●
「アハハハハハ!」
金色に輝く妖精は嗤う。
眼下で狂い、戦う男たちを眺め。
「本当に人間ってお馬鹿、私のお宝に手を出すんだから」
金色に輝く妖精は嗤う。
死に向かい、そのまますり潰されていく男たちを眺めながら。
その島には――嗤い声が響き続けるのだ。
●
「皆さんに、向かっていただき場所があります」
グリモアベースでそう猟兵たちに語り掛けるのは、鳴宮・心(正義狂いの執刀医・f23051)だ。
心によれば猟兵たちに向かってもらいたいのはアックス&ウィザーズに浮かぶ天空城。
そこに現れる敵猟書家――財宝妖精ブラクテを打ち倒すと共に、彼女とその配下に襲われると予知された現地の冒険者たちを助けて欲しいというのだ。
「冒険者たちも優秀なようですが……持ち出したお宝が悪かったですね」
冒険者たちが天空城から持ち出した財宝の名は、狂戦士の宴――その財宝の効果を得た者は身体能力が強化される代わりに狂戦士のように理性を失い、狂ってしまうというのだ。
予知では逃げに徹していた冒険者たちが洞窟に逃げ込んだものの、誤ってその財宝の効果を発揮させてしまい、敵うはずもない敵に対し吶喊し殺されるというものであった。
その為猟兵たちには速やかに冒険者たちの下へと向かってもらい、財宝を取り上げた上で周囲を囲う敵を掃討して欲しいというのだ。
「敵猟書家は様々な財宝を操り戦う、なかなかにスケールの大きい戦い方をするようですね――もしかしたら、冒険者たちが持ち出している財宝が役に立つかもしれません」
財宝妖精ブラクテは財宝を操り財宝竜として戦わせたり、それこそ剣や鎧を自由自在に操り振り回しながら戦うという。
その小さな身体に反し戦い方は荒々しく、正面から打ち倒すのは骨が折れるだろう。
だが猟兵たちが狂戦士の宴を用いたならば、荒々しくなりながらも決して理性は失わず、力の向上というメリットだけを受けることが出来るかもしれない。
それが出来れば荒れ狂う刃の中を戦うことも現実的になるかもしれないのだ。
「決して怒りに我を忘れないように……心して挑んで下さい」
そう言いながら、心は猟兵たちを送り出す。
皆の無事を、祈りながら。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
今回は猟書家戦を出させて頂きます。
頑張ってA&Wの世界に平和をもたらしましょう。
●依頼について
一章は集団戦、二章は敵猟書家戦となります。
一章では冒険者たちが逃げ込んでいる洞窟には入れない巨体ですので、変に冒険者をけしかけなければ、冒険者たちに危険はありません。二章も猟兵たちが前線に出て戦う以上は、特別問題は無いとさせて頂きます(もしもプレイングで庇う動きを希望されるようであれば、そのように対応させて頂きます)
また、本依頼ではギミックとして冒険者たちが持ち出した財宝――狂戦士の宴の効果の発動を想定しています。
つまりは普段は大人しいキャラさんも、我を忘れてヒャッハーとハイテンションで暴れ戦うことを楽しめる依頼になれれば良いなと思っております。
猟兵たちであれば完全に我を忘れる(冒険者や仲間に対して攻撃する)まではいきませんので、ご安心してヒャッハーしてもられればと思います。
一章ではこらえながら、二章では完全にヒャッハーでも良いですし、一章からフルスロットルでヒャッハー頂いてもかまいません。
皆さんのハイテンションプレイングをお待ちしております。
●プレイングについて
募集期間はタグでご連絡させて頂きます。
宜しくお願い致します。
第1章 集団戦
『荒ぶる山神』
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POW : 握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ : 叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニクロム・チタノ
厄介なモノを持ち出したね、とりあえず周りのデカイ敵倒すけどその前に宝を渡して危ないから
よし、行くよリモートレプリカント、まだだよ?まだ解放しちゃだめ
猟書家に思いきりこの思いをぶつけてやる
今はまだ理知的に
リモートレプリカントに攻撃させて隙をついて斬り込むよ、大きくても戦いようはあるはず
これより反抗を開始するどうか反抗の竜チタノの加護と導きを
●
「厄介なモノを持ち出したね、とりあえず周りのデカイ敵倒すけどその前に宝を渡して危ないから」
その紅の瞳を静かに細め、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は冒険者たちに対し手を差し出す。
山かと見間違う巨大な敵から必死に逃げる続け、ようやく洞穴に逃げ込むことで一息つくことに成功した冒険者たち――とは言え外から響き続ける轟音に絶望していた中突如としてかけられた声の主は、救いの主と言うには何とも儚い少女の姿。
