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エンドブレイカーの戦い⑰〜望む限り何度でも永遠に

作者：蒼汁の人

　……11の怪物。
　あの強きだけの者達に、「拒絶の壁」が構築できるとでも？
　あの無知蒙昧なる輩に、「大地母神暗殺」が立案できるとでも？
　私だ！　ラハムを喰らい「再孵化」した私が、全て考えたのだ！
　以前の戦にて持ち帰りし「ヴァルギリオスの精髄」を消費する事となったが、充分に価値はあった。

　もうすぐ……私は以前の力を取り戻す。
　過去を何度でもやり直せる究極の能力、『エンドテイカー』を！
　私の力は既に他の魔女や往時のイヴを凌駕する。この戦争を全て最初から「やり直し」してくれよう。
　私こそが、世界の全て。
　私に勝てるものなど、この世にありはしないのだ……！

●
「さて、戦争もいよいよ大詰めってとこかしら？　拒絶の壁はすべて剥がれ１１の怪物のうち既に２柱は陥落済……ペース早すぎない？
　まぁ、早い分にはいいことよね。さて、私が案内するのはラハム・ジ・エンドテイカーこと大魔女スリーピングビューティーのところよ。エンドテイカー能力、本来は生物の進化を見守るために与えられた力をスリーピングビューティーは己の欲望の為に躊躇なく使ってくるわ。
　で、そのエンドテイカー能力ってのがリゼｒ……え？　みんなが見てるわけじゃないからきちんと説明しろ？　はぁい、えっと、「自身の望む未来を得られるまで、何度でも過去をやり直す」って力ね。マザーのタイムフォールダウンを巻き戻しに特化した感じなのかしら？
　ともあれ、スリーピングビューティーが気に入らない結果がでたら今の無しねってしてくるわけね。これに対抗する手段を編み出さないと厳しい戦いになると思うわ。
　ただ、復活したばかりだからか今は巻き戻しも「最大６０秒」が限界みたい、ここに攻略のヒントがあるかもしれないわね。
　まぁ、これまでも厳しい戦いを切り抜けてきたみんなだもの、きっと今回もどうにかできると信じてるわ。それではいってらっしゃい」

第1章 ボス戦 『ラハム・ジ・エンドテイカー』

POW   :    遺失魔術パワーワードキル 【過去をやり直すエンドテイカー能力】を使い、予め設置しておいた【内部の敵の命を奪う『死の魔法円』】を起爆する。同時に何個でも、どんな遠距離からでも起爆可能。 SPD   :    遺失魔術メテオスウォーム 自身が【勝利への意志を失わずに】いる間、レベルｍ半径内の対象全てに【降り注ぐ隕石】によるダメージか【過去をやり直すエンドテイカー能力】による治癒を与え続ける。 WIZ   :    私こそが、世界の全て。 【エンドテイカー能力により繰り返される戦闘】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●マスカレイド
「どもー、狐のコックさんでーっす」
『なんだ貴様は……いや本当になんなのだ貴様は』
　キッチンを引っ張ってきた狐のお面をつけたバイクに｜ラハム・ジ・エンドテイカー《大魔女スリーピングビューティー》は面食らいました。
「今日は魔女さんに料理のお届けをしに来たっすよ〜」
　その狐のお面こそ元マスカレイドの過去を持つヒーローマスク、リカルド・マスケラス（希望の｜仮面《マスカレイド》・f12160）さんでした。リカルドさんはバイクに乗っていた｜イケメンライダー《仮初めの肉体》に料理の準備を進めさせます。
「美人とはあまり戦いたくないっすよー」
『ふん、そんな当たり前のことを言われても手心は加えぬぞ』
　口ではそんなことを言いながらもリカルドさんのおべんちゃらにラハムはうれしそうにしています。
（意外とチョロいっすね。オブリビオンとして復活する時は色々混ざることもあるらしいっすからその影響っすかね〜）
　ラハムのチョロさにそんな考察をしている内に周囲には食欲を誘ういい匂いが立ち込めてきます。完成にはまだ時間がかかりそうなのでリカルドさんは口を回しラハムを褒め殺ししました。
　そうしてラハムの気を逸しながらリカルドさんは念動力を用いて、ラハムが設置していた内部の敵の命を奪う『死の魔法円』を破魔の魔法陣で上書きしていきます。
（油断も隙もないっすね。転送されると同時に巻き戻しで設置してきたってことっすよね、これ）
　そうしている内に料理も完成し、ラハムが実食を始めます。
『うーまーいーぞー！』
「満足してもらえたようでよかったっす、後は自分がやっておくっすから休んでおくといいっすよ」
『うむ、そうさせてもらおう』
　リカルド（｜イケメン《仮初めの肉体》）さんの料理に満足したラハムは、リカルドさんに促されるまま｜休憩《お昼寝》に入りました。
「美人でも倒さないといけないのが猟兵の辛いところ。それが例え自分の創造主であったとしてもっすね」
　ラハムが寝入ったのを確認するとリカルドさんはさっき『魔法円』を上書きした魔法陣を起動し結界を発動させました。｜森羅穣霊陣《グレイスフル・ガーデン》、植えた作物が即収穫できる程の豊穣を与えるユーベルコードです。その効果で急成長した蔦植物がラハムを捕縛していきます。
　そうして十分な時間が立った頃、リカルドは結界のもう一つの効果である破魔の力でラハムを攻撃するのでした。

