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銀河幻影~エンドレス・アグレッサー

#グリードオーシャン #七大海嘯 #エンドレス・メモリーズ #鉄甲船逢魔号

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●マシン・メロウズ
 凍てついた夜の闇、凪いだ海面に浮かぶ星空を眺めて男が呟く。
『見苦しい、な。こんな所に――』
 男の全身をチカチカと薄い光が明滅し、ふと面を上げれば静かだった水面が一斉に波立つ。崩れる白い泡の向こう、いつしか青白い亡霊めいた光が海面に一斉に灯れば、それを見やり男は口元をわずかに歪めた。
『同胞など居ないし、誰も来たりはしない』
 男は続ける。自らの元に集ったかつての世界の仲間/仇敵たち。そして今や自身も含め彼等の一派に過ぎない――そんな結末と始まりに苦笑し、男は静かに手を伸ばした。
『お前の帝国はもう死んだ。全艦注水、急速潜行』
 水平に、まるで何かを求める様に、掴む様な仕草で……合わせて、青白い光は一斉に海底へと姿を消していく。僅かな後、魔女の釜めいた轟音と共に、無数の泡が一斉に沸き立った。それらは全て、破滅の使徒。
『――作戦開始。三つ目の名の下に、尽く終わらせよう』
 そして男も姿を消した。背後にそびえる、まるで城塞の様な巨艦へ吸い込まれる様に。

「お集まりいただき、ありがとうございます」
 ユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)はグリモアベースに集った仲間達へ頭を下げると仰々しく作戦の説明を始めた。スクリーンに映されるのは三日月状に小島が連なる群島。その中央には本島らしき、まるで巨艦じみた鋼鉄の島が堂々と浮かび上がっている。
「今回私が視たモノはグリードオーシャンに迫る危機でした」
 言葉を続けるユーノ。操作パネルを手際よく動かせば、続けて表示されるのは今回の敵――『七大海嘯』と呼ばれる強大なコンキスタドールの一派、三つ目海賊団が誇る潜水艦隊の姿だった。
「三つ目の紋様を船体にペイントした無数の潜水艦隊が、幾度となく戦場になったある島へ迫り来る――予知を視たのです」
 彼等の行き先、ユーノの口振りから察した誰かが呟いた。銀河帝国攻略戦から今に至るまで、ひたすらに戦いの歴史を重ね続けた艦の名を。
「ええ。エンドレス島……今や戦いを忘れたあの島です」
 三日月の群島の中央に鎮座するそれに向かい、無数の矢印が放射状に伸びている。その構図はまるで、生者へ群がる亡者の如き有様だった。

「敵の部隊は二段階、第一段は無数の潜水艦隊です」
 少し間を開け、ユーノが敵戦力の説明を始める。戦場は視界を考慮して恐らく夜襲となるだろう。夜戦で敵の潜水艦隊を迎え撃つとは甚だ不利としか言いようがない。誰かが愚痴る声を聞いて、ユーノはそれでも、と言葉を続ける。
「この世界の技術由来なので潜水艦自体はそれほど強力ではありません。ですが」
 アップで映し出された潜水艦は、まるで巨大な植物の種子の様な形状の、全長100m程の金属の塊に見える。どうやら無理やり耐圧構造を持たせた代償に浮上用バラスト以外の装備が無いらしい。これならば確かに装甲は厚いだろうが、まるで巨大な棺桶――しかしそう甘くはない。問題は潜水艦の方では無いのだ。
「潜水艦の四方には多数の水中戦用ウォーマシンが取り付いて、それ自体が推力となり武装となります。艦の直掩兼動力でしょうね……厄介な相手です」
 続けてモニタに映し出されたのは水中戦用ウォーマシン。つまりこれらをエンジンと武装代わりにして海中の敵を薙ぎ倒しながら強襲揚陸、本島の制圧を目論んでいるといった所だろう。故に。
「この潜水艦隊の迎撃・殲滅が第一段の作戦目標です。その為に――」
 必ず彼奴等を島へ届く前に始末しなければならない。だからこそと、ユーノは力強く言い放った。
「島の、島の人々の力を貸してもらいます」

「敵が揚陸する前に始末出来れば良いわけですから、水中の敵を猟兵の手で葬り水上へ潜水艦を追い込められれば、島の人の手でも撃沈は可能です」
 流石に現地の人々は水中戦闘が出来ない。普通の魚介類が相手ならばまだしも、五体満足な戦闘用ウォーマシンが相手では分が悪すぎる。ならば手が届かない分を我等がこなし、後を任せればいいのだ。続けてスクリーンには物騒な衝角を自慢げに生やした鉄甲船が映し出される。
「こちらの鉄甲船『逢魔号』が力を貸してくれるでしょう。それと、エンドレスもある程度機能は生きています。上手く話をつけられれば力を貸してくれるかもしれません」
 水中戦闘能力が無い者はこの『逢魔号』に乗り、島の人々と共に水上の敵を迎え撃てばいい。それに本島――エンドレスの機能も僅かながら生きている。上手くコアマシンの制御AIと話をつけられれば、人々の為に力を貸してくれるかもしれない。
「他にも敵艦隊を追い込む海域の選定など……思いつく限り、やれる事をやってみて下さい。きっと島の人々は応えてくれますから」
 元々水上バザーが発達した島々である。水中戦装備の提供や鉄甲船の強化などは難しくもない話だろう。
「そして敵の第二段ですが、潜水艦隊を束ねる首領が非常に強力な艦船に座上しています。七大海嘯の三つ目海賊団――その名が無くとも、恐るべき敵です」
 続けて最後の敵――第二段の敵旗艦についてユーノが語る。予知で視えたのは巨大な艦影……そのサイズは揚陸艦の十倍近くはあると思われた。恐らくはスペースシップワールド由来のオブリビオン。一体どんな艦なのだと問いかける猟兵に、ユーノは申し訳なさそうに声を落とした。
「ごめんなさい。詳細までは……ただ、万が一敗れる事があれば、エンドレス島一帯は七大海嘯の縄張りになってしまいます。この戦い、負ける訳にはいきません」
 毅然とした眼差しで猟兵達を見渡し、もう一度深々と頭を下げる。
「お願いします。戦いの海しか知らぬオブリビオンに――どうか、引導を」
 そして開かれたグリモアが潮風と共に、戦場への道を静かに開いた。


ブラツ
 ブラツです。
 今回の舞台は『エンドレス島』に攻め入る三つ目海賊団を迎撃し、
 島を防衛する事が目的となります。

 第1章は日常です。
 エンドレス諸島の住人やエンドレス島のコアマシンAIと会話して、
 来たるべき戦に備えて下さい。鉄甲船の改修や装備の調達など、
 皆様の自由な発想でプレイングをお願いします!
 ただ、島民は非常に協力的ですが、AIはとても慎重です。
 コアマシンAIの説得を希望する際はご注意ください。

 第2章は集団戦です。敵潜水艦隊を迎撃し、島への侵入を防いでください。
 水中戦がメインとなります。水中戦闘装備及び、
 前章の結果により各種ボーナスが付与されます。

 第3章はボス戦です。詳細は不明です。

 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。

 プレイングの募集は各章幕間追加後にお伝えいたします。
 募集期間前後に頂いたプレイングは流れる場合がありますのでご注意下さい。
 他、状況はMSページをご確認頂ければ幸いです。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 日常 『七大海嘯迎撃準備』

POW   :    港や海岸に防衛陣地を築いたり、鉄甲船を強化したり、島の商船や漁船を戦闘に耐えうるように改造します。

SPD   :    島の周辺の潮の流れや岩礁などの地形を把握したり、島民の戦闘訓練や避難訓練をを行って練度を上げます。

WIZ   :    海戦前に演説で戦意を高揚させたり、酒を飲んだり、宴会を開くなどして島民と猟兵の連帯感を高めます。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●楽園
 転移した先、エンドレス諸島は大型宇宙戦艦エンドレスを囲む様に、かつての銀河帝国攻略戦で沈んだ船舶や、戦後の残党戦で生まれた数多の残骸が三日月状に連なって生まれた環状諸島である。今は東の空に日が昇り、冷たい海風が妙に心地よい時刻だった。
『あー、猟兵さんか。ご無沙汰だねぇ』
 転移した猟兵達を案内したのは赤ら顔の巨漢――この諸島を牛耳る水上バザーの元締めだった。以前エンドレスで一騒動あった際には商魂逞しく猟兵と取引をしていたが、今回は初めから様子が違う。商人の顔は鳴りを潜め、時折天に向かって光を放つエンドレスの方を見ながら元締めは言葉を紡ぐ。
『……ずぅーっと、ああやって光を放ってるんだよ。あの島は』
 先の戦いで機能を復調したエンドレスは、無差別砲撃は止めたものの相変わらず自身の奥へ島の人々を迎えようとはしなかった。代わりに、不規則に天に向かって可視光のレーザー光線を放出しているらしい。
『あの島、何だか泣いてるような気がしてね……っと、いけねえ』
 光を放ちながら時折、機械が軋む様な強烈な音が鳴り響くらしい。しばらくすれば収まるが、まるで獣の遠吠えの様だと元締めは続けた。そして本題――これから起こる戦いについて。
『ああ。七大海嘯がこの島狙ってるってんだろ。全く……冗談じゃねえ!』
 風の便りか、あるいは海の男の胸騒ぎか、ここが戦場になり得る事を元締めは承知していた。しかしそれも、このまま放っておいたらの事。やられる前に先手を打てば、戦場は変えられるのだ。
『メガリスは空っぽ、海底の残骸も大分取り尽した。本島は狂った様に光ってる。まあ一部の大砲を引っぺがすくらいは、させて貰ったがね』
 故に、ここには海賊が奪えるようなモノは何も無い……それでも来るというならば抗うのが海の掟。更にここには超級の埒外が、猟兵がいるのだ。タダで終わらせるつもりなど毛頭無いという訳だ。
『喧嘩ぁ売られてそのまま引き下がれるかってんだ。それに最近調子こいてるアイツ等に一泡吹かせられるってんなら、何だってやるぜ』
 そう言うと元締めは手を叩いて部下達を呼び寄せる。武器を持つ者、地図を持つ者、そして情報を持つ者――この島に携わるスペシャリストを一挙に集めたのだ。それだけ、元締めは本気だった。
『鉄甲船の整備や改修は空いてるドックを使えばいい。海流を読むなら人をつけてもいい。潜って戦うってんなら……そうだな』
 武器を持つ部下が来ているごつい服をコツンと叩き、自慢げに商売道具の説明を始める元締め。
『拾いモンだがコイツを着てればしばらくは呼吸が出来る。お前さん達の言う『宇宙服』って奴だ。泳げるならこれで大分潜ってられるぜ』
 猟兵がスペースシップワールドでの活動で使っている古代文明の透明の宇宙服は何故かここでは使えなかった。何がしか不可視の力が働いているのか――ともあれ、代わりになる『潜水服』は幾らでも用意してやるとの事だった。そして誰かが本島――エンドレスの事について尋ねると、元締めは難しい顔をして言葉を返した。
『エンドレス……本島に立ち入る事は出来るが、マジで何も無ぇぞ?』
 先の戦いではコアマシンの制御AIと猟兵が交信した記録があったが、それはあくまで相手が猟兵であったからに過ぎない。島の人々は結局の所、誰もその存在とコンタクトを取る事は出来なかったのだ。
『まあ、好きにしてくれ。日が沈むまで時間はまだある』
 パン、と手を叩き部下たちは解散した。以降、声を掛ければ好きな様にエンドレス諸島の物を使わせて貰えるだろう。調達も改造も交渉も――思う様にすればいい。そして最後に元締めは口元を歪め、猟兵達へ告げる。
『金は要らねえ……ただ、終わったら落ちてるモノは有効活用させて貰うぜ?』
 それは紛れも無い、生粋の商売人の顔だった。
ガーネット・グレイローズ

「やあ皆さん、お久しぶりです」
シルバーホエール号に乗り、【ガーネット商会】の船員を連れて島に上陸。
まずは元締めに挨拶し、バザーへの参加を宣言。
酒類や香辛料、煙草にコーヒーなど、お馴染みの品物を持ち込んで
《取引》開始。
「戦いの前の宴会に、いかがです?」
販売は部下たちに任せ、自分は島民と交流したり、
エンドレスの内部を巡って新たな品物を仕入れたりしよう。
もちろん、《世界知識》で生きている防衛機能を
調べるのも忘れない。
「たまこ、何か使えるモノはあるか?」
にわとり型ドローン『メカたまこEX』を飛ばし、
《宝探し》機能を使って鉄鋼船の改造に使えそうなものを探してみようか。



●有意義な取引
「やあ皆さん、お久しぶりです」
 陽光を避ける幅広の帽子を被り、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が船上から静かに目礼する。相手は元締め――先の戦いの取引相手だ。
『アンタか……また何か売りつけようってのか?』
「ええ。無論、それだけじゃありません」
 さんざめく潮風の音を背後にボトルシップ『シルバーホエール号』を本島横の連絡島に接舷したガーネット。身なりの整った船員達と上陸し――酒類や香辛料、煙草にコーヒーなど、一流の嗜好品や数多の食料を持ち込んで微笑する。
「――戦いの前の宴会に、いかがです?」
『へッ、景気付けにゃあ丁度いいな』
 エンドレス諸島は貿易が活発なだけあって、それに携わる人々も沢山居住している。故に目利きも多い彼等にとっても、どれもが破格の品々である事は直に読み取れた。だからこそ、そんな大盤振る舞いをするガーネットの真意を元締めは探る。
『……で、本題は?』
 そもそも利害は一致している。だが単なる協力以上の事を望むとなれば相応の対価が必要だ。取引の基本に従って真正面から乗り込んだガーネット――兵站を掌握するにはまず人心から。数多の戦争の例に倣い、万全を期す為の策ならぬおもてなしといった所か――狙いは恐らく。片目を閉じて元締めが訝し気にガーネットを睨んだ。
「ええ、エンドレスへ上陸したい」

「たまこ、何か使えるモノはあるか?」
 道すがら島の人々に話を聞いたガーネット。薄暗いエンドレス内部は粗方目ぼしい物を獲り尽くしたとの事だが、どうやら『すぐに使えるモノ』が大半だった。確かにスペースシップワールド由来の様々な品を正しく使いこなす事が出来るのならば、恐らくこの艦は既に鯨の死骸の様になっている筈だ。海洋と宇宙、場所は違えど船ならば同じく有用な品々が揃っている事に違いはない。
「……成程、な」
 端末に映し出された艦内の見取り図をリアルタイムで送られてくる情報と照合する。一番大きかったのは防衛システムが須らく沈黙している事。それと同時に、かつての戦闘で相まみえた無数のウォーマシンも一向に姿を見せなかった事だ。どうやらエンドレスが先の戦いで得たダメージの補修に全力を注いだ結果らしい。それも相まって『お宝』の大半を獲る事が出来たのだろう。
「軽量複合装甲のタイルに、フィールド発生器、レーダーの予備部品か」
 だから、ガーネットは『未使用の部品』に当たりをつけた。斥候代わりにエンドレス艦内へ放ったドローン『メカたまこEX』の調査によって見つけ出された種々の品々は、倉庫らしき廃墟の奥でぶっきらぼうに積み上げられていた。傍から見れば残骸の様でも、これらはまだ十分に使用できる品々だった。
「鉄甲船には大型動力が無い。タイルと予備部品だけ回収しドックへ回せ」
 目的はこの先随伴する鉄甲船の改修資材の確保。宴で興に乗せれば人々もきっと快く改修を手伝ってくれる。目ぼしい資材を手配して、戦友と入れ違う様にエンドレスを後にするガーネット。戦は事前の準備で勝敗が決まるもの。油断無く振舞うその佇まいは、正に将の風格だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽向・理玖


バザー楽しかったし
島守るの手伝ってやりてぇ
とは言え海戦…なぁ…

わっかりにくい浅瀬に追い込むとか
先細りになってて出れなくなるような洞窟に誘い込むとか
何か海底に仕込んで船体にダメージ与えるとか…?
動かなくなったら島の人でも攻撃しやすいよな?
とりあえずこの辺の地形教えて貰っていい?

あとこの島って子供とかっているの?
いや…
子供でも何か出来ないかって思ってるような奴がいるなら
準備位一緒にやろうかと思って
…俺がそうだったからさ

一緒に風船爆弾でも作るか
小麦粉入れた奴とか
香辛料…胡椒とか唐辛子の粉入れた奴とか
あとは油?
目くらましくらいには使えそうだろ?

ちゃんと使うよ
だから本番は逃げるのが仕事だ
あとは任せとけ


鏡島・嵐

うーん、あくまでおれの主観だけど、ちょっとした戦争って感じだな。
正直今の時点でもすごく怖ぇけど、泣き言は言ってられねえか。
出来ることを頑張らねえとな。

落とし物は有効活用するってか。逞しい話だ。
そうだな、なるべくいっぱい落とし物が出るようには努力すっかな?