しかしこの惨状の中眉一つ歪めない少女に見つめられ不思議と気圧された冒険者は、ごくりと唾を飲み込むと震えながらその手に握る宝物を渡すのであった。
それは黄金で出来た杯――狂戦士の宴。
洞窟に差し込む光によりきらりと輝くその宝物を握り、ニクロムな何処か心がざわめくのを感じていた。
「よし、行くよ……リモートレプリカント」
普段は感じぬ不思議な感覚から意識を逸らしながら、ニクロムキャバリアを操る。
それは知性を有した人間型の機械――レプリカントであるニクロムだからこその戦い方。脳波により遠隔操作されたキャバリアを前衛に、ニクロムもまたその手に刀を握り戦場を駆けるのだ。
人型の巨木が大地を踏み砕く――しかしその動きを阻害するように巨体を叩きつけるのはニクロムが操るキャバリアだ。
鋼の巨人がその身を叩きつければ、巨大なオブリビオンはたたらを踏む。
超重量同士のぶつかり合いにより揺れる大地を、砕ける地面をものとせず……生まれた隙を突くようにニクロムは接敵する。
そして刃を滑らせたのならば、彼女が両の手を広げたとえ抱えることが出来ないほどの太さである大樹を切り落とす。
それは通常であれば考えられないほどの切れ味――反抗の竜チタノにより与えられた妖刀だからこそ可能となる神業なのだ。
「まだだよ? まだ解放しちゃだめ……」
しかし優位に進む戦況を前にして、彼女にはどこか余裕が無い様子。
そうした彼女の脳波により操られるキャバリアもまた、どこか精細さを欠いた動きを見せていた。
それは狂戦士の宴によって荒ぶり始めた心の臓を必死に抑える為。
その衝動が彼女の脳波を忙しなく脈打たせるが故だ。
「猟書家に思いきりこの思いをぶつけてやる……今はまだ理知的に」
だが、まだ……まだだと少女は心の内で反芻する。
「これより反抗を開始するどうか反抗の竜チタノの加護と導きを」
しかしそう呟く少女の頬は……僅かに歪んでいたという。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
冒険者から財宝を少々強引にでも取り上げて使わせてもらう
ここで命を落とさなければ、また別の宝を手に入れることもできる
普段より体が軽い、戦闘能力は確かに増幅しているようだな
…しかしやはり、感情の制御が困難になるか
高揚を抑えながら敵の正面で戦い、攻撃を誘う
掌が迫って来たら敵に向けてフック付きワイヤーを射出
敵の体の高い位置へフックを引っ掛け巻き取る勢いで跳躍、敵の体に乗ってしまう事で掌を回避したい
ユーベルコードを敵の腕部へ撃ち込み破壊を試みる
バランスが崩れれば追撃も容易い
敵が動かなくなるまでユーベルコードを叩き込み、動かなくなれば次の敵へ
…ああ、悪く無い。とても気分が良い
今はただ、戦いたくて仕方がない
●
「普段より体が軽い、戦闘能力は確かに増幅しているようだな……」
大樹のような巨腕が目の前で通り過ぎていく様を冷静に見つめながら、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は小さく言葉を零す。
その動きは決して鈍重なものではない……だが容易に避けられる様を見れば、たしかに予知に聞く通り己の身体能力は向上しているのだとそう理解できる。
それは仲間の猟兵の一人が確保した宝物――狂戦士の宴によるもの。
「しかしやはり、感情の制御が困難になるか」
猟兵としての精神力により狂化というデメリットを抑えながら得られる戦闘能力の増幅――本来であればデメリットと言うほどでは無いものの、珍しく感じる己が心の高揚に、シキは不思議な感覚を覚える。
地崩れにさえ見紛う勢いで振り下ろされる巨木を紙一重で避ければ、フック付きワイヤーを投げ巨人の頭へと絡める。
巻き取りその勢いによって己が身体を持ち上げれば、振り回される掌を避けて見せる。
一撃でもまともに喰らったならば無事では済まないだろう。
だがそれを脅威と感じることは無い――なぜならば不思議な全能感がこの身を突き動かすのだから。
「これなら、どうだ?」
轟音と共に放たれる特注の弾丸は木製の巨人の関節を穿ち、その巨人を地揺れと共に大地に沈める。
そうして崩した体勢に向かい続けられる追撃が顔面を破壊しその動きを止めるのだ。
「っ……ああ、悪く無い。とても気分が良い」
咄嗟に口から出そうになる笑い声を噛み締める。
しかし気分は悪くは無い――地面を揺らし続ける周囲の巨人をねめつけ、シキはそう心の底から呟く。
己の中にこうした一面が存在したことに酷く驚く。
だが不思議と、悪くは無いのだ。
狩人は戦場を駆ける。
その口には笑みを浮かべ、巨大な獲物を駆り続けるのだ。
今は唯――戦うことだけを考えながら。
大成功
🔵🔵🔵
ハルア・ガーラント
●WIZ
狂戦士の宴……名前からして恐ろしいです
冒険者さん達から取り上げる方に集中してしまいそこそこヒャッハー状態に
大きな木!
