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ぬいぐるみの国の演奏会

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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「今日はどんな曲にしようか?」
「昨日はしっとりする曲だったし、今日は明るい曲がいいな」
 街の中心にある広場には、犬に猫に熊、他にも馬や牛に羊といった動物達が集まっている。だが普通の動物とは違い、その体が柔らかそうな布で出来ていて、内にはたっぷりの綿が詰まっていた。
 ここはアリスラビリンスにある世界の一つ。可愛らしいぬいぐるみ達が住まうぬいぐるみの国だった。
 ぬいぐるみ達はバイオリンやチェロ、フルートにトランペットと、様々な楽器を持っていた。それぞれが好き好きに音を出して、楽器の調子を確かめる。
「それじゃあ今日は楽しい元気の出る曲でいこう!」
 大きな熊のぬいぐるみが皆の前に立つと音が止む。そして指揮棒を振ると一斉に楽器が鳴り響き、重なり合ってハーモニーが生まれる。
「おお、今日もいい音出してるね!」
 そこへ鳥のぬいぐるみが降り立って歌を紡いで仲間に加わる。
「気分が明るくなるわね、なんだか踊り出しちゃいそう!」
「じゃあ踊ろうよ!」
 そこへカップルのウサギのぬいぐるみがやってきて踊り出し、辺りのぬいぐるみ達も輪を作って踊りに加わる。
 楽しい音楽が朝から晩まで鳴り響く。それがこの国の日常だった。

「何の音だ? あれは街?」
 音に反応した少年が、視力を強化して高慢に見下した目で街の様子を眺める。
「なんだよ、ぬいぐるみばっかり? かわいい女の子でもゲットできるかと思ったのに。でもまあ、弱そうなモンスターの街だってんなら経験値稼ぎにちょうどいいな!」
 邪悪な笑みを浮かべ、少年はトランプの体をした兵隊を召喚する。それは周囲の平野を埋め尽くすほどの数に膨れ上がっていく。
「ほら、あの街を滅ぼしてこい。一匹も逃すなよ! 俺様の為に経験値を稼げ!」
 少年の命を受け、トランプ兵の軍勢が歩調を合わせて進軍を開始する。

 楽しい日常を壊す不協和音がすぐ近くにまで忍び寄っていた。


「アリスラビリンスにぬいぐるみ達が住んでいる国があるんだって! その国の住人は音楽が大好きで、常日頃から演奏会や歌ったり踊ったりしてるらしいよ!」
 平和そうなぬいぐるみの住まう街を映し出すグリモアベースで、ラフィロワ・ベルシルト(幸せ運ぶ星のうた・f04751)が新たな事件だと猟兵に話かける。
「そんな平和な国がオウガの軍勢に攻め込まれるみたい。だからみんなにはそのぬいぐるみ達を助ける為に、オウガを迎撃してもらいたいんだよ!」
 このままではオウガの軍勢が現れ、圧倒的な数の力でぬいぐるみの国が蹂躙されてしまう。

「オウガの数が多いから守ってるだけじゃ被害が出ちゃうよ。だからこっちから突撃して、オウガのボスを倒す必要があるんだ。ぬいぐるみの住人たちもがんばって手伝ってくれるみたい」
 ぬいぐるみ達も音楽・歌・踊りなどで相手の注目を集めたり戦意を喪失させるユーベルコードを持っている。猟兵が軍勢を突破する間、敵を引き付けたり、時間稼ぎはできるようだ。
「ボスを倒したら配下のオウガはまとまりを失うから簡単にやっつけられるよ」
 オウガのボスさえ倒してしまえば、後は烏合の衆と化す。蹴散らしてしまえば解決だ。

「無事に事件が解決したら、ぬいぐるみの国の演奏会を楽しんでくるのもいいかも! 音楽を聴くのもいいし、楽器や歌で参加するのも楽しそう! 演奏に合わせてみんなで踊るのもいいね!」
 瞳をキラキラ輝かせてラフィロワはその光景を思い浮かべる。
「その為にもみんなの力でぬいぐるみたちを助けてあげてね☆」
 そうお願いしてラフィロワはキラキラと光る世界を繋げる道を作り出した。


天木一
 こんにちは天木一です。アリスラビリンスにある音楽が大好きなぬいぐるみの国を助けてあげましょう。

 敵の数が多いので全てと戦っていては街を守れません。ボスまでの道を切り開いて、ボス戦に挑むことになります。
 ぬいぐるみの住人達も共に戦ってくれます。暫くの間、配下の敵を無力化したりして敵を引き付けたりしてくれます。指示があればそれに従います。
 戦いが終わるとぬいぐるみの住人達が演奏会で歓待してくれます。お好きなように楽しんでください。
 第一章で集団戦、第二章でボス戦、第三章で演奏会となります。

 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 音楽が鳴り響くぬいぐるみの国の平和を守ってあげましょう!
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第1章 集団戦 『トランプ兵』

POW   :    『女王直々の召集令状である!』
【ハートの女王】から【の令状を読み上げ怒号】を放ち、【令状に従い組み付くトランプ兵】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    『赤く赤く、染めねばなるまい!』
【ハートのスピア】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    『――このままでは首を刎ねられてしまうッ!』
自身が【ハートの女王に対する恐怖】を感じると、レベル×1体の【ハートのトランプ兵たち】が召喚される。ハートのトランプ兵たちはハートの女王に対する恐怖を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぬいぐるみの国の危機
「大変だ! オウガだ! オウガの軍勢が街に迫ってる!」
 鳩のぬいぐるみが空を飛びながら騒ぎ立てる。
「オウガだって!?」
 それを聞いた街の人々の演奏が止まり、急ぎ街の外を見に向かった。そこには平地を埋め尽くしそうなトランプの軍勢が街に津波のように迫る光景が広がり、ぬいぐるみ達の顔に絶望が浮かぶ。
「ど、どうしよう……どうしよう!」
「どうするもこうするも、街を守る為に戦うしかないだろう」
 慌てふためく兎のぬいぐるみを、熊のぬいぐるみが渋い声で落ち着かせる。
「そうだ! ここはオレ達の街だ! オウガなんかに好きにはさせない!」
 ぬいぐるみの住人達は勇気を奮い立たせ、楽器を手に街を守ろうと動き出した。
 それが無謀な戦いだと誰もが分かっている。それでも愛する街を守ろうと、ぬいぐるみ達は震える足でオウガに立ち向かう。
天道・あや
ぬいぐるみさん達の演奏会…!どんな演奏するんだろ?あたしも聴いたり参加してみたい!という訳で演奏会の為にもぬいぐるみさん達の未来の為にオウガに邪魔なんてさせないぞー!

敵の数が多いって事は…上手くやれば纏めて一気に倒せるって事だよね…!
よしっ!あたしは街の中央で敵を待ち構える!大声で挑発して敵を誘き寄せて戦う!(挑発、誘き寄せ)
沢山来たら攻撃を避けたり耐えたり、跳んだりする!沢山いるって事は敵はぎゅうぎゅうで自由に動けないよねきっと!(激痛耐性、見切り、ジャンプ)

そしてタイミングを見計らって家とかに潜んで貰っていたぬいぐるみさん達に合図してUCを発動!ぬいぐるみ達と一緒に演奏!(歌唱、楽器演奏)


霧城・ちさ
ぬいぐるみさん達をオウガから助けないといけませんわっ
勇気ある行動は褒められても無理はさせられませんの
恐怖を乗り越える勇気を持った皆様を守りますわっ
トランプの軍勢よりは少なくても頼もしいうさぎさん達で反撃していきますわっ
うさぎさんが前に立ちますのでみなさまは離れないように付いて回ってほしいですわっ

うさぎさんだけで抑えられない場合は今度は私も攻撃していきますわっ
高速詠唱で魔法をたくさん打って多くのトランプ兵を撃ちますわっ

他の猟兵さんとの連携などは大丈夫ですの



●ぬいぐるみと一緒に
「ぬいぐるみさん達の演奏会……! どんな演奏するんだろ? あたしも聴いたり参加してみたい!」
 ワクワクした様子で天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)はぬいぐるみ達の可愛らしい演奏会を想像する。
「演奏会の為にもぬいぐるみさん達の未来の為にオウガに邪魔なんてさせないぞー!」
 戦闘後の演奏会を楽しむ為に、あやはオウガをやっつけようと気合を入れて立ち向かう。
 街の外を見れば、視界を埋め尽くすようなトランプ兵の軍勢がぞろぞろと街に向かって進軍してくる様子がはっきりと見える。
「数えきれないほどいるね……敵の数が多いって事は……上手くやれば纏めて一気に倒せるって事だよね……!」
 前向きにどうやって迎撃すればいいだろうと、じーっと敵を見ながらあやは作戦を考える。
「よしっ! あたしは街の中央で敵を待ち構える!」
 閃いたと周囲を見渡すと、こちらを見ていた猫のぬいぐるみと目が合った。

「ぬいぐるみさん達をオウガから助けないといけませんわっ」
 霧城・ちさ(夢見るお嬢様・f05540)は勇気を振り絞って街を守ろうとするぬいぐるみ達を見て、ぬいぐるみ達を守ってあげなくてはと意気込む。
「勇気ある行動は褒められても無理はさせられませんの、恐怖を乗り越える勇気を持った皆様を守りますわっ」
 勇敢なぬいぐるみ達を無残にオウガに殺させはしないと、ちさは庇うように前に出る。
「あ、キミ! 危ないよ!」
「大丈夫ですわっ、あの程度のオウガ、私にお任せですわっ」
 その行動を見ていた羊のぬいぐるみが警告するが、ちさは微笑んで振り返り安心させる。そして迫るオウガの軍勢へと視線を戻すと、ユーベルコードを発動しかわいい白うさぎさんと、かっこいい黒うさぎさんを召喚する。
「私の頼もしいうさぎさん達、反撃ですわっ」
 ちさが可愛いうさぎの杖を振るって呼びかけると、白と黒のうさぎがぴょんぴょん跳んでトランプ兵を薙ぎ倒していく。
「うさぎだー! うさぎが襲って来たぞー!」
「殺人うさぎだー! 気をつけぐわぁっ!」
 トランプ兵もやり返そうと槍を突くが、小さくすばしっこいうさぎを捉えられずに苦戦する。
「うさぎさんが前に立ちますのでみなさまは離れないように、私に付いて回ってほしいですわっ」
「おおっスゴイ!」
「僕たちも手伝おうよ!」
 オウガを圧倒するうさぎ達を見て、ちさの近くに駆け寄ったぬいぐるみ達も応援するようにバイオリンやフルートで楽器の演奏を始めた。するとトランプ兵達の戦意が弱まって動きが鈍り、その隙を突いてうさぎ達が敵兵を蹂躙していく。
「この辺りの敵は倒せそうですわっ、だけど街に向かう全てオウガの対処はできませんわね」
 ちさが違う方向から街に入り込むオウガの軍勢を見渡す。
「でも街を守るのは私だけではありませんの、そちらはお任せしますわっ」
 そう言って街を守るあやに視線を向けた。