●豊饒の使徒
「さて、参りますねぇ」
　夢ヶ枝・るこる（豊饒の使徒・夢・f10980）さんは転送されるなり｜３対のオーラの翼《フローティングエアロフォイルシステム》を羽ばたかせて蛇行するように高速飛行し、『死の魔法円』を躱していきました。
　周囲に浮遊させた｜涙滴型の水晶《フローティングプロープシステム》が突如として発生する『魔法円』を察知し対応していきます。
『なぜだ、なぜ当たらぬ』
　そのことにラハムは苛立ちを募らせていきます。そう、『魔法円』が突如として発生するのはラハムが時間を巻き戻して設置しているからです。それをるこるさんが容易そうに回避しているのは、周囲に展開している祭器のおかげでした。
　｜16本の水晶柱《フローティングインタディクトシステム》が時空間干渉遮断行い、｜16本の錫《フローティンググラビトンシステム》の重力操作と｜16枚の札《フローティングリンケージシステム》の空間湾曲障壁で一般相対性理論に基づいた時間の進みの変化により、ラハムのエンドテイカーで戻せる限界の60秒を歪めてしまったのです。ラハムがやり直すたびにその歪みは進み、とうとう『魔法円』は見当違いのところに設置されるようなってしまいました。
「『大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その膺懲の理をここに』」
　ここが好機と捉えたるこるさんは『時空間干渉無効化』を祭器に付与して放ちます。戦輪が、砲撃が、光線が、羽弾が、重力弾が、魔法矢が、爆撃が、FLSによって完全制御された祭器達による一斉攻撃が、不死性と強化能力を無効化し装備と防御手段を叩き割ってラハムを呑み込んでいきました。

●閃風の舞手
「自己主張の激しい黒幕だね。まぁ逃げ隠れされるよりは都合が良い。能力は面倒だけど……仕方ない、一肌脱ぐか」
　カタリナ・エスペランサ（閃風の舞手・f21100）さんは降り注ぐ隕石の中を縫うように飛んでいました。時折躱した筈の隕石が目の前に現れたりもしましたが、カタリナさんはそれも読んでたとばかりに曲芸飛行で華麗に回避していきます。
『おのれおのれおのれ、先程の小娘といいなぜ当たらぬのだ！』
「なに、旅芸人たるものこの程度曲芸は造作もないさ」
　苛立ちを顕にするラハムにカタリナさんは三つ編みを解きながら不遜な態度で応えます。
「『アタシの奥の手……見た奴は滅殺か記憶消去って決めてるんだ』」
「『だってこのカッコ恥ずかしいからね！！』」
　そうして、カタリナさんは神をも欺いた催眠と幻術を操る妖艶な夢魔へと変身しました。その姿は魅了の権能そのものです。
「即ちアタシ自身が｜鏡花水月《幻術》になる事だ――」
　甘い香りが立ち込めラハムの思考を鈍らせ、その美声で紡ぐ歌声は感覚を狂わせていきます。懐に飛び込み修めた武芸百般の技術で与えた傷さえもラハムに誤認を与えていきました。
　この状態では何度繰り返そうとも結果が奮うはずもありません。60秒のつもりで6秒しか戻さないラハムにはもはやカタリナさんの｜堕聖の偶像《ファシネイション・トラップ》の術から抜け出す術はありませんでした。自覚不能の暗示とダメージが積み重なっていきます。
「恥ずかしさ耐性ゼロのアタシにこの力を使わせた代償は高くつくよ」
　そうして、カタリナさんはラハムを処すべくその体術を繰り出し蹂躙するのでした。