畑や土地を拓く時、おっきな木の根っこを取り去るのが大変なんですよ
故郷でどれだけ苦労したか
その怒りを力に変えましょう
〈銀曜銃〉の聖霊にお願いし[浄化]の炎纏う魔弾を撃ち出します
背の翼を使い空中を駆り、時には敵の枝葉に留まり[踏みつけ]ながら攻撃を
地震に因る振動もやり過ごせます
敵の攻撃は上記の方法の他、素早く他の敵の後ろに回り込み同士討ちを誘います
大人しく伐採されなさーい!
そう叫びUC発動
狙いは迷路への閉じ込めではなく白炎壁による拘束と焼却
ふふ……すこーし、スッキリしました
●
戦場を闊歩するのは大樹のような巨人。
振り回される腕の一本一本が大地を砕くほどの超重量の一撃。
一瞬の油断が死と隣り合わせのその戦場の空を、一人の少女が羽ばたいていた。
「大きな木!」
それは空気が張り詰める戦場にはに使わぬ晴れ晴れとした明るい声をあげながら、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)は戦場を舞う。
本来であれば朗らかに笑うことはあれど、どちらかと言えば気の弱い気質であるハルアが恐怖を感じざるを得ない戦場で呑気に笑うことなど異質。
よく知る者であればぎょっとせざるを得ない光景は――冒険者の持ち出していた宝物、狂戦士の宴によるものだ。
心の底から突き動かされる感情のままにハルアは笑い、戦場を縦横無尽に駆けるのだ。
「畑や土地を拓く時、おっきな木の根っこを取り去るのが大変なんですよ!」
まるで悪童をしかるように気軽に放たれる叱責。
しかしそれは言葉だけによるものでは終わらない――その両の手に握りこまれた銀曜銃が魔力を溜める。
そうして放たれるは浄化の炎――圧縮された炎の魔弾が巨人たちのもとへと次々と降り注ぐのだ。
戦場を舞う天使を打ち落とす為に、その身が燃えることも厭わず拳を振るう巨人たち。
直撃したならば決して無傷では済まされないその一撃も彼女を捉えることも出来ず、空振りした拳が大地を揺らそうとも宙を舞う少女に届くことは無いのだ。
それどころか複雑な弧を描き飛び交う彼女を追う拳は他の巨人にぶつかる始末。
巨人たちは――完全に少女の掌で躍らされていた。
「大人しく伐採されなさーい!」
まるで大地そのものを燃やしつくすかのように、辺りを炎が覆いつくす。
それは触れたものを拘束し燃やし尽くす天獄の白炎壁。
迷路のように複雑に大地を横断する炎の壁は、囚われし巨人を次々と燃やし尽くすのだ。
「ふふ……すこーし、スッキリしました」
次々と炭と化す巨人を見つめ、少女は笑う。
それはそれは楽しそうに……瞳に妖しい光を宿しながら。
大成功
🔵🔵🔵
ルキヴァ・レイヴンビーク
ワタシが光り物を好むのは本能めいたものデショウか
ただの鳥だったチャイルドの頃を思い出しマス
今みたく理性を得る前デスかね、あの頃は
で、なかなかユニークな財宝デスが
この鴉が理性すっ飛ばしたら…枷を外したタダの殺人鬼の出来上がり!
HAHA! 血の代わりに樹液タップリ流して頂きますよ!
