておけ」
うさみっちの突然の要求にも動じず、むしろお前が作るんやでの精神で自分の好きなおむすびの具を唐突にカミングアウトするニコであった。
「おや、ニコさん……! この度も素敵な依頼をありがとうございました、ふふ!」
「明智か、此方こそ毎度毎度厄介事を頼んでしまって申し訳無い、せめて今この時を楽しんでいって頂けると、俺も嬉しい」
口の端におべんとうをつけた珠稀がニコに感謝の言葉を述べるが、グリモア猟兵にとってみればむしろ感謝すべきは彼らの方である。恐縮だ、と申し添えながら珠稀に苦笑いを向ける。
「お聞きしましたが、ニコさんはツナマヨがお好きなのですね。私は梅干しです……!」
「紅鮭と悩んだのだがな、最後に脳内でツナマヨが勝った次第。明智は梅干しが好きなのか、それは良かった。たくさんあるだろう、良質な米とのハーモニーを堪能しておくれ」
予知を伝える時の表情の険しさはすっかり鳴りを潜め、穏やかな微笑みでそう言うとニコは失礼と席を立つ。それを見送ると珠稀は再びおむすびに挑むのであった。
「……ふむ、良い命の光景ですね」
持参した味噌漬け大根をおむすびの具にしてみては、と提案して歓迎された双葉は、完成を待ちつつ持参したスケッチブックにサラサラと筆を走らせて、人々の様子を写実的なタッチで見事に描いてみせた。
双葉は諸々の事情があり、カメラを使用することが出来ない。そのため、思い出として残したいものは己の筆で描いて残すのだ。
(思い出は時と共に改編されがちですが、これならそのまま残りますから)
「おや、満月は絵心が有るのか。素晴らしいな、とても羨ましい」
そこへニコが近づいてきて完成した絵を覗き込むと、ほうと嘆息しつつ感想を述べた。
「……ぁ、ベルクシュタインさん、今回もお世話になりました。要りますか?」
「何と、こんな見事な絵を、良いのか?」
「いや、大根の味噌漬けの方です。絵はあげません」
「そうか……いや、大根の味噌漬けも十分嬉しいが……」
少しだけ期待していたのか、ちょっとだけシュンとするニコであった。
「はいよー、味噌漬け大根のおむすびだよー!!」
そこへ、完成の声がかかる。ニコが慌てて配膳をすべく向かっていくのを、双葉は穏やかな瞳で見送った。
「味噌漬け大根ですと……!? あぁ、これもまた美味しいです……!」
新作にすかさず手を付け堪能する、うっとりはぁはぁド変態。もとい珠稀。
「心を込めて握ってくださったと思うと……より一層美味しく感じられますよね、ふふ!」
感謝と妖しい視線を村人たちに放ちつつ、食を楽しめるギリギリのラインを見極め程良くお腹いっぱいおむすびを食べる珠稀。集った村人の中には、美男子は食べる姿も麗しいと一部好評だったとか。男女問わず。罪なメンズである。
うさみっちを囲む村人たちの視線は、真剣そのものであった。果たしてこのちっちゃなボディで、どうやって我らが自慢のおむすびを食べるのか。しかしうさみっちはそんな視線を意にも介さず、かぷりかぷりとおかかおむすびを平らげていく。固唾を呑んで見守る村人たち。
「でもこういうシンプルな味も良いよな、サムライエンパイアの良さが出てるっていうか!」
「た、食べられるようで良かった。まだまだ、いっぱいあるからな……?」
恐る恐る話しかけてくる村人に、そうか! まだいっぱいあるのか! と顔を輝かせるうさみっち。
「じゃあ助っ人呼んでいいか!? いでよ、【こんとんのやきゅみっちファイターズ】!」
「う、うわあああああ!!?」
村人たちが驚くのも無理はない、突如うさみっちと同じ姿をした――強いて違いを挙げるなら、それらは全員野球のユニフォームを着ていた――その名も「やきゅみっちファイターズ」の面々がずらりと現れ、きれいに横一列に並ぶといっせいにおむすびを頬張りだしたのだから……!
「ふふふ、こうやって皆で食べる図ってなんだか青春って感じがするよな!」
ちなみに、そう言いながらにかっと笑ううさみっちのポジションは監督である。
「やきゅみっち達よー! おかわりはいっぱいあるぞー!」
「「「ぴゃーっ」」」
村人たちは、一転しておむすび在庫の心配をすることとなった。
「全力で握り込めば……なに? そうじゃない?」
「駄目駄目、せっかくのふっくらしたお米の粒が台無しになっちまうよ」
「成程ッ! 程々にだなッ!」
皆が思い思いの時を過ごす中、綴は懸命におむすびの握り方を教わりながら奮戦していた。
「適量を手に取り俵型に、或いは山形に形成、表面をしっかりと形作りながらも中心部を固めすぎないように……」
ひとつひとつ丁寧に手順を確認しながら、せっせとおむすびを握っていく綴。ふうと一息つくと声を漏らす。
「ふむ、難しいなッ!!」
デカい声だった。おむすびへの道は一日にしてならずと言った所だろうか。
ヒーローだって肩は凝る、片方ずつ腕を回して凝りをほぐす運動をしながらふと綴は思いを馳せる。皆で倒した、倒さざるを得なかった、復讐者のことを。
(……奴にもあったのだろうな、こうして手解きを受けた、暖かな一時が)
なればこそ、綴はこれからも戦い続けなくてはならない。起きてしまった悲劇はどうしようもないとしても、せめてこれからの悲劇が己の力で防げるのならば。
「……よしッ! 再開だッ! 握るぞッ!!」
「いいねーその意気だよ、どんどん頼むわぁー」
厨房が再び活気づく。おむすび食べ放題の宴は、夜遅くまで続いたという。
大成功
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