●フードファイター
「……敵の能力より、アリスさんが真っ当な｜仕事《予知》持ってきた事の方に一抹の不安がね……」
　秋山・軍犬（悪徳フードファイター・f06631）が冷や汗を流します。あの案内人がおふざけなしで持ってきた案件、どれだけヤバいのかと不安を覚えたのでした。なにより、軍犬さんはこれが初のエンドブレイカー！世界、状況がイマイチ呑み込めていませんでした。それでも分かることはあります。
「要は 6１秒以上の絶対に抜け出せない状況を作ればOK？」
　それが軍犬さんが出した時間の巻き戻しに対する答えでした。その方法というのが
「じゃ、相手との間合いを詰めて殴る蹴る関節などの絶え間ない連携攻撃で型にはめれば良いよね？」
　というものでした。鋭い踏み込みが足元の『魔法円』を打ち破り、弾丸のように軍犬さんが跳び上がります。
『は？』
　そんな方法で『魔法円』が破られると思ってなかったラハムは一瞬呆け、その一瞬で軍犬さんのアッパーがラハムの顎をとらえました。その衝撃にラハムの意識が飛びます。そこにさらに追加で軍犬さんはラハムの顎を蹴り上げます。
「あれ？　このユーベルコードって常時発動型じゃないの？　……まぁ、いっか」
　先の2撃に仙人の力がのってなかったことに疑問を覚えた軍犬さんでしたが、状況は有利に働いているため細かいことは気にしないことにしました。軍犬さんはその不死性を得るまでに鍛え上げた肉体でラッシュをしかけていきます。
「格闘戦の牢獄とくと 味わえ」
　ラハムが意識を取り戻すたびに軍犬さんの拳が、蹴りが再び意識を刈り取っていきました。そうして、時間を巻き戻したところでもはや手遅れ、いえ、巻き戻しすほどに地獄が繰り返されるだけの状況を軍犬さんは作り上げたのでした。

●エンドブレイカー
「昔の決戦では無効化できていたので実感はないですが……本当にひどい能力。けれど必ず乗り越えて見せましょう」
　マウザー・ハイネン（霧氷荊の冠・f38913）は１５年前の戦いを思い出しながらラハムを見据えました。
（今の無しされる前に結果を確定させる）
　それがマウザーさんが出した時間の巻き戻しに対する対処法でした。世界創世の座標となったとされる、天地開闢の聖剣を構えラハムの攻撃に備えます。初撃を躱し、２撃目をくぐり抜け、３撃目を凌いだと思ったところに急に目の前に現れた尻尾を寸出の所で受け流します。
　一瞬でも集中を切らせばすぐ千切れるような細い糸の上を渡るような綱渡りのごとき攻防が続きます。その攻防の中、マウザーさんはだんだんとラハムが巻き戻しをするタイミングを見切っていきました。
「『少し足を止めて考えてみて下さいませ』」
　そして、マウザーさんはラハムが巻き戻しをするタイミングを狙って視線を合わせました。｜憂鬱と情熱の彼《ネガポジビヨンド》、この力を使ってマウザーさんはラハムの精神を憂鬱にした上で10分後の世界へと追放したのです。
　しかし、精神を追放された肉体は無防備ですが無敵になってしまいます。そこで、マウザーさんはラハムの精神が戻ってくるまでの間に、ラハムの身体をこおりの檻に閉じ込めました。更に魔力を込めた氷の槍を作り上げます。
　ラハムの精神が戻り無敵が解けた瞬間にマウザーさんは氷の槍で串刺しにしました。10分かけて魔力を練り上げた槍は致命傷を与えます。ラハムがいくら時を巻き戻そうとも、60秒では10分前に作られた檻から出ることはかないません。ただただ、氷の槍に貫かれる時間を繰り返すだけです。
　こうして、マウザーさんはラハムを封殺したのでした。