両手に片鎌槍握って有無を言わさず飛びかかり
持ち前の素早さで巨体を翻弄するよう立ち回り
敵の悪意感じたままに己の悪意を叩き付け
荒ぶり高ぶる鴉として、獲物に襲いかかるのみ
キツツキではありませんが、その幹に大穴空ける勢いで
現役の野生の鴉に戻ったか如き獰猛な戦いが出来るでしょうね
口調もバーサクしたら道化としてのカナは混ざらずに
●
「ワタシが光り物を好むのは本能めいたものデショウか……ただの鳥だったチャイルドの頃を思い出しマス」
ルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)は目の端に映った黄金で出来た杯――狂戦士の宴を意識しながら、ふと幼き日に想いを馳せる。
知性を得る前――野生のままに、本能のままに過ごしていた頃。
もちろん知性を得たこと自体に後悔は無く、そのこと自体は喜ばしいこと……だが、やはりあの頃だけの自由さもあったとも思う。
故にルキヴァは迷わない……腹の底から湧き上がる衝動にその身を委ねるのだ。
「HAHA! 血の代わりに樹液タップリ流して頂きますよ!」
ルキヴァが両の手に握るのは一対の片鎌槍――フギンとムニン。
広げられた翼は大気を切り裂き、大樹の如き巨人の四肢を抉る。
しかし相手は痛覚の存在しない異形の巨人――四肢を切り落とされようとも、一体、また一体と屠られようとその動きを止めることは無い。
だが捨て身であっても尚、振るわれる拳は無慈悲にも届くことは無い――まるで宙を舞う鴉のように、ひらり、ひらりと猛攻を搔い潜り、その拳が届かぬ死角へとルキヴァはその身を滑り込ませるのだ。
「更に深く蝕む闇、受けてみますか!?」
敵の群れの中心へと自ら飛び込み、ルキヴァから放たれるは闇の波動――荒れ狂う漆黒の波動は巨人たちを飲み込んでいく。
そうして動きを止めたならば、突き出す片鎌槍がその身を穿つのだ。
本来の軽薄な笑みは大きく頬を歪め感情を示し――光を宿さぬ光は煌々と狂気の炎を宿す。
それは正しく野生の荒々しさ――獰猛な狩人として獲物を狩り、全てを蹂躙するのだ。
「HA! HA! HAAA!」
鴉は嗤い、猛り、殺す。
――それが己が本性だとでも言うように。
――それが己が本業だとでも言うように。
大成功
🔵🔵🔵
茜谷・ひびき
冒険者が無事なのはよかったが、状況としては厄介だな……
こう、なんつーか財宝の効果が……
効果が……我慢できねぇなこれ!
こうなったら思うままに暴れちまった方がよさそうだ!
相手はでっかい木の化物か?
それならやっぱり炎だろ
ブレイズフレイムでがんがん炎を生み出して、それを拳に纏わせ殴り込む
でもギリギリのところで理性は保つぜ
冒険者達の方には絶対に延焼させない
相手の手の動きには注意しよう
俺も多少は頑丈とはいえ、あれに握り潰されたら耐えられる訳ないからな
【野生の勘】で動きを察知していこう
あとはひたすら暴力だ!
殴って燃やして全部解決!
単純ですっげー楽しい!
全部のオブリビオンにこうやって戦えたらいいんだがなぁ……
●
「冒険者が無事なのはよかったが、状況としては厄介だな……」
仲間の冒険者たちが戦う様を見つめながら、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)は困ったとばかりに言葉を零す。
予知により危機が迫っていたと聞いていた冒険者たちが無事であることは喜ばしいこと。
そして戦況が有利な現状もまた喜ばしいことだ。
だがひびきの眼前で戦う仲間の猟兵たち――普段の様子を知る者も、知らぬ者も存在する。
だが彼らの全てが猛り荒ぶるその様を見れば、この戦場もまた一筋縄ではいかないと気を引き締めざるを得ないだろう。
「う、なんつーか財宝の効果が……効果が……我慢できねぇなこれ! こうなったら思うままに暴れちまった方がよさそうだ!」
そうこう悩んでいる間にも、ひびきの胸中に渦巻く感情が、腹の底から湧き出る衝動が己を突き動かす。
その力に耐えることが難しいのは仲間たちの様子を見ていれば分かる――であるならば、その身を委ねてしまったほうがマシだ。
「よっしゃあ! こうなりゃ行くぜぇ!」
己が衝動に身を委ね、己が暴力性を開放していく。
胸の刻印が煌々と輝けば、指先からするりと伸びるは鋭き紅の刃。
まるで乱暴に服を破り捨てるかのようにその手を滑らせれば、刃は己が肌を切り裂き紅に染める。
そうしてその身を戦場へと躍らせたひびきの全身から吹き出るは雫にあらず。
荒々しくも猛々しく燃え上がる炎が、ひびきの拳を――その拳を突き立てた巨人を炎に包むのだ。
「は、ははっ!」
目の前に迫りくる巨木が頬を掠めようとも。
例え避けきれずその身を叩き潰されようとも。
殴り、抉り、燃やし尽くすだけだ。
「あぁ……全部のオブリビオンにこうやって戦えたらいいんだがなぁ……」
全てを燃やし尽くした後に広がるその言葉は――。
――愉悦と共にどこか哀愁の色に染まっていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『財宝妖精ブラクテ』
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POW : 財宝の竜<グランツ>
自身からレベルm半径内の無機物を【合体させ、巨大な財宝竜】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD : 収集欲<ベギーアデ>
【財宝】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[財宝]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ : 竜の眼<アオゲ>
【【竜眼の宝珠】の呪詛】によって、自身の装備する【3秒以上視続けた財宝】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナミル・タグイール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「私のお宝に手を出しておいて……このまま逃げ切れるつもり?」
炭と化した巨人が倒れ伏す中、戦場にフェアリーの少女が現れる。
しかし小さき者と侮ることなかれ……彼女こそがあらゆる宝物を操る猟書家――財宝妖精ブラクテその人なのだから。
ブラクテが腕を振るえば、周囲に煌びやかな宝物が浮かび上がる。
そうした彼女の力に呼応するかのように――猟兵の手に握られた狂戦士の宴もまた、小さく振動しさらなる力を開放するのだ。
猟兵たちは額に汗を滲ませ戦場を睨む。
早鐘を打つ己が心の臓を握りしめるように、胸に手を当てながら。
ニクロム・チタノ
さぁ、もう敵はアナタだけ、ココロに猛るこのキモチ、存分に解放させてもらう!