「こっちだよ!」
 押し寄せる敵を引き付けるように、あやは大きな声を上げる。
「いたぞ! 女王の為に敵を殺せ!」
「経験値を稼ぐのだ!」
 その挑発的な声に反応し、トランプ兵達が迫って来る。そして手にした槍を突き入れた。あやはそれを軽やかに跳んで避け、続けて放たれる突きもリズムに乗って踊るようにひらひらと躱していく。
「どうしたの? そんなスピードじゃ当たらないよ!」
 さらに挑発を繰り返し、攻撃を躱しているうちに、辺りは敵だらけとなって渋滞を起こしていた。
「ぎゅうぎゅうになってきたね。それじゃあ自由に動けないよね! 今だよ!」
「任せてくれ!」
「みんなやるぞー!」
 そこであやが取り出したギターを鳴らして合図を送ると、周囲の家に隠れていた動物のぬいぐるみ達が一斉に現れ、楽器を手に演奏を始める。
「楽しい演奏だね! あたしも参加するよ!」
 その演奏に合わせてあやがギターを弾き、湧き上がる衝動のまま歌い出した。
「心が痺れるようなあたしの思い! 聴かせてあげる! いぇ~い!」
 楽しそうに笑顔であやが歌うと、聴き入ったトランプ兵達が感動し痺れるように感電して倒れていく。
「もうひといきだぜ!」
 その音楽に乗って猫のぬいぐるみ達が踊り、音楽とダンスのユーベルコードによって敵の意識を惹きつけ、熱中させて戦いを忘れさせる。そうして夢中になっている間に、どんどんとトランプ兵達がビリビリと痺れていった。
「ぬいぐるみさん達といっしょの演奏会! 最高だね!」
 一曲歌いきると、辺りは倒れたトランプ兵で埋まっていた。だが街の外からまた新手が近づいてくる。
「アンコールをご希望みたいだよ。みんなまだいけるよね!」
「もちろんだぜ!!」
 ノリノリのあやと共に、ぬいぐるみ達が二曲目の演奏に入り、戦場を盛り上げるように音楽が鳴り響いた。

「街の防衛は任せておいて大丈夫そうですわっ、こちらは前に進みますわっ」
「おー!」
「行進だ! 音楽を絶やすなー!」
 あやの戦いをちらりと見たちさが安心して自分の戦場に視線を戻す。白と黒のうさぎがトランプ兵を倒して道を作り、その後をちさとぬいぐるみの楽団が進む。ぬいぐるみ達の演奏に乗って機嫌よくうさぎ達が敵を蹴散らし、トランプ兵がうさぎの足跡を体に刻んで倒れていく。
「皆様の演奏を聴いてうさぎさん達がいつもより元気ですわっ」
 跳ねまわって敵を倒すうさぎ達に、ちさまで楽しくなって笑顔になる。
「それならもっと派手に演奏しよう!」
「そうだね、僕たちの音楽で盛り上げよう!」
 褒められたぬいぐるみ達も嬉しそうに、戦場だということを忘れたように陽気に演奏を続け、自分達だけでなく、他の場所で戦う仲間達にも勇気を与える。
「素敵な演奏ですわっ。さあ、オウガのボスの元まで道を作りますわっ」
 ちさは指揮棒のようにうさぎの杖を振るい、ぬいぐるみ達を従えて敵軍の中を突き進んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
この子達にはいっぱいの綿と一緒に命と個性が詰まってる
その耀きを経験値扱いはさせないわ
💓の女王に代わって首をチョン切ってあげる

特種用途車輌出動!
可愛い楽団さん達を「2階建てオープンバス」に招待しまーす
防具改造で装甲を強化して彼等を護ると同時、
演奏で皆を鼓舞してくれないか頼んでみましょ

マエストロ(熊ぬい)、エッジの利いたロックをお願いできるかしら
ロックは抑圧からの解放、暴力や支配への反抗を謳うの
私達に戦う力を、貴方達にも抗う勇気が湧きますようにってね!

トランプ兵の槍撃は、バスが攻撃されないように気合で受けきるわ
シャッター棒で鋩を弾いた後にカウンターの一撃!
ペラペラの胴を狙って水平に薙ぎ払いましょ


霧島・絶奈
◆心情
戦場の奏でる『音楽』も嫌いではありませんが…
今日の私は普通の音楽に浸りたい気分です
ですので…無粋な輩には御退場頂きましょう
…前座として、オウガ共で戦場を『奏でる』のも悪くは無いでしょう

◆行動
『暗キ獣』を使用
屍者の槍衾による【範囲攻撃】を前面に押し出し突撃
屍獣は槍衾の穴を埋める様に展開させ【二回攻撃】の如き連携を取らせます

私は軍勢に紛れ【目立たない】様に行動
【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を設置
討ち漏らしを防止しつつ、ぬいぐるみ達の援護や護衛を兼ねます

設置を進めつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



●鳴り響くメロディ
「女王様の命令だ! ぬいぐるみを倒せ!」
「経験値を捧げるのだ!」
 使役されるトランプ兵は命を下した相手を女王と思い込んで、槍を構えてぬいぐるみに突進する。
「ま、負けるものか!」
「街は俺達が守るんだ!」
 ぬいぐるみ達は怖くて震えながらも、楽器を弾いて対抗しようとする。
「この子達にはいっぱいの綿と一緒に命と個性が詰まってる。その耀きを経験値扱いはさせないわ」
 そこへニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)がユーベルコードで召喚した2階建てオープンバスで乗りつけ、ついでとばかりにぬいぐるみ達を襲おうとしていたトランプ兵を撥ね飛ばした。
「助かったっ、感謝する!」
 一番前に立っていた大きな熊のぬいぐるみが礼を言い、それに続いて他のぬいぐるみ達も礼を告げようとする。
「お礼は全部が終わってからでいいわ。さあ、可愛い楽団さん達、2階建てオープンバスにご招待よ」
 窓から顔を出したニコリネがウインクをして車のドアを開ける。
「この中に入ればいいのか?」
「要塞みたいだ! この中ならきっと安全だよ!」
 ぬいぐるみ達が珍しいものを見る目でバスを観察しながら階段を上がって中に入っていく。その間に車を降りたニコリネは車両を装甲化し、窓などが割れないように覆ってしまう。
「これで大丈夫ね。ではマエストロ。エッジの利いたロックをお願いできるかしら」
 そしてドアから熊のぬいぐるみに声をかけ、演奏をお願いする。
「何故ロックなのかね?」
「ロックは抑圧からの解放、暴力や支配への反抗を謳うの。私達に戦う力を、貴方達にも抗う勇気が湧きますようにってね!」
 熊のぬいぐるみが理由を尋ねると、楽しそうにニコリネがロックの意味を語る。
「なるほど、了解した。任せてもらおう、最高のロックをお届けする」
 深く頷いた熊は指揮棒を手に、席に着いたぬいぐるみ達を向き合った。
「我々の演奏で侵略者に抗おう!」
 指揮棒を振るうと、一斉に楽器が鳴り響き力強い音楽を奏でる。

「戦場の奏でる『音楽』も嫌いではありませんが……今日の私は普通の音楽に浸りたい気分です」
 目を閉じた霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は戦場に響く楽しそうなぬいぐるみ達の奏でる音楽に耳を傾ける。
「ですので……無粋な輩には御退場頂きましょう……前座として、オウガ共で戦場を『奏でる』のも悪くは無いでしょう」
 そして足音が迫って来ると目を開いてトランプ兵の軍勢に視線を向け、蒼白く光宿す霧を纏って神々の似姿へと姿を変える。それと同時に周囲には死して動く屍の獣と兵の軍勢が現れる。
「軍勢には軍勢を以って制す。正面突破と行きましょう」
 絶奈が敵軍に指を向けると、槍を構えた屍兵達が並んで槍衾を作って進軍を始める。
「兵隊だ! 腐った兵隊が現れたぞ!」
「構えろ! 槍合わせだ!」
 トランプ兵達も槍を構え、槍と槍が正面からぶつかり合う。距離が縮まり槍を叩きつけ合い足が止まると、その合間を縫って屍獣が飛び出してトランプ兵を押し倒し、その身体を噛み千切る。
「うああっ、食べられる!」
「助けてくれ!」
 身体をビリビリに破られて前衛のトランプ兵達が倒れていく。すると隊列が乱れ、そこへ屍兵が槍を突っ込ませて楔と化し、突破口を抉じ開けていく。
「怯むな! こちらの方が数は上だ! 包囲してそのままぬいぐるみまで攻め立てろ!」
 倒されようとも次々と増援を送ればいいと、トランプ兵達は屍の軍勢を包み込み、そのまま後方の2階建てバスまで軍勢を送る。

 バスの中でぬいぐるみ達が情熱的にロックを奏で、敵を引き付け戦意を喪失させようとしていた。
「あの中に沢山いるぞ」
「一体残らず倒せ」
 その音を聞きつけたトランプ兵達が集まり、バスを襲撃しようと近づく。音楽に夢中になる者も居るが、それを突き飛ばして後列のトランプ兵達が続々と迫る。
「そうはさせないわよ。💓の女王に代わって首をチョン切ってあげる」
 トランプ兵の槍をニコリネがシャッター棒で弾き、隙だらけになった胴へカウンターの一撃を叩き込み、ペラペラの体が破れて吹き飛んだ。
「立て直せ! 一気に突撃するんだ!」
 ニコリネに突き崩された隊列を整えようとトランプ兵が集まる。すると周囲で爆発が起こり炎に包まれる。
「なんだ!? 何が起こった!」
「残念ですが、態勢を立て直す時間など与えません」
 混乱するトランプ兵の元へ、屍の軍勢に隠れてトラップを仕掛けていた絶奈が飛び出し槍を突き、剣で斬り飛ばす。それから逃れようと距離を取ると、また爆発が起こって炎が巻き起こる。
「周辺に罠を仕掛けさせてもらいました。此処が貴方方の死地となります」
 逃れられぬ見えない罠の包囲の中、絶奈が突っ込んで切り崩す。
「ぬいぐるみ達には指一本触れさせません」
 そのまま屍の軍勢も襲い掛からせ、千々に乱れたトランプ兵達を槍で突き殺し、爪で引き裂いて蹂躙していく。
「敵の方はお任せしても大丈夫そうね。このまま前進しましょ」
 ニコリネがバスに乗り込み発進させ、演奏を響かせながら敵陣の奥を目指す。
「そうしましょう。オウガのボスを倒さなくては幾らでも湧いて出てくる可能性もあります」
 絶奈は先陣を切ったちさが崩した敵軍のへこんだ場所に軍勢を進めさせる。ロック調のメロディが行進曲のように進軍を盛り上げた。
「まるで軍楽隊のようですね。音楽には人を奮い立たせる効果があります」
 バスを先導して絶奈は自らも剣と槍を振るって敵を退け、敵将目指して道を作る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コルチェ・ウーパニャン
あわわわぬいぐるみさんたち、あわわわわわ……!!
そんなふわふわボディで戦うなんてムリだよぉ!
ここここここはコココココルチェにおまかせー!!!!