●｜贋作者《フェイカー》
　涼風・穹（人間の探索者・f02404）さんは転送されるやいなや、隕石が降りそそぐ中をラハムの懐に潜り込むべく突っ込んでいきました。
「巻き戻しが本人だけではなく世界ごとなら相打ち狙いはない筈だ」
　との判断でしたが、気がつけばラハムの姿が遠くに見えます。
「あ、あれ？　死に戻りってわけではないのか？」
　少しばかり予想が外れてしまいましたが作戦に支障はありません。
「『投影』」
　合計で141㎥まで偽物を作り出す｜贋作者《フェイカー》、しかしこのユーベルコードは視認したことの武器であれば極めて精巧に作り出すことができるのでした。その能力で穹さんが作り出したのは催涙弾やスタングレネードのような非致死性の戦闘能力だけを奪うような武器でした。
　そうして、動きを止めたところに穹さんは斬りかかりましたが、それは致命傷には程遠い僅かな傷を刻むだけでした。そのような攻撃はうざくはあるが脅威にならぬとラハムは巻き戻しをせずに隕石を降らせ続けます。
　穹さんはラハムが慣れぬように創造する武器の種類を変え、何度も繰り返し小さな傷をラハムに刻んでいきました。どれだけ小さな傷であろうとも、無数に作れば致命傷に至ります。そのことにラハムが気がついた時にはすでに手遅れでした。
「拷問じみているし悪趣味だけど時間を掛けて少しずつ傷を増やしていき、何もしなくても1分後には死ぬという状態にして巻き戻しを無意味にするのが俺の作戦だったんだ」
　そこに穹さんはラハムの｜心を折る《ガッツを奪う》べく作戦を伝えます。
『み、認めね、我は認めぬぞ！』
「ちっ、魂が肉体を凌駕しやがったか。まぁいい、だったらその悪あがきを諦めるまで繰り返すまでだ」
　リスキルは基本だしな、と穹さんは新しい武器を創造してラハムを追い詰めていくのでした。

●混沌獣
「望む限り何度でもやり直しできる力ねえ。まあ、６０秒くらいなら何とかできるかな」
　ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード（混沌獣・f07620）さんは落ち着いてラハムの攻撃に対処していきました。巻き戻しでやり直せるからでしょう、ラハムの動きは洗練されておらず大振りで見切るのも簡単でした。
　しかし、不意に躱したはずの場所に攻撃が降ってくることがありました。恐らくは巻き戻しをしたのでしょう。ですが、連続で行わることはありません。
「なるほど、巻き戻しを行った後そこから更に巻き戻すことはできないんだな」
　そうラハムの能力を見きったペトニアロトゥシカさんはそのタイミングでラハムに近づいていきました。
（望む限りというなら、反応する間もなく気絶して望むという行為ができなかったら、そのまま６０秒以上意識を失っていたら、巻き戻しは出来ないんじゃないかな）
　ある程度近づいたところでペトニアロトゥシカさんは時間蓄積器官に蓄えていた時間を放出して加速し、高速移動で一気にラハムへと突っ込みました。そして、その勢いのまま頭突きをぶちかましました。
　｜自分も相手も気絶する勢いでの頭突き《頭槌絶衝》は両者の意識を刈り取りました。先に立ち直ったのはペトニアロトゥシカさんでした。気絶しているラハムに一方的に攻撃を行い、ラハムが目を覚ましたら再び頭突きで気絶させる。その繰り返しでペトニアロトゥシカさんは確実にラハムを追い詰めていくのでした。