嘆いて、逆さ獣(アイオン)
これが2966番目の獣強大な敵に反抗するためにUDCアースの研究所が生み出した対オブリビオン殲滅兵士、ボクが唯一の成功例
無限の超重力と絶対守護の蒼焔で財宝竜諸とも破壊してやる
超重力で押さえ付けて全力全開のラッシュ、ラッシュ、反抗の妖刀に重力を集中して重力波を斬撃として打ち出す!
オブリビオンめ跡形も無く殲滅してやる!
●
「さぁ、もう敵はアナタだけ、ココロに猛るこのキモチ、存分に解放させてもらう!」
ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)はそう猛々しく言い放つ。
彼女の紅の瞳は煌々と輝き……その気迫は――その言葉の荒々しさは、普段の口数の少ない彼女としては異質。
それもそのはず、何故ならば彼女は細かく振動を続け、今も尚何か圧力を感じさせる黄金の杯――狂戦士の宴を握りしめ、その力を一身に受けているのだから。
敵猟書家、財宝妖精ブラクテの影響によってかさらなる力を開放する、その宝物の力を……だ。
「嘆いて、逆さ獣(アイオン)」
故にそこには……気弱気な少女は存在しない。
己が力を開放し、対オブリビオン殲滅兵士である反抗改人の姿がそこにはあった。
「おいで、財宝竜――グランツ」
そんな少女を見つめ、ブラクテは黄金に包まれたその手を振るう。
彼女の動きに呼応するかのように、周囲を漂う黄金の宝物は動き、寄り集り……そして竜を形作るのだ。
それは黄金で出来た巨大な竜――財宝竜、グランツ。
有る筈もない喉を震わせ雄たけびをあげる財宝竜は、金貨で出来た足で大地を踏みしめ、宝剣で出来た牙をかき鳴らす。
そうして振るわれた宝具が数珠つなぎとなった黄金の尾は、木々を薙ぎ払い少女へと襲い掛かるのだ。
「財宝竜諸とも、破壊してやるっ!」
視界を埋め尽くすかのような黄金が迫り来ようとも、ニクロムは決して焦らない。
重力を操る剣――ランドブレイドを手に斥力を発動させ、その大質量の一撃を受け止めたでは無いか。
力と力がぶつかり合い、崩れ落ちる黄金の尾。
しかしそれはあくまで一つ一つの宝物が一塊となっているにすぎない――崩れ落ちたとて何事も無いかのように再び竜の尾を形作るのだ。
「オブリビオンめ跡形も無く殲滅してやる!」
ならば跡形も無く潰せば良いと、ニクロムは愛刀――反抗の妖刀を手に敵を穿つ。
全力を以って切り落とし、全力で以って突く。
宝物で形作られるが故に断っても仕方ないのであれば、身体を構成する宝物全てを潰せば良いのだと、猛撃を続ける。
そこには気弱気な少女は存在せず――唯々戦い続ける修羅が存在した。
大成功
🔵🔵🔵
加賀・三槌(サポート)
人間のバロックメイカー×戦場傭兵、21歳の男です。
普段の口調は「エセ紳士(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、余裕を無くした時は「荒い(私、お前、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)」です。
思考はやや悪党寄りですが、猟兵として外面を繕っているため行動は善性寄りでも問題ありません。また、他の猟兵に迷惑をかけたり公序良俗に反する行動は避けます。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「……私は、あなたが羨ましい」
己が頬を掻きむしりながら、加賀・三槌(飢え渇く者・f32336)は戦場を睨みつける。
そこには普段の慇懃無礼とした男の姿は存在しなかった――宝物、狂戦士の宴の力により己が精神を高ぶらされた三槌は己が嫉妬心と劣等感を際立たせる。
そして何よりその眼前に広がる黄金の山々が、その高価な宝物を我が物顔で振り回す小生意気な妖精の存在が、彼の心を掻きむしるのだ。
「羨ましい、羨ましい、羨ましい……」
まるで爪で引っかかられた黒板の音を耳元で鳴らされ続けているような。
まるで甲高いエラー音を聞かされ続けているような。
どうしようもない生理的嫌悪が湧き上がるのだ。
「あなた、五月蠅い」
そう喉を掻きむしり続け怨嗟の声を呟く三槌を見下ろし、ブラクテは不快感を隠さない。