シールトリックのキケンシールを、ピカリブラスターにぺったん!&キュルーン!
フェルマーのフフフーンのパワーでコルチェがあんまり狙わなくても当たるはずだけど(スナイパー・誘導弾)
威力でコルチェが尻もちついちゃうのが心配ポイント……
ぬいぐるみさん、よかったらコルチェを支えてほしいなあ……
そしたら数がどばーって来ても心配ないよ!
ぜーんぶコルチェが……じゃない、ピカブラがキュルルルーンしちゃうからね!
あっあっ、皆を潰さないようにコルチェも一生懸命、ふんばります…!


愛久山・清綱
むむっ、絵本さながらのトランプの兵士ではないか。
となれば親玉はやはりあの者だろうか?
……はっ、いかん。また興奮してしまった。
■闘
中距離戦を挑むとしよう。

距離60m先から敵の集団目がけて【空薙】を放ち、【範囲攻撃】で
大量撃破を狙う。
『令状を持っている者』がいたらそいつを優先し手攻撃するぞ。

相手が組み付きを仕掛けてきたらその動きを【見切り】つつ
【武器受け】の構えを取り、【怪力】を込めて押し返す。

■令
ぬいぐるみ達には『弱っている敵』か、『集団から離れている敵』の撃破を要請。
なお、攻撃する際は隊伍を組むよう予め指示。

敵が減り、道が切り開かれたら彼らに後を任せて親玉の元へ向かう。

※アドリブ・連携歓迎



●力を合わせて
「みんなもがんばってる! ボクたちもやるんだ!」
「おー! 最高の演奏を披露しよー!」
 鳥や兎に牛といったぬいぐるみ達が集まり、楽器を短い手で懸命に弾いて楽しい音楽を演奏する。
「ぬいぐるみがいるぞ!」
「仕留めるのだ!」
 そこへトランプ兵がぞろぞろと歩み寄り、音楽に影響されて止まる者も居るが、構わずに進軍してぬいぐるみ達に迫る。
「あわわわぬいぐるみさんたち、あわわわわわ……!!」
 愛らしい動くぬいぐるみ達がオウガに立ち向かう姿に、コルチェ・ウーパニャン(マネキンドールのピカリガンナー・f00698)はピンチだと慌てて感情のまま髪をぴかぴか光らせて駆け出す。
「そんなふわふわボディで戦うなんてムリだよぉ! ここここここはコココココルチェにおまかせー!!!!」
 そして急ぎ敵との間に入るとユーベルコードを発動して、その手に警告色の爆弾マークのシールが現れる。
「シールトリックのキケンシールを、ピカリブラスターにぺったん! &キュルーン!」
 そのシールをスーパーガンにぺったりと貼り付けると、エネルギーが100%を超えて充填されていく。
「フェルマーのフフフーンのパワーでコルチェがあんまり狙わなくても当たるはずだけど、威力でコルチェが尻もちついちゃうのが心配ポイント……」
 そこでコルチェはぬいぐるみ達の方へ振り返る。
「ぬいぐるみさん、よかったらコルチェを支えてほしいなあ……そしたら数がどばーって来ても心配ないよ!」
「ホントに?」
「おねーさんを支えたらオウガをやっつけられるの?」
 不安そうにしながらも、コルチェの言葉に希望を見出したぬいぐるみ達が尋ねる。
「もちろん! ぜーんぶコルチェが……じゃない、ピカブラがキュルルルーンしちゃうからね!」
 自信満々にコルチェが髪を明るく光らせて答える。
「それじゃあ手伝おう!」
「そうしよう! おねーさんよろしくお願いします!」
 ぬいぐるみ達がコルチェの背後に回り、その背中を小さな手で支える。
「じゃあいくよ! キュルルルルーン!」
 スーパーガンから眩いビームが放たれ反動で後ろに倒れそうになるのをぬいぐるみ達が支える。ビームは真っ直ぐ敵に向かって飛びトランプの体を貫く。そして軌道を変え、次々とトランプ兵を貫通して風穴を空けた。
「うわー! スゴイスゴイ!」
「力を緩めるなー! しっかり押し支えろー!」
「あっあっ、皆を潰さないようにコルチェも一生懸命、ふんばります……!」
 その圧倒的な光景に興奮しながらもぬいぐるみ達が頑張って支え、コルチェもしっかりと反動を抑える為に踏ん張って、次の敵に向かってビームを放つ。

 そうして敵軍勢が乱れたところへ愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)が足を踏み入れる。
「むむっ、絵本さながらのトランプの兵士ではないか。となれば親玉はやはりあの者だろうか?」
 何処かで見たような姿をしたトランプ兵に、清綱は想像を巡らせて物語の主を思い浮かべる。
「……はっ、いかん。また興奮してしまった」
 戦いを前に冷静さを失う訳にはいかないと、目の前の戦いへと意識を集中させる。
「近づきすぎれば敵の群れに呑み込まれるか、ならば中距離戦を挑むとしよう」
 目測で己の間合いを計り、60mに敵が達すると居合の構えを取って刀を抜き打つ。一閃した刃は空間を断ち斬り、離れている敵を纏めて薙ぎ払った。
「攻撃だ!」
「あんなところから攻撃してきてるぞ!」
 トランプ兵が離れた場所に居る清綱を見つけて指さす。
「我等は主よりぬいぐるみを皆殺しにして経験値を稼ぐように命を受けている! 邪魔する者は排除せよ!」
 トランプ兵が令状を怒鳴るように読み上げる。すると周囲のトランプ兵達が素早く駆け出し、清綱に組み付こうとする。
「令状の効果で身体能力も上がってるのか? それならまずはあいつから始末するとしよう」
 鞘に刀を納めた清綱はまた居合を放ち、遠くで令状を持つトランプ兵をその紙ごと両断した。ついでと近くにいたトランプ兵も倒れる。だが駆けて来たトランプ兵達は跳躍して避け、そのまま組み付こうと覆いかぶさる。
「纏めて斬るつもりだったが避けられたか」
 清綱は横に移動しながら刀を振り抜きトランプ兵の胴を薙ぐ。
「捕まえろ!」
「一気に掛かれ!」
 仲間がやられようともトランプ兵達は諦めずにまた飛び掛かる。
「だが近づいたからといって簡単に押え込めるとは思わないことだ」
 届きそうになる手に刀を当て、逆に押し返しながら手と首を斬り飛ばす。そして間合いを開けながら迫る敵を順に斬り捨てていった。

「わースゴイや! 次々とオウガが倒れていくよ!」
「これなら勝てるかも! 僕達もがんばらないと!」
 その活躍を目にして、コルチェと一緒に居たぬいぐるみ達が近づいてくる。
「弱っている敵か集団から離れている敵の相手をしてほしい、その他の敵は我々が引き受ける」
 ぬいぐるみ達が犠牲を出さずに済みそうな戦いだけを任せ、清綱は敵軍に斬り込み、居合で空間を断ち周囲の敵全てを斬り倒す。
「コルチェも援護するよー!」
 その間合いに入って巻き込まれないように気をつけながら、コルチェは通常出力のビームを撃ちまくる。適当に撃った弾は法則に従って最短距離に軌道を変えて敵を撃ち抜いた。
「僕達も応援しよう!」
「そうしよう!」
 ぬいぐるみ達はバイオリンやチェロを弾き、派手にシンバルを鳴らす。そうして楽しく演奏を始め、清綱とコルチェに散らされた敵を演奏に熱中させて無力化していく。
「頼りになるな、こちらも負けてはいられん」
「あわわわ、ぬいぐるみさんたちの演奏かわいいよぉ!」
 演奏に元気づけられるように清綱が力強く前に進み、コルチェはぬいぐるみ達の演奏に目を奪われながら自動補正されるビームを撃ち続けた。

 そうして猟兵達とぬいぐるみ達が力を合わせてトランプの軍勢を突破すると、その先には一人の少年が偉そうにふんぞり返って、トランプ兵の給仕を受けて食事をしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『力に溺れた少年』

POW   :    ドラゴンの力を秘めた、無双の魔剣
無敵の【魔剣『ドラグカイザー』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    魔法創造
無敵の【魔法】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    魅了の魔眼
【両眼】から【レベル10未満の女性だけを魅了する呪詛】を放ち、【自身に対して、強い恋愛感情を抱かせる洗脳】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:テル

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフェル・カーモルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●堕ちたアリス
「なんだぁ? おいおい、俺様の召喚した兵隊を突破してきたってのかよ。せっかく女王のところからパクッてきたってのに役に立たない奴らだぜ!」
 街を攻めているというのに、テーブルについてのんびり食事をしていた少年が、給仕していたトランプ兵を蹴り飛ばして立ち上がり、起き上がろうとするトランプ兵を踏みつける。
「ぬいぐるみモンスター程度もぶっ殺せねえような雑魚はいらねぇ!」
 トランプ兵を踏み潰し、猟兵へと見下すような視線を移す。
「こんなゲームの世界に勇者である俺様がやってきてやったんだ。お前らは黙ってやられて経験値になりゃいいんだよ!」
 世界をゲームの世界と思い込んだ、生前はアリスだった少年が剣を構える。
「まあかわいい女だったら俺様のハーレムに入れてやってもいいがな!」
 自意識過剰の少年は高笑いして、自分が物語の主人公になったように振る舞う。

 肥大した欲望のままに世界の住人を襲うオウガを放っておけば、ぬいぐるみ達は皆殺しにされてしまうだろう。それを阻止する為、猟兵達は少年と対峙し、これ以上の暴虐は許さないと武器を構えた。
「うう、こわいよぅ」
「怯えるな、今こそ我々が勇気を持って音楽を奏でなくてはならない」
 ぬいぐるみ達は少年の放つ殺気に怯えながらも、前に居る猟兵達の背中を見て何とか戦意を保つ。
「そうだね、僕達の世界の為に戦ってくれてるんだもの、応援しなくっちゃ!」
 勇気を振り絞り、トランプ兵の軍勢をこの場に近づかせないように演奏を始めた。
天道・あや
よし!トランプ兵達突破成功!あとは女王を倒すのみ!…ってあれ?女王じゃなくて…王様?いや、王様ってより王子?う、ううん…まっ、いっか!女王だろうが王様だろうがこれ以上ぬいぐるみさん達を怖がらせたり苛めたりはさせないよ!NG!

何だかお土産に売ってそうな剣!あんま切れ味とか良さそうに見えないけど…でも当たったら痛そうだし【見切り】ながら【ダッシュ】で避ける!