戦力はいくらあっても不足しねえから、〈コミュ力〉を活かして協力してくれそうな人にどんどんコンタクトを取っていく。
もし頼まれ事とか、準備とかの手伝いがあるようなら率先して引き受ける。準備をしっかりすれば島の人からの心証は良くなるだろうし、何より犠牲も減るし。
……もしかしたら、慎重派だっていうAIの考えにも影響を及ぼせる可能性だってあるしな。



●守る為に
「バザー楽しかったし、島守るの手伝ってやりてぇ」
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)はガタガタと音を立てる資材運搬用のタグボートに乗って、エンドレスへ向かいながら穏やかな海面をじろりと眺める。こんな平和な所が戦場になる――想像するだけで許しがたい行為だ。
「とは言え海戦……なぁ……」
「うーん、確かに。あくまでおれの主観だけど、ちょっとした戦争って感じだな」
 だが、海での戦いはそこまで慣れてはいない。同乗している鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)と共に首を傾げ、何をどうすべきか思案する。冷たい海風が二人の頬を撫でる度、不安がのったりと鎌首をもたげる様な気がした。
「正直今の時点でもすごく怖ぇけど、泣き言は言ってられねえか」
 それでも、いつもの事だ。いつも通り戦って、守り抜く。それだけは決して変わらない。きらりと海面に反射した光が嵐の目に入る――この綺麗な世界を、オブリビオンに滅ぼさせるわけにはいかない。
「出来ることを頑張らねえとな」
「うん――言う通りだ。船員さん」
 嵐の決意に頷いて、理玖が操船する壮年の男に声を掛けた。こういう所で戦うにはどうするのがいい? と。ありったけの想像を働かせて言葉を続ける。
「やっぱり、わっかりにくい浅瀬に追い込むとか、先細りになってて出れなくなるような洞窟に誘い込むとか、何か海底に仕込んで船体にダメージ与えるとか……?」
『うーん。ここらのガラクタは大分獲り尽くしたし、それが増えるんやったら……』
 男は少し困ったような顔をしつつ、訛りのある声色で静かに返した。意外と暢気な回答――しかし決して臆する訳でも無く、必ず生き残るという静かな意志の表れ。
「落とし物は有効活用するってか。逞しい話だ」
 その言葉に嵐は苦笑して、その意志に報えるよう決意を伝えた。これで終わりでは無いのだ。ここから新たな始まりになるのだから、と。
「そうだな、なるべくいっぱい落とし物が出るようには努力すっかな?」

「――とりあえずこの辺の地形教えて貰っていい?」
 再び理玖が男に問う。水中とはいえ戦場でやれる事、やる事は大きく変わる事は無いだろう。地形を上手く使えれば戦況は大いに有利となる筈だ。それが分かれば色々と仕込む算段も立てられる。
「しかし、何か仕込むとかどうするんだ?」
「それは、多分……大丈夫だと思う」
 嵐の言葉にそっと連絡島の方を見やり思案する理玖。見知った頼もしい仲間が既に上陸し、何かを始めている事は把握していた。きっと同じ様な事か、あるいはそれ以上の事を考えているだろうから――自分はせめて、手の届く範囲だけでも守り抜きたいと思った。
「あとこの島って子供とかっているの?」
『いるけど、どうすんだい?』
 思いもよらぬ理玖の質問に素っ頓狂な声を上げた男。子供が戦えるような相手では無い事は明白だ。言いたい何をするつもりだと不思議そうに理玖を見る。
「いや……子供でも何か出来ないかって思ってるような奴がいるなら、準備くらい一緒にやろうかと思って」
 俺がかつてそうだったから。だから、そういう子がいたら『間違った選択』をしない様に、せめて、寄り添えるようにと心に秘めて。
『気持ちは嬉しいが、無理すんなや』
「子供がいる所まで敵が来るってのは、そういう事だもんな」
 嵐が続けて言う通り、子供がいる所まで敵が攻めてくるとなれば、それは最悪の事態だろうから。
「だから尚更……そんな時、何も出来ないのが、一番怖いから」
 一番怖くて、危ないから。故に万が一にでもそうなった時、恐怖に駆られ過ちを犯さない様にと――それが理玖の願いだった。

「手伝うよ。日が沈む前に終わらせなきゃならないんだろ?」
 エンドレスに到着した時、既に先発の猟兵が艦内の資材を運び始めた所だった。嵐は早速荷運びをする若者の中に混ざって、鉄甲船の改修に使う資材の運搬を手伝う。グリードオーシャン故に発達した機材は易々と用意出来ない。こういう時は人の力のみが頼りである。
「よーし、いい事教えてやる。ちょっと来な」
 一方、理玖は親に連れられ手持ち無沙汰にしていた子供達に声を掛ける。元は戦場だった場所だ。ある程度の補修はされているが、それでも危険な場所である事は変わりない。浅く沈んだ船体の上で水遊びに興じていた子供達は理玖を不思議そうに見上げ、その手にある何かを興味津々に眺めた。
「こうやってな……出来た。見てろよ」
 理玖のお手製、風船爆弾。材料は風船の中に海水と粉――小麦粉など、粉っぽい物を混ぜ入れて放り投げれば、破裂した風船の中からべちゃりと飛び散った中身が飛散するだけの代物。
『おー……』
「目くらまし位にはなる。もし逃げられなかったら、時間稼ぎは出来るかも」
 他にも香辛料を入れ込んだ簡易煙幕、海水の代わりに油を入れ込んだ油風船など、子供の手でも作れそうな護身道具――使わない方がいい。ただ追い詰められた時、戦わなければ生き残れない時に、僅かでもその可能性を上げる為のお守り。
「ただ、やっつけようとするなよ。相手は超強い。逃げられるだけで大したものだ」
 だから生命を大切にな。祈る様な理玖の言葉に、子供達は静かに頷いた。

『済まないな。ドックに人手が取られてて、助かったよ』
「これくらい大丈夫さ。それに、きっと」
 嵐も資材の搬出作業を粗方終えた所だった。時刻は正午くらいだろうか、高々と昇った陽光の日差しが眩しい。短い時間だったとはいえ、島の人々と協力し必要な分は揃えられた。そして共に汗を流す中で、嵐はエンドレスの声を聞いた様な気がした。
「きっとこの艦も、力を貸してくれる」
『ハハ、まさか』
 異邦人が原住民と共に、生き延びる為に力を合わせる。まるで家族の様に――船乗り達の古の掟だ。それは遥か彼方の大銀河でも同じ事。互いに力を合わせ困難に立ち向かう。その姿がこの艦に憧憬を思い起こさせたのだろうか。不意に重苦しい、扉を開く様な重い音が聞こえたのだ。
「頼んだぜ」
 きっと、これまで人々を遠ざけていたこの艦が心を開いたのだろう。入れ違う様に最奥へ向かった友の背を見送って、嵐は薄く微笑を浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる


あの光は他の船へ向けての通信、ですよね。
まるで「あなたはそこにいますか」「わたしはここにいます」って、言ってるみたい。
……彼らの目指した「楽園」はここにあった。
でも、あれを見つけてやってくるのは……「過去」に塗れた、逸れ者。
この群島の満ち足りた日々を制圧する、鋼の巨兵たち……

エンドレスのAIさんにお話をしに行く
具体的な内容は「この島に海賊が迫っていること」「恐らくは以前の『スカル』と同様の使命を忘れた機体群であること」
その上でわたしがお願いするのは、なんでもいいので「島の守りを固めること」

あなたの宇宙を終わらせないために、今は無理でもいつかその声をあなたの同胞に届けるために
共に、戦いましょう


トリテレイア・ゼロナイン

(艦内部へ)
ご無沙汰しております、エンドレス様
直接のハッキングは礼儀にもとりましたので、こうしてお伺いに参りました

以前、貴方は仰られました
元々は宇宙の民の新天地を探すことが己が本懐であると
あのレーザー、救援信号に類する物でしょうか

…戦いを厭うているのですね

理由が同一とは限りませんが、私も同じです
傷つき、手を血で汚し、有形無形…『何か』の喪失は避け得ない
御伽噺の『めでたしめでたし』など何処にもありはしません

ですが、新天地と定めた第二の故郷の人々
彼らとその故郷の喪失を許容する限り…貴方は永遠に『余所者』です!


喪わせぬ為の防衛計画の立案にはご助力いたします
七大海嘯迎撃の為、機能の解放を要請します



●我は此処に有り
 静謐な暗黒の中、微かな振動音と時折明滅す小さなランプの光、そして大小の息遣いが木霊する。戦艦エンドレス最奥――コアマシン制御AIのメインサーバー。外界と隔絶されたその空間に、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)と荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)が訪れていた。
「ご無沙汰しております、エンドレス様」
 恭しく首を垂れて言葉を紡ぐのはトリテレイア。先の戦いでは終ぞ訪れる事の無かったこの艦の頭脳にして心臓部。駆動音と共にゆっくりと頭を上げて、アイセンサらしきカメラに視線を向ける。
「直接のハッキングは礼儀にもとりましたので、こうしてお伺いに参りました」
 艦内の電子経路は既に掌握していた。だがそれでは、強引に自らの声を届けるだけでは本来を果たす事など出来はしない。故にトリテレイアはひかると共に、ここまで足を使い赴いたのだ。
「以前、貴方は仰られました。元々は宇宙の民の新天地を探すことが己が本懐であると」
 戦艦である前に星々を失った人々を、種を伝播させる事が本来の使命。だからこそ、エンドレスはその使命を細々と全うし続けている――トリテレイアが導き出した演算の答えは、至ってシンプルな、非常に機械らしいものだった。
「――あの光は他の船へ向けての通信、ですよね」
 その意をひかるが静かに告げる。精霊の声とは違う……けれど、異なるモノでは無い。機械に宿りし思いが空を裂いていつか届けと、祈る様な光を見てそう感じ取ったから。
「まるで『あなたはそこにいますか』『わたしはここにいます』って、言ってるみたい」
 その声が届けばきっと同胞がやって来る。念願の新天地へ、人々を繋ぐ為の生命溢れるこの大海原へと。しかしその祈りは、願いとは違い邪なるモノ達を呼び寄せた。
「でも、あれを見つけてやってくるのは……『過去』に塗れた、逸れ者」
 オブリビオン――この世界ではコンキスタドールと呼ばれる略奪者。現在と未来と生命を否定し、混乱と戦乱と破壊を呼び込む骸の使徒達。
「この島に海賊が迫っています。恐らくは以前の『スカル』と同様の使命を忘れた機体群……」
 彼等にエンドレスの祈りは通じない。誘蛾灯に群がる虫の様に、争い、奪い、喰い尽くすだけ。このままではいつか星の海を渡り来るであろう同胞達に、何も伝える事も、残す事も出来はしない。
「最早、戦いは避けられません。ですから」
 声を振り絞り、静かに目を閉じてひかるが祈る。どうか、力を貸して欲しい……すがるようなその姿に、それでもエンドレスは微動だにせず言葉を返さない。何故ならば。
「……戦いを厭うているのでしょう。私も」
 トリテレイアが言葉を挟む。エンドレスはずっと戦いを避けていた。運命に翻弄され、かの大戦に巻き込まれ、妄執に駆られたウォーマシン達にその願いを足蹴にされ続けた。それでも彼等を責める事は出来ない。誰しもが己の内なる声に従い、必死に使命を全うしようとした事を否定など出来はしないから。だから骸に墜ちた同胞も亡き今、再び運命に翻弄されようとそれは仕方の無い事だと結論付けていた。
「理由が同一とは限りませんが、私も同じです」
 しかしトリテレイアはエンドレスの諦観を許せない。ひたすら耐えて待ち望む事は、全てにおいて美徳では無いと機械騎士は身をもって知っているから。
「傷つき、手を血で汚し、有形無形……『何か』の喪失は避け得ない。御伽噺の『めでたしめでたし』など何処にもありはしません」
 御伽噺に救いを求めた自身だからこそ、それを成しえる為に抗わなければならぬ事がある。幾度となく五体を傷つけ、その度に自らを高めてここに辿り着いた機械騎士は、声を張り上げてエンドレスへ宣告する。
「ですが、新天地と定めた第二の故郷の人々――彼らとその故郷の喪失を許容する限り、貴方は永遠に『余所者』です!」

「だから」
 長い沈黙を破ったのはひかるの声。可憐ながら凛とした少女の声が空間にそっと染み渡る。
「あなたの宇宙を終わらせないために、今は無理でもいつかその声をあなたの同胞に届けるために」
 ひかるとて自ら戦いを望みはしない。だがそれ故に諦めた事などただの一度も無い。声を張って、沈黙を守り続けるエンドレスへひかるは問いかける。
「……彼らの目指した『楽園』はここにあった」
 ここは冷酷な宇宙空間では無い。暖かい日の光もあれば大気もある。生きる為の生命にも溢れている。鋼鉄の帳に閉ざされた闇の世界では無いのだ。
「でもこのままじゃ、その『楽園』も同じ様に、あの暗黒の世界と同じ様になってしまいます……」
 ひかるの言う通り、迫るオブリビオンの成すが儘にされればここも闇に落ちてしまう。果たしてそれは、あなたの――エンドレスの望む事なのか、と。
「共に、戦いましょう」
 望みを果たす為に、今一度立ち上がる時だ、と。ひかるの言葉に続いて、再びトリテレイアが口を開く。
「喪わせぬ為の防衛計画の立案にはご助力いたします。七大海嘯迎撃の為、機能の解放を要請します」
 それはインペリアル・コード――失われし帝国の旋律に乗せて、トリテレイアは電子の音色を古強者へと厳かに届けた。

『……懐かしい』
 指令コードを受信。特A級暗号化文書を確認――解凍。チカチカとランプの明滅が激しさを増し、場に響いたのはノイズ混ざりの老婆の嗄れ声。
『あなたは、貴官は――そうでしたね』
 それこそがエンドレス自身の本来の声。静謐な空間の緊張を高める厳かな声色。懐かしい秘密の文通――機密コードでのやり取りに、エンドレスは襟元を正す。
『現在、本艦は乗員を全て失い、指令系統が完全に停止しております』
 全てを失い、ただ一人辿り着いたこの地で。目の前の機械騎士は――かつての同胞は宣った。辿り着いた星で永遠の『余所者』の身に甘んじるのかと。
『私に残された緊急時対応指令は、機能保全を最優先に、次点で友軍への救援要請』
 否。断じて否。種の保全の為の侵略は目的では無い。厳しい大海原に生きる者の不文律――それは宇宙も地上も変わりはしない。それをずっと見届けていたからこそ、エンドレスはトリテレイアの言葉に軍人として返礼した。
『次点目標の達成を確認。暫定措置として貴官を一時的に、本艦最上位権限者へ任命します』
「受諾します」
 トリテレイアのセンサが僅かに瞬き、時限式の管理者権限がステータスに追加される。これでエンドレスの協力は取り付ける事が出来た。
『承認を確認。現時点での情報を共有――完了。さて、最優先は機能保全である事は変わりません。その為に必要な事――』
 やり取りした相互のデータは海域や敵軍の情報。全長1000m級の巨艦が相手となれば銀河帝国軍のライブラリに残っていようものの、残念ながらそれは不明のままだった。それでも、エンドレスは力強く作戦の遂行を宣言する。
『最終目標遂行の為、最善を尽くしましょう』
「エンドレスさん……」
 古強者は目覚めた。今一度、己を含む全ての生命の為に。
『ありがとう、騎士よ。少女よ』
 ゆっくりとカメラでひかるを見下ろすエンドレス。少女の言う通りだ――見つけた新天地を略奪者にくれてやる謂れは無い。
『私はもう違えない、私の未来は私自身の手で』
 この『楽園』を、人々を護る為に。
『――私達の、生存の為に』
 やがて来るであろう、まだ見ぬ同胞の為に。
 その心を燃やす事を決めたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

秋月・信子
●SPD

潜水艦による敵の艦隊、そしてそれらには水中戦用ウォーマシン取り付いて押し寄せて来る、ですか
そうなれば、鉄甲船『逢魔号』の改修やコアマシンAIへの説得は他の方たちに任せ、私は島民さんの案内の元で島を周りながら潮の流れを【情報収集】しながら確認します
潮の流れは時間帯や潮の満ち引きによって変わるかもしれませんし、ここに長年住まわれている地元の方はそれを熟知しているでしょう
道が険しければ、まだ時間は十全とありますが体力の消耗を抑える為に【影の魔獣の召喚】
島民さんと一緒に影の黒豹に乗りながら移動していきます

それとこの本島は周囲の群島に守られているようですが、海の中に岩礁帯についても尋ねてみます



●決戦準備
「潜水艦による敵の艦隊、そしてそれらには水中戦用ウォーマシンが取り付いて押し寄せて来る、ですか」
 秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は嘆息した。時刻は正午を過ぎて、周囲では昼の作業が始まった所。AIの説得や鉄甲船の改修は仲間に任せ、自身は『影の黒豹』に乗りながら各島を哨戒し――想定以上の危険な状況に舌を巻いていた。その様子を見やり、島々を案内していた傍らの若者が不安そうに信子の様子を伺う。
『で、どうすんだい?』
「地上戦は危険過ぎますね。全島民を避難させるとしたら――」
 まず、エンドレス諸島は本島の戦艦エンドレスを除き、大半が浮遊資材を繋ぎ止めた浮島で構成されていた。中には連絡島の様に元々存在していた大きめの岩島もあるが、殆どはそれこそ『魚雷一発で轟沈する』様な巨大な艀船に過ぎない。その上に点在する建物も簡素な造りのバラックばかりで、地上戦をやろうものなら瞬く間に大火に包まれてしまうだろう。
「エンドレスは、本島はどのような状況で?」
 せめてもの救いは戦艦エンドレス自体の装甲はある程度健在であるという事。元々移民船だった事もあり、全長1.3kmの巨艦のバイタルパートは先の戦いの修繕も完了していた。一時的な避難をするには十分な状況であろう。しかし。
『でも、大砲やら何やらかっ剥いで俺達の船に付けてるからなぁ……』
 艦に備え付けの武装の大半――とは言え、彼等が運用できるレベルの物だけであるが――は、島の人々がこぞって自分達の為に降ろしていたのだった。くいと顎を引いて若者が見せたのは、大きめの漁船へ強引に備え付けた艦体防空兵装だったモノ。
(内臓ジェネレータ式の対空ビーム砲ですか。これならば敵艦も落とせるでしょう)
 確実な動作を担保する為に動力自体を内蔵したビーム砲塔だった。確かに、これならば潜水艦擬きの装甲ぐらい穴を空けられるだろう……相手が海上に上がればの話だが。これならば確かに、多少は歯向かえるかもしれない。
「では戦いが始まる前に、全島民を本島へ避難させましょう。あと……」
 戦闘前の最も重要な決め事は出来た。後は如何に戦うか――特に潮の流れは大勢に大きく影響するだろう。その問いに若者が溌溂と答える。
『ああ。丁度本島の背後へ向かって流れる様な潮流だなぁ』
「それも厄介ですね。突破されれば直接攻撃されてしまう……岩礁帯は?」
 普段この辺りで漁をしているのであろうか、浅黒く焼けた肌を誇る様に若者は言葉を続けた。曰く、岩礁帯は本島周辺にはあるが、広がっている各島の周りには元々残骸が散らばっていただけで、比較的あっさりとした地形である、という事だった。
「成程……可能な限り入られる前に始末する、しかなさそうですね」
 潮の流れに乗って背後から攻められては元も子もないし、懐に飛び込む事も容易だという。しかしその状況を逆手に使えば、恐らくは……意味深な笑みを浮かべ、信子は本島へと向かい足を伸ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
迎撃戦だろ?じゃあ話が早い
相手がどこから来るかも想定ついてンだ
とっとと準備してもらっちゃお
島の周りに機雷を沈めて――出来れば三段階くらいは欲しいな
ちょいと準備してくンねえ?
あー、設置ね。俺がやるからいいよ
細っこいガキで女にゃ無理?はは!確かにね
――これならどうよ。【DEEPER】

エコー、俺たちがピカピカAIと
話が出来るとは思えねェンだわ
メッセージ性があるのはまァ間違いないだろーけどさ
CQCQかトンツーなのかさっぱりだが
得意な奴に任せたほうが安牌だろ
オーケー、ンじゃ落ちないようにネ
俺「たち」も周りのことは知っておきてェし
――ああ、本当に。皆殺しにしないとな
海を荒らす悪い子ちゃんたちはよ


エコー・クラストフ
【BAD】
これでも海賊だからな、海の戦いは慣れている
とはいっても、そうだな……船に乗るのが海賊だから、島の防衛はあんまり経験がない。それなりの罠が貼れたら上出来かな
【一切の希望を捨てよ】。水中だったらボクはどこからでも鉄線を沸かせられる
これで多少でも機雷の位置を操作するよ

うーん……ボクもああいう機械と会話できるタイプじゃないな
ハイドラがわからないならボクにもわからない。アレは無視でいこう

敵が来るまでまだ時間はあるんだろ? じゃあ、ハイドラの背中に乗せてくれるかな
この島の周辺の地形や潮の流れを見ておきたい。いざという時役に立つからね
静かで良い海だ。これを乱そうとする奴は……皆殺しにしなきゃな