その瞳に浮かぶ怪しい光は、己が宝物を狙う盗人が良く浮かべている色――嫉妬の色だと、良く知っているが故に。
だからこそ己が手中の宝玉――竜の眼<アオゲ>の力を開放し、周囲の宝剣を操り串刺しにしてやろうと腕を振るうのだ。
「何、がっ!?」
しかし周囲を浮かぶ宝剣の数々は、彼女の意に反しブラクテその人を狙う。
突如として荒ぶり己が支配下から脱した剣を必死に避けるも、その顔色には同様は隠せない。
「お前が、お前がぁ!」
理由は分からない……だが原因は一つだ、この眼前で喚く男以外にありえないだろう。
三槌が操る力の名は一時的擬態――執拗なまでの嫉妬心がその力そのものを奪わんと猛威を振るい、そして狂戦士の力により増幅されたその異能は一時的とは言え、ブラクテの宝物を操る力に干渉して見せたのだ。
「ウラヤマシィ!」
全てに餓えた男は、果たして何を掴むのか。
怒り狂う男の声が……戦場に木霊した。
成功
🔵🔵🔴
ハルア・ガーラント
●WIZ
※ヒャッハー状態、アドリブ歓迎
そんなに大事な財宝なら名前を書いて肌身離さず持っておきましょうね?
じゃないと狙われちゃいますよ、こんな風に!
3秒以上の時間を与えぬよう〈銀曜銃〉から[誘導魔弾]を小刻みに放ちます
小さいし見失うと厄介です
持ち前の[視力で追跡と索敵]を行い、動きを把握していたい
害意は[第六感]で感知し回避していきますね
3秒ルールに痺れを切らすのはわたしかも
UCを発動し、彼女の動きを遅くしてしまいます
その隙に〈パニッシャー〉に[魔力を溜め]、動きの鈍った彼女の周囲も財宝も纏めて[吹きとばす]一撃を
ふふ、汚物――じゃなかった、猟書家は消毒です!
我に返ったら恥ずかしさに悶えそう……
●
「良い加減私のお宝を返しなさいよ!」
フェアリーの少女は宙を舞いながら怒り狂う。
だがその小さな少女――強大な力を持つ敵猟書家、財宝妖精ブラクテに対し、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)はさらなる高見から見下ろし嗤うのだ。
「そんなに大事な財宝なら名前を書いて肌身離さず持っておきましょうね?」
挑発するかのような物言いは、いつも穏やかな微笑みを浮かべているハルアには似つかわしく無い言動。
それもその筈――何故ならば彼女もまたブラクテにより力が解放された宝物、狂戦士の宴の影響を受けているのだから。
ハルアが握るは、日の光を照り返し輝く白銀の銀曜銃。
放たれた魔弾は生き物かのように弧を描き、次々とブラクテ目掛けて放たれる。
「じゃないと狙われちゃいますよ、こんな風に!」
降り注ぐ白銀の弾丸は的確に小さき少女を狙る。
その弾幕はブラクテの集中を防ぎ、彼女が周囲の宝物を自由に操ることを阻害するのだ。
「アハハッ!」
その猛攻には狂気を伴った気迫が籠められ、追従するように宙を舞い迫りくるハルアに対し、ブラクテは冷ややかな汗を流す。
ギラギラと攻撃的に目を輝かせ、白い翼を広げ大きく羽ばたかせる。
それはまるで獲物を狙う猛禽類――狩人に狙われた獲物は、必死に羽を羽ばたかせ逃げ惑うしかない。
「行きなさいっ!」
しかしその狩りの時間は、決して長くは続かない。
ハルアの呼び声に呼応し虚空から現れた門から飛び出すのは複数の白梟。
自然では決して見られない鳥たちによる群れの狩りにより獲物は動きを阻害され、狩人の銃口からは逃れられない。
「ふふ、汚物――じゃなかった、猟書家は消毒です!」
迫りくる魔弾を防ぐべく、ブラクテはとっさに宝物を操り壁とする。
しかしその動きは十全に非ず――その身に受けた衝撃を殺しきれず、ついには大地目掛けて落ちていく。
「アハハハハッ!」
狩人はその様を見つめ楽しそうに嗤う。
楽しそうに、それはそれは楽しそうにいつまでも。
後に我に返り――その顔を真っ赤に染めるとも思わずに。
大成功
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ルキヴァ・レイヴンビーク
別に此処にある宝はユーのだけのものでは無いデショウに
こーいうのは見つけた者勝ちデス
キルして奪い取るより隙をついてこっそりかすめ取る方がずっとスマート…いえ、何でもありマセンよ?