そして避けながら【挑発】して体力を更に使わせて相手が疲れたり、大降りで剣を樹とかに突き刺しちゃったらその隙をついてレガリアスを稼働させてUCを発動!(鎧砕き、属性攻撃(雷)

このゲームは一人用じゃなくてマルチプレイ用!皆で楽しくやるもんだよ!!


霧城・ちさ
トランプ兵さんもこのような乱暴な方に使われてかわいそうですわね
こんな方が主人公になれるはずがありませんわっ
わたしはぬいぐるみさんを巻き込まないように助けながら戦いますわね
ユーベルコードで強化をしてスピードで敵の攻撃をかわしたり二回攻撃をしかけていきますわっ
ぬいぐるみさん達も勇気を出してますわっ
私たちがここでもっと勇気をあげられるような戦い方をしないといけませんわね
ぬいぐるみさん達に被害が及ぶようでしたらオーラ防御と拠点防御で助けに行きますわっ

他の猟兵さんとの連携などは大丈夫ですわっ



●本当の勇者
「よし! トランプ兵達突破成功! あとは女王を倒すのみ! ……ってあれ? 女王じゃなくて……王様?」
 ぬいぐるみ達の勇ましい演奏が鳴り響く中、敵の軍勢を潜り抜けたあやはトランプ兵と言えば女王をイメージして意気込んでいたが、想像とは違い目の前には少年が偉そうにふんぞり返っている。
「いや、王様ってより王子? う、ううん……まっ、いっか! 女王だろうが王様だろうがこれ以上ぬいぐるみさん達を怖がらせたり苛めたりはさせないよ! NG!」
 何者であれこの世界の平和を乱すなら許さないと宣言する。
「おっ、なんだ、ぬいぐるみモンスターだけじゃなくてかわいい子もいるじゃん。ね、キミ、この勇者である俺様の女にしてやるよ」
 あやを見た勇者を名乗るオウガが偉そうに上から目線でナンパする。
「ぬいぐるみさん達を苛めるような人はお断り!」
 きっぱりとあやは断り、ぬいぐるみをモンスター扱いする偽勇者に敵意をぶつけた。
「おい、主人公である俺様の誘いを断る権利なんてお前にあると思ってるのか? いいだろう、俺様の力を見せてやる……おい!」
 ピカピカに輝く金の剣を抜き放ち、偽勇者は近くで控えていたトランプ兵を呼び寄せて一閃。体を一刀両断にして切り裂いた。
「どうだ! これが勇者の力だ! ビビッたろ? 俺様の力が分かったら言うことを聞くんだな!」
 偽勇者は脅すように今度は切っ先をあやに向けた。
「何だかお土産に売ってそうな剣! そんなオモチャを振り回して勇者ごっこをするのはいいけど、周りの人に迷惑をかけちゃダメだよ!」

「オモチャだと……俺様の魔剣『ドラグカイザー』をオモチャ扱いするつもりか!」
 激高した偽勇者が剣技などと呼べぬ、まるでバットでも振るような素人の動きで黄金の剣を叩き込む。
「あんま切れ味とか良さそうに見えないけど……でも当たったら痛そうだし」
 その動きを見切ったあやは素早くインラインスケートで滑って間合いの外に出る。
「ちょこまかしやがって! 大人しくやられてろ!」
「やっぱりオモチャの剣だね、そんなオモチャを振り回しても勇者にはなれないよ!」
 偽勇者が追いかけて剣を振るうが、鬼ごっこのようにあやは逃げて躱し、挑発を繰り返して相手の疲労を誘う。
「クソッ、おいお前ら! こいつを囲め! 壁になって逃がすな!」
 偽勇者は周囲の動けるトランプ兵に命じてあやを囲ませる。
「これで逃げられねぇだろ!」
「試してみればいいよ!」
 そして追い込んで剣を振るうが、あやが跳び上がってトランプ兵の上を越えると、黄金の剣は壁になっていたトランプ兵を両断した。
「この役立たずが!」
 切り裂いたトランプ兵を踏みつけて偽勇者はあやを追う。

「トランプ兵さんもこのような乱暴な方に使われてかわいそうですわね」
 斬り捨てられたトランプ兵を見下ろし、ちさは憐れみを覚える。
「こんな方が主人公になれるはずがありませんわっ」
 そう断言して悪のオウガを倒そうと、ちさも黄金の剣を振り回す偽勇者に近づく。
「なんだぁ? こっちにもかわいい女がいるじゃねえか! おいっ俺様の眼を見ろ! 俺の女になれ!」
 眼を輝かせて魅了の魔眼でちさを洗脳しようとする。
「そんなもの効きませんっ、風の精霊さん! この悪者を倒すために力を貸して欲しいですの」
 しかしその効果に耐えて、ちさは風の精霊を呼び出してその身に宿す。
「あなたのような乱暴者の彼女なんてお断りですわっ」
 お返しとちさは風のように素早く動き、敵に触れると突風が起こったように偽勇者が吹き飛んで地面を転がった。
「何故だ、俺様になびかない女なんていないはずなのに!」
 苛立って偽勇者が立ち上がり、ちさを睨みつける。
「この世界の女は全部主人公である俺様のモノのはずなんだ! 無理矢理にでも言う事を聞かせてやるぜ!」
 暗く目を輝かせ、偽勇者は黄金の剣を横薙ぎにしてちさを斬りつける。
「無理矢理女の子を手に入れようだなんて許されませんわっ。そんなのもう暴漢ですわよ」
 ちさは捉えられぬ風のように素早く斬撃を回避し、反撃に足を軽く払うと、風が巻き起こって偽勇者の体を浮かし尻餅をつかせた。

「ふざけやがって! お前らうるせえんだよ! 俺様はゲームミュージックとアニソン以外は聞かないん……そうだ、いいことを思いついたぞ!」
 転んだ偽勇者の視界に楽器を鳴らし続けるぬいぐるみ達が入り、八つ当たりするように怒鳴りつけると、そうだと作戦が思い浮かんだ。
「くくっ、どうやらこいつらはあのぬいぐるみモンスターを守ろうとしてるみたいだからな、人質にして言う事を聞かせてやるぜ!」
 ナイスアイデアだと偽勇者は邪悪に口を歪め、飛び起きてぬいぐるみの楽団に駆け寄る。
「わぁっ!?」
「こっちに来るぞ!」
 慌ててぬいぐるみ達の演奏が乱れる。それと同時に演奏によって無力化されていたトランプ兵達が動き出そうとした。
「ぬいぐるみさん達の元へは向かわせませんわっ」
 それを阻止しようと、ちさが疾風のように追いかけ後頭部に可愛らしいピコピコハンマーを叩きつけた。すると見た目とは違い凄まじい衝撃を与えて、偽勇者を顔から地面に突っ込ませた。
「テメェよくもやりやがったな! 女だからって何やっても許されると思ったら大間違いだぞ! 俺様は女だって殴れる!」
 顔についた土を手で拭った偽勇者が振り返りながらちさを睨みつけ、黄金の剣で胴を薙ぐが、ちさはすぐに飛び退いて躱した。

「絶対に言う事を聞かせてやる! ゲームの世界で主人公に勝てると思うなよ!」
 その隙に偽勇者はぬいぐるみに近づくと前に足を踏み出す。だがその目の前には、インラインスケートで加速したあやが迫っていた。
「このゲームは一人用じゃなくてマルチプレイ用! 皆で楽しくやるもんだよ!!」
 勢いを乗せて放った雷纏うパンチが偽勇者の顔面を捉え、大きくぶっ飛ばした。
「おおっ! 吹っ飛んで行ったぞ!」
「大丈夫だ! あの人達が僕達を守ってくれる! 演奏を続けるんだ!」
 ぬいぐるみ達は勇気を胸に、震えを抑え演奏を続ける。
「いってぇ……あっ鼻血が出てやがる!」
 ぽたぽたと落ちる血に気付き、偽勇者は鼻から流れる血を拭う。
「マルチだろうと勇者以外は脇役に決まってるだろ! 俺様の邪魔をするんじゃねえ!」
「ぬいぐるみさん達が勇気を出してますわっ、あの姿こそ勇者と呼ばれる姿ですの」
 怒りに任せて黄金の剣を振り回す偽勇者をちさは躱して近づく。
「あなたに勇者を名乗る資格はありませんわっ」
 そしてちさがピコピコハンマーをフルスイングして偽勇者の体を高々と打ち上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
異世界転生して最強と思ってるのかしら
貴方がこの世界の主人公じゃないって、理解らせてあげる

あら?
貴方ったら色白で線も細くて、性格は乱暴で全然タイプじゃないのに
瞳を見てるとドキドキしちゃうの、これが恋なのかしら?
んンッいけない、人の心はゲームみたいに攻略できないんだから
気合いと覚悟で耐えきって見せる!

【エレメンタル・ファンタジア】で水属性の二重虹を生成して防壁に
蠱惑の魔眼を光の屈折率で躱しちゃう
常に彼の両眼の射線を遮りながら、水の虹で攻撃!
暴走を制禦するので精一杯、細かな操作は出来ないから
そのまま水の質量で華奢を圧倒するわ

貴方の思い通りにはならない
私ったら可愛くないでしょ?
だからハーレムはお断り!


コルチェ・ウーパニャン
弱い者イジメして、卑怯者だーっ!
……でも、分かった。混乱してるんだね。
ここがホントの世界じゃないって思ってるんだ。
あんまり痛めつけるのもかわいそう。
ココロの弱い者イジメするのも、卑怯者な気がするから……
……これで、合ってる?ココロとリンリ、難しい……。

よくわからなーい!!
とにかくお疲れ様ーしてもらわなくちゃ!
トランプ兵さんたちをぬいぐるみさん達に抑えてもらってる間に、
割引シールをあの男の子にペッターン!
オブリビオンパワーを割り引いてふつうの男の子に戻って!