●Beauty And Dangerous
 エンドレス諸島は比較的穏やかな気候の下で発展してきた。大きく帆を広げたサルベージ船がゆったりとその威容を揺らしながら、鏡の様に滑らかな海面に浮かんでいる。その船上で二つの人影が寄り添っている。
「これでも海賊だからな、海の戦いは慣れている。とはいっても、そうだな……」
 エコー・クラストフ(死海より・f27542)が静かに語る。少年めいた姿のエコーは船乗りらしい厚手の外套に身を包み、海の声を聞く様に穏やかな潮風を全身で浴びていた。そして物静かな少女の声色でエコーは言葉を紡ぐ。
「船に乗るのが海賊だから、島の防衛はあんまり経験がない。それなりの罠が貼れたら上出来かな」
「つーか迎撃戦だろ? じゃあ話が早い。相手がどこから来るかも想定ついてンだ」
 とっとと準備してもらっちゃお――エコーの肩に手を寄せる傍らの美女、ハイドラ・モリアーティ(Hydra・f19307)が荒っぽく続いて、時折白波が跳ねる海面をじろりと眺めた。この辺りの大まかな様子は先行した猟兵より聞けていた。そして結論、海の中で殆どの決着をつけなければ非常に危うい事も知っていた。
「島の周りに機雷を沈めて――出来れば三段階くらいは欲しいな。ちょいと準備してくンねえ?」
『準備ってよお、ネタはあるけどどうすんだい? ここらを覆うのにドンだけ時間が掛かるとでも……』
 くるりと背後へ振り返り船員へ指示を。まるで臆する事の無いその仕草に、熟練の船員は途方もないハイドラの計画に異を唱えた。現在、沿岸部の防衛準備の為に出港したサルベージ船は全島分の総数だ。これらに積まれたモノはハイドラの伝手で手に入れた夥しい数の機雷。それをたった一人でどうするつもりか……幸か不幸か穏やかな海風では、機敏に動く事も難しいというのに。だがハイドラはその疑問に呆気なく答える。
「あー、設置ね。俺が全部やるからいいよ」
『ハァ!? アンタ一人でか、ここの船全部の対潜機雷を撒くって――』
 どう考えても無理だ。猟兵が時折持っている得体の知れない高速船がある様には見えない。日暮れまでにこれら全てをばら撒くなんて到底不可能……しかし、口へ出す前にハイドラのえも言われぬ威圧感が、その次の言葉を紡がせない。そして。
「細っこいガキで女にゃ無理ってか? はは! 確かにね――じゃあ」
 船乗りの直感は正しかった――ハイドラ。HYDRA……異なる世界に住まう、海を司る母なる暴虐の怪物。背面跳びで海中に飛び込んだ美女の影が膨れ上がり、途端に巨影が――海面を突き破って現れた九つ首の巨竜が、サルベージ船団を覆い尽くした。
「これならどうよ」
『どうにもこうにも……』
 明らかに船よりも巨大なサイズ。金色の裏面がきらきらと陽光を反射し、くぐもったハイドラの大きな声と共に竜の大首がぶるぶると震える。その様子を見上げたエコーが僅かに口元を綻ばせて、静かにサルベージ船の縁へと立つ。
「水中だったらボクはどこからでも鉄線を沸かせられる。これで多少でも機雷の位置を操作するよ」
「任せるぜ。ンじゃ」
 早速、無数の機雷を背負った巨竜がざばんと海底へと潜る。船上ではエコーが解放した力――開かれた地獄の扉が、まるでのたうつ亡者の様な無数の有刺鉄線が、ハイドラの後を追う様に海面に出現した。それらは水の中で自在に伸縮し、あたかも大海蛇の如き歪な動きで海底目掛けて伸びていく。
『何なんだ……アンタらは……』
「成程ね、綺麗な海だ。余り汚したくは無いが……少しだけの辛抱だよ」
 そのまま海の深さを測り、底の地形を測り、要望通りの三段重ねの高さで数多の機雷を丁寧に整頓するエコー。時折高速で海中を進むハイドラが生み出した大きな泡が海面で爆ぜて、あわやと驚く船員達を尻目に、二人は獲物を捕らえる罠を淡々と拵えていった。

「エコー、そもそもだ。俺たちがピカピカAIと話が出来るとは思えねェンだわ」
「うーん……ボクもああいう機械と会話できるタイプじゃないな、確かに」
 海面から大きな首をにゅっと突き出すハイドラ、それを見上げるように座るエコー。二人はそれぞれが海上と船上で向き合い言葉を交わしていた。罠の設置は完了。幸い大量の機雷を即座に手配出来たお陰で、想定以上に早く仕事が終わったのだ。次にやる事は――と静かに浮かぶエンドレスの方を見やり、二人揃って溜め息を吐く。あれと対話をする位ならクラーケン狩りの方が余程楽だという回答が、丁度出そろった所だからだ。
「メッセージ性があるのはまァ間違いないだろーけどさ。CQCQかトンツーなのかさっぱりだが――得意な奴に任せたほうが安牌だろ」
「――ハイドラがわからないならボクにもわからない。アレは無視でいこう」
 気にはなるがどうにもならない事に時間を掛ける余裕は無い。むしろこの先、夜を迎える迄にやるべき事は他にもある。
「それより、敵が来るまでまだ時間はあるんだろ?」
「話じゃ日が落ちてからだ。十分あるぜ」
 その言葉にすっと立ち上がったエコーはハイドラの方へそっと寄り、雫の滴る鱗を優しく撫でながら言葉を紡いだ。
「じゃあ、ハイドラの背中に乗せてくれるかな」
 時刻は正午から三時間ほど過ぎた頃。やや日は傾いて潮風が冷たさを増してきた。それでも未だ穏やかな海面は日差しをきらきらと反射して、優しく二人を照らし続ける。
「この島の周辺の地形や潮の流れを見ておきたい。いざという時役に立つからね」
「オーケー、ンじゃ落ちないようにネ」
 俺『たち』も周りのことは知っておきてェし。ざばんと大首を伸ばしてタラップの様にエコーを迎えるハイドラ。慣れた足取りでその大首へ乗り上げて、巨影は再びゆっくりと海路を渡る。海鳥の鳴き声と風の音が耳を通り、時折大きな魚が海面を跳ねた。
「静かで良い海だ。これを乱そうとする奴は……」
 全身で海の大自然を感じて、エコーは水平線の彼方を見やる。争いの無い穏やかな日常――この世界においてそれは紛れもない宝である事を彼女は知っているから。だから、それを脅かす悪しき者共への応えは一つ。
「皆殺しにしなきゃな」
「――ああ、本当に」
 ニヤリと巨竜がその大口を歪ませて、内なる俺『たち』が呼応する様に残る八つの首をざばんと大きく持ち上げた。
 皆殺しにしないとな……海を荒らす悪い子ちゃんたちはよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆リア(f04685)と


どことなく落ち着かない様子のリアを見て
なんとなく――少し、察するものはあるけど

ひとまずは、できることからやろう
といってもやれるのはマッピングの手伝いくらいか
敵襲がまだ先なら、潜水服を借りて潜っても問題ないだろう

……とはいえ、一人じゃ広大な海域はカバーしきれない
【無貌の輩】を島の周囲海域に散らして偵察をさせるよ
影に呼吸はいらないし、水圧の影響も受けない
かなり遠く・深くまで行けるはずだ
漏らさずしっかり観察しておいてもらうさ

……なんだよ、急に。不安なのか?
別に心配なんてしなくて大丈夫だよ
いつも通りやればいいさ
……それはそれとして、行きたいところがあるなら付き合うけど


リア・ファル
●匡にーさん(f01612)と

……それじゃ、悪いけど手伝って
うん。なんとなく、ね

にーさんに潜水服は必要だろうけど
動きや感覚が制限されるのは好ましくないだろう
なら、にーさんの分だけでも、いつものSSW製の宇宙服と遜色ない一品を用意するべきだね

UC【我は満たす、ダグザの大釜】を駆使して必要な装備を調えていく
(取引、運搬)

後は……周辺海域をマッピングした後、
戦闘展開領域を誘導する為に、指向性光子侵蝕機雷を海域に展開して
相手を誘い込んでおこうか
(情報収集、物を隠す、拠点防御、罠使い、航海術)

この依頼が終ったら、どこか遊びにでも行こうか
知り合いを誘っても良いし……ね

大丈夫、ボクは……ココにいるよ、兄さん



●あなたはそこにいますか
「……どうした?」
 藍色の髪を潮風に揺らし、鳴宮・匡(凪の海・f01612)は水平線の彼方を望んで座る少女へ声を掛ける。エンドレス連絡島、その桟橋には今や二人以外の人影は無い。
「うん。なんとなく、ね」
 少女――リア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)は愁いを帯びた表情のまま、じっと穏やかな海面を眺めていた。
「ひとまずは、できることからやろう」
 なんとなく――少し、察するものはある。けど、それは時間が解決してくれる事じゃあない。だから、と静かに手を差し伸べて、匡の手を掴んだリアがゆっくりと立ち上がった。
「……それじゃ、悪いけど手伝って」
 本当に……止まった時が、骸に呑まれた過去という事実が、ゆっくりと鎌首をもたげてにじり寄る。そんな幻影がずっと感覚に絡みついている気がするから。未だ沈痛な面持ちのリアを見やり、匡は穏やかに声を掛ける。
「といっても……やれるのはマッピングの手伝いくらいか」
 此度の戦場は広い。しかも普段の地上戦とは違い大半が海中だ。敵襲がまだ先なら、潜水服を借りて潜っても問題ないだろうと商人を探す匡に、目の前のリアが微笑しながら光を紡ぎ――『とっておきの品』を彼方より取り寄せた。
「なら、にーさんの分だけでも――」
 ここで手に入れられる旧式の潜水服では匡の力を十全には発揮出来ない。姿形を変えずに真空の地獄ですら生存を可能とする、いつものSSW製の宇宙服と遜色ない自慢の逸品――パック詰めされたそれを手渡し、続けて大小無数の金属球の様なモノを続々と呼び出す。
「あと、きっと必要になるから」
 無数の対潜機雷。幸い匡の知己達が同じ事を考えていた。ならば一緒に用意してやればいい。最早のんびりと機材を調達している時間など、どこにも無いのだから。
「ああ、これだけあれば十分だろう」
 顔色一つ変えずに積み上がった機雷の塊を見上げ、匡は端末越しにプレゼントを贈ると伝える。後は自分達の番だ――パックを破り、匡は仕事に取り掛かった。

「……とはいえ、一人じゃ広大な海域はカバーしきれないな」
 海の中とはいえ、日中はそこまで深く潜らない限り日の光がきらきらと差し込む。穏やかな凪の海――戦でなければずっと揺蕩っているのも悪くない。しかし五感を尖らせ、そこに『何も無い』事を知り得れば、次のポイントへ向かうだけ。
「大丈夫?」
「ああ。こっちには『影』がある」
 流石に作戦半径が広すぎるが、こちらも唯の一人では無い――ゆらりと海底の岩影が形を変えて、途端に無数の『影』が人の形を成す。顕現した超常の『無貌の輩』は、一個の意思の様に匡の前に整然と並び立った。
「影に呼吸はいらないし、水圧の影響も受けない」
 端末越しのリアへのたりと返し、五指を広げれば己の影が音も無く散らばった。全海域の哨戒――それでも95の意思で見渡せば、陽が落ちる迄に仕事は終わるだろう。
「漏らさずしっかり観察しておいてもらうさ」
「それならばいいけれど……」
 吐息が漏れる。いつもの溌溂とした彼女とは違う、どこか思い悩む様な声色――不意に匡は、思うままに言葉を繋いだ。
「……なんだよ、急に。不安なのか?」
 心ある機械。機械じみた心。数多の出会いと戦いを通じて、今や灰色の水面も色づいた。ある意味鏡映しのような関係かもしれない――だからこそ、分かる事もある。
「別に心配なんてしなくて大丈夫だよ。いつも通りやればいいさ」
 いつも通りのリアのままでいい。以前会敵したあの男の気配――それが骸の海へと彼女を導こうというのか。ここで全てを過去にするなどと……させはしない。
「……それはそれとして、行きたいところがあるなら付き合うけど」
 始まればいつかは終わるというならば、今はその時じゃない。だから、と匡は言葉を続ける。これまでそうしてきた/された様に。意志を未来へ繋げる為に。
「うん。この依頼が終ったら、どこか遊びにでも行こうか」
 知り合いを誘っても良いし……ね。ぼそりと呟き、リアは端末を閉じる。視線の先は遥か彼方、まだ見えぬ意思をそっと探して。

 匡の哨戒により海域の走査は思いの外早く終わった。他の猟兵の仕込みも殆どが完了。後は戦闘展開領域を誘導する為に、指向性光子侵蝕機雷を海域に展開する――恐らく敵の進路は、真っ直ぐなあの人ならばそうするだろうと思うから。三日月状のエンドレス諸島を囲む様に、マッピング情報と照らし合わせて切り札を、超常で呼び出した品々をイルダーナで投下していく。その度に聞こえる音にどこか寂しさを感じたリア――闇に吸い込まれ、もう二度と戻ってこない過去に思いを馳せる。
 日が傾いて空の色が落ちていく。炎の様な赤い夕陽が頬を染めて、自動運転で空中から残骸の島々を見下ろすリア。幾つもの戦があって、幾つもの出会いと別れを重ねて、世界すら渡り対峙するのは失われた過去。
「大丈夫、ボクは……ココにいるよ、兄さん」
 掴み損ねたかつてを手繰る様に手を伸ばして、銀色の翼が鈍く煌いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ウォーマシン・タイプマリン』

POW   :    襲撃は速やかに
【急速接近からの超高温ヒートカトラス 】による素早い一撃を放つ。また、【水中から船・陸上へ強襲出来る推進機構起動】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    障害は燃やし沈めて
【機敏な動きで右腕に担いだマルチランチャー】を向けた対象に、【通常炸裂弾頭か高速誘導魚雷】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    命と宝は根こそぎに
自身の【頭部(メガリス探知用センサーユニット)】が輝く間、【敵位置を常に補足し】放つ【銛型高速徹甲弾】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。

イラスト:良之助

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暗夜の開戦
 星明りも暗雲に隠されて、吹きすさぶ風の音以外何もない。暗闇に包まれたエンドレス諸島――普段であれば小さな島々が人々の営みを示す暖かな光を漏らしている筈。それらが一つもない様子はまるで冥府の海――そして唐突に膨れ上がった海面と共に、海中で幾つもの光が点る。
『――フェーズ1クリア。敵艦隊の陣形の攪乱に成功。轟沈6、大破6、残存潜水艦艇数六割、続いて洋上の迎撃装置を起動』
 エンドレス艦内の秘密の小部屋――無人の暫定指揮所。グリードオーシャンらしからぬ無機質な薄暗い部屋に厳かな老婆――エンドレスの声が響き、大小のモニタとランプがせわしなく明滅する。
『全端末エネルギー充填100%、セーフティ解除。諸元入力』
 大型モニタにはエンドレス諸島の全体図が表示されていた。濃緑の背景に浮かぶ青い光点がエンドレス。その周囲を三日月上に取り囲む薄緑の光点がそれぞれの島だろう。そこから離れて――三日月の両端ほどの幅広な赤い光点の群れが続々と消えていく。先の準備で猟兵が仕掛けた機雷が起動して、潜水艦がそのまま海の藻屑となった証左。しかしそれに合わせて新たな赤い光点がまばらに浮かび、残る光点と共に続々と三方向へ散っていく。
『リミッターカット。最大出力での照射時間は30秒――敵潜水艦隊浮上を確認。砲撃予測を修正。フェーズ2スタンバイ。敵残存艦隊の侵入経路――解析完了』
 三方に分かれた赤い光点はそれぞれエンドレス諸島の中央、左翼、右翼から同時に攻め入るつもりなのか、浮島たる艀船の真下を通らずに左右を大きく迂回してエンドレスへと向かう。その動きは島近くの罠を警戒してか……しかし隠された牙は、元よりそこには無かった。
『指向性光子侵蝕機雷、起動確認』
 エンドレスが呪文のように静かに唱える。途端、戦端が開かれて初めてエンドレスの巨体がぐらりと揺れた。それは猟兵が仕込んだ第二の罠。両翼の海流に沿って配された切り札は、流れを利用し背後を狙う敵艦隊を一網打尽にする対艦兵器――まるで海中に大穴が開いた様に空間ごと抉られて、減少した容積分の大きな水位の変動が津波めいた強大な波濤をそこかしこに立ち上げる。
『轟沈8、大破4、敵残存艦艇数二割――砲撃終了、フェーズ2クリア。浮上した潜水艦艇全ての撃沈を確認』
 更にまばらに散って浮上した敵潜水艦はエンドレスの戦闘端末――無人のタグボートに備え付けた対空ビーム砲が容赦無く撃沈した。艦体から外していた事が幸いだった――海上にそれらを点在させることで、不用意に浮かんだ敵艦を即座に叩く事が出来たからだ。しかし。
『……敵ウォーマシン駆動音多数、残存部隊が揚陸艦艇を捨てて突入ですか』
 エンドレスが呟くと共に、モニタには新たに黄色い光点が続々と出現する。それらは一様に島の中央――エンドレス目掛けて速度を増していた。全て、敵の水中戦用ウォーマシン。最早用を為さない潜水艦を捨てた一部の敵は、一斉に本島への上陸を狙う。つまり、役者はそろい、準備は整った。
『フェーズ3、残敵掃討開始』

 猟兵達はエンドレスの真正面――三日月上の群島の丁度中心に座している鉄甲船『逢魔号』で待機していた。ギリギリ改修が間に合い、幾何かの対潜装備と複合装甲による船体の強化、高性能電探による索敵機能を身に付けた鉄甲船はエンドレスからの指令を受諾すると共に、あえて目立つつもりか探照灯を一斉に海面に照射する。
『成程、老兵は死なずか』
 残存ウォーマシンから送られる戦闘情報を吟味して男が微笑した。戦疲れの老婆かと踏んでいたが、なかなかどうして……流石はかの銀河帝国の残党だ。
『残存艦艇、陣形を単横陣から並列単縦陣に。鉄甲船をすり抜けつつ、ウォーマシン部隊は本島目掛け戦闘機動。島の中央を突っ切れ』
 両翼に仕込まれた罠は恐らくまだ残っている――どちらにせよこの戦力では、迂回している内に各個撃破されるだけだろう。だから。
『突破して取り付けばこちらの勝ちだ。本島のコアマシンを掌握せよ。さて』
 戦力を結集し一点突破。シンプルだが一番確実な方法である。敵の戦力を集結させ裏をかこうと足掻いても、総戦力が減った分全滅の時間が早まるに過ぎない。正面突破以外、最早突入の手段は残されていないのだ。
『機関始動、イミテーションマテリアル展開――』
 ガクンと振動が男を揺らす。途端に周辺の機器の明かりが一斉に灯り、おぼろげだった男の輪郭が鮮明になる。
『――往こうか』
 藍色の髪がふわりと揺れて、正面を真っ直ぐ睨む。視線の先のモニタには残骸めいた巨大な艦――エンドレスが映っていた。


【作戦概要】
・初段の攻撃はこれまでの準備のおかげで八割の敵艦艇を轟沈せしめました
・続けて敵群はエンドレス諸島中央部を真っ直ぐ進み、突撃を開始しました
・攻撃対象は敵ウォーマシン部隊です。ウォーマシンの攻略を考えて下さい
・ウォーマシンさえ破壊すれば浮上した潜水艦は友軍の武装で破壊されます
・戦場は水中です。水中戦の工夫そのものがプレイングボーナスになります
(例:視界が悪い事を利用する、妨害音波で攪乱する、等)
富井・亮平(サポート)
【解説】
オブリビオンと戦うという設定のヒーローマスク。
マスクを被るとボディの人格が変わるような感じ。

謎のオブリビオン文明の話とか、地球侵略を狙うオブリビオン星人の話とか、適当な事を言いながら頑張る。
関係なくてもオブリビオンのせいにして行動する。

行動そのものはマトモ。

【行動】
ヒーローっぽい行動であれば何でもします。
戦闘は主に魔法剣士スタイルですが、機械も扱えます。
ガジェット形状は固定していません、必要に応じ自由に変なメカを使わせて下さい。