流石に冒険者の皆様の努力の成果を奪う程、この鴉は外道では無いデス
財宝を集めてパワーアップなさる、と
させマセンよそんなこと
さぁ来なさい我が眷族達
お前達もキラキラ光るものは大好きデショウ?
UC発動、下僕の鴉達を敵周囲に集う財宝に向けて飛ばす
奪って巣に持ち帰りマスかね
そのスモールレディもツツき回して良いデスよ
鴉の群れに紛れて接近
片鎌槍の一閃をプレゼント
Good-bye、イビルフェアリー
骸の海に持たせる土産はありマセンがね
●
「別に此処にある宝はあなたのものだけでは無いでしょうに……」
ふつふつと腹の底から湧き上がり続ける衝動に抗わず、ルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)は戦場を見回す。
そこには普段浮かべる飄々とした笑顔は存在しない――その口元は小さく引き締められ、その瞳にはギラギラとした狂気が宿る。
それは軽薄な道化の瞳にあらず。
狂気に包まれながらも決して冷静さを失わない冷徹な狩人の瞳だ。
「さぁ来なさい我が眷族達……お前達もキラキラ光るものは大好きでしょう?」
ルキヴァによって呼び出されるは、彼の眷属である箱庭の鴉たち。
それは一羽、一羽が敵猟書家――財宝妖精ブラクテを超える大鴉だ。
そしてその数は十や二十に非ず……数えきれないほどの大鴉たちが、空を覆いつくかのような密度で周囲を飛び回っていた。
「こらっ! 私のお宝に触るんじゃ……ちょ、私はお宝じゃないわよ! ひぃっ!」
ルキヴァが腕を一度振るえば、大鴉はブラクテの操る財宝に向かい急降下する。
鴉たちもまた狂気が伝染しているのか――はたまた、本来の気質か。
貪り喰らうかのような勢いで財宝に群がる数えきれないほどの大鴉の群れに、ブラクテは怯えながらも怒声を浴びせる。
しかしその鴉の一部が己を身を啄むならば、もはやその顔に浮かぶのは本能的な恐怖の色だけ。
もはや逃げ惑うことしか出来ないブラクテ――そんな彼女の様子を、狂気と共に嗜虐的に見つめる瞳が存在した。
「Good-bye、イビルフェアリー」
そしてその混乱に紛れ、ブラクテに接敵するは漆黒の殺人鬼。
その手に握る片鎌槍を振るい、鴉に群がられる少女を一閃のもとに切り伏す。
「骸の海に持たせる土産はありませんがね……」
紅の海に沈む少女を見下ろし、そう呟くのだ。
その灰色の瞳は酷く濁り。
――唯々、背筋の凍る狂気の色をのぞかせていた。
大成功
🔵🔵🔵
茜谷・ひびき
こいつが今回の猟書家か
あいつが力を発揮すればするほどテンションが上がっていくのが分かる
自分のとった行動に後悔しやがれ、この野郎
おい、金キラ妖精!
俺達を殺さないと宝は全部持ってっちまうぞ!
相手を挑発し、こちらへ来るようにけしかける
相手の攻撃は正面から受けてやろう
【激痛耐性】で歯を食いしばり、足はしっかり地面に
傷を受ければ受けるほど地獄の炎は迸る
その度にテンションも上がるってもんだ!
そのままの勢いで鉄塊剣を振りかざし、財宝竜に炎の斬撃を放ってやろう
どんなすげー宝だろうと、人を傷つけるような使い方は駄目だ
灰になっちまえ
そのままの勢いで妖精にも斬撃を
小さいなら燃やしやすいな
お前もさっさと燃え尽きろ!!