あっコルチェ、ニンゲンの男の子に興味ないから……
ごめんね、せっかくの眼なのに、ご期待にそえず……
…あっ、なんか違う?感じ? ココロ難しい……



●本物の世界
「ぐはっうおあああっ」
 放物線を描いて地面に落下した偽勇者が悲鳴を上げながら転がる。
「クソッ、俺様は……勇者だぞ! この程度の傷、なんともねえ!」
 強がって偽勇者が起き上がるが、その足は受けた衝撃にふらついていた。
「異世界転生して最強と思ってるのかしら。貴方がこの世界の主人公じゃないって、理解らせてあげる」
 微笑んだニコリネがシャッター棒を振り上げ、頭に叩き込もうとする。
「うおっ、待て! 俺様の眼を見ろ!」
 ビビッた偽勇者が慌ててニコリネの眼を見つめる。
「あら? 貴方ったら色白で線も細くて、性格は乱暴で全然タイプじゃないのに……瞳を見てるとドキドキしちゃうの、これが恋なのかしら?」
「そうだ! ゲームの世界なら女は全員俺様に魅了されるはずなんだ!」
 魔眼による魅了で偽勇者がニコリネを洗脳しようとする。
「んンッいけない、人の心はゲームみたいに攻略できないんだから!」
 気合を入れてニコリネは魅了を撥ねつけ、水を操り二重虹を生み出して防壁にする。そうして魔眼を防ぎながら美しい水の虹を放つと、慌てて偽勇者は黄金の剣で受け止めた。
「くっ、どうなってやがる。どうして俺様に従わねえんだ!」
 苛立ちながら偽勇者はまた飛んでくる水の虹を払い除ける。

「しかもバランス崩壊してるのかと思うほどNPCのクセに強ぇ……まさか負けイベントか? いや、だがそんな雰囲気じゃねえし……」
 ぶつぶつと自分の世界に入り込んだように偽勇者が爪を噛んで呟く。
「まさかバフか? 演奏系にバフ効果があるのは定番だし……」
 偽勇者がぬいぐるみ達の演奏を見て、これが原因かと考える。
「ならやっぱりお前らから始末するべきだよな!」
「怯むな! 我々には強い味方がいる! 我々は演奏を続ければいい!」
 猟兵の向こうにいるぬいぐるみに向けて偽勇者が殺気を飛ばしても、恐れず熊のぬいぐるみが指揮棒を振り続け、演奏を止めずに戦場に響かせる。
「弱い者イジメして、卑怯者だーっ! ……でも、分かった。混乱してるんだね」
 そんな様子を見てコルチェは偽勇者が何か勘違いをしているんだと気付く。
「ここがホントの世界じゃないって思ってるんだ。あんまり痛めつけるのもかわいそう。ココロの弱い者イジメするのも、卑怯者な気がするから……」
 自分が弱い者苛めをする訳にはいかないと、コルチェはむむーと眉間にしわを寄せて悩む。
「……これで、合ってる? ココロとリンリ、難しい……」
 頭を傾けて正解は何かと自問自答していると、偽勇者と目が合う。

「また次のNPCかよ、何体出すつもりだよ。出すにしても一気に出してどうするんだ。順番ってもんがあるだろ」
 ぶつくさ文句を言いながら黄金の剣を構える。
「よくわからなーい!! とにかくお疲れ様ーしてもらわなくちゃ!」
 考えていても仕方ないとコルチェは割引と大きく書かれたシールを取り出した。そして弱い者イジメをする悪者をやっつけようと偽勇者に近づく。
「なんだそりゃ? 割引シール? 世界観が台無しだろ!」
 文句を言いながらも嫌な予感がしてじりじりと偽勇者は後ろに下がる。
「おい、俺様の眼を見ろ!」
 魔眼を輝かせ偽勇者はコルチェを見つめる。
「お前も俺様のハーレムに入れてやる!」
「あっコルチェ、ニンゲンの男の子に興味ないから……ごめんね、せっかくの眼なのに、ご期待にそえず……」
 魅了しようと見つめ続けるが、コルチェは平然と近づいた。
「効いててねえ! って言うか謝るなよ! 俺様が惨めな気分になるじゃねえか!」
「……あっ、なんか違う?感じ? ココロ難しい……」
 激高する偽勇者に、コルチェは理解できないと頭を悩ませながら割引シールをペッターン!と顔に貼り付けた。

「あ? なんだ別に対して痛くねえ、ただのビンタじゃねえか」
 ビビッて損をしたと偽勇者は反撃しようとする。だが体が動かず彫像のように立ったままだった。
「な、なんだこりゃ! 身体が動かねえ!」
「割引シールでオブリビオンパワーを割り引いたんだよ! ここはホントにあるぬいぐるみさん達が住む世界なの。だから乱暴したらダメ! ふつうに生活する、ふつうの男の子に戻って!」
 動けぬ偽勇者に、この世界に住むぬいぐるみ達も本物の命なのだとコルチェが説明する。
「はあ? じゃあゲームじゃなくて本物の異世界だってのかよ。でもまあどっちでもいいぜ。どちらにせよ俺様が勇者であることに変わりはねえ。魔王を倒して世界を治めてやるよ!」
 傲慢に言い放った偽勇者が何とか動こうともがき、少しずつ体が動き出す。
「この世界はゲームとは違うのよ。物語のように思い通りになったりしないわ」
 そこへニコリネがシャッター棒を無防備な頭に振り下ろした。
「ぎゃっ! いだああああいいいいっ」
 痛みに動けるようになった偽勇者が頭を押さえて地面を転がる。

「痛いっ、信じられねえ! ハーレムに入れたら今やったことを絶対に後悔させてやるぞ!」
 出血して赤く濡れた顔を上げた偽勇者がニコリネを見上げ、また魔眼で支配しようと試みる。
「貴方の思い通りにはならない。私ったら可愛くないでしょ? だからハーレムはお断り!」
 ニコリネは倒れている偽勇者にもう一度シャッター棒を体に叩き込む。
「待て! 十分かわいい! かわいいから!! ハーレムに入れてやるからもうやめろ!」
 偽勇者は何とか剣で受け止めながら必死に叫ぶ。
「あら? 何だか無理矢理言わせてしまったみたい。そんなつもりはなかったのよ?」
 誤解させたことを謝りながりながらもニコリネはシャッター棒を振るう手を止めず、滅多打ちにして偽勇者の体にダメージを与え続ける。
「ひっ、ひいいぃ! おい! 俺様を守れ!」
 怯えたように偽勇者は這うようにその場を逃げ出し、トランプ兵を盾にしようとするがぬいぐるみ達の演奏で腑抜けと化していた。
「こらっ逃げるな―っ! ……でも本当に弱い者イジメしてる気分になっちゃうね……」
 その情けない後姿にコルチェは攻撃するのを躊躇い、後は仲間に任せて演奏し続けるぬいぐるみ達を守る事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
……でおくれたー
いやでも、一番ぶん殴りたいやつがまだやられてないからいいか

ぬいぐるみ達を経験値扱いとか絶許
ぬいぐるみ好きとして許せるわけがないよね
身だけでなく心もズタボロにしてやるから覚悟しなよ

開幕UC
悪霊化に伴う飛翔能力の勢いそのままに、第六感で敵の動きを見切り『悪意』の一閃を確実に当てに行く
当たったら『悪意』を介して敵の精神に直接呪詛を流し込んで精神攻撃も行うよ
敵の攻撃も第六感で見切り高速飛翔で回避

如何に無敵だろうが当たらなければ無意味だよ
それにその魔眼……なにそれ、おもちゃなの?
自分より圧倒的に弱い相手、それも女性にしか効かないとか
代わりに硝子玉ねじ込んだ方がまだ役に立つんじゃないかな?


愛久山・清綱
ほう、「勇者」を名乗るか?小僧。
よろしい……なれば俺は「魔物」を演じてみせよう。
題目は「初見殺しのヤバい奴」。
■闘
【フェイント】作戦で行こうか。

攻撃時は居合の構えを取り、『居合を放とうとしたが刀を
抜き損ねた』ような動作を見せつけ油断させる。

相手を騙せたら致命打の好機。何故なら、一連の動作を
見せた時に、【無刃】が発動しているからな……
よくある空間切断攻撃、受けてみよ。

技を放つ際は【破魔】の力を込め、肉体と邪念を同時に絶つ。

男の俺に効果があるかは分からんが、呪詛による攻撃は
【呪詛耐性】で軽減を試みる。
剣や魔法等で攻撃されたら攻撃の軌道を【見切り】つつ、
【武器受け】しつつ流す。

※アドリブ・連携歓迎


霧島・絶奈
◆心情
今流行りの『なろう系』と言う奴でしょうか?
例え与えられた力であろうと、研鑽し研究する事で高める事も出来た筈…
其を怠り、己を知らず相手も知ろうとしなければ、敗北も必然でしょうね

◆行動
『暗キ獣』を使用
軍勢の槍衾でぬいぐるみ達を守りつつ、屍獣の群が遊撃

私自身は軍勢に紛れ【目立たない】様に行動
【罠使い】の技量を活かし、【目立たない】様に「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置

設置を進めつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復

私を魅了したいのであれば、もっと人間性を磨く事です
力に溺れず、芯の強さを以て為すべき事を為せる方は好みです



●偽勇者物語の結末
「クソクソクソッ! 俺様は勇者だぞ! なのになのでこんな目に遭ってんだ!」
 偽勇者は八つ当たりに黄金の剣で近くに居たトランプ兵を斬り飛ばす。
「見ろ! この力を! 俺こそがこの物語の主人公だろうが! 女は俺様をちやほやして、男は俺の前に頭を垂れて従えばいいんだ! 俺様がぬいぐるみモンスターを倒すっつったら協力すりゃいいんだよ!」
 悪態を吐く偽勇者が地面に剣を叩きつけ、大きな穴を穿ち地形を変えた。
「……でおくれたー。いやでも、一番ぶん殴りたいやつがまだやられてないからいいか」
 騎士の人形に抱えられてやって来たルネ・プロスト(人形王国・f21741)は、自分を主人公と信じて横暴を繰り返す偽勇者に冷たい視線を向けた。
「ぬいぐるみ達を経験値扱いとか絶許。ぬいぐるみ好きとして許せるわけがないよね」
 ルネはぬいぐるみの住人をモンスター扱いする偽勇者を絶対に許さないと、無表情ながらも意気込んで戦いに臨む。
「なんだあ? 今度はお人形さんごっこか? 動く鎧ってヤツなら経験値もいいだろ、俺様のレベルアップに役立ててやるぜ!」
 偽勇者は獲物を見るようにルネの人形騎士に視線を向けた。
「身だけでなく心もズタボロにしてやるから覚悟しなよ」
 友達まで馬鹿にされたルネは怒り心頭で、その感情を元に悪霊へと変身する。
「ひぇっ! 女の子が化け物になりやがった! ホラー系かよ!」
「ぬいぐるみを傷つけようとするものは許さない……」
 驚いて腰が引けた偽勇者に、悪霊と化したルネが霊を集めて成型した大鎌を手に高速で飛翔して突っ込む。
「く、くるな!」
 慌てて偽勇者は黄金の剣を振るうが、怯えて振り回す剣を容易く躱し、ルネは大鎌を一閃する。その刃が当たると、肉体だけでなく精神をも切り裂き、呪詛を流し込んで心を侵食する。
「うわあっ! やめろ! 俺は悪くない! 俺は勇者なんだ! だからモンスターを殺すのは悪くない!」
 今まで殺した者達に襲われる悪夢を見た偽勇者が。誰も居ない場所へ剣を振るって幻を切り裂き悪夢を払う。