UCを使うと「黒幕が出てきて敵を改造する」「謎のお助けキャラが登場する」などのヒーローっぽいイベントも発生させられます。

「このイェーガーレッドに任せておけッ!」


シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。

ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。

「もう泣いているだけの私じゃない・・・私は貴方を倒します!」

エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。


水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目暗まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ


エドゥアルト・ルーデル(サポート)
『ヒャッハー!頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!』

口調:拙者、名字+氏、~でござる、~ですぞ
属性:混沌・悪

弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系

シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発する
可愛い女の子を見れば興奮する変態
エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラ
オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評がある
公言しないが空軍のパイロット



●イレギュラー・バウンド
 それは想定されていた事態であった。敵潜水艦隊は八割が壊滅。それでも尚前進を止める事は無い。更には逸れたウォーマシン部隊が防衛網の間隙を縫ってエンドレスへの上陸を果たす可能性――それが決してゼロでは無い事を。
『――敵遊撃部隊、最終防衛線を突破』
 それでも、あくまで淡々とエンドレスは状況を俯瞰する。確認出来た敵ウォーマシンの戦闘反応は精々数機……いや、これから更に増えるだろう。
『……目標地点へ到達まで残り15秒』
『全機、強襲揚陸形態へ』
『さらばだ、エンドレス』
『貴艦は完全に包囲されている』
『最早、貴艦を守る猟兵はここには無い』
 歓喜の声を上げる様に続々と、電子音混じりの通信が――敵ウォーマシンの無慈悲な降伏勧告がエンドレスへと届く。だが返答は想定外のモノだった。
「誰がいないですって……」
 ふと、聞き慣れぬ中年の声が割り込む。
「それがいるんでござるよ。ここになぁ!」
 瞬間、エンドレスの外縁がガラガラと音を立てて変形した。

『――敵増援の反応を確認。全機突入』
 それでも構うものかと、残る敵機が突入用推進器に火を入れる。水面近くへ上がったウォーマシンの背負ったジェットパックがけたたましい音を立てて、まるでトビウオの様に一斉に跳ね上がった。あたかも前線陣地の様に大きく盛り上がったエンドレスの外縁を乗り越える様にと高く飛び――しかしそれらは、突如現れた巨大な影に呑み込まれる。
「させるかッ! 発進せよッ!」
 その影はぐんぐん巨大な姿を露わにしていく。派手なカラーリング、ブロックを重ねた様な凹凸の目立つシルエット、そしてその手にはきらきらと光を放つ巨大な剣。
「イェェェェガァァァァッ!! ロボォォォォッ!!」
 海を割り現れたそれ――超常の巨大な戦闘ロボットは瞬く間に飛び上がったウォーマシンを叩き落とす。左腕からは追撃のレーザーが、振り抜いた右腕の巨剣がウォーマシンを真っ二つに切り裂いた。
「ここはこのイェーガーレッドに任せておけッ!」
 ロボの中の猟兵――富井・亮平(イェーガーレッド・f12712)が叫ぶ。ギリギリで間に合った転移。エンドレスが有する最終防衛線の向こう、艦内へ敵を入れさせない為の絶対防衛線を守護するイレギュラー。
「子供達と約束をした。だから絶対にこの先へは行かせない!」
 決意に満ちた亮平の声に呼応して、呼び出された超常――『イェーガーロボ』が咆哮する。爆炎と共に立ち上がった雄々しき姿は、正にヒーローのものだった。

『あ……来るな、来るな!』
『イレギュラー。物理センサー汚損……洗浄完了』
 子供達は逃げていた。突如現れた青いウォーマシンが三機、恐らくは艦の脆い所を攻めて侵入して来たのだろう。その揺れに気付いてしまった子供達がそうっと様子を見に来た所で、彼等と鉢合わせてしまったのだ。
『エンドレスのコアは何処だ?』
 手にした水風船爆弾を投げつけ脱兎の如く駆け出した――一瞬の隙が明暗を分けたのだ。だが戦闘用ウォーマシンにしてみれば、それは文字通り児戯にも等しい。
『返答が無ければ――』
「無ければ何だ?」
 カトラスを子どもたちへ突きつけた矢先、それは一瞬で断ち斬られた。突如現れた薄緑の光が一つ、二つと線を描いて、悪漢共の両腕をバラリと崩す。
「よく頑張った。大したものだ、少年」
 涼やかな声――水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は颯爽と、子供達とウォーマシンの間に割って入る。手にした水鏡の様な太刀『水心子真峰』を這うオイルを振って払い、八相の構えで対峙した。
『敵猟兵を確認、増援を要請』
「応、呼ぶがいい」
 ちらりと子供達を見て微笑む真峰。大丈夫だ……安心する様にそっと語り掛け、そして真峯は風となる。
「ただし、今宵の真峰は一味違うと知れ――」
 残るウォーマシンは一機。否、それはもう無い。超常の剣筋は音よりも早く、後に残るのは地面に転がり明滅するカメラアイだけ。
「真っ二つだ。手伝ってやろう」
 一突き。足掻くそれを貫いて、真峰は口元をニヤリと歪ませた。

「大丈夫? でも、シャーロット達が来たからにはもう安心よ!」
 薄暗い船倉。敵の急襲で崩れたエンドレスの残骸に足を打った島の人々を励ます様に、小さな少女――シャーロット・ゴッドチャイルド(絶望の福音・f23202)が微笑んで左手を翳す。
「この位の傷なら、ほら……」
 ぼう、と淡い光が怪我人を包み込み、あっという間に赤く膨れた足から痛みが引いていく。正に奇跡の超常――癒しの光は瞬く間に、人々の不安と恐怖を払い除けた。
『凄い……』
 その声ににっこりとシャーロットは笑って、ちらりと辺りを見渡す。
(……幸い、大きな戦闘は起こってないみたい)
 明るい空と青い海が広がるグリードオーシャンの影……まるで自らの故郷の様に暗い。略奪と制圧を繰り返す海賊達――オブリビオンの世界の真実がそこにあった。それでも、敵の直接攻撃がここまで届いていないのは不幸中の幸いだ。
「他にも、怪我をしてる人はいませんか?」
『子供達が、いつの間にか居なくなって!』
 シャーロットの呼び掛けに狼狽する大人の声が返される。先の戦闘に巻き込まれたのか、何人か子供達の姿が見えないというのだ。
「……大丈夫。落ち着いて」
 だが、音の規模からしてそれ程広い範囲で交戦している様では無い。幾度となく大きな戦いを経験したからこそ、まだ大丈夫だとシャーロットは確信した。
「きっと仲間が、子供達を助けてくれるから」
 そして彼等が帰ってきた時が、私の役目の時なのだとシャーロットは微笑んだ。

 エンドレス外縁、突如現れた不明な猟兵はその超常で瞬く間に防御陣地を構築。宇宙戦艦の堅牢な装甲に守られた塹壕は最早、城塞と呼ぶに相応しい威容を示す。
「ノックをするべきでしたかな?」
『あなたと当艦の仲です。問題ありません』
 その猟兵――エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)はこれまで二度、エンドレスを舞台に戦いを繰り広げた因縁の相手だった。おどけてエンドレスへ尋ねるエドゥアルトに対し、あくまで淡々とエンドレスは言葉を返す。
『助かりました。これで人々を守れます』
「……腹括ったって感じかね」
 意外にもこの世界の人に気を掛ける素振りを見せたエンドレスに、口端を歪めるエドゥアルト。未練がましい言い訳を続けていたあの時とは、まるで違うと感じて。
『腹を突き破った人に言われたくありません』
「んな事言う余裕があるたぁ重畳、重畳」
 けたけたと笑い声を上げてエドゥアルトはいきなり銃を乱射した。そしてエンドレスも、それを咎める様子は無い。
「うるせえな人が話してんだ。で、どうしてこうなった?」
 堤防の様に盛り上がった塹壕の上でエドゥアルトが宣う。煙を噴く銃口の先には、いつの間にか接近していたウォーマシンの残骸が海面に浮かんでいた。
「……成程ねえ。まあ乗り掛かった舟だ」
 エンドレス曰く、同胞を求め、同胞だったオブリビオンを引き寄せた。だからけじめをつけるのだ、と。その言葉に初めて、エドゥアルトは満面の笑みを浮かべる。
「精々働かせて貰うでござるよ」
 ならば猟兵は、猟兵の仁義を通すまでよ、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
ご助力に感謝いたします、エンドレス様
後は、私達の役目です

水中用装備良し
マルチセンサーの音響・熱源・●暗視機能良し
(情報収集、水中戦)
…参ります

水中用装備の誘導魚雷発射
起爆させセンサー系に●目潰し行った隙に複数のUCを戦場に射出
突撃する敵の進路を遮るよう障壁を展開し断頭台宜しく切断

出鼻を挫けば●ランスチャージで突撃し乱戦へ
展開、消失繰り返す障壁で味方もかばいつつ、怪力で振るう槍の●推力移動と展開した障壁蹴りつけ方向転換し●地形の利用した●水中機動
槍と大盾、●ロープワークで操るテールブレードでの●串刺し用い戦闘

己が存在意義を、騎士の役目を、闘争でしか果たせぬ私達
なればこそお相手しましょう
全力で


秋月・信子
●SPD
先程の奇襲が成功して敵の大多数は撃破したようですが、まだ反応があるようです
上陸させる前にこちらも水中から打って出て残敵の掃討と参りましょう

夜の海の中で【目立たない】ようダイバースーツで静かに泳ぐ【推力移動】をしながら、ヘッドギアで【聞き耳】をするようにソナーで【索敵】
音を拾ったら【暗視】を働かせた『魔眼の射手』で目標を視認し、事前に確認した潮流の影響を【瞬間思考力】で計算します
射線と着弾位置をずらして、アクアグレネードの小型酸素魚雷を発射します
魚雷発射で敵はこちらの存在に気づくでしょうから、発射後は速やかに陣地を移動
敵も魚雷で応戦したならば水中拳銃で迎撃し、再装填した魚雷をお返しします



●ニュー・オーダー
「ご助力に感謝いたします、エンドレス様。後は、私達の役目です」
 共有した戦況を精査しつつ、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はエンドレスの朽ちかけたカタパルトへ立つ。残り二割……普通の戦場ならば敗走して当然の状況においても敵の侵攻は止まらない。つまり、敵には勝算がある。
「先程の奇襲が成功して敵の大多数は撃破したようですが、まだ反応があるようです。上陸させる前にこちらも水中から打って出て残敵の掃討と参りましょう」
 傍らでダイバースーツに身を包んだ秋月・信子(魔弾の射手・f00732)が声を掛けた。機雷による周到な迎撃が功を奏したとはいえ、敵の揚陸戦力は未だ不明。本当に一隻でも辿り着けば敗北であるならば、僅かであろうと食い止めねばならない。
「ええ……では、参ります」
 水中用装備良し。マルチセンサーの音響/熱源/暗視機能良し。コンディションチェック、オールグリーン――ボロボロの射出インジケータに青いランプが灯り、トリテレイアの足元の加速器に力が入る。
『――Good luck』
 そして、僅かに聴こえたエンドレスの声。懐かしい帝国式の送り出しと共に、騎士と少女は戦場の海へと飛び込んだ。

『残存艦隊を再編、直上の敵を避け二手に分かれつつ全速』
『逸れ者は前進しつつ敵の牽制を――!』
 敵の罠は想像以上だった。全周に張り巡らされた光子侵蝕機雷を避けるには中央突破のみ。撤退はあり得ない。今この時でなければこちらの奇襲も成立しない――そして予想通り、伏せられた最後の牙が一斉に解き放たれた。
『ソナーに感、アクティブ誘導魚雷多数!』
『回避だ! 全機直掩に回れ!』
 ピンガーが喧しくアラートと共に思考を掻き乱す。進路はこのまま潜水艦隊へ。せめて片側だけでも……残るウォーマシンが壁の様に音の前へ立ち、迎撃のマルチランチャーを斉射する。
「そうでしたね。艦隊直掩のベーシック……ですが」
 機能を生かす為に一部を切り捨て前進する。古き帝国艦隊の基本戦術だが、トリテレイアにしてみれば予測するまでも無い事。
『! 下方より音紋多数! 避け切れない!』
 伏せられた牙は一つでは無い。無数の無誘導酸素魚雷が高速で潜水艦隊の下方より接近――陣形を戻すには時間が足りない。そして。
『正面魚雷が爆発! 囮か!』
 初弾の魚雷が接触前に続々と爆発する。それらが掻き乱した海流が更に予測を困難なものに――回避機動を取る間も無く、酸素魚雷は続々と命中していった。
『カウンター! 敵は!?』
『静音型か。厄介な』
 本命の酸素魚雷の発射源の特定を急ぐも時既に遅し。射手である信子は射撃ポイントを移動し、次の魚雷を発射する。瞬間の思考と超常の魔眼は敵の演算を遥かに超えて、休む暇も与えない。
『敵の動きを抑えろ! 下方に斉射、カウント省略!』
 号令も無くマルチランチャーから反撃の魚雷が続々と撃ち出される。対象を捉えられなければ誘導もままならない――それでも、手を止めればやられるのだ。
「目眩撃ちで当たるほど、私もお人好しではありません……!」
 装填の代わりに水中拳銃の斉射で時間を稼ぐ信子。一隻は落とした。それに目的はそれだけでは無い……現有戦力で取るべき最適解は、ただ一つ。
『正面! 敵ウォーマシン!』
 信子に気を取られている隙に蒼銀の巨体が無数の鉄杭を引き連れて突撃する。轟沈する潜水艦に目もくれずに爆音が気泡を巻き上げて、さながら巨大な鯨の如き威容――狙いは潜水艦では無い。ターゲットにされたのは我等。その時、ウォーマシンは古に葬った魂を揺さぶられたのだ。
「――己が存在意義を、騎士の役目を、闘争でしか果たせぬ私達」
『戦場で、何を……』
 迎撃の射線がトリテレイアの行く手を阻む。されどそのどれもが、騎士へ到達する前に不可視の壁に阻まれて落ちていった。まるで断頭台で切り落とされた首の様に、殺気の束はあえなく沈む。
『撃て、撃てッ!』
「なればこそお相手しましょう」
 それこそがトリテレイアの超常。加速するトリテレイアの前に張り巡らされた不可視のフィールドは流線型となり、その加速を後押しする。最早誰一人、この騎士の手から逃れる事など叶わない。
「……全力で」
 騎士の突撃槍が仲間の五体を爆散させて、フィールドが退路を断ち、背後からの奇襲すら貫くテールブレードの無慈悲な攻撃を見て、彼等は思い出したのだ。
 デストロイマシンが葬った原初の感情――恐怖を。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ガーネット・グレイローズ

敵は水中戦特化型、真正面からの一点突破か。
機動力は高いようだが、本島には近づけさせんよ。
こちらも罠を張らせてもらう!

キャバリア「夜の女王」に乗り込み海中へ。
海の中を指定して【裁断領域】を発動、鋼糸による迷宮を構築する。
ワイヤーは私自身が《念動力》で操作することが可能で、
触れた対象を高速震動による《鎧無視攻撃》で切断、破壊するぞ。
出口は一つしかないため、相手は必然的に玉砕覚悟で突っ切るか、
遠回りして時間を浪費するかの二択を迫られることになるだろう。
勿論浮上すれば、艦砲射撃の餌食だぞ!

銛による攻撃はJOXブレイドによる《なぎ払い》で迎撃。
頭部センサーを目印に捕捉し、《操縦》《水中機動》で反撃だ。


荒谷・ひかる
……わ、すごい。
これが帝国軍の戦艦の……ううん、本気になったエンドレスさんの力なんですね。
よし、わたしも負けてられません。
行きましょう、精霊さん達。

可能ならGuardian Spiritに搭乗して出撃
(不可能なら潜水服でOK)
強力なサーチライトを持った状態で潜水し、敵の目を引き付ける
視界の悪い水中で明らかに目立つ光があれば、そこに攻撃を仕掛けてくるはず
なのでカウンターで【闇の精霊さん】発動、敵の徹甲弾を吸収して無効化した後、そのまま同じ角度で吐き出し撃ち返すことで反撃します
また射撃せずに接近してくるようなら、精霊銃で炸裂式冷凍弾を撃ち、凍らせての足止めを狙います

ここから先へは、行かせません!



●メタル・シンドローム
「……わ、すごい」
 圧倒的なまでの敵戦力を瞬く間に叩き伏せたエンドレスの動きを見やり、荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は感嘆の声を上げる。
「これが帝国軍の戦艦の……ううん、本気になったエンドレスさんの力なんですね」
 視線の先に浮かぶ敵潜水艦の残骸を見やり、改めてエンドレスの決意を確信したひかる。最早待つだけでは無い、やがて来る未来の為に――この世界で生き抜く事を誓ったマシンの心を。
「よし、わたしも負けてられません」
 そしてひかるも己の力を開放する。悲しき過去の侵略から、今を生きる人々を護る為に。その声に呼応する様に、ひかるの周りの計器がぼうと淡い光を発する。
「行きましょう、精霊さん達」
 それは海上に浮かぶ黒い影――ひかるを宿した鋼の巨体は、厳かにその身を戦いの海へ投じるのだった。

「敵は水中戦特化型、真正面からの一点突破か」
 一方、水中ではもう一つの鋼が――ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が乗機のキャバリア『夜の女王』と共に、泡立つ海域を静かに潜航していた。
「機動力は高いようだが、本島には近づけさせんよ――こちらも罠を張らせてもらう!」
 分断された敵艦隊の一方が向かう先、残った一割を封じ込める。刹那、眩い銀の光が海中を覆い尽くす。
『警告! センサーに感、トラップ発現!』
『速度落とせ、このままではなます切りにされる!』
 ガーネットが展開した念動鋼糸がウォーマシン達の行く手を遮る様に網を張る。触れる物全てを切り裂く超常の御業は、先走った前衛のウォーマシンを音も無く瞬断した。無策に進めば全滅は免れない――海域を走査しつつ、罠の網の目を潜ろうと思考するウォーマシンの前に、巨大な人影が現れた。
『敵影確認……あれは……』
『キャバリアという奴か。旧式の人型兵器め』
 異世界の機動兵器――スペースシップワールドにも大型の二足歩行戦車はあったが、それとは違う完全な人型。だがそれを含めて大型の二足兵器は、所詮局地戦向けの旧式に過ぎないと嘲笑うウォーマシン。されどガーネットは不敵な態度を崩さない。
「過信するなよ、古きモノは貴様らとて変わらん!」
『馬鹿な!?』
 網の目を抜ける様に放たれた高速徹甲弾がガーネット機に殺到するも、鮮やかな機動でそれを躱す。そのまま文字通りの返す刃――念動鋼糸が容赦なくウォーマシンの五体をバラバラに刻み込んで。
『――ルート解析、上は空いてる! 艦隊は急速浮上!』
「いいえ……ここから先へは、行かせません!」
 海中が駄目ならば海上へ――艦砲射撃はあろうが、前進も後退ももままならないのであればそれに賭ける――そうはさせまいと、可憐な少女の声が響いた。
『海面より敵襲! あれもキャバリアか!?』
 突如、海が輝いた。サーチライトでウォーマシンを照らしながら進むそれは、紛れもなくキャバリア――その姿形は揺らめいて詳細は分からない。だが敵ならば、撃ち落とすだけ。
『対機甲戦術プリセットナンバー4-2-1』
『斉射開始! 浮上の邪魔をさせるな!』
 ハープーンを高々と掲げ、迫る影へ一斉に撃ち込むウォーマシン群。気泡が線を描いて黒い影に殺到した――刹那、その影は全ての殺意を須らく飲み込んだ。
「浮上なんてさせない! 精霊さんッ!」
 その影は両拳を目の前で合わせ、まるで獣の雄叫びの様な駆動音と共に全てを消したのだ。同時に海流が大きく乱れ、まるで吸い込まれる様に諸々が浮かび上がる。
『質量増大、あれは……ブラックホール!?』
『馬鹿な、こんな所で』
 ブラックホールと呼ばれたそれは、やがて呪詛返しの様に飲み込んだ矛先を吐き出して、殺意を主の元へと突き立てた。闇の精霊の超常――それを顕現したひかるの『Guardian Spirit』は、まるで冥府に座する王の威容をそこに示す。
「指向性を持たせた重力渦を限定解放、まるでクェーサービーストだな」
「そ、そんなに怖くないです!」
 挟み込む様に離れた対面に位置するガーネットが苦笑する。ここはグリードオーシャンだというのに、まるで我が故郷の様だと。
「……と、この先へは行かせません! 絶対に!」
 正面の重力禍を逃れんと慌てて潜航したウォーマシンに、ひかるの炸裂冷凍弾が襲い掛かる。それが推進器に刺されば途端に動きを失って、惰性の軌道ごと念動鋼糸が無残にも切り裂いた。
「ここで逃がすものかよ!」
 そして八方塞がりの潜水艦がガーネットの物質分解波動――クェーサービーストの力でなぎ払われる。この力も意志も、宇宙を逃れた過去の遺物には分かるまい。
 争いは未だ絶えぬ。されど生きる希望も失われてはいないという事。
 それはこの世界でも同じだという事を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖


突撃して来る敵を蹴散らせばいいんだな
いつも通り分かりやすくなったじゃん

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
UC起動
オーラ防御で空気保持
衝撃波まき散らし残像纏い衝撃波推進力に変え
手近な敵に接敵しグラップル
拳で殴る

水中戦だが加速すりゃ動きに支障はねぇだろ
衝撃波で水流作れば目晦ましになるし
加速出来れば威力も増せる
問題ねぇな

敵の動き注意し
ランチャー向けられれば限界突破し加速
炸裂弾でも誘導魚雷でもジャストガード
直前まで引き付け他の敵を巻き込むように見切り避ける
爆発に乗じて死角から接敵
部位破壊でランチャー持つ腕狙う
ぶっ壊したいとこだが土産に貰うぜ

あんたらの好きにはさせねぇ
衝撃波纏い蹴りの乱れ撃ち


鏡島・嵐

戦力を八割方削ぎ落とされてもまだ勝算があるってワケか、あちらさんは。おっかねえ話だ。
とは言え、こっちもここまで策を弄したんだ。無駄には出来ねーよな……。
要はすげぇ怖いけど、肚括るしかねえってことだ!