●ナイトメア
　ベルカ・スノードロップ（少女へ愛を注ぎ快楽による幸福で染め救済せし夜の王・f10622）さんは３柱の女神、アリス・フィフスウイング（エンジェリック・リトルデーモン・f32969）さん、アフロディーテ・フィフスウイング（神のカードデュエリスト・f38185）さんを伴ってラハム戦に挑みました。
「では３人共、手筈通りにおねがいしますね」
「先制と言っても「60秒を上限に時を戻せる」のが能力なら、それ以上の時間だけ攻撃をつづければいいってことよね。ベルカがそう言っていたもの。その時間を稼ぐ方法も、もっていそうだし」
「妹を救ってくれた恩は返しきれてないからね。今回は『戦神』として、力を振るっちゃうから」
「『愛と美と｜豊穣《性愛》を司る女神』は、ヴィーナスさんやアフロディーテさんが有名だけど、私『イナンナ』も、同じ権能の女神。私は、まだ見習いだけど、先生のために頑張ります」
　３柱の女神がそれぞれに魔法を放ち『魔法円』や隕石へと対処していきます。その間、ベルカさんは決定的な瞬間をまっていました。そして、その時が訪れました。ラハムの攻撃が不自然な軌道を描く瞬間、即ち、時の巻き戻しがされた時が。
「今です！」
　ベルカさんの号令にあわせて３柱の女神がその｜権能《ユーベルコード》を行使しました。
「『そうね。たまには本領を発揮してもいいわよね』」
「『世界に仇なす邪悪の徒に、戦神の鉄槌を。世界を守護せし正義の徒に、豊穣の女神の加護を』」
「『見習いだけど、私も女神です。――交わる光の調和』」
　アリスさんの｜聖なる爆発《Nova Sprits》が、アフロディーテさんの展開した｜聖天の領域内に天から注ぐ破邪顕正の光《ヘヴンリィ・ブライティア》が、イナンナさんの発生させた｜無数の不可視の魔法陣から放つ敵を焼き尽くす神威の光《ペインアート・インフェルノ》がラハムに殺到します。
『ふん、このようなもので……』
　その攻撃を巻き戻しでなかったことにしようとしたラハムの動きが止まります。3柱の女神の攻撃に紛れてベルカさんの視線がラハムに向けられていました。その視線には｜60秒間（体感では数日間）の白昼夢（五感を伴う悪夢）を見せる催眠術《ナイトメア》が込もっていたのでした。
「『愛と美を司る女神に敵対する』がどういう意味か分かるかな？」
　悪夢に囚われ動きを止めたラハムを、ここぞとばかりに女神達の攻撃が一方的に蹂躙していきます。
　ベルカさんは正確にカウントし、ラハムが悪夢から覚めるタイミングで再び｜悪夢に捉える視線《ナイトメア》をむけました。これで、なんらかの原因でラハムが時を巻き戻してもそこは悪夢の中、もはや覆すことはできません。
「悪夢から目覚めて巻き戻しても、60秒以内は悪夢の中。分かっていても身体は動かせない。巻き戻さなければ2回目の悪夢を見せられて私達の攻撃でダメージが蓄積していく」
「さすがベルカ先生の作戦です、うまくハマりました」
「イナンナ、まだ油断してはだめよ」
「は、はい！　先輩」
　アフロディーテさんの言葉に気を緩めかけたイナンナさんをアリスさんが諫めます。ここからでも十分に覆りうるのが猟兵とオブリビオンの戦いなのです、３柱の女神達は油断なくラハムにダメージを蓄積していきます。
（ベルカは私を調伏して、私はベルカのモノにされたんだもの。ベルカは私の事が好きなはずだもの。他の｜女神《娘》には、負けられないの。お姉ちゃんでも。口には出してあげないけど）
　中でもアリスさんの攻撃は苛烈さを極めていました。それを見てこのままいけば遠からずラハムを討伐できることをベルカさんは確信しました。美の女神を敵に回した時点ですでに終わっていたのです。
「貴女の美は朽ち果て滅びたんですよ。｜Sleeping beauty《ugly woman》」
　　そう言いながら、ベルカさんは止めをさすべく両手を掲げました。
「ではシンプルにいいましょうか――今すぐ滅びろ腐れ邪神」
　そして、極大の魔術を放ったのでした。