「ほう、『勇者』を名乗るか? 小僧」
 『初見殺しのヤバい奴』を題目に魔物を演じた清綱が、研ぎ澄まされた剣気を偽勇者に叩きつける。
「な、なんだよ! 俺様が勇者なら何だってんだ? 文句あるってのか!?」
 ビクッと体を震わせながらも、偽勇者は強気に言い返す。
「勇者ならば、魔物に狙われる覚悟も出来ているだろうな?」
 重心を落とした清綱が、腰に差した刀の柄に手を置き居合の構えを取る。
「何だ? サムライってヤツか? へっ、サムライってのは攻撃力はあっても防御力が紙なのが多いんだよな。俺様の敵じゃねえぜ!」
 対して偽勇者はゲーム知識を披露して、黄金の剣を上段に構えて迎え撃つ。
「勇者は抹殺する……」
 ざっと清綱が一歩踏み出し抜き打つ。だが刀は抜けずに腕だけがまるで見えぬ刃を振るうように振り抜かれた。
「プッ、ミスってやんの! この間抜けが!」
 噴き出すように笑った偽勇者がその隙を突いて、自分から踏み込み黄金の剣を振り下ろさんとする。だが見えぬ刃の嵐が勇者の全身を切り裂く。
「な、なんだこれは!?」
 驚いた偽勇者の動きが止まる。
「このくらい吹き飛ばしてやる!」
 我に返って偽勇者が剣を振り下ろそうとしたその時には、既に清綱が居合の姿勢に戻っていた。
「間抜けはどちらかな――」
 放たれる横一閃が空間を切り裂き偽勇者の胴を薙ぎ払った。腹から血が吹き出し、下半身が血で濡れる。
「な、なんだこりゃ!?」
 手で腹を押さえるが血は止まらず、地面も赤く染まっていく。
「フェイントにこうも容易く引っ掛かるとはな。小僧、お前は本当に勇者か?」
 さらに清綱が相手を煽って回復や逃亡といった選択肢を失わせる。
「なんだと? このサムライ野郎が調子に乗りやがって! テメェなんか序盤に出て来るやられ役なんだよ!」
 激高した偽勇者が傷を無視して動き、血を流しながら剣を横に振るう。剣に宿る雷が斬撃として放たれ清綱は飛び退いて躱した。

「俺様は勇者だぞ! 勇者がこんなピンチになるなんてありえないだろ! 勇者はどんな場面だって悠々と乗り越えてハーレムするんだよ!」
 血塗れの偽勇者が納得できないと叫び、油断なく猟兵達を見渡す。
「今流行りの『なろう系』と言う奴でしょうか?」
 絶奈が確か巷でそのようなものが流行っていたと思い出す。
「例え与えられた力であろうと、研鑽し研究する事で高める事も出来た筈……其を怠り、己を知らず相手も知ろうとしなければ、敗北も必然でしょうね」
 傷ついても今だ高慢に勇者を気取るオウガに、絶奈は屍の軍勢を差し向ける。
「勇者を偽る愚者を蹂躙しなさい」
 屍の獣の群れが一斉に駆け出し、偽勇者の足に喰らいつく。
「離れろ! このゾンビ犬が!」
 偽勇者は剣を屍獣に叩き込み、屠っていくが数で圧倒するようにその腕にも噛みついた。
「なんで同じ場所でこんな色々なモンスターとエンカウントするんだよ! こんなのクソゲーじゃねえか!」
 偽勇者は魔力を集め、天より雷を自らに落とし、帯電して纏わりつく屍獣達を吹き飛ばした。だがまだ周囲には屍獣の群れが噛みつくタイミングを窺って囲んでいる。
「どけ!」
 偽勇者は雷を帯びて光輝く剣を振るい、道を作って逃げ出す。
「ダメだ、こんなのまともに戦って勝てるイベントじゃねえ! 絶対イベントフラグを立てないといけないはずだ!」
 その向かう先は戦場に音楽を送り続けているぬいぐるみ達が演奏している場所。
「浅はかな考えです。そう動く事は誰にでも予想できます」
 しかしそれを読んでいた絶奈は前に屍兵を展開し、槍衾を作って一歩も通さぬと壁を築いていた。
「どけどけ! ゾンビなんか大して経験値も美味しくないんだよ!」
 偽勇者は剣を振るって屍兵を薙ぎ払う。だが恐れを知らぬ死兵はすぐに穴を埋め、槍を突き出して通さぬと牽制する。

「俺様は最強無敵の勇者様だぞ!」
 黄金の剣に雷を宿し、偽勇者は雷の斬撃を放って屍兵を強引に突破する。その前に悪霊化したルネが割り込む。
「またお前か!」
 偽勇者が強力な剣を振るうが、ルネは霊の身体で主力を無視したように動き回って軽々と躱してしまう。
「霊体に物理系は効きづらいか、なら精神系でどうだ!」
 魔眼を輝かせ偽勇者の視線がルネを捉える。
「如何に無敵だろうが当たらなければ無意味だよ。それにその魔眼……なにそれ、おもちゃなの?」
 魅了しようとする相手の魔眼をルネは見下ろして馬鹿にする。
「自分より圧倒的に弱い相手、それも女性にしか効かないとか。代わりに硝子玉ねじ込んだ方がまだ役に立つんじゃないかな?」
「バカにするなあああああ!!」
 怒り狂った偽勇者が剣を振るって逃げ回るルネを追う。
「ほらほら、偉そうに言ってるけど、悪霊も追い払えない。まるでおもちゃの剣を振り回す怯えた子供だね」
「うがあああああ!!」
 そうして逆上する偽勇者を誘導すると、絶奈が仕掛けていた罠が作動し、焼夷弾が爆発して偽勇者の体を薙ぎ倒して炎が燃え移る。
「あぢぃあぢいいい!」
「如何なる時も冷静に、戦場の鉄則です」
 地面を転がり、水の魔法で消火した偽勇者に止めを刺そうと絶奈が近づく。
「俺様を見ろ!」
 這いつくばいながら魔眼で偽勇者が絶奈を見つめた。
「私を魅了したいのであれば、もっと人間性を磨く事です。力に溺れず、芯の強さを以て為すべき事を為せる方は好みです 」
 表情を変えずに絶奈は槍を突き入れ、偽勇者の背中を抉った。
「がっ、ひっ、やめろ! 俺様に近づくんじゃねえ!」
 偽勇者はまた雷を自らに落とし、避けた絶奈を遠ざける。
「俺様が、勇者がこんなところで死ぬはずがねえ……。また俺の物語は始まったばかりだぞ?」
 よろよろと立ち上がった偽勇者が逃れようとする。

「勇者を名乗るのなら最後まで抗ってみせろ」
 その前に清綱が立ち塞がり、先と同じ居合の構えを見せた。
「クソが……! 邪魔するな! 俺様の前を塞ぐんじゃねえ! それにもうテメェのやり方は見切ったんだよ!」
 今度は小細工に不覚を取らないと、偽勇者は一気に飛び掛かって自分から仕掛ける。
「偶然手に入れた力を磨きもせず、振り回されるばかりでは勇者など名乗れん」
 その必殺の一撃を身を引いて躱す。すると紙一重で切っ先が顔の前を素通りした。見切っていたのはこちらも同様。そして逆に一歩踏み出し清綱が抜刀する。閃く刃は偽勇者の首を断ち斬った。
 ころんと地面に落ちた偽勇者の顔は、信じられないと唖然としていて、最後までゲームの主人公になったつもりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『夢の国のコンチェルト』

POW   :    リズムに合わせて、陽気に歌い踊ります。

SPD   :    巧みな楽器演奏の技術を披露します。

WIZ   :    心に響く感動的な歌声を披露します。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぬいぐるみの演奏会
「皆さんありがとうございます!」
「「ありがとうー!」」
 街の広場でぬいぐるみ達が皆でぺこりと頭を下げて、猟兵達に感謝の言葉を告げる。
「お礼ですが、僕たちの演奏を楽しんでください!」
 犬のぬいぐるみが代表して猟兵達に感謝と歓迎の演奏会を提案する。
「そうそう! 俺達の演奏を楽しんでいってよ!」
「なんなら一緒に演奏しちゃう?」
 猫や羊のぬいぐるみも寄って来て、置いてあるさまざまな楽器を指し示した。
「いやいや、一緒に踊った方が楽しいよ?」
「ちょーっと待ったー! 歌ったほうがたのしーにきまってんじゃん!」
 そこへ兎や鳥のぬいぐるみも加わり、どれが一番楽しいか論争が始める。
「はいはーい、そこまでー!」
 それを犬の司会進行役のぬいぐるみが止めに入った。
「これは助けてくれた方へのお礼なんだから、強引にしちゃダメだよ」
 そう諭して犬のぬいぐるみが猟兵達に振り向く。
「テーブルにお菓子とお茶も用意してますから、のんびり演奏を楽しんでくださいね。もちろん参加も大歓迎ですよ!」
 笑顔で頭を下げると、犬のぬいぐるみはバイオリンを手に皆の集まる中央に向かう。

「では始めよう。真心を籠めて……」
 熊のぬいぐるみが大きな体で前に立ち、指揮棒を大きく振るった。
 一斉にバイオリンにコントラバス、フルートにトランペットとさまざまな楽器が鳴り響き、美しい音色を生み出す。
 そのメロディに乗って猫と兎のぬいぐるみが踊り出し、楽しそうに鳥のぬいぐるみが陽気に歌い出す。

 猟兵達に楽しんでもらおうと、心温まるぬいぐるみ達の演奏会が始まった。
霧城・ちさ
ぬいぐるみさん達の国が守れてよかったですわっ
せっかくですしお茶もお菓子も頂きますの
ぬいぐるみさんたちの演奏も楽しみですわね

ぬいぐるみさんたちが演奏したり踊ったりするのはかわいらしいですわね
ぬいぐるみさんの姿でちゃんと演奏できるか気になってましたがみなさまお上手ですの
お歌も楽し気で素敵ですの
せっかくですし私も仲間に入れてもらいますわね
どう踊ったり歌ったりしていいか教えて欲しいですわっ

他の猟兵さんたちとのアドリブなどは大丈夫ですの


ヴロス・ヴァルカー
ここが天道さん(f12190)の言っていた演奏会の場所ですね、本当にぬいぐるみが演奏していますねぇ。

さてと、私も少し準備を。
先ずは『ホワイト・ワーデン』で煙幕を、飛び入りにはインパクトが必要ですからね。
皆がざわついてきたところで天道さんと共に会場の中心へ、そのまま二人で演奏を始めます。

触手から音を奏で(パイプオルガンのような音)天道さんの歌に合わせた演奏を、そのままぬいぐるみ達も演奏に誘います。
そして、その演奏に【シンフォニック・キュア】をのせ皆さんの傷を癒します。

戦いには参加できなかったのでこの程度の事しかできませんが…もしよろしければ楽しんでいってください。


天道・あや
ヴロスさんと!(f03932)

よし!無事に国もぬいぐるみさんも守れたし後は待ちに待った演奏会!よーし…!皆に戦いの疲れとか怪我とか癒して貰うためにヴロスさんと一緒に頑張ろう!