水の中じゃスリングショットは使えねえから、予め漁用のスピアガンを借りておいて〈武器改造〉で即席の水中銃に仕立て、予めユーベルコードで運気を改善してちょっとでも回避の可能性を上げておく。
〈水中戦〉のイロハや知り合いのウォーマシンの戦い方を思い出しながら、どうすれば敵ウォーマシンを無力化出来っか必死に考えつつ、味方を〈援護射撃〉で助けたり、敵ウォーマシンを〈目潰し〉や〈武器落とし〉で無力化したりする。



●疾風と怒涛
「戦力を八割方削ぎ落とされてもまだ勝算があるってワケか、あちらさんは。おっかねえ話だ」
 鉄甲船逢魔号の甲板で潜水服に身を包んだ鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が独り言ちる。これまでも幾度となく強大な敵と戦ってきた。だが、敗北必至の状況にも関わらず大群を率いて攻め込んで来るには必ず理由があるだろう。そして、そういう敵程厄介であるという事は己が身でよく知っていた。
「でも、突撃して来る敵を蹴散らせばいいんだろ。いつも通り分かりやすくなったじゃん」
 それでも、と陽向・理玖(夏疾風・f22773)が続く。幾ら敵に隠し玉があろうとやる事はシンプルに一つなら――何も恐れる事は無い。それに。
「こっちもここまで策を弄したんだ。無駄には出来ねーよな……」
 島の人々にも、この海にも傷を負わせかねない事まで……だからこそ、絶対に負けられない。心に強く念じて、理玖は甲板の縁に足を掛ける。
『衝撃、来るぞォ!』
 直後、船長の怒号と共に海面が爆ぜた。下を見れば大小の爆光が船を揺らして、飛沫がそこかしこで逢魔号の船体を派手に濡らしていく。
「要はすげぇ怖いけど、肚括るしかねえってことだ!」
「そういう事だ。行くぜェッ!!」
 龍珠を弾いて握り締め、ドライバーにセット。そのまま理玖は弾丸の様に海中へと飛び込んだ。
「――変身ッ!!」
「上手くやれるかどうか……いいや、上手くやるッ!」
 合わせて嵐もバックロールで海中に沈む。後は出たとこ勝負――震えを噛み殺して、閃光と共に二人の猟兵は戦いの海に身を投じた。

『初弾命中。衝撃波、来る』
 先の戦闘から逸れた一部のウォーマシンは逢魔号に狙いを定めた。派手に探照灯でその身を晒している分狙い易い。それにそこには猟兵が――倒すべき敵がいるのだ。これ以上好きにはさせぬとトリガーを引き絞る腕に信号が走って、装填した次弾の狙いを泡の向こうに見るウォーマシン……だが、見えたのは沈みゆく船の残骸では無かった。
『――違う、あれは!?』
「問題ねぇな。いつも通り……だッ!」
 衝撃が泡立てた視線の先――青い装甲に身を包んだ猟兵が、爆音と共にウォーマシンの頭部を蹴り砕く。
(水中じゃ抵抗が多い分先読みが不可欠。それに、こういう時は……)
 先行した理玖の背後、借り受けたスピアガンの照準を理玖の先にいるウォーマシンへ向ける。
「……見えたッ!」
 矢張り、ツいている。超常の加護か進路を遮る物は無い。それに敵は気付いていない――ゆっくりと潜航する嵐を、沈む装甲板の類と勘違いしているのだろうか。
「邪魔するなッ!」
「そこぉッ!」
 叫ぶと共に放たれた鋼鉄の銛――巨大海洋生物用の特注品――がウォーマシンの腹部を貫く。想定外の奇襲に僅かの動揺が走り、その隙を青い装甲――超常を発露した理玖が縦横無尽に駆け巡る。
『Start Up Elimination...』
 ブゥンと微かな振動と共に発された電子音。仮面の双眸が赤く輝いて、理玖はスピードの化身と成る。レーダーもソナーもあてにはならない。センサ系との連動をカットして、ウォーマシンは闇雲に得物を振り回すものの、衝撃を振り撒く理玖の動きは最早捉える事など出来はしない。
『敵猟兵、更に加速』
『駄目だ、早すぎてパッシブでは追えない!』
 接近し弾頭ごと拳で振り抜き発生した衝撃波が更に戦場を掻き乱せば、ふわりと揺蕩う嵐の追撃が正確にウォーマシンの腹部を貫いていく。
「……ぶっ壊したいとこだが土産に貰うぜ」
 三つ目、関節を無理矢理引き千切った理玖が手負いのウォーマシンからマルチランチャーを掻っ攫う。流石の軍用――頑丈な筐体は、それ自体が凶暴な鈍器と化した。
『上だ! 上の奴を狙え!』
 とうてい理玖の動きは追い切れないと悟ったウォーマシンは、ぐちゃぐちゃに乱れる海流を掻き分けて狙いを嵐へと絞る。敵は格闘主体、幾らか仲間がやられても一体ずつなら時間は稼げる――だがそんな思考は、とうに嵐は読み切っていた。
(こういう時なら、トリテレイアなら……)
 前線で奮戦する友を思い、どうすべきかを考える。ウォーマシンの戦い方、我が身を犠牲にしてでも任務を全うする戦闘機械。そしてこういう時は。
「大丈夫だ! おれはツいてる!」
 包囲して確実に嵐を追い込む。つまり敵は分散する――であれば。
「こっちもいるんだぜ……っと!」
 各個撃破の格好の餌食だ。時間を稼げば理玖が続々と始末していくだろう。そして予想は当たる――不意に速度を増して戦場を横切った嵐を逃がさぬと散開するウォーマシン。そこを一つ、二つと疾風の如き青い弾丸が無慈悲に貫いていった。
『駄目だ、包囲が間に合わん!』
 力を束ねればせめて一矢を報えたかもしれない。だが戦場を見誤った時点で、最早ウォーマシン達に勝利は無かったのだ。
 沈みゆく鋼鉄の残骸を見やり、二人は次の戦場へ身を進めた。
 全てはエンドレスの人々の生命を護る為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エコー・クラストフ
【BAD】
無謀だな。全くもって無謀だ
ボクらはどちらも海に強い縁があるみたいでね。水中で敵などいない……
【一切の希望を捨てよ】。この目に見える水、全てが能力の範囲だ
マルチランチャー……要は大筒か。大層な武装だが、そんなもの撃って当たると思うのか
発射された直後に杭をそこに撃ち込み、爆発させる
これで敵の銃器による攻撃は全部叩き落とす。弾頭はハイドラに届かせない

ハイドラが敵を引き付け食らっている間に、ボクは一体一体有刺鉄線で拘束し、斬り壊していく
……彼女の傷が増えるたび苛つくなぁ。早く殺さないと。過去のゴミども
あ……ハイドラそんなもの食べて大丈夫? お腹壊すんじゃないの? こいつら金属だと思うんだけど


ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
マシンだかなんだか知らねえが、海で騒ぐんじゃねェよ
オイオイ、バカにしてンのか?パイ投げじゃねえんだ
俺相手に「この程度」じゃ埒も開かねえだろ、不老不死の怪物様によ!
海ってなァ――光の入らないところじゃ真っ黒に見えるが
残念、周りをよくサーチしたって「どこもかしこも俺」だ
だって、お前たちのずうっと真下から――襲ってんだからな!

エコー、お前は俺の頭を足場にしな
俺が派手にかき回してヘイト稼いどく
俺に夢中な奴らをどんどんスクラップにしてやれ
痛ェのは痛ェが、早めにケリつけりゃプラマイゼロだ
破片一つすら残さず後始末に俺が食ってやる
海に不法投棄はマジで最悪だかンね

さあ、――【ἔκλειψις】!!



●Buster And Destroy
「無謀だな。全くもって無謀だ」
 海風を浴びてコートを棚引かせるエコー・クラストフ(死海より・f27542)の目の前で、有刺鉄線に縛られたウォーマシンの首がゴロンともげる。
「ボクらはどちらも海に強い縁があるみたいでね」
 眼下には焼けた鉄杭で腹部を貫かれ、火花を散らしたままの残骸がそこかしこに浮かび上がり、時折水中では花火の様な爆光が広がって――不発だった機雷を回収し有刺鉄線に巻き付けた即席の爆導索の仕業だ。海の中ならば超常の鉄線は無尽蔵に呼び出す事が出来る。故に、一切の希望を捨てよ。
「マシンだかなんだか知らねえが、海で騒ぐんじゃねェよ」
 その足元――超常の巨竜に身を転じたハイドラ・モリアーティ(冥海より・f19307)がくぐもった声を上げる。首元の海面では慌ただしく気泡が上がり、海中で凄まじい戦いが繰り広げられている事が分かった。
「オイオイ、バカにしてンのか? パイ投げじゃねえんだ」
 竜の巨体に向けて一斉に斬りかかるウォーマシン達。しかしそのどれもが漆黒の鱗に阻まれて、肉の身に傷一つ付ける事すら敵わない。アクチュエータが損壊しだらりと片腕を垂らしながら、されど乾坤一擲の一撃を打ち込み続ける――そのどれもが、何一つ通じていないのだ。
「ボクらは水中で敵などいない……」
『こ、効果なし。アンノウン未だ健在……!』
 そして背後より迫るもう一つの首が、それらを容赦なく飲み込んだ。海面の首が勝鬨の様な咆哮を上げる。始まる前から分かり切っていた事。
「俺ら相手に『この程度』じゃ埒も開かねえだろ、不老不死の怪物様によ!」
 プレス機の様な音を響かせて、数多のウォーマシンが物言わぬ鉄の骸と化す。突然の急襲――敵は一つでは無かったのか? チカチカと明滅するセンサが海域を走査しようにも、その正体は探り得ない。何故ならば。
「残念、周りをよくサーチしたって「どこもかしこも俺」だ」
 漆黒に見える海の底が、そうではなかったのだ。光の射さぬ海底故に、ウォーマシン達は気付き様が無かったのだ。
「だって、お前たちのずうっと真下から――襲ってんだからな!」
 海底そのものが竜のねぐら――その上で幾ら下手なダンスを踊ろうと舞台には響かない。一つの首だけをわざとらしく晒して、それを狙う哀れな狩人は一網打尽――全てが先の罠の続き。
「エコー、お前は俺の頭を足場にしな。俺が派手にかき回してヘイト稼いどく」
「そうするよ。銃器による攻撃は全部叩き落とす。弾頭はハイドラに届かせないから」
 幾ら何でも飛び込みはしないだろうが、愛するパートナーを危険に晒す必要は無い。それに自身に迫る危険は全て彼女が排除してくれる。何も怖い事など無い。
「頼りにするゼ――俺に夢中な奴らをどんどんスクラップにしてやれ!」
 そして竜の戯れに付き合わされた機械の道化達は、須らくその身を骸に晒すのだ。まるで竜に捧げる供物の様に。

「……要は大筒か。大層な武装だが、そんなもの撃って当たると思うのか」
 放たれた誘導魚雷を有刺鉄線が絡め取り、剥き出しの砲口にお返しの鉄杭を撃ち込むエコー。開かれた地獄の扉は容赦なくウォーマシン達をそこへと迎え入れる。
「……苛つくなぁ。早く殺さないと。過去のゴミども」
 それでも、幾何かの魚雷がエコーの感知をすり抜けてハイドラの巨体へぶつかる。その度に震えるハイドラをちらりと見やり、苛ついた表情で海面をじろりと睨み返した。彼女にこれ以上の傷を負わせるわけにはいかない。更に大量の有刺鉄線が触手の様に這い出して、海中を逃げ惑うウォーマシンを続々と絡め取る。
「まぁ痛ェのは痛ェが、早めにケリつけりゃプラマイゼロだ」
 エコーの様子を見やり、量産されるスクラップを丸呑みにしてハイドラが返した。優しいエコー――だから、破片一つすら残さず後始末に俺が喰ってやる。残る巨大な竜の頭を大木の様に持ち上げて、凄まじい勢いで猛追を再開するハイドラ。
「あ……ハイドラそんなもの食べて大丈夫?」
 暴食する巨竜を不安げに眺めるエコーがぼそりと漏らす。守るのも、守られるのも嬉しいけど……どう考えても身体に悪そうなウォーマシンを喰らい続けているのだ。心配するのも無理はない。
「お腹壊すんじゃないの? こいつら金属だと思うんだけど」
「何、海に不法投棄はマジで最悪だかンね。限りある自然は大切に、なァ!」
 言う通り、美味くも無いし身体にも大して良く無いだろう。だが放置してはそれこそ、この海自体に悪い異物どもだ。俺達の海でそんなモノをのさばらせる訳にはいかない。だろう?
      喰 ら わ せ ろ
「さあ、――『ἔκλειψις』!!」
 柔らかな金色を爆光が仄かに照らす。故に神の獣は審判を下したのだ。
 汝らを俺たちに捧げよと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆リア(f04685)と


水中は音の伝達が速い
極限まで強化した聴覚なら
接敵より早く相手の動きを捉えられるだろう
敵数、陣形、予想される進行ルート
必要な情報は全てリアに伝達

到達する敵数と状態に応じて
【無形の影】の形状を細かく変更しながら立ち回る
影の銃だ、水中でも何の制限もない
……勿論、残弾を気にする必要も
残存兵力がなくなるまで相手をしてやるよ
先へは通さないし、リアに傷もつけさせない
この後に、邪魔を入れたくないしな

さ、――勝ちに行こうか、リア
お前が強くなったところを、見せてやらないとな

◆真の姿
五感情報全ての超強化(鋭敏化/広域化)
並列演算能力・神経伝達速度の強化
外見変化:瞳の奥に揺らめくような青が覗く


リア・ファル
●匡にーさん(f01612)と

突破はさせない
真っ直ぐに来るならボクの仕掛けも活きるね
UC【すべての魔術は三界に通ず】

93冊の魔導書で行使するのは、水の魔術と鮫魔術
一帯に生み出すのは激流・海流の迷宮!
幽界のシャークのトラップ付きさ

海流に捕らえられたなら深海の水圧に押しつぶされる
逃げ惑えば幽界の鮫の顎の餌食

突破した先は、モチロンにーさんの真正面
消耗したウォーマシンなら良い的だね、やっちゃって!