●
「こいつが今回の猟書家か……」
黄金の宝物たちを自由自在に操る少女。
その彼女が力を振るう度に湧き上がる衝動を感じることこそが、彼女がこの事件の黒幕である敵猟書家――財宝妖精ブラクテであることを教えてくれる。
ならばもはや――話は単純。
眼前の悪戯妖精に、己が所業を公開させるだけだ。
「おい、金キラ妖精! 俺達を殺さないと宝は全部持ってっちまうぞ!」
腹の底から湧き上がる怒りに抗わず、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)はブラクテへと声をかける。
その手には彼女が操る宝物の一つ――猟兵との戦いにより彼女の支配下を脱し地面に転がっていた黄金の剣が握りしめられていた。
「ちょっと、私のお宝に触らないで!」
それを目にした少女は、これまでの戦いによって負った傷など関係無いとばかりに立ち上がり、怒りの声をあげる。
その彼女の怒りに呼応するように宝物たちが寄り集い、巨大な竜――財宝の竜グランツを形づくる。
黄金の竜は雄たけびをあげ、不埒な盗人めがけ突撃を開始するのだ。
「来い!」
しかしその大質量の塊を、ひびきはあえて真正面から受け取める。
ひびきが先ほどまで握っていた黄金の剣が、荘厳な装飾が加えられた槍が、立派な角がこしらえられた兜が――様々な宝物がひびきの身体へと突き刺さる。
だがその激痛にも、ひびきは悲鳴をあげることは無い。
その衝撃を受け止めるように地面を踏みしめ、己を刃に自ら突き刺すかのように財宝竜の顎を大地へと縫い付ける。
そうして己が身が切り裂かれるたびに地獄の業火は吹き上がり、そして狂戦士は悦に浸る。
「どんなすげー宝だろうと、人を傷つけるような使い方は駄目だ……灰になっちまえ」
己が身体から吹き上がる地獄の炎を鉄塊に纏わりつけ、ひびきは炎の斬撃を振り下ろす。
籠められる思いは――敵に対する怒り。
そしてその怒りは、敵全てを灰に変えるまで止まらない。
「お前もさっさと燃え尽きろ!!」
辺りを――地獄の業火が包み込んだ。
大成功
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シキ・ジルモント
衝動を抑える気すら最早起こらないが、それをぶつけられる敵が目の前に居るのだから問題は無い
ユーベルコードを発動、狼獣人の姿に変身
人の姿と銃の射程を捨ててでも存分に戦いたいと望む
壊しても構わない獲物を前に、込み上げる笑いを堪えようとも思わない
敵も強化されている?どうでもいい、ダメージを受けても戦闘を続行
駆けて距離を詰めては爪を振るい、一撃離脱を繰り返す
僅かでも傷を負わせたらその血の匂いまで敵を捉える判断材料として利用する
爪が敵を捉えた感覚、血の匂いにまで煽られる
衝動のまま哮えて爪だけでなく牙まで突き立てて…獣のような様相を曝す嫌悪感より狂った愉悦が上回る
実に愉快だ。さぁ仕掛けて来い、俺はまだ戦える
●
「嗚呼……いい気分だ」
銀色の毛並みの獣人――シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)はゆっくりと熱い息を吐く。
その爪は鋭く、唇から除く牙はガチガチと音を鳴らす。
この姿は奥の手――忌み嫌い、本来であれば進んで開放するものでは無いこの獣性を、しかしシキは抑える気など欠片も持ち合わせてはいなかった。
それは周囲の者を強化すると共に狂わせる宝物、狂戦士の宴によるもの。
心の底から湧き上がる衝動が、本来であれば忌み嫌う獣性すらも肯定する。
ならばその力の矛先を――眼前の敵に、ぶつけるのみだ。
「こ、来ないでよっ!」
「く……くくっ」
牙の間から漏れ出る吐息に、思わず小さな声が混ざる。
猟兵たちとの度重なる戦闘によりその身に傷を負うブラクテは、迫りくる獣に気圧される。
迎え撃つように飛来する宝物の数々――しかしシキはその程度の抵抗はまるで児戯だとばかりに腕を振るい宝物を叩き壊すのだ。
飛来する剣を叩き落し、壁のように立ちふさがる鎧をひしゃげさせる。
防ぎきれない槍がその身を貫こうとも――なんでもないとばかりに肉薄するのだ。
そこには恐怖も痛みも存在せず、正しく狂った狂戦士の姿が存在した。
得意とする銃も、己が心の拠り所である人としての姿も今はもうどうでも良い。
唯その爪に肉を裂く感触を……。
唯その牙に血滴る感触を……。
己が衝動のままに、鼻腔を擽る恐怖の匂い――獲物を追うのだ。
「実に愉快だ――さぁ、続けよう」
鋭い爪が肉を裂き、周囲に血の香りが充満する。
鼻から吸い込まれたその豊潤な香りが肺を満たし、何事にも代えられない刺激に震える。
普段であれば嫌悪感を抱く己が様相がまるで気にならないほどの愉悦が、狂ったように脳内を駆け巡るのだ。
「さぁ――」
その身に突き刺さる宝物を意に介さず、獣は口を開ける。
小さいその身を震わせる獲物にその牙が突き立てられたそのとき――狂戦士の宴は、ようやくその振動を止めるのだ。
大成功
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