会場に飛び込む準備はヴロスさんに任せて準備が出来たらヴロスさんと一緒に会場の中心へ!あっ万が一はぐれない為に手を繋いでいこうかな?(手をつなぐ)

そして会場の中心にきたら歌って踊る!(歌唱、ダンス、パフォーマンス)ヴロスさん演奏よろしく!あっ、ぬいぐるみさん達も良かったらお願い!

皆!今日はお疲れ様!そして手を貸してくれてありがとう!おかげであたし達頑張って戦えたし皆を守れた!今日の勝利は皆でとった勝利だー!


ニコリネ・ユーリカ
まぁまぁ素敵な演奏会!
歌もダンスも大好きなの、可愛いショーを見させてね
めいっぱいの拍手で応援しまーす

うーんリズムが良くって身体が動いちゃう
猫さん兎さん、しあわせダンスに私も混ぜて下さいな
ぬいぐるみらしいキュートな動きを教えて貰います
一緒に音楽の楽しさと喜びを味わえたらいいな

マエストロ(熊ぬい)、戦闘時は力強い演奏をありがと!
皆のお陰で勇気の灯を消さずに頑張れました
あの、えっと、それでね
最後に私をぎゅうっとしてくれないかしら?
幼い頃から貴方達に優しさを分けて貰ってて
いつも「大好き!」って抱き締めていたけれど、大人になると、ね
だから今日だけ、もぎゅぎゅーっと抱き締めてください!

えへへ、あったかーい


コルチェ・ウーパニャン
すごーい!コルチェ演奏会って初めて!ゆっくり聞けてうれしいなあ!
コントラバスってだっこするみたいに弾くんだね。
えへへへー、まねっこさせて!
(演奏を聴きながら、そのへんのうさぎさんをお膝にだっこして、弾くふりついでにおなかをこちょこちょ)

ねえねえ、コルチェも楽器、教えてほしいな!
コントラバスは重そうだからえーとえーと、バイオリン!
構え方をまねっこさせてもらったり、音の出し方を教えてもらったり、
バイオリンをかまえてぴょんぴょん跳ねたり踊ったりしてたら
えへへ、ココロにウキウキちキラキラが集まってきたかんじ!
音が出るだけでいいきぶん!
コルチェ、いろーんな、たのしーいこと、知りたいな!


愛久山・清綱
哀れな偽勇者を討伐した。
さて、終わったことだし何をしよう?

■行
【SPD】
お茶を飲みながら演奏会を楽しむか。
ピアノの音が心地よい。

しかし、ピアノか。故郷ではピアノを模した音楽ゲームを
やりこんでいたな。もしかしたら、本物もできるやもしれん。
すまぬ、一回だけやってみてもいいか?

(ギンギンガンガン……)

む、間違えたか。もう一度。

(ギンゴンガンゴン……)

……失敬、無理だった。
やはりゲームと現実は一緒にすべきではないな。
しかし、最後の最後で決まらないとは……
(ここで何を思ったのかもう一度ピアノに手をかけ)

(テテテテテンテン、テレレレレェェン♪)

むむ、何故かここだけ弾けた。

※アドリブ歓迎


霧島・絶奈
◆心情
…偶にはこうして穏やかな一時を過ごすのも悪くは無いでしょう
これは「此処ならでは」の楽しみでしょうから
…尤も、私は鑑賞専門なのですが

◆行動
静かに鑑賞しましょう

折角ですし、ラフィロワ・ベルシルトさんもお誘いしましょう

お久し振りです
ベルシルトさんは歌がお好きだと伺いました
こうした機会も良いかと思いましたのでお声掛けをさせて頂きました
貴女の予知によって、この光景を護る事が叶ったのですから、楽しむ権利だってある筈です

私自身は歌うのではなく「謳う」方に偏っていますので参加は見送るつもりですけれど…
ぬいぐるみ達の歌を聴くばかりではなく、私は貴女の歌も聞きたいと思っています
宜しければ歌って頂けませんか?



●楽しい演奏会
 街中に楽し気な音楽が響き、ぬいぐるみの住人達も音楽に聴き入ったり参加したりと、広場がどんどん賑やかになっていく。
「ぬいぐるみさん達の国が守れてよかったですわっ」
 ティーセットの置かれたテーブルに着いたちさが、その演奏や踊りを楽しみながらお茶を飲み、甘い生クリームのケーキにフォークを刺して一口大にカットすると口に運ぶ。とろける甘みと中のイチゴの甘酸っぱさが口の中に広がった。
「お茶もお菓子も美味しいですの。ぬいぐるみさんたちの演奏を聴きながらお茶会なんて素敵ですわっ」
 頬を緩めてちさはお茶をしながら音楽を楽しむ。

「哀れな偽勇者を討伐した。さて、終わったことだし何をしよう?」
 清綱はお祭り騒ぎのような街中を見渡し、楽しそうに演奏するぬいぐるみ達と、それを聴きながらのんびりお茶をしているちさの姿が目に入った。
「お茶を飲みながら演奏会を楽しむのは良さそうだ。俺も相席させてもらって構わないかな」
「もちろん構いませんわっ」
 清綱が近づいて尋ねるとちさは笑みを返し、ウェイターの服を着た馬のぬいぐるみが給仕して紅茶を注いでくれた。
「ああ、ありがとう」
 感謝の言葉を告げて清綱が紅茶に口をつける。戦いの疲れを癒すように温もりが身体に伝わりリラックスしてぬいぐるみ達の演奏に耳を傾けた。するとちょうど羊のぬいぐるみのピアノのソロパートに入り、リズミカルに音が跳ねる。
「ピアノの音が心地よい……」
 清綱は眼を閉じて音色に聴き入る。
「ふふ、ぬいぐるみさんの姿でちゃんと演奏できるか気になってましたが、みなさまお上手ですの」
 あのぷにぷにした手でどうやって弾いているのだろうと、ちさは不思議そうにぬいぐるみの手元に目を向けた。

「……偶にはこうして穏やかな一時を過ごすのも悪くは無いでしょう。これは『此処ならでは』の楽しみでしょうから」
 絶奈は賑やかで平和な演奏の光景を見て心和ませる。
「……尤も、私は鑑賞専門なのですが。ベルシルトさんは歌がお好きだと伺いましたので、今日はお誘いさせてもらいました」
 そう言って隣の目をキラキラさせてぬいぐるみ達を見ているラフィロワへと視線を向けた。
「うん! 歌うのは大好き! 絶奈さん、今日は誘ってくれてありがとう☆」
 振り向いたラフィロワが絶奈にお礼をしてぺこりと頭を下げる。
「みんなとっても楽しそうだね!」
 小さなぬいぐるみの手で器用に楽器を操る姿に、スゴイスゴイと釘付けになる。
「そうですね。皆さんぬいぐるみの手でよく器用に楽器を演奏するものです」
 絶奈も感心してその巧みな演奏を観察する。
「ふわー! あっちでウサギさんたちが踊り出したよ!」
「見事なものです。あれはタップダンスでしょうか」
 ラフィロワの視線を追えば、そこには兎のぬいぐるみ達が足を踏み鳴らし踊る姿があった。リズムを揃えて踊る兎達に絶奈は賛辞を贈る。

「まぁまぁ素敵な演奏会! 歌もダンスも大好きなの、可愛いショーを見させてね」
 目を輝かせてニコリネはステップを踏む兎のぬいぐるみ達に話しかける。
「任せて!」
「最高のショーをお見せする!」
 兎達が並ぶとリズミカルに足音を鳴らし、ステッキを回してタップダンスを披露した。
「まぁ! 上手上手! 私はめいっぱいの拍手で応援しまーす」
 そのダンスのリズムに合わせるようにニコリネは手拍子を送る。
「おいおい、ダンスが得意なのは兎だけじゃないぜ!」
「お前ら! 猫のダンスを見せてやるぞ!」
 そこへ猫のぬいぐるみ達も加わり、ジャンプしたりクルクル回転したりと軽業のような踊りを披露し、一気にダンスが賑やかになる。
「ふふ、小さな手足でとってもキュートね」
 自然とニコリネは足でリズムを取り体を揺らしていた。
「うーんリズムが良くって身体が動いちゃう。猫さん兎さん、しあわせダンスに私も混ぜて下さいな」
 楽しいダンスの輪に入れてもらおうとニコリネが近づく。
「大歓迎ですとも!」
「へへん。兎とは違う俺達猫のクールなダンスを教えてやるぜ」
「何ですと!?」
 バチバチとライバル心を剥き出しにして兎と猫が可愛らしく睨み合う。
「ふふ、ではせっかくだし両方とも教えてね」
 そんな様子を微笑ましく思いながら、ニコリネは兎と猫の中に入り共にダンスを教えてもらう。

「すごーい! コルチェ演奏会って初めて! ゆっくり聞けてうれしいなあ!」
 間近で迫力ある楽器の演奏を聴いたコルチェは、興奮して髪をピカピカ光らせる。
「コントラバスってだっこするみたいに弾くんだね。えへへへー、まねっこさせて!」
 牛のぬいぐるみが引く大きな楽器を興味津々に見ていたコルチェは、その隣で同じように演奏を鑑賞していた兎のぬいぐるみをお膝に乗っけてだっこする。
「はわっ!」
 そして兎を楽器に見立てて弾くふりをしつつ、お腹をこちょこちょと触った。
「こんなかんじかなー?」
「はわわっ!!」
 くすぐったそうに兎が悶えるが、その反応が楽しくてコルチェはもっとこちょこちょとしてしまう。
「ねえねえ、コルチェも楽器、教えてほしいな!」
 ぐったりした兎を優しく下ろし、コントラバスを弾く牛に話しかける。
「いいとも、これがやりたいのかい?」
 牛が自分の弾くコントラバスを指し示す。だが目の前で見るとかなり大きく、扱いが難しそうだとコルチェは首を振った。
「コントラバスは重そうだからえーとえーと、バイオリン!」
 そして周りを見渡し、小さめのぬいぐるみでも弾けているバイオリンを指さした。
「バイオリンなら僕が教えましょう」
 軽やかにバイオリンを演奏しながら犬のぬいぐるみがやってくる。
「じゃあじゃあまずは音の出し方を教えて!」
 あれもこれもと一つずつ分からないことを尋ねるコルチェに、犬は親切丁寧に答えてくれた。