ああ、完成することはなかったあの艦影を
こうして捉えるなんてね
ボクは此処にいるよ、兄さん

さあ、彼の胸にも、ボクらが生まれた意味と祈りを
取り戻しに行こう
「機動戦艦ティル・ナ・ノーグ、現実空間へマテリアライズ!」



●浮上
「――突破はさせない」
 エンドレス周辺の海域、殺到した数多の機械の軍勢はその尽くが猟兵の手によって海の藻屑と化した。前衛壊滅、二手に分かれた艦隊も機械の巨兵と恐るべき竜の手によって最早見る影もない。それでも残存戦力は退かず、未だ前進を止める事も無い。
『! 警告、海流のパターン変化』
 故にリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)の手も止まらない。超常が実体化させた無数の魔術書――埒外が編み出した人外の理は、あるべき海の流れすら恐るべき地獄の濁流へと変化せしめた。渦を巻く不可視の牙がウォーマシンの脆い部分を砕き、完璧な耐圧構造を障子紙の様にバラリと破いていく。そして。
『増速間に合わない、迎撃準……』
 しどろもどろに回避行動を取るそれらを容赦なく襲うのは――鮫。この海を太古から支配する古の魔術の二重奏は、悪しき異物を容赦なく咀嚼した。
「93冊の魔導書で行使するのは、水の魔術と鮫魔術。一帯に生み出すのは激流・海流の迷宮! そして幽界のシャークのトラップ付きさ!」
 激流渦巻く暗夜の海上に灯る銀色の光――『イルダーナ』に騎乗したリアの周りを、従者の様に付き従う魔導書が明滅を続けながら力を行使する。この戦場の支配者が誰であるかを示す様に、その光は輝きを増していった。
「機動は問題ない。状況更新……残存兵力はここで最後だ」
 不意にノイズ混じり――海流の音だろう――の通信が入る。その中で透き通った男の声がリアの耳に届いた。眼下の海洋で男は淡々と機会を伺っている。音の伝達が速い水中ならば、極限まで強化した聴覚で接敵よりも早く状況が分かる――だからこそ、奴らの到達前にリア達は完璧な罠を仕掛ける事が出来た。
「さ、――勝ちに行こうか、リア」
 敵数、陣形、予想される進行ルート――必要な情報は全て鳴宮・匡(凪の海・f01612)がリアに伝達している。彼女が用意したいつも通りの格好のまま、超常の力を湛える青い瞳が、まるで未来を見通す様に揺らめいて。
「この後に、邪魔を入れたくないしな」
 ぼそりと呟き、匡は漆黒の向こうに狙いをつけた。

『敵戦力2、不明多数――鮫、だと?』
『対機甲戦装備ではシャークデコイも無い。どうする』
『増速だ。振り切れ。エンドレスは目の前』
 泡立つ海中で悲鳴のような警報を鳴らし続けるウォーマシン達。それらが一つずつ沈黙――無力化していく。太く鋭い銛の様な弾頭が容赦なく機械の頭を砕き、姦しい機械の狂騒はやがて沈黙を取り戻した。
「何が目の前だって?」
 闇の奥、匡の手の内にある影の銃がふわりとその形を解く。水中でも何の制限もない……勿論、残弾を気にする必要も。必要となれば直ぐに呼び出せるし、残存兵力がなくなるまで相手をしてやる心算だ。だから。
「先へは通さないし、リアに傷もつけさせない」
 影は再び形を変えて――回転弾倉式のグレネードランチャーが、機械の残骸と共に足元の空間を爆ぜさせた。幾ら静かに忍び寄ろうと、匡の目と耳は誤魔化せない。
「一つたりとも、残しはしないさ」
 強化された五感は荒れ狂う濁流の中だろうと、悪しきマシンの鼓動を逃さない。加速する並列演算は索敵/照準/共有とあらゆるタスクを同時に果たす。光よりも早い神経伝達はその名の如く、神の御業を世に示すのだ。
 そして、匡の目の前の闇はもう何も返さない。牙を向けた鋼の骸は全て討ち果たした筈。つまり――刹那の思考、その答えは直に齎された。
「……来たのか?」
 束の間の静寂の後――海が、震えた。

「多分」
 端末越しにリアが返す。心なしかその声も震えている様。それは歓喜か、悲哀か?
「ああ、完成することはなかったあの艦影を――こうして捉えるなんてね」
 そう宣うリアの背後から、重々しい駆動音と甲高い電子音の多重奏が聴こえる。
「ボクは此処にいるよ、兄さん」
 兄さん――そうか。やはりあの男が、再びこの海へ顕現したのか。
 以前の記憶は無いだろう。だが魂は大きく変わらない筈。ならば……。
「虚数と幻想の彼方から、我が妖精郷を此処に顕現せん――」
 今度こそ、お前の言葉で伝えてやるんだ、リア。
 祝詞の様に唱えられた電脳魔法はやがて、大きく空を震わせる。
「機動戦艦ティル・ナ・ノーグ、現実空間へマテリアライズ!」
 空を破り、真っ先に見えたのは、片弦の祈りを捧げる乙女のエンブレム。
 それは、今を生きる誰かの為の船。
 それは、次代の希望を遺す為の舟。
 青と翠色と銀色の装甲が、星と月の光を浴びて淡く輝く。
 双胴の威容をもってその船は、虹色の亜空を渡り現れた。
「さあ、彼の胸にも、ボクらが生まれた意味と祈りを取り戻しに行こう」
「そうだな、リア……見せてやらないとな」
 お前が強くなったところを、骸に囚われたあの男に。
 止まった過去が、動き出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『未完の『イサム・セイル』』

POW   :    一切を無へ還せ! 消失の神槍(デミ・ルーン)!
自身の【構成情報】を代償に、【召喚した神槍から、対象を無へと還す光】を籠めた一撃を放つ。自分にとって構成情報を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    イ・ラプセル、現実空間へマテリアライズ!
【艦載機『ウェイブ・スウィーパー』】で武装した【ウォーマシン】の幽霊をレベル×5体乗せた【高速戦闘空母イ・ラプセル】を召喚する。
WIZ   :    沈めて眠れ。……凪の水底(ワールド・ステイシス)
【諦念を抱かせる虚数の波】を降らせる事で、戦場全体が【時空間と断絶した停滞空間】と同じ環境に変化する。[時空間と断絶した停滞空間]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:蜜来満貴

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリア・ファルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●スターダスト
『矢張り帝国式は駄目だな』
 静かに潜航する巨艦の中、青白いモニタの光を浴びて男が独り言ちる。エンドレス到達を目指したウォーマシン群は全滅――流石にここまで圧倒されるとは想像だにしなかったが、奴らも元は刃を交えた仇敵に過ぎない……僅かばかり上擦った声色で、何かを決意した様に男は前へと歩み出る。
『――まあ、元よりこうするつもりだった。全艦、偽装解除』
 元より最後まで当てにしてはいない。だからこそ自ら戦場へ赴いた――与えられた任務を全うする為に。不意に大きな振動が男を襲う――が、艦と一体であるかの様に男は微動だにしない。
『急速浮上、マテリアル変換……全リソース開放』
 獣の咆哮じみた甲高い音と共に、ずんぐりとした巨艦のシルエットが徐々に変化する。まるで動く大岩の様だった船体へ虹色の光と共に亀裂が走り、あたかも目覚めた雛鳥の様に、内側から何かがその姿を徐々に現す。
『虚無と骸の彼方より、我が妖精郷をここに顕現せん――』
 そして虹色の光は崩れる岩塊を喰らう様に絡みつき、溶かし、消えた。代わりに現れたのは、不定形に蠢くエネルギーの塊。エネルギーは更に形を変え、そして。
『高速戦闘空母イ・ラプセル、現実空間へ……マテリアライズ』
 真っ先に見えた鋭く伸びた艦首には、悍ましい三つ目のエンブレム。
 それは、過去に墜ちた船。
 それは、生れ得なかった幻。
 海を割り現れた、黒と黄金色と鈍色の装甲が、闇色の水面を妖しく照らす。
 巨大な弓の様に優美な巨艦は、数多の骸を渡りここへ顕現したのだ。
『――不明な航空機群、当艦に接近』
『ってヤバいだろ! 上から攻撃なんて聞いてねえぞ!?』
 エンドレス艦内……悲鳴の様な警報と共に艦体がズシンと大きく揺れる。緊急事態を告げる赤色灯が一斉に灯り、まるで地獄の様相と化した。
『艦長、装置の準備は?』
『元締めだ! バッチリ言われた所に戻しておいたっての!』
 暫定艦長に(勝手に)任命された元締めが悪態を突くと共に、ちらりと部下らの方を見やる。親指を上げて何がしかの作業を終えた事を告げる部下達。相変わらず不気味に赤く揺れる艦内で、僅かに見える希望を紡ぐ様に――。
『ならば、良し』
 ――それらを掬い上げるのは私の役目と言わんばかりに、エンドレスが静かに宣う。その言葉と共に、いつの間にか艦体の激しい揺れは収まっていた。
 
『前衛航空打撃群、会敵と共に防空戦力の無力化を完了。さて――』
 イ・ラプセル艦橋。薄暗い空間の中央に鎮座するキャプテンシートに腰掛けて、正面モニタに映された火の手を眺めイサムが呟く。グリードオーシャンの強制力で島から島へ渡る事は出来なくとも、島の湾内にさえ入ってしまえば自らの超常はその威力を発揮する。艀の様に浮かんだ砲船も、島の人々が暮らしていた巨大な浮き島も、その尽くを自らの艦載機で葬って立ち昇る煙の先――暗夜にそびえる巨大なシルエットを、まるで花火の様な爆光で包み込む。航空優勢さえとってしまえば、如何に広い戦場と言えど何も恐れるものは無い。猟兵が海中の敵に気を取られている隙に全てが完了する。そして、そうなる筈だった。
『エンドレス、その名も今日で終わりだ』
 力強く勝利を宣言し、視線の先に映る戦果をじっくりと見やる……そこに映し出されたのは、無傷の戦艦エンドレスの姿。
『! バリアか!?』
『ええ。その通り』
 じっとりとした電子音が一方的にイ・ラプセルへ届けられる。旧式の通信コード――銀河帝国の船舶の一般回線。そんな時代遅れのメッセージを受け取って、イサムはしたり顔で言葉を続けた。
『一人では何も出来ぬ老人が、今更何を』
 よく見れば爆炎が薄皮に纏わりつく様にエンドレスの表面を舐めている。艦隊戦用か、あるいはデブリ用の防御フィールドを展開したのだろう。コアマシン以外は最早抜け殻の、がらくた同然の船と伺っていたが中々どうして……エンドレスを煽る様に、イサムは声を上ずらせる。
『……私はここで朽ちるつもりは無い』
 しかしエンドレスは挑発に乗る事も無く、毅然とイサムへ言い返す。待ち人は来ず、されど、新たにやるべき事、成すべき事を見つけたのだ……だからこそ、絶対にやらせはしないと。
『それに一人では無い。今を生き抜く為に、私達はここにいる』
『そうかい。ならば――』
 ならば、まだ諦めきれぬというのならば引導を渡してやろう。我は骸の使者、終わりより来たる破滅。例えバリアを起動しようといつまでも持つ訳が無い……まともな整備もされてなければ、持ってせいぜい三分といった所か。ならば、その三分を地獄に塗り替えてやろう。

 すっと、闇の中で立ち上がるイサム。自身はあくまで制御AI――矛も盾もここが全てでは無い。何故ならば、堕ちた時に壮大なオーケストラを統べる指揮者の様に、イサムは両の手をゆっくりと持ち上げ、高らかに宣言した。
        マキシマイズ
『イ・ラプセル……全艦起動』
 地獄を奏でる楽団を――骸の海より呼び起こす。全てのリソースを開放。蓄積した歪められた過去の尽くを、イ・ラプセルの記憶を全て、今に呼び起さん。
『ならばその今とやらを、俺の全てで塗りつぶしてやろうか』
 瞬間、夜の闇よりも深い黒が天を覆う。落雷の様な轟音と共に、三つ目のエンブレムを掲げた艦がゆっくりと空を割って……星明りを昏い闇が覆い尽くした。

【状況更新】
・攻略対象は敵艦の制御AIである未完の『イサム・セイル』です
・『イサム・セイル』は何れかの敵艦『イ・ラプセル』に座上しています
・敵艦総数は不明ですが、どれに本体の制御AIがいるか不明です
・但し、時間を掛ければ敵艦総数は増えますし、エンドレスのバリアが割れます
・敵艦は空中に浮かんでおりますが、高度はそれほど高くありません
・海上ないし空中からの攻撃で、敵戦力を殲滅して下さい
ガーネット・グレイローズ
あれが三つ目海賊団の艦隊か。銀河帝国にも匹敵する装備と戦力だな。
ブラッドギア「夜の女王」で出撃、【ブレイカーシップ・ブレイブナイツ】
を率いて前線に。負ければ海の藻屑、奴らの仲間入りだぞ!
「フクロウさんEX」に指示を与え、《暗号作成》でエンドレスと交信

エンドレス、敵AIの座標特定に協力を御願いしたい。
95隻の灰薔薇艦隊は3つに分割し、展開したウォーマシンへの対処を。
私はキャバリアを《操縦》し、海上での《遊撃》を担当。
その間もフクロウさんが《ジャミング》を行い、敵部隊の連携を阻害する。
イサムの座標を割り出せたら艦隊を合流&ドッキングさせ、
火力を結集して当該空母への《砲撃》を開始!


トリテレイア・ゼロナイン
(グリモアで転送された機械飛竜ロシナンテⅢに騎乗し空中戦
●環境耐性継戦能力でGをある程度無視した機動)

私達の故郷や帝国と縁があるご様子
遥かな昔と今で恐らく立場が逆とは皮肉なものですが

帝国産ウォーマシンが人々守護する騎士を名乗る滑稽さなど百も承知
エンドレス様に、人々に手出しはさせません、コンキスタドール

飛竜口部砲で雑兵処理
センサーでの●情報収集で神槍発射●見切り回避し●推力移動で一本に肉薄
UC、●怪力、ワイヤーアンカー●ハッキングで神槍強奪

強き力の矛先を嘗てと違えた貴方には、御身の性能を持って思い出して頂きます

発射数半分、攻撃力五倍で発射
艦隊を光で●なぎ払い無へと還し
撃沈した艦の神槍奪い攻撃続行


秋月・信子
●SPD&真の姿

あれは…宇宙船?
それに帝国式と言ったあれが…星の海から零落した海賊船
あの艦隊のどれかに…それなら
ROSETTAから浮かび上がるホログラムを身に纏い、瞳を蒼く輝かせ真の姿を展開します
「コード…ヴァイス!」

これらを触媒にアリスナイトの創造力で各装備をイマジネーション
武装はメインをバスターランチャー、これで行きます

飛翔ユニット展開、このまま飛翔し【空中戦】を仕掛けます
要撃する艦載機は【影の模造品】で作り出したブラスターガンで向かい撃ち、ここはこの子達に任せてバスターランチャーを【エネルギー充填】させながら抜けます
抜けたら、敵艦をロック
最大出力で【貫通攻撃】し、複数の艦の撃破を試みます



●スターライト
「重力震検知。ワープアウト……いや、違うな」
 ブラッドギア『夜の女王』に乗ったまま海の上へ浮上したガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、暗夜に灯る禍々しい光――続々と姿を見せる敵艦隊に舌を巻いた。それはワープドライブにも似た反応だが、ドライブ用にコアマシンがこの世界で励起するとは考えにくい。であれば、答えは一つ。
「骸の海から直接呼び出したか。まるで帝国に匹敵する装備だな」
「ええ。IFF、ライブラリ共に未登録。不明な艦種ですが、あれは……」
 傍らには機械飛竜『ロシナンテⅢ』に跨ったトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が、紫電を纏い出ずる巨艦を冷静に観察する。
「未完の超兵器、と言った所でしょうか」
 かつて銀河帝国に属していた自身が知り得ない兵器。恐らくは先の戦争に間に合わなかった類の物だろう。トリテレイアらの足元に浮かぶ逢魔号から、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)が言葉を続ける。そしてその予感は当たった。
『悪いが『過去』を全て使わせてもらう』
 歪められた、ありえたかもしれない過去を――静かに宣うイサムの号令に続いて、イ・ラプセルの弓の様に張り出した両弦より鋼の翼が姿を現した。それらはかつての戦の亡霊、ウォーマシン型自立操縦システムを組み込んだ万能航宙戦闘機『ウェイブ・スウィーパー』。帝国のデルタ型に勝るとも劣らない、イ・ラプセルが誇る主力兵装だ。
『全艦、多元カタパルトを展開。全航空隊を発艦しエンドレスを制圧せよ』
「威勢は良いが、貴様……」
 カタパルトに火が点り、シグナルが青に転倒した刹那、それを遮る様な砲火が一斉にイ・ラプセルを襲う。無数の光条は遥か彼方、イ・ラプセルの正面より突如として現れた。
「戦争は初めてだな、ええ?」
 それはガーネットの声。暗夜に溶けそうな黒いキャバリアの背後には無数の戦闘艦艇がズラリと並ぶ。ガーネットの超常は時空を超えて、荒ぶる欲望の海に宇宙の戦士達を呼び出したのだ。じわりと赤黒く光る『夜の女王』がゆっくりと剣を掲げれば、それを合図に戦闘艦艇が三方に分かれて前進。イ・ラプセルの正面を塞ぎ込む様に陣形を展開した。
「全艦出撃! 三叉陣にて迎え撃て! 負ければ海の藻屑、奴らの仲間入りだぞ!」
「突出した敵編隊はお任せを。コード……ヴァイス!」
 倒されたウォーマシンを帝国式と言ったあれが、星の海から零落した海賊船の旗艦ならば――どこかに本体が、敵の首魁が座上しているに違いない。即座に迎撃陣形を展開したガーネットに続いて、信子は手持ちの端末から青と白のホログラムを呼び起こし――光と共に自身を包み込んだ。その真の姿は空を自在に駆け抜ける、想像力が生み出した魔弾の射手。蒼く輝く信子の瞳が見据える先には、十重二十重に展開した敵の艦載機群が雲霞の如く映し出されていた。
「飛翔ユニット展開、このまま飛翔し空中戦を仕掛けます!」
 言うよりも早く、翼の様に広がった一対の炎が信子を空高くへと飛ばし、同時に超常が――信子の周囲に無数のブラスターを顕現させた。
『ほぉ……この短時間で艦隊と迎撃機を展開か。流石だな猟兵』
「それだけではありません」
 そして信子のブラスターとガーネットの艦艇が描く火線を潜り抜け、飛竜に跨る機械騎士がイ・ラプセルの一つへ肉薄する。
「私達の故郷や帝国と縁があるご様子――遥かな昔と今で恐らく立場が逆とは皮肉なものですが」
『それを皮肉とは言わないさ。戦争なんてそんなものだ、機械騎士』
 群がる艦載機を飛竜の口腔内単装砲で蹴散らしながら、トリテレイアは加速する。本体を潰せば戦局は一気に傾くのだ――高鳴る機関の音に囃される様に、竜騎士は天高く飛翔した。
『それぞれの立場が戦場を作る。些か冗談のような光景だけどね』
「帝国産ウォーマシンが人々を守護する騎士を名乗る滑稽さなど百も承知」
 煽る様なイサムに、されど冷静に言葉を返すトリテレイア。本来ならば逆の立場での邂逅もあったのだろうが――過去は覆らない。だからこそ。
『だったらどうする?』
「――エンドレス様に、人々に手出しはさせません、コンキスタドール」
 騎士は飛ぶのだ。未来を切り拓く為に、光り輝く大槍を抱えて。
『ならば、やって見せろよ!』
 そして骸の使者は、あくまでその役割を全うするのだ。全てを終わらせる為に。

「エンドレス、敵AIの座標特定に協力を御願いしたい。分かるか?」
『相手は私より遥かに未来のAIです。どこまでやれるかは分かりませんが』
 一方、ガーネットはエンドレスへ暗号回線で支援を要請していた。主力艦艇の大半に敵が気を取られている隙に敵の本体を確実に叩く。その為の準備は整った――だが、エンドレスとは十数世代近く離れた艦艇とはそもそもの制御規格が違う。レガシーコードで侵入を試みる他方法は無いが、それでも可能性があるならば――生き延びる為には最早、形振り構っていられる状況では無い事はエンドレスも承知していた。
『……一分下さい。やってみましょう』
「助かる。各員へ通達!」
 エンドレスの返答と共に各猟兵へ秘匿回線で作戦を伝えるガーネット。肝となるのは艦載機群の迎撃――残された時間は少ないが、その僅かで起死回生の一手が打てるならば、賭けてみる価値はある。
「――了解です。ならばこちらは出現中の艦隊を抑えましょう」
「では私は最前面の敵艦へ」
 長大な大砲を抱えた信子がブラスターを散開させて弾幕を張り、トリテレイアは直下の巨艦へ突撃する。時間稼ぎを気取られては逃げられる……しかし敵は、そんな思いすら意にも介さず、全てを葬り去ろうとその牙を向けてきた。
『お喋りをしている場合か、猟兵ッ!』
 突如、イ・ラプセルの両弦がどす黒い闇に包まれた。それは正しく虚無の如き、全てを飲み込む暗夜より深い黒。
『骸なる星、珠なりし虚無より来たりて――』
 翼の様に広がった両弦からその闇が中央の、まるで弓を放つ投射口の様な大穴に集束して、周囲の空間を歪な何かへと変貌させる。
『我は願わん静寂を。我は叶えん終末を』
 その漆黒はバチバチと紫電を纏い、一本の巨大な矢の様に変質した。正に漆黒の柱――光すら飲み込む様な暗黒が、円柱状の先端を鋭い槍の穂先に変えて。
「虚数域の反応が増大、だと……!?」
「侵食されていく、世界が……骸に!」
 各機のセンサーが捉えたその事象は、全ての物理計測値を反転させてあり得ない何かの現出を示し出した。それこそが、イ・ラプセルが誇る必殺の一撃。
         デ ミ ・ ル ー ン!
『一切を無へ還せ! 消 失 の 神 槍 !』
 イサムの声と共に殲滅の一矢が放たれる。音も無く伸びきった漆黒が向かう先は、トリテレイアを含む猟兵達が展開した無数の兵器。
「成程、虚無の塊ですか……これは、流石に!」
 こんなもの、直撃すれば存在ごと消滅してしまう。それに狙いは精確――いの一番、真正面にいたトリテレイアの全身を漆黒が包み込んだ刹那、爆発と共に機械騎士はその身を投げ出しイ・ラプセルの甲板へと落下した。
「ロシナンテ、すぐに直しますから……!」
 闇に呑まれた機械飛竜が落ちる姿をセンサに捉え、それでも淡々と成すべきを成さんと騎士は立つ。離脱出来たとはいえ脚部ユニット大破、武装も三割が使用不能。だからこそ、後が無いトリテレイアはイ・ラプセルへ取り付いたのだ。
『その身体でどうする気だ、機械騎士?』
「こうするのですよ。少々不作法ですが、ご容赦を」
 機械騎士の背後より伸びる無数の触手――ハッキング用ワイヤーアンカーがイ・ラプセルの装甲を穿つ。直接回線で取り付いてしまえば、相手が機械でさえあればこの騎士にとっては等しく、己の力と化す。
「エネルギー経路、虚数変換装置、多元コンバータの制御ユニットは――」
『貴様、まさか!』
 あくまで目標は制御ユニットの掌握。強制的に管理者権限を上書きし、艦のコントロールの全てを一時的でも手に入れる事さえ出来れば――。
「強き力の矛先を嘗てと違えた貴方には、御身の性能を持って思い出して頂きます」
 戦局は引っくり返せる。我が身と引き換えに。
         デ ミ ・ ル ー ン!
「一切を無へ還せ――消 失 の 神 槍 !」