●神級オラトリオ
「スリーピング・ビューティーさん……貴女を……止めます！」
『ほう？　小娘がほざきよる』
　戦場に降り立ったアリス・フェアリィハート（不思議の国の天司姫アリス・f01939）さんの見栄にラハムがこめかみに青筋を立てながらも余裕を装いながら返します。
『ならば、その言葉を証明してみせよ！』
　ラハムはワームの巨体を活かして平手を繰り出しました。それをアリスさんはひらりと躱します。いえ、躱したはずでした。しかし、気がつけばアリスさんの身体は吹き飛ばされていました。張っていた結界にびしりとヒビが入ります。
（今のが……巻き戻し……でも、今のでタイミングは……つかめました）
　アリスさんはラハムの追撃に、万象等あらゆる全て灼く星焔の蜘蛛糸の理力を｜女王の赤き意匠の腕全体を覆う鎧状兵器《スパイダークイーンレッド・アトラクナクア》に込めてカウンターを合わせました。
（やりましたか……！？）
　確かに手のひらに開けた風穴は、しかし気がつけば何事もなかったかかのように消えています。
「でも、最大60秒が限界の……は……ず……」
　アリスさんは追撃をかけようとアトラクナクアに理力を再び込めました。しかし、アリスさんの体が何者かに抱きしめられます。ワームの身体から人間サイズの大魔女が生えアリスさんを抱きしめたのです。
『悪い子だ……❤️』
　そう大魔女に耳元で囁かれたアリスさんは身体から力が抜けてしまいます。
『くくく、やはり貴様はこういうのに弱いようだな。二度と私に逆らう気が起きぬように嬲ってくれよう』
　後は大魔女の成すがままにアリスさんはされてしまいます。
「や、やめ……」
『こんなに濡れておるのにか』
　大魔女がアリスさんの秘豆を強く摘めば、アリスさんは大きく身体を仰け反らせます。ぐったりしたアリスさんの股を開き、大魔女は自らの股を合わせました。
「ま、まって……今イッた……ばかりで……ひぅ❤」
　アリスさんの懇願も意に介さずに大魔女はアリスさんを責め立てました。
「やめて下……あんっ❤️　……も……もっと……❤️」
　繰り返す時の中、アリスさんが自ら求めるようになっても大魔女の責めは終わりません。いえ、求めに応じるようにより激しくなってイきました。いつまでもいつまでも、その意志が尽きるまで行為は続けられました。

●救済の楽園
　ドゥルール・ブラッドティアーズ（狂愛の吸血姫・f10671）さんは気合でラハムの猛攻に耐えていました。痛みになど慣れたもの。理不尽に不当に扱われる者達に比べたらこの程度の痛みなど大したものではありません。
　とはいえ、まともに喰らっては救済どころではないのでオーラを纏って威力を軽減してるのはご愛嬌といったところでしょうか。耐え続けている間に徐々に徐々に芳しい香りが周囲に満ちていきました。
『どういうつもりだ小娘』
「私は貴女の味方です。ラハム様……いいえ、スリーピング・ビューティ様」
　耐えるだけで全く攻撃の気配を見せないドゥルールさんを訝しみ、ラハムは攻撃の手を止めて問いかけました。それにドゥルールさんは跪いて答えました。それだけでなくラハム……スリーピングビューティーの姿がもっとも美しかった頃の姿に戻っていきます。
「ほう、これは……なるほど貴様にはそのような過去が」
　ドゥルールさんは自分とスリーピングビューティーの記憶をリンクさせ、スリーピングビューティーのもっとも美しかった頃を見出し化術で再現すると共に、自身の人間から迫害されてきた過去とオブリビオン救済の意志を伝えたのでした。
「どうか私達の……世界から爪弾かれる者達の守り神となって下さい。私達には貴女が必要なんです」
『くっくっく、良かろう。貴様も私にずっと仕えてくれるのであろう？』
「もちろんです、スリーピングビューティー様」
　恍惚とした表情のドゥルールさんにの頬に手を添えてスリーピングビューティーが近づいていきます。そして、2人は１つになったのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2023年09月19日