「よし! 無事に国もぬいぐるみさんも守れたし、後は待ちに待った演奏会!」
 あやはぬいぐるみ達の楽しそうな演奏を見て、もう待ちきれないと今にも飛び出しそうな様子でうずうずしていた。
「ここが天道さんの言っていた演奏会の場所ですね、本当にぬいぐるみが演奏していますねぇ」
 可愛らしいぬいぐるみ達の演奏を、あやの隣でヴロス・ヴァルカー(優しい機械・f03932)が微笑ましく思い目を光らせながら眺める。
「よーし……! 皆に戦いの疲れとか怪我とか癒して貰うためにヴロスさんと一緒に頑張ろう!」
「天道さんはやる気十分ですね。では飛び込む前に、私も少し準備を」
 ヴロスは触手からもくもくと煙を出して視界を覆う。
「なんだなんだ!?」
「誰かスモークを焚いたのか?」
 何事かとぬいぐるみ達の注目が集まる。
「では行きましょう」
「うん! 一緒に行こう!」
 頷いたあやはヴロスと手を繋ぎ、引っ張るように元気に広場に飛び出る。
「おっ誰かやってきたぞー!」
 場を盛り上げるようにリスのぬいぐるみが声を上げた。
「みんなー! あたしの歌を聴いてねー!」
「おおー!」
 煙の中からあやとヴロスが姿を現し、あやが腕を突き上げると、ノリのいいぬいぐるみ達もジャンプするように腕を上げ返す。
「では始めますね」
 ヴロスが触手からまるでパイプオルガンのような音を発し、それに合わせてあやが歌い出す。美しい音色と歌声のハーモニーが広場を満たす。その音は戦いで負ったぬいぐるみ達の傷を癒し、活力を取り戻させる。
「ぬいぐるみさん達もいっしょにー!」
「みんなで行こう!」
「ダンスダンスー♪」
 あやが楽しそうに踊りながら手を振ると、ぬいぐるみ達も仲間に入って踊り出す。そこへヴロスも触手から放つパイプオルガンの音を高め、周囲に楽器を持つぬいぐるみ達に視線を向けた。
「皆さんも一緒に参加しませんか」
「おおっやるやる!」
「楽しそー!」
 バイオリンが鳴り響き、フルートの音色が追いかける。
「楽しんでもらえてるようですね。戦いには参加できませんでしたが、皆さんを元気づける事はできたようです」
 それらの音を合わせるようにヴロスはパイプオルガンのメロディで一つにしていく。
 その音に乗ってあやはご機嫌で大熱唱を街中に響かせた。

●みんな笑顔で
「しかし、ピアノか。故郷ではピアノを模した音楽ゲームをやりこんでいたな。もしかしたら、本物もできるやもしれん」
「あら、参加しますの? なら私もあちらの仲間に入れてもらいますわね」
 目を開け立ち上がった清綱がピアノの元に向かうと、ちさも参加してみようと楽しく踊り歌う鳥や兎のぬいぐるみへと近づいた。
「すまぬ、一回だけやってみてもいいか?」
「もちろんです! さあさあどうぞ!」
 清綱が頼むと、羊のぬいぐるみが笑顔で席を譲ってくれる。そこに座り、確かこうだったと思い出しながら鍵盤を叩く。

 ギンギンガンガン――

 調子の狂った重苦しい音がピアノから響き、清綱は首を傾げる。
「む、間違えたか。もう一度……」

 ギンゴンガンゴン――

 先とは違っているが、やはり澄んだ音にならず、ぴたりと清綱の手が止まった。
「やはりゲームと現実は一緒にすべきではないな。しかし、最後の最後で決まらないとは……」
 眉間にしわを寄せ、難しい顔で清綱は首を横に振った。そして立ち上がろうと思ったが、最後にふとピアノに手をかける。

 テテテテテンテン、テレレレレェェン♪

 無意識に手が勝手に動くように鍵盤を叩き、リズムに乗ったメロディが流れる。
「むむ、何故かここだけ弾けた」
 不思議そうな顔で清綱はピアノを見つめ、他にも引けないかとまた鍵盤に触るが、意識すると思ったように指が動かなず、ギンギンと音を鳴らした。

「そこでくるっと回転して!」
「こうですわね」
 兎のぬいぐるみを真似てちさがくるりくるりとスカートを翻して回る。
「ポーズ!」
「ですわっ」
 兎とちさが同時に腕を上げてピタリと静止する。
「おー! 完璧だー!」
「やるねお嬢さん!」
「よしじゃあ次は歌だ!」
 それを見ていたぬいぐるみ達が拍手喝采を送り、鳥のぬいぐるみが高らかに歌い上げて見本を示す。

 ――ここは愉快なぬいぐるみの楽園
 熊が指揮棒振るい、犬はバイオリンを奏でる。ぬいぐるみのオーケストラ
 リズムに乗って歌えや踊れ、みんなで笑顔の花咲かす――

「こんな感じだ! まあ歌詞なんかよりも楽しく歌うのが大事だぞ!」
「わかりましたわっ」
 鳥のぬいぐるみがそう締めくくると、ちさも歌い出す。それに合わせて周りのぬいぐるみ達も歌い出し、合唱となって広場に楽しそうな声が響く。
「む、楽しそうだな」
「では我々も加わりましょう!」
 清綱がそちらに顔を向けると、横に座って連弾で教えていた羊のぬいぐるみがピアノを弾く。それを見よう見まねで清綱も忙しなく指を動かす。
「おっ、いいねいいね!」
 さらに楽器の音が加わり、誰も彼もが楽しそうに音楽を楽しむ。

「わー! みんな集まってお祭りみたいだねっ☆」
「そうですね。皆さんも参加しているようです。ベルシルトさんも参加してみては如何ですか?」
 猟兵の皆が楽しそうに音楽に参加しているのを見て、目をキラキラさせるラフィロワに絶奈が参加を勧める。
「んっと、ボクも参加していいのかなぁ?」
「貴女の予知によって、この光景を護る事が叶ったのです。楽しむ権利はある筈ですよ」
 皆を戦いに送っただけなのに参加してもいいのだろうかとラフィロワが絶奈を見上げると、絶奈は頷き口元に優しい微笑みを浮かべた。
「うん! じゃあ参加してみるよ! 絶奈さんはどうするの?」
「私自身は歌うのではなく『謳う』方に偏っていますので、参加は見送るつもりですけれど……」
 こういった賑やかな音楽に参加するのには自分は向いていないと絶奈は首を振る。
「それに皆が参加しては聴衆が居なくなってしまうでしょう? 私は観客として楽しませてもらいます。ですので貴女の歌を聴かせてください」
 自分は観客の方が楽しめると、絶奈はティーセットの置かれたテーブルに着く。
「わかったよ! じゃあ絶奈さんに感謝の気持ちを込めて歌をプレゼントするね!」
 笑顔でラフィロワが駆け出し、ぬいぐるみや猟兵が楽しそうに演奏し歌い踊る場所に飛び込む。そして絶奈へと手を振って楽しく歌い出した。演奏に乗って満開の花のような聴いてる者が元気になる歌声が届く。
「誰もが笑顔になるような歌声ですね」
 絶奈は心地よさそうに椅子に深く座り、美しい音楽の世界に身を委ねた。

「よーし! 教わったことを実践するよー!」
 たどたどしくもコルチェはバイオリンから綺麗な音色を響かせる。
「出た出た! ちゃんと音が出たよ!」
 嬉しそうにコルチェが飛び跳ねて喜びを表現する。
「えへへ、ココロにウキウキとキラキラが集まってきたかんじ! 音が出るだけでいいきぶん!」
 ご機嫌にバイオリンを弾き続け、みんなの演奏に加わる。それを迎え入れるようにぬいぐるみ達が音を合わせてくれた。
「これでコルチェもぬいぐるみ楽団の仲間だね!」
 コルチェはみんなと一緒に音を奏でるのがこんなに楽しいことだと知って、もっともっと楽しい事を知りたいと気持ちを溢れさせる。
「コルチェ、いろーんな、たのしーいこと、知りたいな!」
 その音色はストレートに気持ちを伝え、聴く者の心を躍らせた。

「賑やかね。私達も混ぜてもらいましょ」
 そこへニコリネと兎と猫の集団も参加し、足でリズムに乗って床を蹴り、躍動感あるダンスを始める。
「兎さんのリズム感に、猫さんの躍動感を合体させたしあわせダンスよ!」
 にこやかに笑ったニコリネが、負けじと競い合う兎と猫と共に楽しく踊る。
「わーっ」
「楽しそう! ボクも踊る踊る!」
 それを見ていた小さな子ぬいぐるみ達も集まり、小さな手足で楽しそうに真似をして踊り出した。

「ヴロスさん! あっちも楽しそうだよ!」
 歌い終え、犬のぬいぐるみから差し入れられたジュースを飲んでいたあやが、踊るぬいぐるみ達を指さす。
「そうですね。一息つきましたし、私達も参加してみましょうか」
 視線を向けたヴロスがそう提案すると、あやは笑顔でジュースのコップをテーブルに置き、ヴロスの手を握ってまた駆け出した。その背中を見ながらヴロスも手をしっかり握り返して地を蹴る。
「あたし達も仲間にいれてー!」
「みんなで踊るのも楽しそうですね」
 ぬいぐるみ達の輪の中にあやとヴロスも混じり、音楽に合わせてぬいぐるみと共に踊り出した。

●しあわせに包まれて
 みんなで奏でる演奏が一息つくと、それぞれがまた自由に楽しみ出す。
「マエストロ、戦闘時は力強い演奏をありがと!」
 ニコリネが指揮者をしていた熊のぬいぐるみに手を振り感謝の気持ちを伝える。
「皆のお陰で勇気の灯を消さずに頑張れました。あの、えっと、それでね……」
 そして何か言おうとして、ちらっと大きな熊のぬいぐるみのもふもふした体を見る。
「何かな?」
 包容力のある渋い声で熊が優しく尋ねる。
「最後に私をぎゅうっとしてくれないかしら? 幼い頃から貴方達に優しさを分けて貰ってて。いつも『大好き!』って抱き締めていたけれど、大人になると、ね」
 照れたようにニコリネは顔を赤くして、言い訳するように少し早口で理由を告げた。
「だから今日だけ、もぎゅぎゅーっと抱き締めてください!」
 ニコリネがぎゅっと拳を握ってお願いする。
「これでいいかな?」
 父親のように優しく熊のぬいぐるみが大きな体で抱きしめる。
「えへへ、あったかーい」
 温かなお布団に包まれたように、ニコリネは目を閉じてそのもふもふ感を堪能した。

「皆! 今日はお疲れ様! そして手を貸してくれてありがとう! おかげであたし達頑張って戦えたし皆を守れた! 今日の勝利は皆でとった勝利だー!」
「「うおおおおーーーーーーー!!」」
 あやの感謝の言葉にぬいぐるみ達が盛り上がり、ぽよんぽよんとぬいぐるみ達はジャンプして手を振る。
「皆さんノリノリですね。ではもう一曲。もっと盛り上げて楽しんでもらいましょう」
 ヴロスがパイプオルガンの音をテンポを上げて響かせ、あやもジャンプして手を上げると歌い出す。ぬいぐるみ達も続けて歌い踊り、ライブ会場のように熱く盛り上がる。

 広場ではバイオリンを弾く犬も、飛びながら歌う鳥も、競って踊る猫と兎も、そしてぬいぐるみ達と共に過ごす猟兵も、皆が楽しそうに演奏を楽しんでいる。
 音楽に包まれた街は楽園のようにしあわせな笑顔で満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月14日


挿絵イラスト