『――敵の指令系統の異常を確認』
「異常? どういう事だ?」
 トリテレイアが放った神槍はそのまま残りのイ・ラプセルをなぎ払う様に伸びていく。一つ、二つ……闇に呑まれた巨艦はそれぞれがあるべき場所へと還されて、それらが呼び出した艦載機群も一つずつ消えていった。
『消失したAIの反応が別の艦に出現しました。つまり――』
「つまり奴はどこにでもいる。全部やるしかないって事か……!」
 その時エンドレスが捉えたものは、敵のメインAIらしき反応が突如として他の艦へと移動した形跡。それはゼロ秒近い、物理法則を越えた現象。余りにも無慈悲なその答えに舌打ちするガーネット。だがこれで、どう戦うべきかは見えてきた。
「敵航空隊は何とか抑えられています。トリテレイアさんの決死の策も十分に」
 信子が続ける。戦況は敵のユーベルコード兵装を乗っ取ったトリテレイアが我が身を犠牲に覆した。それでも、敵の新たな艦隊は続々と姿を現しつつある。であれば、やるべき事はただ一つ。
「こちらも艦隊戦を。今やらなければ、続く敵航空隊の展開を抑えられません」
 長大な砲を天高く掲げて信子が宣う。時間は十分に稼いだ。今ならば奴らが姿を現す前に、大半を片付けられると。
「……フクロウさん、ジャミング最大。全艦結集、対艦戦闘用意!」
 そしてガーネットも決意する。アシスタントロボの『フクロウさんEX』に周辺のジャミングを任せ敵艦載機群の攪乱を続ける。その隙に展開した超常の艦艇を集結させ、最大火力で主砲を喰らわせてやればいい。
「半分はトリテレイアがやってくれてる! 狙いはもう半分だ!」
「了解。エネルギー充填120%。照準固定、ブレーキ展開!」
 ガーネットの元に集結した艦艇が一つの巨艦となって、艦首にそびえる長大な主砲に光が集まる。その傍ら、青い装甲を纏った信子が額のセンサを点灯させて――。
  ファイエル!
「「砲撃開始!!」」
 放たれた二つの光条が巨艦の腹を抉る様に伸びていく。光は更に横薙ぎに、完全に姿を現わせていない艦隊の尽くを爆ぜさせた。
 未来への一撃は、歪んだ過去には止められない。闇を切り裂くその光は、決して生きる事を諦めぬ人々の意志の体現――魂の一撃だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
虚数の波により引き起こされるこの環境は、恐らくは「骸の海」と同質のもの。
この予想が正しければ、オブリビオンマシンであるこの子は適性が高いはずです。
恐れる事なんて、なにもありません……!

引き続きキャバリアに搭乗して環境変化を凌ぎつつ【武装憑依・闇の精霊さん】発動
可能な限りの出力を出すため、機体胸部を展開しコアを露出
コアと両手の間にマイクロブラックホール爆弾を生成
可能な限り多くの敵艦を巻き込める位置を狙って投射・起爆し、艦隊の殲滅を狙う
この際精霊さん及びGuardian Spiritを応援して「鼓舞」し、可能な限りの効果を出せるようにする

塵一つ残さず……消滅させてあげますっ!!!


ラハミーム・シャビィット(サポート)
 シャーマンズゴーストのUDCメカニック×戦場傭兵、25歳の男です。
口調は、掴みどころの無い変わり者(ボク、キミ、デス、マス、デショウ、デスカ?)

人と少しずれた感性を持っていて、面白そうならどんな事にも首を突っ込む、明るく優しい変わり者です。
戦闘時にはクランケヴァッフェや銃火器の扱いは勿論、近接格闘術のクラヴ・マガなどでド派手に暴れ回ります。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


鏡島・嵐

奴さん、こんな隠し球抱えてやがったんか……そりゃあ余裕ぶっこいて戦力の逐次投入とかするわけだ……!
水ン中から次は空中か……! 怖ぇけど急がねーと……!
(潜水服を脱ぎ、いつもの恰好に)

〈水上歩行〉と〈ダッシュ〉で海面を駆けながら、スリングショットから〈スナイパー〉ばりの射撃で敵艦を狙う。SSW製の宇宙戦闘機を墜とした実績はあるから、それなりに打撃は与えられるはずだ。
敵もこっちを無力化させようとしてくるはずだから、〈環境耐性〉で耐えるか適応するか、出来そうならユーベルコードで相殺狙うか、だな。
あとはいつも通り、アテになりそうな仲間が近くにいる場合は〈援護射撃〉で支援だ。

……負ける、もんか。


陽向・理玖


変身状態維持

三分ね
それだけあれば十分だろ
居場所が分かんなかったら
全部ぶっ潰せばいいだけだろ

UC起動
残像纏い手近な艦から片っ端から近付いてグラップル
拳で殴る
空母ってどこぶっ壊すのが効果的なんかな
燃料庫的な?
まぁいいや
いくつか試してれば分かるだろ
戦闘知識活用し部位破壊
効果的な破壊試みる

敵の攻撃はむしろこっちのもんだぜ
ようやく制御してる奴の居場所が分かるってもんだろ?
構成情報犠牲にすんなら弱くなってやりやすい
光見えると同時に見切り
艦の陰利用し避けつつ
搭乗艦へ飛び込み限界突破
ダッシュでさらに加速し一気に敵の懐へ飛び蹴り
待ってる人がいる
今更俺は無くなりたいとは思わねぇ
だからこんなん喰らうか
拳の乱れ撃ち



●虚無戦機
『艦隊の大半が、ハハ……流石だな』
 自嘲する様な笑い声を上げて、イサムは藍色の髪を揺らす。
『旺盛な戦意だ。ならば、こういうのもある』
 イサムが逃げ延びたイ・ラプセルは未だ健在のもの。残る艦隊も時間を掛ければ再編出来る。ならば今度は、その時間をこちらが稼ぐだけだ。
『アカシックドライブ解放、光子波動エンジンフルドライブ――』
 青白く妖しく光るイ・ラプセルは、エンドレス諸島全域をターゲットに、己が身に渦巻く諦観の念を解き放つ。それは全てを飲み込み、己と等しく心を共有するのだ。
         ワールド・ステイシス
『――沈めて眠れ。 凪 の 水 底 !』
 そして骸のさざ波に飲まれて、世界は停止した。

「虚数の波により引き起こされるこの環境は、恐らくは『骸の海』と同質のもの……」
 イ・ラプセルが――イサムが引き起こした停滞空間に囚われた荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は独り言ちる。自身の予想が正しければ、骸の海と近い性質を持つ『Guardian Spirit』であれば、正常に稼働する筈だと。しかし。
「オブリビオンマシンであるこの子でなければ、動く事も……」
 その予想は半分は正解で、半分は違うものであった。性質が近くとも、この空間の本質は諦観――怨嗟でも憎悪でも無い、まるで虚無にも等しい凪の空間。それは骸の海を構成する一部分に過ぎない。故にひかるのマシンは完全に停止はせずとも、その呪いに半身を奪われつつあった。
「ならば、どうにかする。嬢ちゃんは俺の前まで動けるか!?」
 声が聞こえた。鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)――希望と絶望が内在する彼も同じく、恐怖とそれに抗う二律背反の心が、自らを奮わせてかろうじで動く事を可能にしていた。
「出来ますが、一体、何を……」
 コクピットでぼそりと呟くひかる――かつて世界を諦めた己が半身を取り入れて無ければ、この静寂に呑まれてもいただろう。だが自らのマシンと同じく、寸での所で魂までは屈しない。声がする方へマシンを動かし、霞がかった静寂の上をゆっくりと進む。
「まあ見てなって。凄ぇ怖ぇけどな……!」
 忍びの如き足技で水上を歩む嵐は、うっすらと見えてきたひかるのマシンを見上げ、高く手を上げる。
(奴さん、こんな隠し球抱えてやがったんか……)
 更にその先に浮かび上がるは漆黒の巨艦――城の様なシルエットは、これまで相手にしてきた潜水艦隊とは訳が違う。
(そりゃあ余裕ぶっこいて戦力の逐次投入とかするわけだ……!)
 そして戦場は逆転し、敵は高々と空にそびえる。
「水ン中から次は空中か。急がねーとなぁ……!」
 怯える心を、諦めようとする本能を理性で押さえつけて、嵐は静かに勇気を紡ぐ。この一手を挽回する為に、己の全てを賭けて。

「エンドレスが持つのは三分ね――それだけあれば十分だろ」
 一方、陽向・理玖(夏疾風・f22773)はかろうじでイサムの影響から逃れる事が出来ていた。視線の先には巨大な艦――纏った装甲の力を開放すれば届くだろう。だが、今飛び込むのは明らかにヤバい……本能が一歩を躊躇わせ、未だ逢魔号の甲板から動く事が出来ずにいた。
「ってか、あそこまでどうやって行くか、だけど……」
「お困リの様だネ」
 ふと、聞き慣れぬ声が――黒い痩身のシャーマンズゴースト、ラハミーム・シャビィット(黄金に光り輝く慈悲の彗星・f30964)が超常の大鷲に跨って、天高くより理玖へと声を掛けてきた。
「乗るカイ?」
「――助かるぜ。飛べるにゃ飛べるが」
 すかさず、その背後へと飛び乗った理玖。先の方へ進んだひかると嵐の様子がどうやらおかしい……迂闊に飛び込めば自身も巻き込まれる可能性がある。それに。
「ハエ叩きがしつこそうでね」
「だったらソレは、引キ受けヨウ」
 時折ひかるのマシンを狙って銃声が響いていた。つまり対空兵装は健在――万が一の事があれば、自身も落とされかねない状況。この異様な状況下、仲間は多いに越した事は無い。特に空を飛べる仲間であれば、これほど頼もしい事は無い。それに。
「ああ。丁度始まるみたいだし……」
 ひかると合流した嵐が何かを始める――強化された理玖の視力が捉えた嵐の姿は、今まで見た事も無い決意の表情が伺えたから。
「でハ、行コウか」
 理玖はラハミームと共に大空へと舞い上がる。ならば反撃のその時まで、自身も絶対に諦めないと。

『もう諦めな。諦観の果てにこそ、争いの無い本当の平和があるんだぜ』
 ボロボロのイ・ラプセルの甲板に姿を現わしたイサムは、挑発する様に言葉を紡ぐ。この空間の意思に従わなければ、何も成す事など出来ない。だからこそ全てを諦めて受け入れろと、歪んだAIは猟兵達へ告げるのだ。
「違えよ、絶ッ対にそれは無え……」
 しかし嵐は、いつも諦めそうになる弱い心を奮わせてきた男には、イサムの本音がよく分かった。ひかるのマシンの背に隠れ、弾幕を躱しながら嵐は続ける。
「むしろ、アンタは諦めたってより――」
 諦める事は楽だ。それで終わってしまえば文字通り『諦めがつく』……だから嵐は、今までも、これからも、それに抗い続けると誓ったのだ。
「怖えだけだろ、未来って奴がさ!」
『何を、お前は……』
 怖いからこそ、その先へ――まだ見ぬ地平への胸の高鳴りを信じて、一つ一つ進んで行くのだ。それこそが家族に誓った、己の在り方だから。
「……負ける、もんか……幻遊びはお終いだッ!」
 ミシリ、と空間が揺らぐ。嵐の前には鏡が。その先にはイサムの姿が――映し出された姿は、自身に溢れる若者では無い。喪失に恐怖する、未来に恐怖する一人の男――そして鏡を基点に、偽りの諦観がバラバラと崩れ落ちる。
『お前、一体何を……!』
 それこそが嵐の超常――鏡に映した正反対のユーベルコードは、諦観を反転し希望を映し出したのだ。再び、霞がかった空間は星明りに照らされる暗夜の海上へと姿を変える。凪の風は無い。あるのは戦場の嵐だけ。
「ユニット回復。それだけじゃない、出力も上昇――これなら!」
 ひかるのマシンの眼に光が戻る。雄々しくそびえる荒ぶる戦神。精霊の力を纏いし星の名を冠するそれは、星明かりを浴びてより一層の力を引き出した。
「闇の力の神髄、お見せしましょう」
 その声と共に機体中央の胸部コアが露出する。恒星の様に瞬くそれが周囲の虚無を引き寄せて、一点に集中――マシンが両手で包み込む様に、徐々に漆黒がその姿を露わにした。
『虚数の波を打ち消しただと!?』
「それダケじゃナイ……この波動ハ」
 そしてイ・ラプセルの直上では、対空砲火を爆撃で無力化しながら、ラハミームの大鷲が悠然と飛び回っていた。その背にはもう一人、蒼き装甲に身を包んだ理玖の姿。
「全く逆の性質、ボク達を強クしてくれル!」
「そういう事だ。行くぜ――フォームチェンジ! ライジングドラグーン!!」
 嵐の放った光を浴びて、その輝きを更に増す理玖。大鷲の背より飛び降りて、自らが放つ七色の光が竜の姿を映し出す。
「ようやく制御してる奴の居場所が分かるってもんだ……って」
 そのまま着地と同時に甲板を揺らして、走る亀裂がイサムの足元をぐらつかせた。その姿を見て理玖は僅かに訝しみながら、逃がさぬと言わんばかりに指を差した。
「あんたがイサムか。てかよ、もしかして兄弟とかいる?」
『……関係無いだろ、お前には』
 藍色の髪をかき上げて、物憂げな表情のまま無より漆黒の槍を取り出すイサム。それは姿形は違えど、先の戦いで見せつけた超常の必殺兵器そのもの。
「そいつが神槍か! いいぜ、来いよ!」
『触れれば消えるぜ? さあ、どうする!』
 言うよりも早く飛び込んだ理玖を貫かんと一突き。半身でそれを躱して裏拳、肘打ち、直蹴り――その尽くを振り回した槍の柄で受け止めて、イサムは距離を取る。
「先っぽに触れなきゃ消えねえっての!」
 流石の手練れか。全部ブッ壊すつもりで来たけど、本体そのものが出てくるならば話は速い。燃料庫だの機関室だの迷路みたいな艦内を探し回るよりよっぽど楽だ……たとえそれが、自らの存在を賭ける戦いとなっても。それに。
「――今更俺は、無くなりたいとは思わねぇ!」
 バチバチと紫電が槍に纏わりつく。来るか……それを見切れば、後は!
「だから、こんなん喰らうかッ!」
 一閃――横薙ぎの神槍を紙一重で躱し、しゃがんだ姿勢からイサムの懐へ飛び込んだ理玖。そのまま無数の拳の連撃が重苦しい音と共にイサムを彼方へと吹き飛ばした。たたらを踏んでかろうじで踏みとどまったイサムの手には、最早神槍は無い。
「待ってる人がいる……負けられるかよ」
『それが、思いの力……だが』
 出しゃばり過ぎたか……バチリと空間に溶け消えたイサム。アバターの姿は無くなり、残されたのは薄緑の光跡と僅かばかりの声。
『槍はまだ、失ってなど無い!』
 突如イ・ラプセルの艦体が大きく揺れる。再び周囲には深い黒が集まって――手放した神槍を艦へと戻したのか、甲板の下の砲口にどす黒い闇が集まっていく。しかし。
「いいえ、チャージなどさせません」
 少女の声が響いた。いつの間にかイ・ラプセルの頭上には巨大な闇を抱えた人型のマシン――『Guardian Spirit』が雄々しく立っていた。更にその周囲をラハミームの大鷲が悠々と飛んでいる。
「理玖クン、飛べるかイ?」
「助かった……今だ!」
 飛び上がり再び大鷲の背に。そこには満身創痍ながら、起死回生の一手をやり遂げた嵐の姿もあった。これで役者は揃った。
「そんなに無が好きでしたら……」
『何、だ、これは……』
 急ぎ離脱するラハミームを見やり、ひかるが口元を薄く歪める。骸の海に近い環境――僅かに呼び覚まされた過去の魂が、今を守らんとその力を貸したのだ。
「塵一つ残さず……消滅させてあげますっ!!!」
 そして大いなる闇が――生も死も等しく飲み込むマイクロブラックホール爆弾がゆっくりと、イ・ラプセルへと投下される。それは艦体構造物をごっそりと抉って、諦観という怨念そのものをこの世界から消滅させた。最早、この艦に戦う術は残されていない。





『そこまでして、拒むのか……』
 イ・ラプセルの戦闘ユニットは全損。最早、再起は不能に等しい。
『どうして、抗うのだ』
 あの時と一緒だ。あの時も敵の圧倒的な物量に押し切られ、皆、沈んでしまった。
『コアユニット離脱開始。残存飛行部隊は第三甲板へ集結』
 それでも、言葉とは裏腹に、イサムは戦いを続ける。消滅・爆散した戦闘ユニットを放棄して、艦橋に近いコアユニットのみを離脱させる。そのまま残された艦載機群を発艦させて、骸より出ずる次の己が到着するまで持たせられれば。
『全機発艦……甲板反転』
 機動部隊の発艦と共にコアユニット正面甲板が回転し、僅かながらの主砲と対空火器がその姿を現わす。先程とは比べるまでも無い、貧弱な武装。それでも。
『まだ、終わらせないよ』
 全てを終わらせる為に。全てを諦めるには、まだ早い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

エコー・クラストフ
【BAD】
ふーん、海戦の次は空か。あんまり得意じゃないんだよね、空の戦いは
まぁでも、ハイドラの頼みだ。それに空にいるからって、オブリビオン共を見過ごすようなボクじゃない
皆殺しにしてやるさ。勿論、ハイドラに傷はつけさせずにね

おっと。飛ぶ前に……【龍を墜とす獄光】
帯電完了だ。地獄の住人は空を飛ぶ者を許さない
随分たくさんいるようだが、なぁに。まとめて叩き落としてやる
天を目指したオブリビオン共。地に堕ちる時だ

そうだね。ボクらがすべきは掃除みたいだ
ゴミ掃除、オブリビオン掃除……地ならしには慣れてるよ
とはいえ、「空ならし」には慣れてないけどね。ちゃんと上手く飛ばせてくれるよね、ハイドラ?


ハイドラ・モリアーティ
【BAD】
上を取られちまったか
ンー、こりゃあヒュドラの姿じゃデカい的だな
……エコー、お前に任せるよ
海にゃ沈まねえ、俺は海の主様だぜ――海面にゃ立っとくよ。棒立ちで
ポケットに手なんて突っ込んじゃってさ
あー、やっぱ機械なんか食うんじゃなかったってのが本音。体が重いし動けねえ

――【סמאל】
俺が船なんて折れると思う?
俺の羽をやるよ、エコー。さらに上とって、バキバキにへし折ってやンな
信頼してるぜ。今度こそ「俺に傷一つつけさせないでくれ」
難題かな?かわいいワガママのつもりだけど
……俺達がやるべきはサポートっぽいからさ
ガンガン削っちまおうぜ、ダーリン
なァに、たまにゃァ「空ならし」する裏方ってのも悪かないさ



●Blue sea And Dominator
「ふーん、海戦の次は空か」
「上を取られちまったか。ンー……こりゃあヒュドラの姿じゃデカい的だな」
 鋒鋩の体ながらも空高くに鎮座するイ・ラプセルを眺めて、ハイドラ・モリアーティ(冥海より・f19307)は溜め息を吐く。あれは厄介だ。海中ならまだしも、海に最も近く、最も遠い場所に奴はいる。
「……エコー、お前に任せるよ」
 巨竜の姿のまま、くぐもった声音で愛する君へと語りかけるハイドラ。その背に乗せた小柄な少女は天を見上げて、同じく溜め息を吐いた。
「あんまり得意じゃないんだよね、空の戦いは。まぁ……でも」
 エコー・クラストフ(死海より・f27542)は星明りに浮かぶ巨影を睨みつけ、やりきれない様に言葉を紡ぐ。それでも、アレを止めなければならない。偽りの静寂など本来あるべき海の姿じゃあ無い。それに。
「何よりハイドラの頼みだし、空にいるからって、オブリビオン共を見過ごすようなボクじゃない」
 赤黒い刀剣をさらりと抜いて、エコーは静かに呪文を呟く。彼女の頼みに応えないという選択肢は無い。やるからには、徹底的に潰すのみ。
「アリガト。それじゃおまじないだ――勝利のね」
 その様子を大きな瞳で満足げに眺めて、ハイドラも呪文を――死を司る天使の羽を、海を統べる復讐者へ愛を込めて授けるのだった。
「俺の羽をやるよ、エコー。さらに上とって、バキバキにへし折ってやンな」
 それは『סמאל』――神の毒は遍く脅威を抹殺する。彼女等にとって、海域を脅かす全ては敵。背中に映えた一対の羽が星明りを浴びて煌いて、僅かばかり頬を染めたままエコーがハイドラに問うた。
「ハイドラ、君はどうする?」
 静かに空を舞うエコー。ハイドラが授けた超常の羽は、まるで蝙蝠の様に優美な曲線を描いて、佇むシルエットは堕天使の如き姿を海面に映していた。
「海にゃ沈まねえ、俺は海の主様だぜ――海面にゃ立っとくよ。棒立ちで」
 その言葉と共に巨竜は人の身に転ずる。サラリと伸ばした長髪をかき上げ、ハイドラは飛び回るエコーに流し目を送った。
「信頼してるぜ。ここで観てるから、今度こそ『俺に傷一つつけさせないでくれ』」
 ちょっとばかりかわいいワガママのつもり。だってあんな所に浮かんだ船を折れると思う? なんて含ませて。その言葉に少し困ったような、あるいは嬉しい様な表情を浮かべて、エコーは海面に佇むハイドラをゆったりと見つめた。
「難題かな?」
「勿論『ハイドラに傷はつけさせない』――皆殺しにしてやるさ」
 今度は、自分の番だから。その言葉を信頼の証と受け取って、剣に仕掛けたまじないは――天を灼く地獄の雷は十分に帯びる事が出来た。空いた片手を額に掲げ、出陣の挨拶を。それを見やり、笑みを零してハイドラが続ける。
「……俺達がやるべきはサポートっぽいからさ。ガンガン削っちまおうぜ、ダーリン」
 ハイドラの背後、味方の猟兵が巨大な船を空に飛ばしている。全く海を何だと思っているんだ……だが、今は毒づいている場合では無い。
「そうだね。ボクらがすべきは掃除みたいだ」
 露払いというには余りにも多くの、星明かりを覆い尽くす鋼の翼の大群を睨みながら。紫電を纏った剣を振るい、エコーは空高く飛び上がった。
「ゴミ掃除、オブリビオン掃除……地ならしには慣れてるよ」
 しかし、ああ……これじゃまたゴミが増える……それ以上に。
「――地獄の住人は空を飛ぶ者を許さない」
 怒りにも似た感情が剣より発露して、赤黒い雷が天へと昇る。それを合図に、最後の戦いが始まった。

「随分たくさんいるようだが、なぁに。まとめて叩き落としてやる」
 不意に放たれた雷は容赦なく艦載機を叩き落とす。航空優勢? 相手が飛行機ならば話は違うだろうが、こちらは死を司る天使。海を統べる地獄からの使者だ。
「天を目指したオブリビオン共。地に堕ちる時だ」
 迎撃の火線をバレリーナの様にくるくると舞いながら躱すエコー。ひらりと翻った外套がまるで花の様に開いては、加速と共に槍の様な鋭いシルエットを生み出して。
「あー、やっぱ機械なんか食うんじゃなかったってのが本音。体が重いし動けねえ」
 放たれた雷が一つ、二つと鋼の翼を物言わぬガラクタに変えていく。海に落ちるそれらを眺め、嫌な事を思い出した様にハイドラが呟いた。
「でも、ちゃんと上手く飛ばせてくれるよね、ハイドラ?」
 羽の制御はハイドラが。エコーは迎撃に専念すればいい。事実、エコーは敵機の盛大な歓迎を何一つ受ける事無く、続々とガラクタを量産していった。
「当然さね。空だろうと海の上にいる以上――」
 エコーが一つ敵機を落とす度、爆音と共に光が花火の様に上がる。空を描く雷の軌跡はあたかも宗教画の様に荘厳で、暗夜の海面をキャンバスにした一大ページェントみたいだ。
「ここは俺達の領域さ、エコー」
 満足げにそれを眺めては笑みを零すハイドラ。まあ、堕ちたゴミはここらの連中が拾うだろう。流石に喰らう気は無いし、それよりもエコーが届ける美しい空模様をいつまでも観ていたい。
「とはいえ……『空ならし』には慣れてないけどね」
「なァに、たまにゃァ『空ならし』する裏方ってのも悪かない」
 それに十分、仕事は果たしているさ。背後に控える男達の顔を思い浮かべて、ハイドラはぼそりと呟いた。
「カーペットは敷いたぜ、色男ども」
 早くしないと、ダーリンが全部持っていくぞ?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リア・ファル
●匡にーさん(f01612)と
真の姿(戦艦+AI)

ティル・ナ・ノーグで全力対抗

兄を見失うこともなくイルダーナで突撃

兄さんは優しすぎた
轟沈の瞬間、ボク達兄妹を遺していくことを許せなかった

その一欠片の後悔を骸の海に囚われてしまった
だから諦めと共に苦しみも悲しみもない、永遠を求めた

でもね、イサム兄さん

ボクたちは生まれた。世の理不尽に抗う為
それは、たとえ儚くとも日々の喜びと幸いを尊ぶ為だ

さあ、思い出して
「今を生きる――誰かの明日の為に!」

それにボクは独りじゃない
にーさんや……猟兵の――皆がいる!

【暁光の魔剣】!

「ボクは、大丈夫。お休み、イサム兄さん」
暫しの別れを告げ、残った兄と船の構成情報をサルベージ


鳴宮・匡
◆リア(f04685)と
◆引き続き【真の姿】で

位置はわかるんだろ
なら心配はいらないな
――そこまでの道は、開くから

左舷を足場に借りるよ
固定砲台の代わりだと思ってくれていい
引き続き全知覚を駆使して相手の陣容を把握
リアの行く手を阻む敵を優先して落とす
艦載機だろうが、空母だろうが関係ない
動いているものならば、必ずその動力の要――急所ががある
“ある”ものなら、撃ち抜けない道理なんてない
まして武装がSSW製のブラスター銃だ
相手が鋼だろうが、なんの問題もない

いつかの宇宙の時みたいに支えてやらなくても
もう、お前は大丈夫
ちゃんと向き合えるだろ

だから、信じてその道を開く
信じて、ここで待ってるから

行ってこい、リア



「位置はわかるんだろ」
「うん。お陰様でね」
 機動戦艦ティル・ナ・ノーグ――リア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)の本来の姿。その甲板上で、鳴宮・匡(凪の海・f01612)は風の向こうに浮かぶ艦を見やり、静かに確認した。状況は優勢――されど、骸の海より続々と次の『イ・ラプセル』が姿を見せている。それをもぐら叩きの様に潰す仲間達と、一隻を最後まで追い詰めた仲間達。目標は既に骸の海へ戻っている……訳では無いらしい。
「なら心配はいらないな――そこまでの道は、開くから」
「お願い。ちょっと揺れるけど……大丈夫?」
 進路そのまま。正面の艦目掛けてリアは進む。派手に爆光を散らす戦域を潜り抜けて、その先――続々と射出される艦載機群に狙いを定め、匡はリアへ言葉を返す。
「ああ。固定砲台の代わりだと思ってくれていい」
 足元には祈りを捧げる乙女のエンブレム。正面の敵艦――匡の視力ならば、そこに禍々しい三つ目のエンブレムが描かれている事が分かる。本来ならばこの艦と同じ印が描かれていただろうに……だが、歪められた過去はもう、元には戻らない。
「ありがとう。それじゃあ――進路固定」
 艦が増速し、頭上の星々が線を描く。エネルギーフィールドが風切り音を奏でて、暗夜に揺蕩う骸の手先を歪ませる。
「目標、イ・ラプセル……イサム・セイル」
 力強く、リアが宣言する。失われた過去を取り戻す為に。
「今行くよ、兄さん」
 諦観の海を越えた先の、未来を知らしめる為に。

●今を生きる、誰かの明日の為に
『艦載機は全機発艦、武装は……フフ』
 イ・ラプセルのコアユニットは健在ながら、時折猟兵の攻撃を受けてはその威力を一つずつ失っていた。
『主砲は一番から四番まで全損、対空火器もほぼ沈黙か』
 全て正面の巨大な艦――懐かしき愛しの一番艦、ティル・ナ・ノーグの仕業。その甲板にある何かが、全ての迎撃機を、反撃の砲火を、尽く潰していたのだ。
『神槍を使えるほどマテリアルもストレージも残っちゃいない……』
 それはイサムの知り得ぬティル・ナ・ノーグの新たの武装か――否、その予想は尽く外れていた。望遠機能が回復し、モニタが改めてティル・ナ・ノーグの突き出した両弦先端を映し出す。
『――あれか』
 正面モニタに映し出されたその艦には、懐かしい面影と、見知ったような男の姿。その男が、大口径のブラスターをずっと正面に――イ・ラプセルへと向けていた。それはまるで、イサムに狙いを定めたかの様に。
「大丈夫、にーさん?」
「お前のブラスターだ、何の問題も無い」
 その名の通り、立ち塞がる全てを『崩壊』させる至高のレイガンは、発動した匡の超感覚と相まって進路上の障害を尽く破壊せしめた。
「“ある”ものなら、撃ち抜けない道理なんてないからな」
「……敵制空権を突破。機関全速――突入するよ!」
 それが戦闘機だろうと、艦砲だろうと、位置さえ分かれば壊すのは容易い。壊すのは俺の役目だ――故に匡はティル・ナ・ノーグの槍となって、リアの進路を塞ぐ何もかもを微塵へと還すのだ。そして遂に、ティル・ナ・ノーグは丸裸となったイ・ラプセルの艦体へ自らを押し当てる。瞬間、振動が匡の身体を大きく揺らした。
「ああ、行ってこい、リア」
 言いながら、僅かばかりの抵抗を続ける対空砲火を黙らせて、匡は言葉を続ける。かつて分かたれた兄妹の邂逅――その邪魔は、決してさせないと。
「いつかの宇宙の時みたいに支えてやらなくても……」
 鋼鉄の艦に姿を変えたリアの表情は分からない。でも、心は分かる。だから。
「もう、お前は大丈夫。ちゃんと向き合えるだろ」
「…………」
 リアはもう、自ら魂の帆を揚げて、先へ進む事が出来るだろうから。
「だから、信じてその道を開く。信じて、ここで待ってるから」
 そして微かな電子音と共に、リアのアバターの背が姿を見せる。
「……うん」
 煌く金髪と、小さな肩を少しばかり奮わせて。少女は一歩、前へ踏み出す。
「行って、きます」
 消えそうな、されど芯のあるか細い声音と共に、少女の姿は虚空へと消えた。

「――兄さんは優しすぎた」
 その空間は静謐。イサムの心を示す様な、虚無の白に覆われていた。イ・ラプセル中枢ユニット――その電脳空間に入り込み、リアは滔々と言葉を漏らす。同系統のユニットだ。近付きさえすれば、ここへ辿り着く事は造作もない事。まるで隣の部屋を尋ねるくらいの気軽さで、リアはそこに現れた。
「マグ・メル、メグ・メル……轟沈の瞬間、ボク達兄妹を遺していくことを許せなかった」
 蘇った銀河帝国の強襲。誰にも止める事など出来なかった。咄嗟の判断で多元空間へ退避し、イルダーナで逃げ出せた自分を除いて、あの時イサムの全てが奪われたのだから。
「その一欠片の後悔を骸の海に囚われてしまった。だから諦めと共に苦しみも悲しみもない、永遠を求めた」
『そう、かもな』
 その時、リアが生き延びた事を知っていれば、こうはならなかったかもしれない。ふと、背を向けてうずくまる男が――イサムがリアの目の前に現れる。
「でもね、イサム兄さん」
 リアが言葉を続ける。その事について、誰かを責めるつもりは無いと。運命は覆せなかった……でも、再びボクたちはこうして出会えたのだから。そしてボクたちが生まれた理由……その使命。
「ボクたちは生まれた。世の理不尽に抗う為」
 その為に、今を生きているんだ。だから。
「それは、たとえ儚くとも日々の喜びと幸いを尊ぶ為だ」
『だからと言って! お前がいつまでも傷つく必要は無い!』
 だから、イサムはそれを許せなかった。悪意の渦巻く世界へ、たった一人で最愛の妹を送り出してしまった事を。それを作り出した、何もかもを。
「でも、それで他の誰かが傷つく事を、見て見ぬふりは出来ないよ」
 それでも、リアは傷つき、学び、ここまで来たのだ。ここにいるリアは、イサムが知る無垢なる妹ではない。それはイサムの、過去の幻影。
『その為に! 傷つく為に生み出されたと、そんな事が……』
 その幻影に縋る様に、振り返ったイサムが目にしたリアの姿は、かつての彼女ではない。本来の姿を手に入れた、勇敢な猟兵の姿。
『だから、ああ、そうか……だから』
 ゆったりと伸ばした金髪が徐々に元の姿――艶やかな黒髪へ縮んでいく。それはイサムが知る、あの頃のリアの姿。
『お前は来てしまったのか、この世界の果ての島まで』
 宇宙から墜とされた男は、遂に最愛の妹との邂逅を果たした。

「――さあ、思い出して」
 リアの右手には眩い銀の剣――多元干渉デバイス『ヌァザ』の姿が。
「今を生きる――誰かの明日の為に!」
 そして悪しき因果を断つ為に、少女は剣を振り被る。
『だけど、その道は、孤独だ。永遠の孤独だ』
 リアの瞳には、うっすらと透明の液体が零れていた。
『生命は永遠では無い。いつまでも、喪失と悲劇は繰り返される。それに』
 頭では分かっている。目の前のそれがオブリビオンで、本当の兄ではない事を。
『争いは終わらない。例え銀河帝国が滅びようと、世界はいずれ終わるんだ』
「だからこそ、だよ。それに……」
 でも、その姿は、声は、眼差しは――兄のものだ。歪んだ過去に奪われた、優しき兄の全てだ。だから。
「それに、ボクは独りじゃない」
 それを取り返す。刀身が眩い光を放ち、リアの背後に無数の影が浮かび上がった。
「にーさんや……猟兵の――皆がいる!」
               いま
 それはイサムの知らぬ、リアの現在。
『イサムは、随分やつれたなぁ』
『ヌァザか。久しいな』
 その声はリアが手にした『ヌァザ』のもの。この場において唯一、二人を知る存在。今に至るまで、イサムの代わりにリアを守護してきた存在。余りにも変わりなく、余りにも変わり果てたイサムの姿を見やり、銀色の猫は哀し気にぼそりと言葉を漏らしてしまう。
「キーワード『Tomorrow never knows, Tomorrow never dies.』……リミット解除」
 明日は知らず、されど明日は死なず――祝詞の様に唱えられた解除コードと共に、ヌァザは一層輝きを増して、その刀身があたかも天を貫かんと大きく伸ばされる。
 
  ア カ シ ッ ク ブ レ イ カ ー ・ フ ル ド ラ イ ブ
<<電脳封印術式【時空間制御】【因果律操作】【現実改変】解除レベル最大>>

『リアを、頼む』
『心配し過ぎだよあんたは。大丈夫さ』
 真っ白な部屋が眩い光に包まれて、そして。
『そう、か……』
 イサムは安堵した様に、穏やかな顔のまま、その瞳をゆっくりと閉じた。
「ボクは、大丈夫。お休み、イサム兄さん」
 それ以上、言葉にならない想いを抱いて、リアは魔剣を振り下ろす。

 デ イ ブ レ イ カ ー
「暁 光 の 魔 剣 ! !」

 途切れ途切れの言葉と共に、光がゆっくりと、遍く闇を包み込んだ。

「終わった、のか?」
 火線を放つ対空砲火が突如として沈黙し、震えていた艦体がピタリとその動きを止めた。リアは、あの男に言葉を伝えきれたのだろうか。警戒を続けながら、匡はそっと身を乗り出してイ・ラプセルの様子を伺う。
『敵性対象の反応消失、作戦終了』
 最初に聞こえたのは、くたびれた無機質な電子音声――エンドレスの声だった。
「……そうか」
 遠くを見れば空を割って這い出てきたイ・ラプセルの数々がその姿を消して、僅かながら飛び回っていた艦載機もいつの間にか無くなっていた。続けて、甲板上に見知った人影が――背を向けたリアの姿が現れる。
「おかえり、リア」
 どこか悲し気な、それでも凛と背筋を伸ばして。少女は匡へゆっくりと振り返り、笑顔で匡に言葉を返した。
「……ただいま」
 夜空が仄かに色を取り戻す。闇を抜けて、光が再び世界を照らす。手にしたヌァザは暖かく、そこには兄さん――イサムの記憶がしっかりと残されていた。
「さあ! ここからが本番だよ!」
 赤く目を腫らして、涙を振り切ったリアが力強く宣う。
「本番って……」
「後はイ・ラプセルの構成情報をサルベージしなきゃね! 早くしないと消えちゃうから!」
 もう誰にも渡さない。これからは一緒だよ、兄さん。だから。
 ありがとう。今は安心して、ゆっくりお休み。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月11日
宿敵 『未完の『イサム・セイル』』 を撃破!


挿絵イラスト